3 / 64
第3話【誘い】
しおりを挟む
私が目を覚ますと、そこは陣営の休息所だった。
一応他の人々と別室を用意してもらってはいるものの、汚れたこの姿で運び入れていいのか悩んでここに運んだと、始めに助けた青年兵士が言った。
「確か……クロムだったわね。ありがとう。起きるまで私をずっと見ていたの?」
「名前を覚えていただき光栄です‼ 聖女様。魔王討伐軍第三攻撃部隊所属のクロムと申します! 失礼ながら、そうであります‼」
「そう……そんなに畏まらなくてもいいのよ。それと、その『聖女』というのはどうにかならないかしら」
「お気に召しませんか? 貴女のことは奇跡を起こした聖女様とみんな呼んでいますが……」
みながそう呼んでいるのなら今から止めるのも無理があるだろう。
まぁ呼び方などより実態が大事なのだから問題とするほどでもない。
「いえ、いいわ。私のことは好きに呼んでちょうだい。それで、どのくらい私は寝てたのかしら?」
「ちょうど半日、つまり十時間ほど寝てらっしゃいました」
一日が二十時間、あの時既に日をまたいでいたから、今は正午過ぎということだろう。
いくら魔力を使い切ったからといって、少し寝すぎてしまったようだ。
「ありがとう。それにしても……さすがに臭うわね。水浴びをして着替えたいのだけれど、場所を知っているかしら?」
「分かりました! 今聞いてきます‼」
そう言うとクロムは私の役に立つのが嬉しいのか、喜び勇んで駆け出していった。
その後陣営の一角で水を使い臭いと汚れを洗い流し、新しい服へと着替える。
「あら? まだ居たのね。クロムも少し休んで、本隊に戻ったら?」
「いえ。実は……恥ずかしながら自分は既に部隊から除名扱いされていたようで……」
そう言いながらクロムは右手の人差し指で頬をかく。
どうやら水浴びをしている間にそのことを知ったらしい。
「まぁ! 何故? あなたはまだ生きているのに」
「まさかあの状態で助かるなどと、誰も思っていなかったようです。自分ですらそう思っていますから。仕方ありません」
部隊は除名されたけれど、本人たっての希望で、ここ第五衛生兵部隊の守衛兵として任を受けることにしたらしい。
戦場から少し離れたこの陣営でも、はぐれの魔獣などが現れるため、それを討伐する者が何人かは必要なのだ。
「せっかく助かった命だし、除名されたのなら軍役は終わるのでしょう? 故郷に戻っても良かったんじゃない?」
「いえ! 自分は、聖女様に救っていただいたこの命、聖女様をお守りするために使うと決めましたから‼」
どうやらこれ以上何を言っても仕方がないようだ。
いずれにしろ軍官に昇進しなければ、長くても数年で軍役は終えるのだ。
それまでは彼の好きなようにさせてあげるのが、彼のためだろう。
もしまた傷つくことがあっても、死んでなければ助けてあげられるかもしれない。
「分かったわ。ありがとう。でも、無理をしないでね。死んでしまっては、私も助けられないから」
「分かりました‼ 肝に銘じます‼」
「それはそうと、今、治療場はどうなっているの?」
「聖女様が眠りに就かれてからも、何人かは重篤な兵が運ばれてきましたが、みなで力を合わせて無事回復しています。今は命に別状がある者は居ないかと」
私はそれを聞いて安心した。
寝ている間に誰か死んでしまったというのでは、さすがに寝覚めが悪い。
不可抗力はあるとはいえ、私が寝すぎていたのは確かだ。
おそらく初めての戦場の雰囲気に、死と隣合わせの現実に、気付かぬうちに緊張していたのだろう。
私はクロムに治療場に向かうと伝え、その場を後にした。
クロムは名残惜しそうな顔をしていたが、本来の業務である陣営周辺の警備にあたると言い私とは別の方へ去っていく。
治療場に足を踏み入れた私は、その場の雰囲気が昨日と打って変わっていたことに驚きを隠せなかった。
昨日見たここに居る人たちは、負傷兵もその治癒に当たる人々も悲壮と諦めに満ちていた。
しかし、今は希望とやる気が見える。
