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8章 魔人国編
97話 絶対絶命とはこの事か、です
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――*――
賢音が魔神に魔法を放った後。(美砂視点継続)
「それぞれチームでの戦いはオサムに鍛えられただろう?人族チームは向かって左、魔人族チームは向かって右から攻めようか、私は正面に居て両方をフォローしよう」
賢音ちゃんの指示で全員が動く。
このメンバーで相手がオサム君でも劣勢だったんだ、賢音ちゃんが入ったとはいえ、魔神相手にどうだろうか。
僕とエリーズさんは前衛三人の合間を縫うように魔法を放つ。オサム君との戦いで鍛えられたからね、皆がどう動くかよく分かるよ!
魔神の腕はいつの間にか四本になっていて、京介君とエドモンさんは片手で捌かれてる。リオンが細かに動いて牽制してくれているけど、それがなきゃ腕一本相手でも劣勢かもだね。
あの腕一本がSランク魔物以上の動きってこと?
体格が大きすぎて反対側が見えないけど、向こうの前衛はセフィー先生とラギュルさんだけだから苦労してそうだ。
「京介君ッ!!『ヒール』」
「あ……ああ、ありがとう。死角からの攻撃、あの訓練がなきゃ死んでたな」
京介君が吹き飛ばされて、地面に強く叩きつけられちゃった。なんとか無事だったみたいだけど、今の攻撃は……羽?
やっぱりそうだ、腕と戦ってる京介君を羽で上から叩いたんだ。さっきまで動いていなかった羽が動くようになってる。
エリーズさんの魔法も当たってるけど、全然気にしていない、というかもしかして無効化してる?
「賢音ちゃん!もしかして魔法って……」
「無効化しているかもしれないね。オサムの初撃、私の魔法、今も魔法はいくつか当たっているけれど気にも留めていないようだ」
「主様、我ら精霊は弱い魔法なら無効化することが出来る。恐らくそういうことだと……ギャーッス!」
「勝手に喋るなと言ったろう?それに、私はともかくオサムのあの魔法が弱い魔法だと?」
なに……?何か黒い霧が辺りを……。
「ゴホッ!ゴホッゲホッ!」
血が……。何!?突然咳と一緒に血が沢山出て……。
「キャッ!」
あれ、僕どうして横になって……。
確か黒い霧で吐血して、今度は霧が光ったと思ったら一帯から爆発音が……そうだっ皆は!?
あれ、足が動かな……。
恐る恐る自分の足を見ると、膝から下が無くなっちゃってた。前までの僕だったら絶対耐えられない光景だけど、良かった、少し恨んでたけどオサム君の修行はやっぱり意味があるね。
「『ヒール』」
誰かが戦っている音が聞こえる、早く、皆の元に戻らないと……。
「サトネ様、無理アル、もう無理アル早く助けて!」
元の場所に戻ると、魔神パンチローザとセフィー先生の一騎打ちの状態になってる……?
あ、賢音ちゃんが皆を回復してくれてるんだ!
「聖音ちゃん、ありがとう!回復代わるよ」
「ああ、代わってくれ。ん?君、毒はどうした?」
毒?
