13 / 25
第13話 互いの思い
しおりを挟む
「なんだ?」
少し呆れたような声を出すオルガン様の、銀色の仮面の小さな隙間から覗く深緑の目をしっかりと見つめて、私はゆっくりと答えた。
「これだけは言わせてください。オルガン様よりまともな嫁ぎ先など、この国にあるのかどうかすら怪しいです。そして、ご自身を悪くいうのはこれっきりでおやめになってください!」
「俺よりまともな嫁ぎ先があるかどうかも怪しいだと? 仮面侯爵と呼ばれる者が夫だというのにか?」
「人の噂など何の意味もありません。現にオルガン様は、私の噂を否定してくださったのですよね? 私の行いを知って」
「ああそうだ。だが、君は俺のことを知らない。会ったのは一度だけで、話した時間も少しだ。そんな君に俺の何が分かる?」
まるで私を試すかのように、オルガン様の目は、私の視線から逸らすどころか、逆に射抜くように見つめ返している。
それだけでも、実際のオルガン様は意志が強く、自分に自信がある方だと分かる。
それなのに、なぜご自身を卑下するような言い方を私にするのかしら。
「確かに私はまだオルガン様と直接過ごした時間はほんの僅かです。でも、私はオルガン様に初めてお会いしてから、ここに来るまで、そしてこの屋敷で、たくさんのオルガン様の素晴らしさを優しさを感じています」
「それはどういう意味かな?」
「オルガン様は私に言ってくださいました。好きにしていいと。でも、もし私の噂を本当に信じていたのだとしたら、そんなこと言うわけないんです」
私が本当におかしな行動をするような女性だったら、好き勝手になどできるわけないわ。
オルガン様の地位があれば、男爵家の私などいくらでも自由を奪うことができるもの。
ハープにお願いすれば、大抵のことは叶えてくれたし、不自由どころか自由すぎたくらいよ。
さっきだって私が欲しいと言った薬草の種や苗を余すことなく用意していただいたのですもの。
中には手に入るかどうか分からないものまでお願いしていたというのに。
「ふむ……君は、頭も悪くないようだ。逆に質問しよう。聡明で慈愛の心を持ち、一般的な基準から見ても美しさも兼ね備えた君が、なぜ一度も社交界に顔も出さなかった? あまつさえ、身体が弱いなど嘘の理由まで付けて」
「それは……」
答えに詰まってしまう。
お父様が決めたこと。
言ってしまえばそれだけだろうけれど、まさか夫であるオルガン様に身内の暗い話など聞かせるわけにはいかないもの。
いえ。そういえば、もうすぐ夫ではなくなるのね。
結婚を無かったことにするのですから。
「答えにくい質問をしたみたいだな。それで結婚のことだが――」
「あの! オルガン様は私のことがお嫌いですか!?」
また叫んでしまった。
結婚を無かったことになんか、出来ればしたくない!
私……オルガン様に恋をしているんだわ。
この生活を無くすのは辛い。
でも、帰りを待つ間にオルガン様への感謝の気持ち以上に、早く会いたい、会ってお話がしたいと思っていたわ。
そして、今目の前で話をしているオルガン様を見て、私ドキドキしてるもの。
もっとオルガン様のことが知りたいもの。
「君を嫌いかどうか……と聞かれれば、悪い感情はないな。どちらかといえば……いや、本心を言えばかなり好感が持てる」
「でしたら! このまま結婚は続けさせていただけませんか? せめてオリン様とクラリー様のご結婚が終わるまで!」
「なぜ君がそれを……オリンか……まったく。あいつの悪い癖だ。まさか本人に言うとは。しかし、知らぬ間にずいぶんあいつと仲良くなったようだな。王都で会った時には、俺たちの結婚を認めんと息巻いていたというのに」
「オリン様はオルガン様のことが大好きですもの! 私もオルガン様のことが大好きですから、気が合わない訳がありませんわ!」
胸を張って答えたら、突然ずっと私を見つめていたオルガン様の目が何度も瞬いた。
心なしか、瞳も大きくなったように見える。
「君は……俺の素顔を見たことがない。これを見ても、同じことが言えるか?」
そう言いながらオルガン様は銀色の仮面をゆっくりと取り外す。
仮面に隠れていた素顔が現れ、先ほどまでと同じ深緑の目が私をしっかりと見つめた。
オルガン様の素顔は確かに痛々しい見た目をしている。
「これでも俺のことを好きだと言えるか?」
「ええ。私はオルガン様のことが大好きです。ごく一部の親しい方にしかお見せしたことのないお顔を見せていただけたおかげで、ますます好きになりました」
「俺は醜い」
「いいえ。見た目は人のごく一部の特徴に過ぎません。私は見た目が良くても醜い心を持った者がいることを知っています。オルガン様が醜いなど思いません」
オルガン様は一度長く息を吐き、おもむろに仮面を元の位置に戻した。
なんだか、私を見つめる視線が先ほどより柔らかくなった気がする。
「君……いや。妻なのだから名前を呼ばないと失礼だったな。ビオラは本当にこのまま俺と結婚したままで構わないんだな?」