兵士たちは怪我を治し生きる気力を、治す側は死んでいなければ治すのだという自信を持ち始めたようだ。
「あ! 聖女様‼ みんな! 聖女様がお越しになられた!」
「聖女様! この兵はデススコーピオの毒にやられているのです。どうか解毒をお願いします! 私たちに解毒の魔法を使える者がいなくて……」
私は指さされた兵に目を向ける。
確かに腕が青紫色に腫れ上がり、そこから手先と肩に向けて毒が回っているのが分かった。
「分かったわ。ところで、そんなに畏まらなくても……いえ、いいわ。好きにしてちょうだい。さて、と。今治すわね」
私は毒を受けた兵に近寄ると、解毒の魔法を唱え始める。
一言で解毒といっても、簡単な毒しか治すことのできない初級から、大抵の毒を治すことができる上級までいくつか種類がある。
デススコーピオの毒を治すのには中級以上の解毒の魔法が必要だ。
そこで私は中級の魔法を使い解毒を完了させた。
「おお! さすがです! デススコーピオの毒をいとも簡単に‼」
「ありがたい。俺たちには聖女様がついている‼ こんな怪我なんかに負けずに魔王をぶっ飛ばしてやる‼」
「他に解毒が必要な人はいるかしら?」
「いえ、昨日あらかた治していただいたので、今居るのは毒も呪いも無い者ばかりです」
どうやら少し時間をとることができそうだ。
そこで私は昨日回復魔法を唱えることができないと言っていた人たちに声をかける。
「あなたたち。回復魔法を覚える気はないかしら?」
一応他の人々と別室を用意してもらってはいるものの、汚れたこの姿で運び入れていいのか悩んでここに運んだと、始めに助けた青年兵士が言った。
「確か……クロムだったわね。ありがとう。起きるまで私をずっと見ていたの?」
「名前を覚えていただき光栄です‼ 聖女様。魔王討伐軍第三攻撃部隊所属のクロムと申します! 失礼ながら、そうであります‼」
「そう……そんなに畏まらなくてもいいのよ。それと、その『聖女』というのはどうにかならないかしら」
「お気に召しませんか? 貴女のことは奇跡を起こした聖女様とみんな呼んでいますが……」
みながそう呼んでいるのなら今から止めるのも無理があるだろう。
まぁ呼び方などより実態が大事なのだから問題とするほどでもない。
「いえ、いいわ。私のことは好きに呼んでちょうだい。それで、どのくらい私は寝てたのかしら?」
「ちょうど半日、つまり十時間ほど寝てらっしゃいました」
一日が二十時間、あの時既に日をまたいでいたから、今は正午過ぎということだろう。
いくら魔力を使い切ったからといって、少し寝すぎてしまったようだ。
「ありがとう。それにしても……さすがに臭うわね。水浴びをして着替えたいのだけれど、場所を知っているかしら?」
「分かりました! 今聞いてきます‼」
そう言うとクロムは私の役に立つのが嬉しいのか、喜び勇んで駆け出していった。
その後陣営の一角で水を使い臭いと汚れを洗い流し、新しい服へと着替える。
「あら? まだ居たのね。クロムも少し休んで、本隊に戻ったら?」
「いえ。実は……恥ずかしながら自分は既に部隊から除名扱いされていたようで……」
そう言いながらクロムは右手の人差し指で頬をかく。
どうやら水浴びをしている間にそのことを知ったらしい。
「まぁ! 何故? あなたはまだ生きているのに」
「まさかあの状態で助かるなどと、誰も思っていなかったようです。自分ですらそう思っていますから。仕方ありません」
部隊は除名されたけれど、本人たっての希望で、ここ第五衛生兵部隊の守衛兵として任を受けることにしたらしい。
戦場から少し離れたこの陣営でも、はぐれの魔獣などが現れるため、それを討伐する者が何人かは必要なのだ。
「せっかく助かった命だし、除名されたのなら軍役は終わるのでしょう? 故郷に戻っても良かったんじゃない?」
「いえ! 自分は、聖女様に救っていただいたこの命、聖女様をお守りするために使うと決めましたから‼」
