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第42話【魔族という脅威】
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「うおぉぉぉぉ!!」
兵士たちの攻撃で、今日何度目か分からない戦闘の幕が閉じた。
激しい戦闘が続く中、みな活力の溢れた顔付きを保っている。
私は戦闘中にはするほどでもなかった、小さな傷の治療を始める。
いくつかに戦闘を経験した結果、致命傷や行動の制限に繋がりそうな怪我などは即座に治し、細かな治療は戦闘終了後にまとめて行うのが効率的という結論に至ったためだ。
治療を受けているインディゴが嬉しそうな顔をしながら話しかけてきた。
「それにしても、本当に聖女様が居てくれるおかげで、段違いですよ。いつもこんな感じだったら、どんなに楽か」
「そう。役に立てているなら、嬉しいわ」
私が答えると、インディゴは大袈裟な仕草をして、話を続けた。
「役に立ってるなんてもんじゃないですよ! もうさっきので七回目の戦闘をしてますが、まだ脱落者なし! こうやって毎回細かい傷まで治してもらえるから、毎回戦闘を万全の体制で行える。奇跡みたいなもんです」
「本当に。まだ誰も死者が出てなくて内心ホッとしているの」
「最初、衛生兵が同行するって話を聞いた時は、冗談じゃない! って思ったんです。自分の身体守るのにも精一杯なのに、他のやつまでなんか手を回せるかってね。それにこんな危険なところに来るのなんて、言っちゃ悪いですが、大したこともできないやつだと思ってたんで。まさか聖女様が来てくれるなんて……」
「どうせなら、初級の回復魔法だけしか使えないより、色んな魔法を使えた方がいいでしょう? それに、覚えたては、魔力の総量が少ないの。いつ休めるかも分からない戦闘に送り出すのは難しいわね」
実際、今までの戦闘で使用した回復魔法を考えれば、緑色どころか、黄色のリボンタイの衛生兵でもそろそろ難しいだろう。
怪我だけじゃなく、毒も受けたりするので、魔力以外にも使える魔法も問題になる。
「ところで、部隊長である聖女様が現場に出てくるなんて、何があったんです? こんなこと聞いていいのか分かりませんが、陣営の方の指揮は?」
「そちらは信頼出来る副隊長に任せているわ。彼女も一通りのことは既にできるようになっているし。もう一人、優秀な衛生兵もいるしね。さぁ、話が長くなってしまったわ。次の場所へ向かいましょう」
私が留守にしている間、デイジーとサルビアに陣営での治療は任せることにしている。
私が赴くと言い出した時、二人は強く反対したけれど、私はどうにか説得し、こうして現場に訪れたのだ。
「正確に現場を知らなければ、分からないことがあるからね……」
独り言を呟きながら、どうすれば衛生兵として貢献できるか、生き延びる可能性が高くなるかを考えとしてまとめていく。
私ができないことを他の衛生兵に求めるのは難しいだろうから、全ての行動や条件を様々な条件に落とし込んでいくことも忘れない。
「各小隊が連携をとりながら、どの隊にも衛生兵を置くのがいいのかしらね」
インディゴの言う通り、怪我をその場で治癒しながら戦闘できるというのは、大きな優位性を持つ。
戦闘続行の判断として、兵士たちの怪我の多寡を考慮に入れなくて済むため、物資や各人の体力、魔力だけが問題になる。
思っていた通り、傷付いた兵士を陣営での治すよりも、効率的なはずだ。
やはり問題は、衛生兵の質と数の問題と、安全を確保だろう。
「他の四人も無事だといいのだけれど」
私の他にも四名、志願してくれた衛生兵が今日の作戦に参加している。
彼女たち今回派遣したのは全員同じ中隊だ。
彼女たちの安全を祈りながら、私は前後を兵士に守られながら、次の目的地へと行進を続けた。
☆
「全員臨戦態勢!! 魔族だ!!」
しばらく歩き続けていたら、突然前衛の兵士の一人がそう叫んだ。
他の兵士はその声を聞いた瞬間、歩きやすいように収めていた各自の武器を構え、前方に意識を集中させた。
私の視線も前方に突如現れた、二足歩行の黒い影に釘付けになっていた。
それはまるで、野牛を擬人化したような見た目をしている。
頭から生えた二本のねじれたツノ、そして半裸の肉体は盛り上がった筋肉によって覆われていた。
手には大振りの曲刀を持ち、まるで、私たちがここに来ることを待ち構えていたかのように一人立ち尽くしている。
「くそっ! 識別名称【暴れ牛】だ!! 寄りにもよって!!」
インディゴが叫ぶ。
どうやら目の前の魔族は、軍の中では有名な相手らしい。
識別名称というのは、軍内で敵の個体勢力を呼称するために用いられる。
つまり、目の前の暴れ牛は、名前が付くほど戦果をあげているというわけだ。
インディゴが暴れ牛という言葉を発した瞬間、目の前の敵は、笑みを作ったように見えた。
相手が自分のことを知っていることへの喜びか、はたまた嘲りか。
そんな暴れ牛をしっかり見据えたまま、殿を務めていたインディゴは、私を庇うように少し前におどり出る。
そして、叫ぶように指示を出した。
「いいか? 俺は言ったな? 死んでも聖女様はお守りしろ!! ヤバくなったら誰でもいい! とにかく聖女様を逃がせ!!」
インディゴの言葉に兵士たちは短い返事を一斉に返した。