「先ほどからそう言っています!」
「ははは。そうだったな。では、俺も腹を括ることにしよう」
「どういうことです?」
オルガン様は懐から紙の束を取り出した。
一体何かしら。
「ドラムから定期的にビオラの報告を受けていたと言ったね? 実はその手紙を読む度にビオラへの興味が深まっていった」
「つまり?」
「初めの非礼は詫びよう。つまり、ビオラ。君を一人の女性として興味があるということだ」
「まぁ! じゃあ、なんで私との結婚を無かったことにするなんておっしゃったんです?」
「それは……申し訳ないと思ったからだ。君を選んだ理由も会ってからの言葉も。だが、ビオラが許してくれるなら、このまま続けてみたいと俺も思っている」
「嬉しい!」
叫びながらオルガン様に感情に抱き付いてしまった。
しまったけれど、これはどうすればいいのかしら?
オルガン様の様子は見えないけれど、抱きしめ返しても、離れるよう押し戻しもしてこない。
なんだか私からすぐ離れるのも変かしら。
あ、でも。オルガン様の身体がとても引き締まっているのは分かったわ。
なんてことを考えてるの、私ったら!
動いていいのか動かない方がいいのか分からずにしばらくオルガン様の抱き心地を堪能していたら、扉の開く音が聞こえた。
「兄上! いつまで待たせる気ですか!? ……し、失礼しました!」
「あ、いや。オリン。これは違う。いや、違わない。待て! なんだそのにやけ顔は! おい!」
頭の上から慌てた様子のオルガン様の声が聞こえてきて、なんだか楽しくなってさらにきつく抱きしめたら、残念なことに離されてしまった。
そんなオルガン様は蝋で封のされた手紙を見せてきた。
捺された印に目を見開く。
「結婚を続けると決めたからには、これを渡しておかなくてはならない」
「それは国王陛下の……? 私宛なのですか? 陛下が私ごときに書簡を……?」
「トロン陛下からビオラへの贈り物だそうだ。内容は知っているが……直接読んでみるといい」
受け取った国王陛下からの書簡を、恐る恐る封を開けて読むと、とんでもないことが書いてあった。
「オルガン様、これって!?」
「断ることは出来ないぞ。陛下直々の舞踏会への誘いだ」
少し呆れたような声を出すオルガン様の、銀色の仮面の小さな隙間から覗く深緑の目をしっかりと見つめて、私はゆっくりと答えた。
「これだけは言わせてください。オルガン様よりまともな嫁ぎ先など、この国にあるのかどうかすら怪しいです。そして、ご自身を悪くいうのはこれっきりでおやめになってください!」
「俺よりまともな嫁ぎ先があるかどうかも怪しいだと? 仮面侯爵と呼ばれる者が夫だというのにか?」
「人の噂など何の意味もありません。現にオルガン様は、私の噂を否定してくださったのですよね? 私の行いを知って」
「ああそうだ。だが、君は俺のことを知らない。会ったのは一度だけで、話した時間も少しだ。そんな君に俺の何が分かる?」
まるで私を試すかのように、オルガン様の目は、私の視線から逸らすどころか、逆に射抜くように見つめ返している。
それだけでも、実際のオルガン様は意志が強く、自分に自信がある方だと分かる。
それなのに、なぜご自身を卑下するような言い方を私にするのかしら。
「確かに私はまだオルガン様と直接過ごした時間はほんの僅かです。でも、私はオルガン様に初めてお会いしてから、ここに来るまで、そしてこの屋敷で、たくさんのオルガン様の素晴らしさを優しさを感じています」
「それはどういう意味かな?」
「オルガン様は私に言ってくださいました。好きにしていいと。でも、もし私の噂を本当に信じていたのだとしたら、そんなこと言うわけないんです」
私が本当におかしな行動をするような女性だったら、好き勝手になどできるわけないわ。
オルガン様の地位があれば、男爵家の私などいくらでも自由を奪うことができるもの。
ハープにお願いすれば、大抵のことは叶えてくれたし、不自由どころか自由すぎたくらいよ。
さっきだって私が欲しいと言った薬草の種や苗を余すことなく用意していただいたのですもの。
中には手に入るかどうか分からないものまでお願いしていたというのに。
「ふむ……君は、頭も悪くないようだ。逆に質問しよう。聡明で慈愛の心を持ち、一般的な基準から見ても美しさも兼ね備えた君が、なぜ一度も社交界に顔も出さなかった? あまつさえ、身体が弱いなど嘘の理由まで付けて」
「それは……」
答えに詰まってしまう。
お父様が決めたこと。
言ってしまえばそれだけだろうけれど、まさか夫であるオルガン様に身内の暗い話など聞かせるわけにはいかないもの。
いえ。そういえば、もうすぐ夫ではなくなるのね。
結婚を無かったことにするのですから。
「答えにくい質問をしたみたいだな。それで結婚のことだが――」
「あの! オルガン様は私のことがお嫌いですか!?」
また叫んでしまった。
結婚を無かったことになんか、出来ればしたくない!