どうやらこれ以上何を言っても仕方がないようだ。
いずれにしろ軍官に昇進しなければ、長くても数年で軍役は終えるのだ。
それまでは彼の好きなようにさせてあげるのが、彼のためだろう。
もしまた傷つくことがあっても、死んでなければ助けてあげられるかもしれない。
「分かったわ。ありがとう。でも、無理をしないでね。死んでしまっては、私も助けられないから」
「分かりました‼ 肝に銘じます‼」
「それはそうと、今、治療場はどうなっているの?」
「聖女様が眠りに就かれてからも、何人かは重篤な兵が運ばれてきましたが、みなで力を合わせて無事回復しています。今は命に別状がある者は居ないかと」
私はそれを聞いて安心した。
寝ている間に誰か死んでしまったというのでは、さすがに寝覚めが悪い。
不可抗力はあるとはいえ、私が寝すぎていたのは確かだ。
おそらく初めての戦場の雰囲気に、死と隣合わせの現実に、気付かぬうちに緊張していたのだろう。
私はクロムに治療場に向かうと伝え、その場を後にした。
クロムは名残惜しそうな顔をしていたが、本来の業務である陣営周辺の警備にあたると言い私とは別の方へ去っていく。
治療場に足を踏み入れた私は、その場の雰囲気が昨日と打って変わっていたことに驚きを隠せなかった。
昨日見たここに居る人たちは、負傷兵もその治癒に当たる人々も悲壮と諦めに満ちていた。
しかし、今は希望とやる気が見える。
兵士たちは怪我を治し生きる気力を、治す側は死んでいなければ治すのだという自信を持ち始めたようだ。
「あ! 聖女様‼ みんな! 聖女様がお越しになられた!」
「聖女様! この兵はデススコーピオの毒にやられているのです。どうか解毒をお願いします! 私たちに解毒の魔法を使える者がいなくて……」
私は指さされた兵に目を向ける。
確かに腕が青紫色に腫れ上がり、そこから手先と肩に向けて毒が回っているのが分かった。
「分かったわ。ところで、そんなに畏まらなくても……いえ、いいわ。好きにしてちょうだい。さて、と。今治すわね」
私は毒を受けた兵に近寄ると、解毒の魔法を唱え始める。
一言で解毒といっても、簡単な毒しか治すことのできない初級から、大抵の毒を治すことができる上級までいくつか種類がある。
デススコーピオの毒を治すのには中級以上の解毒の魔法が必要だ。
そこで私は中級の魔法を使い解毒を完了させた。
「おお! さすがです! デススコーピオの毒をいとも簡単に‼」
「ありがたい。俺たちには聖女様がついている‼ こんな怪我なんかに負けずに魔王をぶっ飛ばしてやる‼」
「他に解毒が必要な人はいるかしら?」
「いえ、昨日あらかた治していただいたので、今居るのは毒も呪いも無い者ばかりです」
どうやら少し時間をとることができそうだ。
そこで私は昨日回復魔法を唱えることができないと言っていた人たちに声をかける。
「あなたたち。回復魔法を覚える気はないかしら?」
5
お気に入りに追加
3,343
あなたにおすすめの小説
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
《完結》国を追放された【聖女】は、隣国で天才【錬金術師】として暮らしていくようです
黄舞
恋愛
精霊に愛された少女は聖女として崇められる。私の住む国で古くからある習わしだ。
驚いたことに私も聖女だと、村の皆の期待を背に王都マーベラに迎えられた。
それなのに……。
「この者が聖女なはずはない! 穢らわしい!」
私よりも何年も前から聖女として称えられているローザ様の一言で、私は国を追放されることになってしまった。
「もし良かったら同行してくれないか?」
隣国に向かう途中で命を救ったやり手の商人アベルに色々と助けてもらうことに。
その隣国では精霊の力を利用する技術を使う者は【錬金術師】と呼ばれていて……。
第五元素エーテルの精霊に愛された私は、生まれた国を追放されたけれど、隣国で天才錬金術師として暮らしていくようです!!
