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第一章【魔力ゼロの天才、転生する】
第七話【平民の編入生と記憶喪失の転生者】
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「えー‼ それじゃあフィリオ君は少し前までの記憶をぜーんぶ忘れっちゃたの⁉」
朝の授業が終わり、昼食を食べる時間。
アムレットに押し切られる形で、俺は二人でマグナレア学園の中にある食堂で向かい合う形で無料で提供された昼食をつついていた。
食事が無料ということを知らなかったアムレットは、配膳された料理を前にして興奮していたが、話題が俺の記憶に移った途端、それ以上に驚いた表情で身体を前に乗り出してきた。
「ああ。本当に何も」
「そうなんだねぇ……あ! じゃあ、学園のこととか魔法のこととかいろいろ教えてもらおうと思ったけどダメなのかぁ」
乗り出した身体をすとんと椅子に下ろし、アムレットは残念そうな顔をする。
まだ半日しか彼女に接していないが、感情を表に出すことを少しもいとわないようで、ころころと表情を変える。
見ていて飽きないが、アムレットのためにも、きちんと彼女の求める知識を持つ友人を作ることを勧めるのが得策だろう。
俺とは違い、この人懐っこそうな性格は、他の友人を作ること自体難しくないだろうし。
「ということで、残念ながら俺にはこの学園のことを教えるのは無理だ。悪いが他のやつを頼ってくれ」
「うーん。それがねぇ。実を言うと、私ちょーっと他の人から避けられてるかなーって。こうやってきちんと話をできたのもフィリオ君が初めてだよ!」
「うん? それはどういうことだ? アムレットのその性格だったら、好かれはしても、嫌われることはそんなにないと思うけどな」
「えへへ。嬉しいこと言ってくれるねぇ! フィリオ君。でもほんとなんだよ。朝だって、一番最初に教室について隣に座った人に話しかけようと思ってたんだけどね?」
そこでアムレットは口をへの字に結んで、下唇のくぼみに人差し指を当てる仕草をした。
「ところが、だーれも私の近くに座ってくれないんだよ。あ! さすがに人が増えてきたら席も減ってくるからフィリオ君の前に何人か座った人が居たんだけど」
「居たんだけど?」
「フィリオ君みたいに近寄って話しかけたら、みんな席を離れて別のところに行っちゃったんだぁ。さすがの私もここまで上手くいかないとへこむよねぇ」
アムレットは今度はだらしなく両腕を真下にぶら下げ、首を前にもたげる。
なるほど、表情じゃなく、行動も感情をめいっぱいに表現するのか。
「でも大丈夫! 私にはフィリオ君という友達第一号ができたからね! 学園のことを教えてもらえなくても、一緒に学ぶ級友だし! これからもよろしく‼」
「あ、ああ。こちらこそ」
力強く差し出された右手を、勢いに押されて軽く握り返す。
人と手を握るのなど、いつぶりだろうか。
アムレットの手は柔らかく、そして暖かかった。
「おい! 見ろよ! 青虫と例の女だぞ。まぁお似合いってやつだな! できれば二人とも早々にこの学園から去ってもらいたいもんだが」
明らかに俺たちに向けて放たれた声に、俺は目を向ける。
すでに声色からわかっていたが、やはりリチャードのようだ。
午前中の授業には姿を見せなかったが、無事に苦手だという高い木の上からは降りられたみたいだな。
朝と服装が変わっているが、まぁ、こいつの名誉のためにあえて突っ込むのはやめておこう。
そもそも名誉などあるのか知らないが。
意識がリチャードの服装の変化に向かっていると、朝と同じリチャードの連れ二人がそれぞれ口を開き、リチャードの言葉を肯定する。
「ええ。リチャード様の言う通りですよ! 淡爵とはいえ、ろくな魔法を使えないこいつや、いくら魔力量が多いと診断されたからと言って、平民がこの誉れ高い学園に通うなんて間違っています!」
「まったく、いくら制度があるとはいえ、恥ずかしくないのですかね? 平民が貴族の養子になるなど」
二人の言葉に、俺は少しの驚きを覚えた。
俺がリチャードたちからアムレットへと視線を移すと、彼女は沈んだ表情で俯いていた。
朝の授業が終わり、昼食を食べる時間。