私……オルガン様に恋をしているんだわ。
この生活を無くすのは辛い。
でも、帰りを待つ間にオルガン様への感謝の気持ち以上に、早く会いたい、会ってお話がしたいと思っていたわ。
そして、今目の前で話をしているオルガン様を見て、私ドキドキしてるもの。
もっとオルガン様のことが知りたいもの。
「君を嫌いかどうか……と聞かれれば、悪い感情はないな。どちらかといえば……いや、本心を言えばかなり好感が持てる」
「でしたら! このまま結婚は続けさせていただけませんか? せめてオリン様とクラリー様のご結婚が終わるまで!」
「なぜ君がそれを……オリンか……まったく。あいつの悪い癖だ。まさか本人に言うとは。しかし、知らぬ間にずいぶんあいつと仲良くなったようだな。王都で会った時には、俺たちの結婚を認めんと息巻いていたというのに」
「オリン様はオルガン様のことが大好きですもの! 私もオルガン様のことが大好きですから、気が合わない訳がありませんわ!」
胸を張って答えたら、突然ずっと私を見つめていたオルガン様の目が何度も瞬いた。
心なしか、瞳も大きくなったように見える。
「君は……俺の素顔を見たことがない。これを見ても、同じことが言えるか?」
そう言いながらオルガン様は銀色の仮面をゆっくりと取り外す。
仮面に隠れていた素顔が現れ、先ほどまでと同じ深緑の目が私をしっかりと見つめた。
オルガン様の素顔は確かに痛々しい見た目をしている。
「これでも俺のことを好きだと言えるか?」
「ええ。私はオルガン様のことが大好きです。ごく一部の親しい方にしかお見せしたことのないお顔を見せていただけたおかげで、ますます好きになりました」
「俺は醜い」
「いいえ。見た目は人のごく一部の特徴に過ぎません。私は見た目が良くても醜い心を持った者がいることを知っています。オルガン様が醜いなど思いません」
オルガン様は一度長く息を吐き、おもむろに仮面を元の位置に戻した。
なんだか、私を見つめる視線が先ほどより柔らかくなった気がする。
「君……いや。妻なのだから名前を呼ばないと失礼だったな。ビオラは本当にこのまま俺と結婚したままで構わないんだな?」
「先ほどからそう言っています!」
「ははは。そうだったな。では、俺も腹を括ることにしよう」
「どういうことです?」
オルガン様は懐から紙の束を取り出した。
一体何かしら。
「ドラムから定期的にビオラの報告を受けていたと言ったね? 実はその手紙を読む度にビオラへの興味が深まっていった」
「つまり?」
「初めの非礼は詫びよう。つまり、ビオラ。君を一人の女性として興味があるということだ」
「まぁ! じゃあ、なんで私との結婚を無かったことにするなんておっしゃったんです?」
「それは……申し訳ないと思ったからだ。君を選んだ理由も会ってからの言葉も。だが、ビオラが許してくれるなら、このまま続けてみたいと俺も思っている」
「嬉しい!」
叫びながらオルガン様に感情に抱き付いてしまった。
しまったけれど、これはどうすればいいのかしら?
オルガン様の様子は見えないけれど、抱きしめ返しても、離れるよう押し戻しもしてこない。
なんだか私からすぐ離れるのも変かしら。
あ、でも。オルガン様の身体がとても引き締まっているのは分かったわ。
なんてことを考えてるの、私ったら!