この物語は、国を追放された聖女と、助けたやり手商人との恋愛話です。
追放ものなので、最初の方で3話毎にざまぁ描写があります。
薬の効果を示すためにたまに人が怪我をしますがグロ描写はありません。
作者が化学好きなので、少し趣味が出ますがファンタジー風味を壊すことは無いように気を使っています。
他サイトでも投稿しています。
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
魔力無しの聖女に何の御用ですか?〜義妹達に国を追い出されて婚約者にも見捨てられる戻ってこい?自由気ままな生活が気に入ったので断固拒否します〜
まつおいおり
恋愛
毎日毎日、国のトラブル解決に追われるミレイ・ノーザン、水の魔法を失敗して道を浸水させてしまったのを何とかして欲しいとか、火の魔道具が暴走して火事を消火してほしいとか、このガルシア国はほぼ全ての事柄に魔法や魔道具を使っている、そっちの方が効率的だからだ、しかしだからこそそういった魔力の揉め事が後を絶たない………彼女は八光聖女の一人、退魔の剣の振るい手、この剣はあらゆる魔力を吸収し、霧散させる、………なので義妹達にあらゆる国の魔力トラブル処理を任せられていた、ある日、彼女は八光聖女をクビにされ、さらに婚約者も取られ、トドメに国外追放………あてもなく彷徨う、ひょんなことからハルバートという男に助けられ、何でも屋『ブレーメンズ』に所属、舞い込む依頼、忙しくもやり甲斐のある日々………一方、義妹達はガルシア国の魔力トラブルを処理が上手く出来ず、今更私を連れ戻そうとするが、はいそうですかと聞くわけがない。
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
眠り姫な私は王女の地位を剥奪されました。実は眠りながらこの国を護っていたのですけれどね
たつき
ファンタジー
「おまえは王族に相応しくない!今日限りで追放する!」
「お父様!何故ですの!」
「分かり切ってるだろ!おまえがいつも寝ているからだ!」
「お兄様!それは!」
「もういい!今すぐ出て行け!王族の権威を傷つけるな!」
こうして私は王女の身分を剥奪されました。
眠りの世界でこの国を魔物とかから護っていただけですのに。
秘密の多い令嬢は幸せになりたい
完菜
恋愛
前髪で瞳を隠して暮らす少女は、子爵家の長女でキャスティナ・クラーク・エジャートンと言う。少女の実の母は、7歳の時に亡くなり、父親が再婚すると生活が一変する。義母に存在を否定され貴族令嬢としての生活をさせてもらえない。そんなある日、ある夜会で素敵な出逢いを果たす。そこで出会った侯爵家の子息に、新しい生活を与えられる。新しい生活で出会った人々に導かれながら、努力と前向きな性格で、自分の居場所を作り上げて行く。そして、少女には秘密がある。幻の魔法と呼ばれる、癒し系魔法が使えるのだ。その魔法を使ってしまう事で、国を揺るがす事件に巻き込まれて行く。
完結が確定しています。全105話。
魔力ゼロと判明した途端、婚約破棄されて両親から勘当を言い渡されました。でも実は世界最高レベルの魔力総量だったみたいです
ひじり
恋愛
生まれつき、ノアは魔力がゼロだった。
侯爵位を授かるアルゴール家の長女として厳しく育てられてきた。
アルゴールの血筋の者は、誰もが高い魔力量を持っていたが、何故かノアだけは歳を重ねても魔力量がゼロから増えることは無く、故にノアの両親はそれをひた隠しにしてきた。
同じく侯爵位のホルストン家の嫡男モルドアとの婚約が決まるが、両親から魔力ゼロのことは絶対に伏せておくように命じられた。
しかし婚約相手に嘘を吐くことが出来なかったノアは、自分の魔力量がゼロであることをモルドアに打ち明け、受け入れてもらおうと考えた。
だが、秘密を打ち明けた途端、モルドアは冷酷に言い捨てる。
「悪いけど、きみとの婚約は破棄させてもらう」
元々、これは政略的な婚約であった。
アルゴール家は、王家との繋がりを持つホルストン家との関係を強固とする為に。
逆にホルストン家は、高い魔力を持つアルゴール家の血を欲し、地位を盤石のものとする為に。
だからこれは当然の結果だ。魔力がゼロのノアには、何の価値もない。
婚約を破棄されたことを両親に伝えると、モルドアの時と同じように冷たい視線をぶつけられ、一言。
「失せろ、この出来損ないが」
両親から勘当を言い渡されたノアだが、己の境遇に悲観はしなかった。
魔力ゼロのノアが両親にも秘密にしていた将来の夢、それは賢者になることだった。
政略結婚の呪縛から解き放たれたことに感謝し、ノアは単身、王都へと乗り込むことに。
だが、冒険者になってからも差別が続く。
魔力ゼロと知れると、誰もパーティーに入れてはくれない。ようやく入れてもらえたパーティーでは、荷物持ちとしてこき使われる始末だ。
そして冒険者になってから僅か半年、ノアはクビを宣告される。
心を折られて涙を流すノアのもとに、冒険者登録を終えたばかりのロイルが手を差し伸べ、仲間になってほしいと告げられる。
ロイルの話によると、ノアは魔力がゼロなのではなく、眠っているだけらしい。
魔力に触れることが出来るロイルの力で、ノアは自分の体の奥底に眠っていた魔力を呼び覚ます。
その日、ノアは初めて魔法を使うことが出来た。しかもその威力は通常の比ではない。
何故ならば、ノアの体に眠っている魔力の総量は、世界最高レベルのものだったから。
これは、魔力ゼロの出来損ないと呼ばれた女賢者ノアと、元王族の魔眼使いロイルが紡ぐ、少し過激な恋物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる