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第一章【魔力ゼロの天才、転生する】
第一話【魔力ゼロの天才】
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物心ついた時から魔法に惹かれていた。
周りからは絶対に無理だと言われ続けたけれど、一生をかけて魔法について研究をし続けた。
魔法とは何か?
魔法がどうやって生成されるか?
どの時代の誰よりも魔法に関して詳しくなった自負がある。
だが……
「本当にあいつはせっかくの長寿を無駄に過ごしたもんだな……魔力がゼロのあいつが魔法を使えるがわけないのに」
「まったくだ。いくら研究しようが、どれだけ詳しくなろうが、魔法の源の魔力がなけりゃ扱えるわけもないのにな」
齢百歳を経て老衰により死んだ俺、その遺体を処理しながら、俺の歩んだ人生をあざ笑う男たち。
そんな彼らを、俺は見下ろしていた。
身体が丈夫以外の取り柄がなかった俺にも、寿命が来たらしい。
惜しむらくは生活に必要な時間以外の全てをただ一つ、自身で魔法を使うということだけに費やしてきたが、ついに実現できなかったことだ。
「しかし……」
すでに俺の遺体がなくなり住む者がいなくなったあばら家で、魂だけの存在となった俺は一人呟く。
「てっきり、人は死ねば無になると思っていたが、こうして今も意識も知識も持っているということは、まだ諦めるには早いということだな」
実体を失った俺はまるで魔法を使うように自由に空を飛び、壁を通り抜けることができた。
身体は思い通りに動き、特に腹なども減らないようだ。
俺自身が魔法を使えるようになったわけではないが、しばらくの間、俺はそれを楽しみ、今まで行ったことのない国、見たことのない人々の生活を見て回る。
そして知ったことは、生前の俺が思っていたよりもはるかに世界は広く、魔法は深淵だということだった。
「この国の魔法体系は俺が知っているどんなものとも違う! ああ! 道具に魔法の力を付与する技法があるなんて! 知りたい! そして、叶うことならばこの手で使ってみたい‼」
死んでからどれほどの年月が経ったかとうに忘れてしまったが、俺の魔法への執着は衰えるどころか増すばかりだった。
英雄と呼ばれる男たちと魔族たちとの壮絶な魔法の応酬も、大賢者と謳われた者の地形を変えるほど大魔法もこの目に焼き付けた。
知識はますます増える一方だが、肝心の魔法を扱うための身体が俺にはない。
やがて世界を飛び回ることにも飽き、俺はただ空中を漂い、頭の中で生前と同じように魔法に関する理論を展開するだけの時間が過ぎていった。
そんなある日。
「よし。この理論を使えば、従来よりも魔法効率が格段に向上するはずだ。間違いない! とは思うものの……いくら頭で考えてみても、実際に扱ってみないと実証できないからな。あー! どっかに落ちてないか! 魔力豊富な実体‼」
俺としては珍しく弱音を吐いていた時だ。
突然俺の身体が引き寄せられるような感触があった。
「うん? なんだ? 今までこんなの感じたことなかったはずだけどな。向こうに何かあるのか?」
興味本位で俺は気配を感じる方角へ飛んでいく。
元居た場所よりもかなり距離があるようだ。
しかし、俺のことを呼ぶような気配は近づくに応じて強くなっていった。
長年この魂という便利な体で飛び回っていたおかげで、今の俺の移動速度は世界最速を誇るといわれる飛竜を優に超える。
物理的に俺を遮るものがないこともあり、瞬く間に俺は気配の元へたどり着いた。
「ここだな……。どうやら貴族の家のようだが」
『お願いです……どうか……どうか……』
家の前にたどり着いた俺の頭に、直接声が聞こえてきた。
どういう仕組みかは知らないが、魂となった俺にも生前と同じように目は見えるし耳は聞こえた。
しかし、頭に直接頭に聞こえてくることは初めてだった。
「お前は誰だ? 何故俺を呼んだ?」
俺は聞こえた声に応じるように頭の中で念じてみたが、返事はない。
仕方がないので、俺は比較的豪華な建物の中へと壁をすり抜け入っていくことにした。
目的の場所は二階の角にある一室。
品の良い調度品が必要最低限置かれたその部屋の、ベッドの上に俺を呼んだ少年はいた。
永遠の眠りについた姿で。
周りからは絶対に無理だと言われ続けたけれど、一生をかけて魔法について研究をし続けた。
魔法とは何か?