「魔神の黒い霧を吸って吐血したろう?アレは毒だと考えられるが……何ともないのかい?」
「え?だって『ヒール』したよ?」
「馬鹿を言うな。怪我と毒では回復の方向性も何も違うじゃないか、一体どうやって回復しているんだ?」
「え?そうなの?元気になれーって、元に戻れーってイメージしてるだけなんだけど……」
「そうか、猿故の……。頭が悪いからこそ違いが分からず一緒くたに回復出来てしまうのか、生半可に違いが分かってしまうとイメージが出来ない。これはこの猿が思っていたよりも危険ということか?少々計画を修正、いや……」
「賢音ちゃん。頭で考えてるつもりなのかもしれないんだけど、全部口から出てるよ?しかもなんかすっごい失礼な感じで」
「ふむ、改めよう。美砂は全体の回復役に徹して貰う。見て分かる通り、魔神は常に毒霧を出しながら戦うようになった。回復し続けてくれ」
あれ?なんか初めて名前を呼んでくれた気が……。
「分かったよ!」
倒れた皆を回復しよう。自分で回復出来ないってことは、持ってるヒール魔石が壊れちゃったのかも。
「美砂お姉ちゃん、ありがとなのです」
「美砂、ありがとう」
「美砂殿ありがとうございます」
「美砂様、ありがとうございます」
まずは全員を回復することで、なんとか全体攻撃を受ける前の状態に戻すことが出来た。
僕のこれからの動きをエリーズさんに説明し、前衛三人のフォローを任せる。
「常に全員へ『ヒール』を!?そんなの無茶ですわ!ヒール魔石で回復しましょう!」
「でも、皆自分でヒール出来てなかったよね?つまり、さっきの衝撃でヒール魔石が壊れちゃったんじゃないの?」
「そ、それはそうかもしれませんが……止まらずに魔法を唱え続けるなんて危険過ぎますわ、美砂様にどんなことが起きてしまうか……」
「大丈夫だよ!僕の出来ることをやらないと、残念だけど僕は前衛では戦えないからね。今やらないと、僕は絶対後悔することになる!」
「分かりました。ですが、美砂様はオサム様と違って精霊が付いていないのです。必ず、身体が悲鳴を上げる前に止めて下さいまし」
「うん、分かってるよ」
前衛の方に眼を移すと、やっぱり攻撃を仕掛けにいくと黒い霧の中に入らないといけないから毒にかかっちゃうみたいだ。
つまり、皆が攻撃を仕掛ける度にヒールを打てばいい。カウンターを受けてもヒールで治せるから一石二鳥だね。
「『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』」
うっ少し苦しいかも……。でも皆も命を張って頑張ってるんだ、僕が止めたら皆が毒にかかっちゃう!
僕が命をかけるのはここなんだッ!
「『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』」
うん、皆戦えてる!それに、僕もなんだか魔力の回復が早くなってきた気がする!これならずっとヒールを使ってられそうだ!
「『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒ……」
あれ?魔力が……、皆が血を吐いてる、僕がヒールをしないと!
「『ヒール』」
魔法が出ない……。
「『ヒール』」
なんで?身体の中に魔力も感じられないよ……。なんで??皆が死んじゃうッ!
あぁぁぁ。京介君、エドモンさん、リオン、エリーズさんも、もう皆倒れてる。
エゾグァさん、アビスさん、ついにセフィー先生まで……。
待って、何をするつもりなの!?
魔神パンチローザの羽が強く光ったと思えば、手のひらを上に向けた状態で人差し指を地面に向けた。
嫌な予感がする。セフィー先生やオサム君との訓練で身につけた、危険を察知する何かが全力で警鐘を鳴らしてる気がする。
魔神パンチローザが手首を持ち上げると、皆んなが横たわっている地面が発光し、大岩と共に何十メートル、何百メートルの高さに打ち上げられた。
みんなが!
僕が打ち上げられた大岩を見ていると、何かが『ドサッ』と落ちる音に気付いて振り返ると、皆が僕の後ろに横たわってた。気づかない内に賢音ちゃんが動いてくれていたみたいだ。
大岩はまだ落下中だし、全く見えなかったけど、どうやら打ち上げられる前に全員を救出してくれたみたい。
「美砂、ヒールはどうしたんだい?」
「賢音ちゃん!皆をありがとう!それが、使えなくなっちゃって……魔力も感じることができないんだ!どうしたらいいかな!?」
「猿どもを助けたのはこちらの都合だから気にしなくていい。そうか、『ヒール』を使えなくなったのか……」
「オサム君が来ないと……皆もう戦えないよッ!!賢音ちゃん!もう十分ピンチだよ、早くオサム君を出して!」
え!?賢音ちゃん、今笑ってた……?何に?
「残念だけどそれは無理だ、条件を設定したから私は出せないし、オサムが条件をクリアするしかない」
「もう数時間は経ってるはずだよ?オサム君が何時間もかかる条件なんて、一体どんな……」
「オサムをそんなに足止め出来るわけないじゃないか、向こうで五分過ごしたらこちらで一時間経つように設定しただけさ」
「なんってことしてるのさッ!!」
賢音ちゃんから衝撃の事実を聞いてツッコミを入れると、魔神が近くまでやってきた。
「ふむ、思ったよりしぶといざんす。おい、お前も手伝うざんす」
手伝え、って言った?一体誰に……?
「ぐふっ」
なっ!?
「賢音ちゃん!!!」
賢音ちゃんのお腹から手が、手が生えて、口から血が沢山、後ろから誰が!?
