9 / 22
断罪された公女、抗う
それぞれの頼みの綱
しおりを挟む
(人間よ!奥の手は隠しておくものだぞ!もう逃げられん!)
勝ち誇る女神。爆破術式を起動された核石が微かな振動を始める。
「やはり自爆ですか。どうして、あなた方のような魔法生物はワンパターンなのでしょう」
聖縋を構えたまま、嘆息するメイリーン。
(もはや起動は止められぬ!破壊しようとした途端に爆発だ!我は生き、お前たちだけで死ぬのだ!)
「まるで勝ったかのように考えるの、やめるといいですよ。行動パターン分かりきってるのに打開策用意してないわけないです」
彼女の冷静な返答に不安のよぎる女神だが、悪い予感を振り払う。
(ふ、ふははは!なにを強がりを。さあ!時間だ!骨も残さず消え去るがいい!)
急速に光エネルギーが収束する。核石が激しく揺れる。
ここにきて周囲の人々も異常に気づく。
「な、なんだあれは!」
「メイリーン様、あぶないっ…!」
構わずターゲットの核石へ聖縋を振り下ろすメイリーン。今こそ師との約束が果たされるとき。
『頼みの綱は最後、勝てる時までとっておけばいいんだ』
「そう…、先生!頼みの綱!ちゃんととっておいたよ!」
ありったけの神聖力を乗せたインパクトの瞬間、空間は白金の閃光と轟音に支配される。
音に紛れて人の声、絶叫も微かに聴こえてくる。
「メ…!ありが……メイ…!さ…くせん…せ…こう…!」
「せんせ…!!…ん…せい!!………!…!」
全てが光に呑まれる中、離れ逃がれる女神の精霊体。人の拳ほどの火の玉が光と音の中を踊り狂う。
(あははははっ!やったっ!やってやったぞ!爆発したっ!死んだ!我から全てを奪ったやつら!ざまーみろっ!)
光が晴れれば、あとは一面焦土が広がっているはず。そうしたら余すことなく勝利の余韻に浸ってやろう。
…。
……?
いや、おかしい?
なんてことだ!ここは建物内だ!柱も壁も天井も無傷!
標的の人間どもすら無傷!爆発での怪我人すらいない!
なにより、目の前には憎き女、メイリーンが立ち尽くしている…!
クソッ、光っただけで不発に終わったんだ!
思うも束の間、激痛で身を締めつけられる。
(う…ぐっ…!な、なんだ!?霊体の我が痛みを受けるわけが……ぐ…き…消え…る………)
「メイっ!よくやったあっ!背、めちゃくちゃ伸びたじゃないかあ!」
女神の霊体を鷲掴みにして立っていたのは、白金色の光を身に纏う美しい女性。
太陽のような、懐かしい笑顔。
先代聖女マーサ。
待ち望んだ人の胸に、メイリーンは飛びこんだ。
勝ち誇る女神。爆破術式を起動された核石が微かな振動を始める。
「やはり自爆ですか。どうして、あなた方のような魔法生物はワンパターンなのでしょう」
聖縋を構えたまま、嘆息するメイリーン。
(もはや起動は止められぬ!破壊しようとした途端に爆発だ!我は生き、お前たちだけで死ぬのだ!)
「まるで勝ったかのように考えるの、やめるといいですよ。行動パターン分かりきってるのに打開策用意してないわけないです」
彼女の冷静な返答に不安のよぎる女神だが、悪い予感を振り払う。
(ふ、ふははは!なにを強がりを。さあ!時間だ!骨も残さず消え去るがいい!)
急速に光エネルギーが収束する。核石が激しく揺れる。
ここにきて周囲の人々も異常に気づく。
「な、なんだあれは!」
「メイリーン様、あぶないっ…!」
構わずターゲットの核石へ聖縋を振り下ろすメイリーン。今こそ師との約束が果たされるとき。
『頼みの綱は最後、勝てる時までとっておけばいいんだ』
「そう…、先生!頼みの綱!ちゃんととっておいたよ!」
ありったけの神聖力を乗せたインパクトの瞬間、空間は白金の閃光と轟音に支配される。
音に紛れて人の声、絶叫も微かに聴こえてくる。
「メ…!ありが……メイ…!さ…くせん…せ…こう…!」
「せんせ…!!…ん…せい!!………!…!」
全てが光に呑まれる中、離れ逃がれる女神の精霊体。人の拳ほどの火の玉が光と音の中を踊り狂う。
(あははははっ!やったっ!やってやったぞ!爆発したっ!死んだ!我から全てを奪ったやつら!ざまーみろっ!)
光が晴れれば、あとは一面焦土が広がっているはず。そうしたら余すことなく勝利の余韻に浸ってやろう。
…。
……?
いや、おかしい?
なんてことだ!ここは建物内だ!柱も壁も天井も無傷!
標的の人間どもすら無傷!爆発での怪我人すらいない!
なにより、目の前には憎き女、メイリーンが立ち尽くしている…!
クソッ、光っただけで不発に終わったんだ!
思うも束の間、激痛で身を締めつけられる。
(う…ぐっ…!な、なんだ!?霊体の我が痛みを受けるわけが……ぐ…き…消え…る………)
「メイっ!よくやったあっ!背、めちゃくちゃ伸びたじゃないかあ!」
女神の霊体を鷲掴みにして立っていたのは、白金色の光を身に纏う美しい女性。
太陽のような、懐かしい笑顔。
先代聖女マーサ。
待ち望んだ人の胸に、メイリーンは飛びこんだ。
1
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。
勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!
石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり!
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。
だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。
『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。
此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に
前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる