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旅立ち
11 はじめてのボス
しおりを挟む先に仕掛けたのは半ばヤケになった桜桃だ
トーテムポール型ネコツキに向かって雄叫びを上げて直走る
名はトーテルズと表示されている
一方でエーデルワイスは巨体からは想像できない軽やかな一跳びで盛土のてっぺんに乗った
さあ、君の力を見せてごらん
エーデルワイスの挑発に桜桃は安心した
良かった、巨大な犬とは戦わずに済むようだ
桜桃がユニーク武器のカカシを振り下ろす直前、トーテルズは羽を広げて三体に分かれた
すぐさま仲間に声を掛けて二体を任せることにする
自分はマゼンタを狙い、おたふく侍にはイエロー、もへじろうにはシアンを任せる
とは言え、彼らは高いところに浮かんで、桜桃がうんと背伸びしてカカシを伸ばしても届かない
それどころか、突然に急降下して桜桃をつっついてきた
丸い爪でも食い込んだようなチクッとした衝撃を受けて桜桃は尻餅をついた
もちろん、そのタイミングを狙ってカカシを振ってはみたが、大剣は重く、うまく当てられない
トーテルズが再び合体してトーテムポールの形に戻った
ここでシステムよりチュートリアルが入る
いま体力ゲージの下に現れたのはボス戦にのみ表示されるバーストゲージ
それを削り切ればバーストブレイクとなる
しかし、間に合わなければ強力な必殺技を受けてしまうという
桜桃がよしと阻止に向かうが、エーデルワイスの遠吠えで、地面からネコツキが湧いてきた
お弁当に入ってるバランみたい
ザックバランという名で四体はいる
桜桃は雑草刈りを優先した
仲間二人はサクッと倒してトーテルズに立ち向かったが、バーストブレイクには及ばなかった
ということで、雑草刈りを終えたばかりの桜桃へ、容赦のないトリメビームが放たれた
「うーわー!!」
と桜桃が大袈裟な悲鳴を上げているが、実のところビームは目に優しい光と温もりで構成され、全身が足の痺れの手前くらいにピリピリ刺激される程度の衝撃しかない
ただし体を動かすことは不可能
桜桃は、わざわざ大の字になって直撃を受けた
体力がグンと減った
仲間二人が桜桃を守ろうと駆けつける
回復薬を飲んで体力は半分まで戻った
しかしそこへ、追い討ちと分裂したトーテルズが目前に迫る
桜桃は困った
攻撃は当たらないし雑草は鬱陶しいしビームは恐ろしいし、、、
そんな時にメッセージが届いた
息子の誠清からだ
武器変えたら?
その手があったなありがとう息子よ
と心の中で感謝して、メニュー画面から武器をDランクの片手剣、いてっ
オデコをつっつかれた桜桃はあられもない格好で後ろへひっくり返った
外見は美少女でも中身は親父なので股が大きく開いている
こんな辱めを受けたのは初めてだ
と不思議と内心は落ち着いて冷静だった
お尻を空に向けたままメニューを開いて武器を切り替える
さ、反撃だ
体を横に転がしてうまくトーテルズの攻撃を避けると、地面に描いた紋章からスカイハリ剣を召喚した
今度こそ急降下で迫るトーテルズに一撃を与えることに成功した
トーテルズは桜桃の脇をかすめて墜落した
チャンスとズタズタに切りかかる
まるでヤンデレのサイコな事件現場を目撃しているようだが、いま彼女は必死だ
トーテルズが飛び上がって再集結する
また、アレがくるのだ
桜桃が先行する
スキル疾風突きをお見舞いすると、またもやズタズタに切りつける
ゲームの世界でなければ器物損壊の罪で捕まるかも知れない
サクッとザックバランを片付けた二人が合流した
おたふく侍は何故かスキルが解放されていない
一方で、もへじろうのスキル飛脚蹴りが決まったおかげでバーストブレイクに成功した
トーテルズは赤く点滅して、トーテムポールの形を保ったまま不安定に揺れている
こうなったら三人の猛攻は止まらない
桜桃はがむしゃらに刃物を振り回して、おたふく侍は木こりのように刀を横一文字に払い、もへじろうが腰を沈めた突っ張りを連発する
惜しい
倒し切れずにトーテルズが分離した
桜桃は二人を後退させる
ちょうど必殺技の準備が整い、刀身が虹色に光る
ストームチェイサー
桜桃が愛らしく不器用に三回転すると、三つの竜巻が放たれた
それが敵を追尾する有難い性能になっている
これは初心者向けの仕様で、ランクの低い武器はスキルや必殺技の威力が相応に低い分、発動の動作が簡単で、また命中度も高く設定されている
逆に言えば武器のランクが上がるほど威力は高くなり、扱いが難しくなるということだ
トーテルズは空中で星を散らしてユニークでマイルドに爆散した
必殺技で敵を倒すと、こういう特別な演出が追加されるのだ
やったぞー!
仲間を抱きしめて大はしゃぎ喜ぶ
ポニーテールがぴょんぴょんと動きに合わせて跳ねた
心拍数や脳のスキャニング等から性的な行為とは認識されなかった為に、この行動はシステムに許された
わんだふぉー!未来は明るい!
また遊ぼうね
エーデルワイスは無邪気にそう言い残して盛土の向こうへ去っていった
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