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番外編【内緒】
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「デイジー! デイジー⁉」
私は第二衛生兵部隊の副隊長であり、私と共に訓練兵の指導を担っているデイジーを探し、声を出しながら陣営を歩く。
普段であれば私の声が聞こえた途端、喜び勇んで駆けつけるのだが、今日に限って全く姿を現さない。
「もう! どこへ行ったって言うのよ! しかも訓練兵を全員連れてだなんて‼」
「部隊長‼ こちらに居たんですか⁉ 治療場にお戻りください‼ 布なしです‼」
赤色のリボンタイをしたサルビアがそう叫びながら、こちらに駆け寄ってきた。
衛生兵はその技能で首に巻かれているリボンタイの色が異なる。
サルビアが付けている赤は上から二番目。
私が探しているデイジーは紫色のリボンタイをしていて、一人しかいない最も技能の優れた衛生兵だ。
しかし、時折そのデイジーでも治療が困難な負傷兵が送られてくる。
そのような者はどの色の布も巻かれず治療場に運ばれる。
それを治せるのはこの部隊の部隊長である私だけだった。
私の名はフローラ、侯爵令嬢にも関わらず、魔王軍との前線に送られ負傷兵の治療にあたっている。
人によっては、私のことを『聖女』と呼ぶ。
☆
「ふぅ。これでなんとかなったわ。サルビア、よく私を見つけてくれたわね。助かったわ。ありがとう」
「いえ。間に合って良かったです」
布なしの負傷兵の治療を無事に終え、私はサルビアにお礼を言う。
いつも通りのことだが、治療場は朝から休むことなく前線で傷付いた兵士たちが治療のために送られており、好ましい言い方ではないが賑わっていた。
魔獣との戦いは昼夜問わず行われていて、必然的に衛生兵部隊も休むことなく治療が行われる。
そのため、今では衛生兵をグループに分け、それぞれ交代で任務につき、その間は別のグループは休息を取るようにしている。
以前はそのような決まりがなく、休みが不足していたりもしたが、緊急時を除き適切な休みが取れるようになった。
先ほどから探しているデイジーは現在休憩中で、どこで何をしていたとしても、通常ならば問題にはならないのだが。
だが今回は二点ほど問題が発生していた。
一つは緊急時に備えて、何処に行くにしても必ず居場所を明確にしていることが求められるが、今回私にその報告が無いのに、行方が分からないこと。
もう一つは、デイジーと一緒に今業務に携わっていない訓練兵も全員が姿をくらましているということだ。
本来は今頃回復魔法を習得するための訓練中のはずだが、普段訓練を行うために使用している部屋を覗いたが、誰もいなかった。
「そういえば、サルビア。デイジーたちを見なかった?」
「え? いえ……さぁ。知りませんよ。私は何も」
私の問いにサルビアは一瞬答えに詰まったような顔を見せた。
まるで本当は知っているのに、無理をして隠しているようにも見える。
「サルビア。何か隠しているのなら、素直に話しなさい。本当に知らないの?」
「え、えーっと……あのですねぇ。えーっと……」
「やぁ。フローラ。ここに居たか。おや? 他の者はまだ集まっていないのか? 少し早く来過ぎたか。どうも、何事もせっかちでいかんな」
「聖女様! お元気そうで何よりです‼」
突然治療場の入り口の方から聞き覚えのある声がして、私はそちらに振り返った。
するとそこには、何故か第一攻撃部隊長のダリアと、もともとここの衛兵で実力を見初められ転属したクロムが立っていた。
「まぁ、祝い事だ。遅れるよりは早い方がいいだろう。見ろ。ホロホロ鳥を持ってきた。敵としてはなかなか厄介なやつだが、食うと旨いんだ」
「ダリア部隊長。何故ここへ?」
ダリアが言うホロホロ鳥とは、クロムが重そうに抱えている魔獣のことだろう。
話の筋が見えず、私はダリアに疑問を投げかけた。