それが、私が初めて目の当たりにする魔族、暴れ牛との戦闘開始の合図だった。
兵士たちの攻撃で、今日何度目か分からない戦闘の幕が閉じた。
激しい戦闘が続く中、みな活力の溢れた顔付きを保っている。
私は戦闘中にはするほどでもなかった、小さな傷の治療を始める。
いくつかに戦闘を経験した結果、致命傷や行動の制限に繋がりそうな怪我などは即座に治し、細かな治療は戦闘終了後にまとめて行うのが効率的という結論に至ったためだ。
治療を受けているインディゴが嬉しそうな顔をしながら話しかけてきた。
「それにしても、本当に聖女様が居てくれるおかげで、段違いですよ。いつもこんな感じだったら、どんなに楽か」
「そう。役に立てているなら、嬉しいわ」
私が答えると、インディゴは大袈裟な仕草をして、話を続けた。
「役に立ってるなんてもんじゃないですよ! もうさっきので七回目の戦闘をしてますが、まだ脱落者なし! こうやって毎回細かい傷まで治してもらえるから、毎回戦闘を万全の体制で行える。奇跡みたいなもんです」
「本当に。まだ誰も死者が出てなくて内心ホッとしているの」
「最初、衛生兵が同行するって話を聞いた時は、冗談じゃない! って思ったんです。自分の身体守るのにも精一杯なのに、他のやつまでなんか手を回せるかってね。それにこんな危険なところに来るのなんて、言っちゃ悪いですが、大したこともできないやつだと思ってたんで。まさか聖女様が来てくれるなんて……」
「どうせなら、初級の回復魔法だけしか使えないより、色んな魔法を使えた方がいいでしょう? それに、覚えたては、魔力の総量が少ないの。いつ休めるかも分からない戦闘に送り出すのは難しいわね」
実際、今までの戦闘で使用した回復魔法を考えれば、緑色どころか、黄色のリボンタイの衛生兵でもそろそろ難しいだろう。
怪我だけじゃなく、毒も受けたりするので、魔力以外にも使える魔法も問題になる。
「ところで、部隊長である聖女様が現場に出てくるなんて、何があったんです? こんなこと聞いていいのか分かりませんが、陣営の方の指揮は?」
「そちらは信頼出来る副隊長に任せているわ。彼女も一通りのことは既にできるようになっているし。もう一人、優秀な衛生兵もいるしね。さぁ、話が長くなってしまったわ。次の場所へ向かいましょう」
私が留守にしている間、デイジーとサルビアに陣営での治療は任せることにしている。
私が赴くと言い出した時、二人は強く反対したけれど、私はどうにか説得し、こうして現場に訪れたのだ。
「正確に現場を知らなければ、分からないことがあるからね……」
独り言を呟きながら、どうすれば衛生兵として貢献できるか、生き延びる可能性が高くなるかを考えとしてまとめていく。
私ができないことを他の衛生兵に求めるのは難しいだろうから、全ての行動や条件を様々な条件に落とし込んでいくことも忘れない。
「各小隊が連携をとりながら、どの隊にも衛生兵を置くのがいいのかしらね」
インディゴの言う通り、怪我をその場で治癒しながら戦闘できるというのは、大きな優位性を持つ。
戦闘続行の判断として、兵士たちの怪我の多寡を考慮に入れなくて済むため、物資や各人の体力、魔力だけが問題になる。
思っていた通り、傷付いた兵士を陣営での治すよりも、効率的なはずだ。
やはり問題は、衛生兵の質と数の問題と、安全を確保だろう。
「他の四人も無事だといいのだけれど」
私の他にも四名、志願してくれた衛生兵が今日の作戦に参加している。
彼女たち今回派遣したのは全員同じ中隊だ。
彼女たちの安全を祈りながら、私は前後を兵士に守られながら、次の目的地へと行進を続けた。
☆
「全員臨戦態勢!! 魔族だ!!」
しばらく歩き続けていたら、突然前衛の兵士の一人がそう叫んだ。
他の兵士はその声を聞いた瞬間、歩きやすいように収めていた各自の武器を構え、前方に意識を集中させた。
私の視線も前方に突如現れた、二足歩行の黒い影に釘付けになっていた。
それはまるで、野牛を擬人化したような見た目をしている。
頭から生えた二本のねじれたツノ、そして半裸の肉体は盛り上がった筋肉によって覆われていた。
手には大振りの曲刀を持ち、まるで、私たちがここに来ることを待ち構えていたかのように一人立ち尽くしている。
「くそっ! 識別名称【暴れ牛】だ!! 寄りにもよって!!」
インディゴが叫ぶ。
どうやら目の前の魔族は、軍の中では有名な相手らしい。
識別名称というのは、軍内で敵の個体勢力を呼称するために用いられる。
つまり、目の前の暴れ牛は、名前が付くほど戦果をあげているというわけだ。
インディゴが暴れ牛という言葉を発した瞬間、目の前の敵は、笑みを作ったように見えた。
相手が自分のことを知っていることへの喜びか、はたまた嘲りか。
そんな暴れ牛をしっかり見据えたまま、殿を務めていたインディゴは、私を庇うように少し前におどり出る。
そして、叫ぶように指示を出した。
「いいか? 俺は言ったな? 死んでも聖女様はお守りしろ!! ヤバくなったら誰でもいい! とにかく聖女様を逃がせ!!」
インディゴの言葉に兵士たちは短い返事を一斉に返した。
それが、私が初めて目の当たりにする魔族、暴れ牛との戦闘開始の合図だった。
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