アムレットに押し切られる形で、俺は二人でマグナレア学園の中にある食堂で向かい合う形で無料で提供された昼食をつついていた。
食事が無料ということを知らなかったアムレットは、配膳された料理を前にして興奮していたが、話題が俺の記憶に移った途端、それ以上に驚いた表情で身体を前に乗り出してきた。
「ああ。本当に何も」
「そうなんだねぇ……あ! じゃあ、学園のこととか魔法のこととかいろいろ教えてもらおうと思ったけどダメなのかぁ」
乗り出した身体をすとんと椅子に下ろし、アムレットは残念そうな顔をする。
まだ半日しか彼女に接していないが、感情を表に出すことを少しもいとわないようで、ころころと表情を変える。
見ていて飽きないが、アムレットのためにも、きちんと彼女の求める知識を持つ友人を作ることを勧めるのが得策だろう。
俺とは違い、この人懐っこそうな性格は、他の友人を作ること自体難しくないだろうし。
「ということで、残念ながら俺にはこの学園のことを教えるのは無理だ。悪いが他のやつを頼ってくれ」
「うーん。それがねぇ。実を言うと、私ちょーっと他の人から避けられてるかなーって。こうやってきちんと話をできたのもフィリオ君が初めてだよ!」
「うん? それはどういうことだ? アムレットのその性格だったら、好かれはしても、嫌われることはそんなにないと思うけどな」
「えへへ。嬉しいこと言ってくれるねぇ! フィリオ君。でもほんとなんだよ。朝だって、一番最初に教室について隣に座った人に話しかけようと思ってたんだけどね?」
そこでアムレットは口をへの字に結んで、下唇のくぼみに人差し指を当てる仕草をした。
「ところが、だーれも私の近くに座ってくれないんだよ。あ! さすがに人が増えてきたら席も減ってくるからフィリオ君の前に何人か座った人が居たんだけど」
「居たんだけど?」
「フィリオ君みたいに近寄って話しかけたら、みんな席を離れて別のところに行っちゃったんだぁ。さすがの私もここまで上手くいかないとへこむよねぇ」
アムレットは今度はだらしなく両腕を真下にぶら下げ、首を前にもたげる。
なるほど、表情じゃなく、行動も感情をめいっぱいに表現するのか。
「でも大丈夫! 私にはフィリオ君という友達第一号ができたからね! 学園のことを教えてもらえなくても、一緒に学ぶ級友だし! これからもよろしく‼」
「あ、ああ。こちらこそ」
力強く差し出された右手を、勢いに押されて軽く握り返す。
人と手を握るのなど、いつぶりだろうか。
アムレットの手は柔らかく、そして暖かかった。
「おい! 見ろよ! 青虫と例の女だぞ。まぁお似合いってやつだな! できれば二人とも早々にこの学園から去ってもらいたいもんだが」
明らかに俺たちに向けて放たれた声に、俺は目を向ける。
すでに声色からわかっていたが、やはりリチャードのようだ。
午前中の授業には姿を見せなかったが、無事に苦手だという高い木の上からは降りられたみたいだな。
朝と服装が変わっているが、まぁ、こいつの名誉のためにあえて突っ込むのはやめておこう。
そもそも名誉などあるのか知らないが。
意識がリチャードの服装の変化に向かっていると、朝と同じリチャードの連れ二人がそれぞれ口を開き、リチャードの言葉を肯定する。
「ええ。リチャード様の言う通りですよ! 淡爵とはいえ、ろくな魔法を使えないこいつや、いくら魔力量が多いと診断されたからと言って、平民がこの誉れ高い学園に通うなんて間違っています!」
「まったく、いくら制度があるとはいえ、恥ずかしくないのですかね? 平民が貴族の養子になるなど」
二人の言葉に、俺は少しの驚きを覚えた。
俺がリチャードたちからアムレットへと視線を移すと、彼女は沈んだ表情で俯いていた。
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思いついたネタを勢いで書いたので投稿しましたヾ(●´∇`●)ノ
『双子の侯爵令嬢の見習い執事は王太子』
評判が真逆な双子の姉妹のどちらかを婚約者に選ばなければいけなくなった王太子が侯爵家に身分を隠して執事として潜入するという異世界恋愛です。
タイトルから作品に飛べます。
よろしければこちらも読んでもらえると嬉しいです。
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