動いていいのか動かない方がいいのか分からずにしばらくオルガン様の抱き心地を堪能していたら、扉の開く音が聞こえた。
「兄上! いつまで待たせる気ですか!? ……し、失礼しました!」
「あ、いや。オリン。これは違う。いや、違わない。待て! なんだそのにやけ顔は! おい!」
頭の上から慌てた様子のオルガン様の声が聞こえてきて、なんだか楽しくなってさらにきつく抱きしめたら、残念なことに離されてしまった。
そんなオルガン様は蝋で封のされた手紙を見せてきた。
捺された印に目を見開く。
「結婚を続けると決めたからには、これを渡しておかなくてはならない」
「それは国王陛下の……? 私宛なのですか? 陛下が私ごときに書簡を……?」
「トロン陛下からビオラへの贈り物だそうだ。内容は知っているが……直接読んでみるといい」
受け取った国王陛下からの書簡を、恐る恐る封を開けて読むと、とんでもないことが書いてあった。
「オルガン様、これって!?」
「断ることは出来ないぞ。陛下直々の舞踏会への誘いだ」
77
お気に入りに追加
2,624
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
結婚しましたが、愛されていません
うみか
恋愛
愛する人との結婚は最悪な結末を迎えた。
彼は私を毎日のように侮辱し、挙句の果てには不倫をして離婚を叫ぶ。
為す術なく離婚に応じた私だが、その後国王に呼び出され……
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
「いなくても困らない」と言われたから、他国の皇帝妃になってやりました
ネコ
恋愛
「お前はいなくても困らない」。そう告げられた瞬間、私の心は凍りついた。王国一の高貴な婚約者を得たはずなのに、彼の裏切りはあまりにも身勝手だった。かくなる上は、誰もが恐れ多いと敬う帝国の皇帝のもとへ嫁ぐまで。失意の底で誓った決意が、私の運命を大きく変えていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【コミカライズ決定】契約結婚初夜に「一度しか言わないからよく聞け」と言ってきた旦那様にその後溺愛されています
氷雨そら
恋愛
義母と義妹から虐げられていたアリアーナは、平民の資産家と結婚することになる。
それは、絵に描いたような契約結婚だった。
しかし、契約書に記された内容は……。
ヒロインが成り上がりヒーローに溺愛される、契約結婚から始まる物語。
小説家になろう日間総合表紙入りの短編からの長編化作品です。
短編読了済みの方もぜひお楽しみください!
もちろんハッピーエンドはお約束です♪
小説家になろうでも投稿中です。
完結しました!! 応援ありがとうございます✨️
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
旦那様に勝手にがっかりされて隣国に追放された結果、なぜか死ぬほど溺愛されています
新野乃花(大舟)
恋愛
17歳の少女カレンは、6つほど年上であるグレムリー伯爵から婚約関係を持ち掛けられ、関係を結んでいた。しかしカレンは貴族でなく平民の生まれであったため、彼女の事を見る周囲の目は冷たく、そんな時間が繰り返されるうちに伯爵自身も彼女に冷たく当たり始める。そしてある日、ついに伯爵はカレンに対して婚約破棄を告げてしまう。カレンは屋敷からの追放を命じられ、さらにそのまま隣国へと送られることとなり、しかし伯爵に逆らうこともできず、言われた通りその姿を消すことしかできなかった…。しかし、彼女の生まれにはある秘密があり、向かった先の隣国でこの上ないほどの溺愛を受けることとなるのだった。後からその事に気づいた伯爵であったものの、もはやその時にはすべてが手遅れであり、後悔してもしきれない思いを感じさせられることとなるのであった…。
妹に婚約者を取られましたが、辺境で楽しく暮らしています
今川幸乃
ファンタジー
おいしい物が大好きのオルロンド公爵家の長女エリサは次期国王と目されているケビン王子と婚約していた。
それを羨んだ妹のシシリーは悪い噂を流してエリサとケビンの婚約を破棄させ、自分がケビンの婚約者に収まる。
そしてエリサは田舎・偏屈・頑固と恐れられる辺境伯レリクスの元に厄介払い同然で嫁に出された。
当初は見向きもされないエリサだったが、次第に料理や作物の知識で周囲を驚かせていく。
一方、ケビンは極度のナルシストで、エリサはそれを知っていたからこそシシリーにケビンを譲らなかった。ケビンと結ばれたシシリーはすぐに彼の本性を知り、後悔することになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる