変身とかいうスキルは俺にとって最高のスキルかもしれない。（旧題名『ミミック』）

1章【人間国】

操るもの

ここは【商業都市ソルド】に近いある森の中。
そこにはゴブリンの巣があり、住んでいるゴブリン達は今ある人物にひれ伏していた。


「君たち本当に従順だね～。そんな君たちにはこれをあげるよ。」


黒いローブに身を包んだ少年のような声の人物はゴブリンたちの長と思われる者に手をかざす。


そしてその手から柔らかな光を発し、ゴブリンの長の体を包み込む。


だんだん光が強くなっていき、ゴブリンの体は一瞬見えなくなるが、その光が弱まるとそこには先程までは緑色だった体の色が赤くなり、さらに燃える尻尾まで持ったゴブリンがいた。


それを見たゴブリンは驚いたような表情を見せるが、その驚きも赤黒いゴブリンのとった行動によりすぐ尊敬の眼差しに変わる。


「ありがとうございます。このような力を頂き非常に感謝しております。」


人の言葉を話している。
ギィギィと鳴くこと姿しか知られていない彼らが話せるとは思えないが、黒ローブが何かをしたこのゴブリンは話せている。


「いーよいーよ。この森の他の種族の長にも同じような事してるから。その関係でこの森の種族同士で争わないようにしてくれる？争うのは人間だけってことで。あ、オークだけはいいよ。アレは僕好きじゃないから。」


「分かりました。他のものにも伝えておきます。」


「僕は一旦この森から離れるけど、次来た時はまた呼ぶからその時はすぐ来てね。」


「わかりました、一同貴方様に忠誠を誓っております故、いつでも何なりとお命じください。」



ゴブリンがそういうと満足気な雰囲気で黒ローブはまるで瞬間移動をしたかのように消え去った。