「うん? ああ、そうか。しまった。内緒にするという話だったな」
「ダリア様。もう、せっかくみんなで内緒にするために頑張っていたのに……」
何故か、サルビアがダリアに文句を言う。
内緒というのは私に対してということだろう。
私はサルビアの方を再度向き、険しい顔をして詰問した。
「サルビア。これは一体何事なの? 私に内緒であなたたちは一体何を企んでたというの⁉」
「えーっと、すいません! もうバレちゃったので説明します!」
「まぁまぁ。聖女様。そんなに怒らないでよ。可愛い顔が台無しだよ? ダリア。君も口だけは『完璧』じゃないみたいだね」
「アンバー部隊長? あなたまで! 一体何が起こるというのですか⁉」
再び別の声がして、私は再度顔の向きを変える。
そこに居たのは、以前私が配属されていた第五衛生兵部隊の当時の部隊長であり、今は第二攻撃部隊長を務めるアンバーだった。
「まぁまぁ。そろそろデイジーも準備が終わるだろうし、せっかくだからもう少し待ってあげてよ? あ、そうだ! ベリル王子から手紙と贈り物が届いているよ。後で渡すからね」
「ベリル王子から贈り物? 本当に、何が起こったのですか?」
「みなさん! もういらっしゃってたんですね! と、いうことは。もう聖女様に気付かれちゃいました?」
「デイジー! 一体何処に行っていたというの? それに、一体なんの騒ぎなの? 部隊長として命令します。今すぐ知っていることを全て話しなさい‼」
ようやくデイジーが現れた。
その後ろには姿を消していた訓練兵たちも居る。
ふと気付けば、周囲にはこの部隊の主だった者が全員集まっていた。
私はそのみんなに囲まれているような形になっている。
「聖女様。すいません。本当は驚いていただきたくて、内緒にしていたんですが。ちょっと色々と手違いが……」
「言い訳はいらないわ! さっさと説明してちょ――」
私を取り囲むように立っていた全員が腕を前に出し、手に持っていた筒を操作した。
途端に、一斉に破裂音が鳴り響いた。
「聖女様! お誕生日、おめでとうございます‼」
いきなりのことに私は驚いて固まっていると、デイジーがそう大声で言った。
それに合わせて、残りの人もそれぞれに私に向かって祝いの言葉を投げかけた。
「誕生日……? ああ、そういえば。すっかり忘れていたわ……」
「うふふ。忘れていたことを、私は知っていましたよ。だから、驚かせようとして、みんなに内緒にしてもらうよう頼んだんです!」
そこから、私が気付かない間に用意されていた、お祝いの料理が運ばれてきて、ささやかながらみんなで私の誕生日を祝った。
ただし、その間も負傷兵は運ばれてくるため、担当の者は治療と祝いの席を行ったり来たりしていた。
私も何度か治療のために席を外しながらも、思わぬ出来事に嬉しさを噛み締めていた。
「あ、そうだ。ベリル王子からの手紙と贈り物。忘れないうちに渡すね」
「ありがとう」
アンバーから手渡された手紙と小さな箱の中身を見る。
手紙には私に対する祝いの言葉と、そちらに行けないことを残念がる言葉が綴られていた。
「これは……」
箱の中身は、ペンダントだった。
先には良質な魔石が一つ付けられている。
手紙には、普段から身に付けて、いざとなれば先端の魔石を使うようにと書かれていた。
私は早速そのペンダントを首にかける。
「デイジー、そしてみんなも。ありがとう。素敵な一日になったわ」
私はお礼の言葉を言う。
その場にいるみんなはそれを聞いて笑顔を私に向けた。
前線に来てから、毎日が戦場で自分の誕生日のことなどすっかり忘れていた。
しかし、今日という誕生日は、今までの王都で過ごしたどの誕生日よりも記憶に残る一日となるだろう。
「部隊長! すいません! 来てください! 布なしです‼」
「分かったわ! 今行く‼」
私は不謹慎とは思いつつも、笑顔で治療場へと駆け出した。
☆☆☆
いつもお読みいただきありがとうございます。
この番外編は、私が誕生日の時に思いついて書き下ろしたものです。