魔法がどうやって生成されるか?
どの時代の誰よりも魔法に関して詳しくなった自負がある。
だが……
「本当にあいつはせっかくの長寿を無駄に過ごしたもんだな……魔力がゼロのあいつが魔法を使えるがわけないのに」
「まったくだ。いくら研究しようが、どれだけ詳しくなろうが、魔法の源の魔力がなけりゃ扱えるわけもないのにな」
齢百歳を経て老衰により死んだ俺、その遺体を処理しながら、俺の歩んだ人生をあざ笑う男たち。
そんな彼らを、俺は見下ろしていた。
身体が丈夫以外の取り柄がなかった俺にも、寿命が来たらしい。
惜しむらくは生活に必要な時間以外の全てをただ一つ、自身で魔法を使うということだけに費やしてきたが、ついに実現できなかったことだ。
「しかし……」
すでに俺の遺体がなくなり住む者がいなくなったあばら家で、魂だけの存在となった俺は一人呟く。
「てっきり、人は死ねば無になると思っていたが、こうして今も意識も知識も持っているということは、まだ諦めるには早いということだな」
実体を失った俺はまるで魔法を使うように自由に空を飛び、壁を通り抜けることができた。
身体は思い通りに動き、特に腹なども減らないようだ。
俺自身が魔法を使えるようになったわけではないが、しばらくの間、俺はそれを楽しみ、今まで行ったことのない国、見たことのない人々の生活を見て回る。
そして知ったことは、生前の俺が思っていたよりもはるかに世界は広く、魔法は深淵だということだった。
「この国の魔法体系は俺が知っているどんなものとも違う! ああ! 道具に魔法の力を付与する技法があるなんて! 知りたい! そして、叶うことならばこの手で使ってみたい‼」
死んでからどれほどの年月が経ったかとうに忘れてしまったが、俺の魔法への執着は衰えるどころか増すばかりだった。
英雄と呼ばれる男たちと魔族たちとの壮絶な魔法の応酬も、大賢者と謳われた者の地形を変えるほど大魔法もこの目に焼き付けた。
知識はますます増える一方だが、肝心の魔法を扱うための身体が俺にはない。
やがて世界を飛び回ることにも飽き、俺はただ空中を漂い、頭の中で生前と同じように魔法に関する理論を展開するだけの時間が過ぎていった。
そんなある日。
「よし。この理論を使えば、従来よりも魔法効率が格段に向上するはずだ。間違いない! とは思うものの……いくら頭で考えてみても、実際に扱ってみないと実証できないからな。あー! どっかに落ちてないか! 魔力豊富な実体‼」
俺としては珍しく弱音を吐いていた時だ。
突然俺の身体が引き寄せられるような感触があった。
「うん? なんだ? 今までこんなの感じたことなかったはずだけどな。向こうに何かあるのか?」
興味本位で俺は気配を感じる方角へ飛んでいく。
元居た場所よりもかなり距離があるようだ。
しかし、俺のことを呼ぶような気配は近づくに応じて強くなっていった。
長年この魂という便利な体で飛び回っていたおかげで、今の俺の移動速度は世界最速を誇るといわれる飛竜を優に超える。
物理的に俺を遮るものがないこともあり、瞬く間に俺は気配の元へたどり着いた。
「ここだな……。どうやら貴族の家のようだが」
『お願いです……どうか……どうか……』
家の前にたどり着いた俺の頭に、直接声が聞こえてきた。
どういう仕組みかは知らないが、魂となった俺にも生前と同じように目は見えるし耳は聞こえた。
しかし、頭に直接頭に聞こえてくることは初めてだった。
「お前は誰だ? 何故俺を呼んだ?」
俺は聞こえた声に応じるように頭の中で念じてみたが、返事はない。
仕方がないので、俺は比較的豪華な建物の中へと壁をすり抜け入っていくことにした。
目的の場所は二階の角にある一室。
品の良い調度品が必要最低限置かれたその部屋の、ベッドの上に俺を呼んだ少年はいた。
永遠の眠りについた姿で。
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思いついたネタを勢いで書いたので投稿しましたヾ(●´∇`●)ノ
『双子の侯爵令嬢の見習い執事は王太子』
評判が真逆な双子の姉妹のどちらかを婚約者に選ばなければいけなくなった王太子が侯爵家に身分を隠して執事として潜入するという異世界恋愛です。
タイトルから作品に飛べます。
よろしければこちらも読んでもらえると嬉しいです。
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