時期が違うので今回載せるか載せないか迷ったのですが、せっかくなので載せることにしました。
時系列不明の作品としてお楽しみください。
私は第二衛生兵部隊の副隊長であり、私と共に訓練兵の指導を担っているデイジーを探し、声を出しながら陣営を歩く。
普段であれば私の声が聞こえた途端、喜び勇んで駆けつけるのだが、今日に限って全く姿を現さない。
「もう! どこへ行ったって言うのよ! しかも訓練兵を全員連れてだなんて‼」
「部隊長‼ こちらに居たんですか⁉ 治療場にお戻りください‼ 布なしです‼」
赤色のリボンタイをしたサルビアがそう叫びながら、こちらに駆け寄ってきた。
衛生兵はその技能で首に巻かれているリボンタイの色が異なる。
サルビアが付けている赤は上から二番目。
私が探しているデイジーは紫色のリボンタイをしていて、一人しかいない最も技能の優れた衛生兵だ。
しかし、時折そのデイジーでも治療が困難な負傷兵が送られてくる。
そのような者はどの色の布も巻かれず治療場に運ばれる。
それを治せるのはこの部隊の部隊長である私だけだった。
私の名はフローラ、侯爵令嬢にも関わらず、魔王軍との前線に送られ負傷兵の治療にあたっている。
人によっては、私のことを『聖女』と呼ぶ。
☆
「ふぅ。これでなんとかなったわ。サルビア、よく私を見つけてくれたわね。助かったわ。ありがとう」
「いえ。間に合って良かったです」
布なしの負傷兵の治療を無事に終え、私はサルビアにお礼を言う。
いつも通りのことだが、治療場は朝から休むことなく前線で傷付いた兵士たちが治療のために送られており、好ましい言い方ではないが賑わっていた。
魔獣との戦いは昼夜問わず行われていて、必然的に衛生兵部隊も休むことなく治療が行われる。
そのため、今では衛生兵をグループに分け、それぞれ交代で任務につき、その間は別のグループは休息を取るようにしている。
以前はそのような決まりがなく、休みが不足していたりもしたが、緊急時を除き適切な休みが取れるようになった。
先ほどから探しているデイジーは現在休憩中で、どこで何をしていたとしても、通常ならば問題にはならないのだが。
だが今回は二点ほど問題が発生していた。
一つは緊急時に備えて、何処に行くにしても必ず居場所を明確にしていることが求められるが、今回私にその報告が無いのに、行方が分からないこと。
もう一つは、デイジーと一緒に今業務に携わっていない訓練兵も全員が姿をくらましているということだ。
本来は今頃回復魔法を習得するための訓練中のはずだが、普段訓練を行うために使用している部屋を覗いたが、誰もいなかった。
「そういえば、サルビア。デイジーたちを見なかった?」
「え? いえ……さぁ。知りませんよ。私は何も」
私の問いにサルビアは一瞬答えに詰まったような顔を見せた。
まるで本当は知っているのに、無理をして隠しているようにも見える。
「サルビア。何か隠しているのなら、素直に話しなさい。本当に知らないの?」
「え、えーっと……あのですねぇ。えーっと……」
「やぁ。フローラ。ここに居たか。おや? 他の者はまだ集まっていないのか? 少し早く来過ぎたか。どうも、何事もせっかちでいかんな」
「聖女様! お元気そうで何よりです‼」
突然治療場の入り口の方から聞き覚えのある声がして、私はそちらに振り返った。
するとそこには、何故か第一攻撃部隊長のダリアと、もともとここの衛兵で実力を見初められ転属したクロムが立っていた。
「まぁ、祝い事だ。遅れるよりは早い方がいいだろう。見ろ。ホロホロ鳥を持ってきた。敵としてはなかなか厄介なやつだが、食うと旨いんだ」
「ダリア部隊長。何故ここへ?」
ダリアが言うホロホロ鳥とは、クロムが重そうに抱えている魔獣のことだろう。
話の筋が見えず、私はダリアに疑問を投げかけた。
「うん? ああ、そうか。しまった。内緒にするという話だったな」
「ダリア様。もう、せっかくみんなで内緒にするために頑張っていたのに……」
何故か、サルビアがダリアに文句を言う。
内緒というのは私に対してということだろう。
私はサルビアの方を再度向き、険しい顔をして詰問した。
「サルビア。これは一体何事なの? 私に内緒であなたたちは一体何を企んでたというの⁉」
「えーっと、すいません! もうバレちゃったので説明します!」
「まぁまぁ。聖女様。そんなに怒らないでよ。可愛い顔が台無しだよ? ダリア。君も口だけは『完璧』じゃないみたいだね」
「アンバー部隊長? あなたまで! 一体何が起こるというのですか⁉」
再び別の声がして、私は再度顔の向きを変える。
そこに居たのは、以前私が配属されていた第五衛生兵部隊の当時の部隊長であり、今は第二攻撃部隊長を務めるアンバーだった。
「まぁまぁ。そろそろデイジーも準備が終わるだろうし、せっかくだからもう少し待ってあげてよ? あ、そうだ! ベリル王子から手紙と贈り物が届いているよ。後で渡すからね」
「ベリル王子から贈り物? 本当に、何が起こったのですか?」
「みなさん! もういらっしゃってたんですね! と、いうことは。もう聖女様に気付かれちゃいました?」
「デイジー! 一体何処に行っていたというの? それに、一体なんの騒ぎなの? 部隊長として命令します。今すぐ知っていることを全て話しなさい‼」
ようやくデイジーが現れた。
その後ろには姿を消していた訓練兵たちも居る。
ふと気付けば、周囲にはこの部隊の主だった者が全員集まっていた。
私はそのみんなに囲まれているような形になっている。
「聖女様。すいません。本当は驚いていただきたくて、内緒にしていたんですが。ちょっと色々と手違いが……」
「言い訳はいらないわ! さっさと説明してちょ――」
私を取り囲むように立っていた全員が腕を前に出し、手に持っていた筒を操作した。
途端に、一斉に破裂音が鳴り響いた。
「聖女様! お誕生日、おめでとうございます‼」
いきなりのことに私は驚いて固まっていると、デイジーがそう大声で言った。
それに合わせて、残りの人もそれぞれに私に向かって祝いの言葉を投げかけた。
「誕生日……? ああ、そういえば。すっかり忘れていたわ……」
「うふふ。忘れていたことを、私は知っていましたよ。だから、驚かせようとして、みんなに内緒にしてもらうよう頼んだんです!」
そこから、私が気付かない間に用意されていた、お祝いの料理が運ばれてきて、ささやかながらみんなで私の誕生日を祝った。
ただし、その間も負傷兵は運ばれてくるため、担当の者は治療と祝いの席を行ったり来たりしていた。
私も何度か治療のために席を外しながらも、思わぬ出来事に嬉しさを噛み締めていた。
「あ、そうだ。ベリル王子からの手紙と贈り物。忘れないうちに渡すね」
「ありがとう」
アンバーから手渡された手紙と小さな箱の中身を見る。
手紙には私に対する祝いの言葉と、そちらに行けないことを残念がる言葉が綴られていた。
「これは……」
箱の中身は、ペンダントだった。
先には良質な魔石が一つ付けられている。
手紙には、普段から身に付けて、いざとなれば先端の魔石を使うようにと書かれていた。
私は早速そのペンダントを首にかける。
「デイジー、そしてみんなも。ありがとう。素敵な一日になったわ」
私はお礼の言葉を言う。
その場にいるみんなはそれを聞いて笑顔を私に向けた。
前線に来てから、毎日が戦場で自分の誕生日のことなどすっかり忘れていた。
しかし、今日という誕生日は、今までの王都で過ごしたどの誕生日よりも記憶に残る一日となるだろう。
「部隊長! すいません! 来てください! 布なしです‼」
「分かったわ! 今行く‼」
私は不謹慎とは思いつつも、笑顔で治療場へと駆け出した。
☆☆☆
いつもお読みいただきありがとうございます。
この番外編は、私が誕生日の時に思いついて書き下ろしたものです。
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