「二十年もかけて洗脳したのに、要所要所で未だに逆らうことがあるなんて驚きですぅ」
後ろから賢音ちゃんのお腹を突き刺したのは魔羅エゾグァさんだった。
「エゾグァさん……?何……してるの?」
「エゾグァ、貴様、サトネ様に何をしてるでありますか……」
「エゾグァ、なんのつもりネ?」
「せっかくあの悪魔は別離させたのにぃ、しぶといのは嫌ですね~」
「いくら何でも変だと思ったネ、エゾグァの仕業だったアルか!」
「うふふ、ヒーローは遅れてくるものだから別離する?流石におかしいじゃありませんか、誰か気付くと思いましたが、貴方たちは馬鹿ばっかりですわね、流石下等生物ですぅ」
下等生物?
「もしかして……女神アフロディーテ?」
「大変よく気付きました~」
え……魔神パンチローザだけで壊滅状態なのに、女神アフロディーテまで?
「ふははは、素晴らしい。これが絶対絶命というやつだね?ゴフッ、ここでこの子達を死なせたら、オサムに殺されてしまうよ。私が相手をしようじゃないか」
賢音ちゃん、血を吐きながら……。僕にヒールが使えれば回復してあげられるのに!
「また逆らいましたわねぇ。ハースート様の依代に使う予定でしたがぁ、もぉ殺してしまった方が楽かもしれないですかね~」
オサム君!賢音ちゃんが、賢音ちゃんが殺されちゃうよぅ!
――*――
賢音が魔神に魔法を放った後。(美砂視点継続)
「それぞれチームでの戦いはオサムに鍛えられただろう?人族チームは向かって左、魔人族チームは向かって右から攻めようか、私は正面に居て両方をフォローしよう」
賢音ちゃんの指示で全員が動く。
このメンバーで相手がオサム君でも劣勢だったんだ、賢音ちゃんが入ったとはいえ、魔神相手にどうだろうか。
僕とエリーズさんは前衛三人の合間を縫うように魔法を放つ。オサム君との戦いで鍛えられたからね、皆がどう動くかよく分かるよ!
魔神の腕はいつの間にか四本になっていて、京介君とエドモンさんは片手で捌かれてる。リオンが細かに動いて牽制してくれているけど、それがなきゃ腕一本相手でも劣勢かもだね。
あの腕一本がSランク魔物以上の動きってこと?
体格が大きすぎて反対側が見えないけど、向こうの前衛はセフィー先生とラギュルさんだけだから苦労してそうだ。
「京介君ッ!!『ヒール』」
「あ……ああ、ありがとう。死角からの攻撃、あの訓練がなきゃ死んでたな」
京介君が吹き飛ばされて、地面に強く叩きつけられちゃった。なんとか無事だったみたいだけど、今の攻撃は……羽?
やっぱりそうだ、腕と戦ってる京介君を羽で上から叩いたんだ。さっきまで動いていなかった羽が動くようになってる。
エリーズさんの魔法も当たってるけど、全然気にしていない、というかもしかして無効化してる?
「賢音ちゃん!もしかして魔法って……」
「無効化しているかもしれないね。オサムの初撃、私の魔法、今も魔法はいくつか当たっているけれど気にも留めていないようだ」
「主様、我ら精霊は弱い魔法なら無効化することが出来る。恐らくそういうことだと……ギャーッス!」
「勝手に喋るなと言ったろう?それに、私はともかくオサムのあの魔法が弱い魔法だと?」
なに……?何か黒い霧が辺りを……。
「ゴホッ!ゴホッゲホッ!」
血が……。何!?突然咳と一緒に血が沢山出て……。
「キャッ!」
あれ、僕どうして横になって……。
確か黒い霧で吐血して、今度は霧が光ったと思ったら一帯から爆発音が……そうだっ皆は!?
あれ、足が動かな……。
恐る恐る自分の足を見ると、膝から下が無くなっちゃってた。前までの僕だったら絶対耐えられない光景だけど、良かった、少し恨んでたけどオサム君の修行はやっぱり意味があるね。
「『ヒール』」
誰かが戦っている音が聞こえる、早く、皆の元に戻らないと……。
「サトネ様、無理アル、もう無理アル早く助けて!」
元の場所に戻ると、魔神パンチローザとセフィー先生の一騎打ちの状態になってる……?
あ、賢音ちゃんが皆を回復してくれてるんだ!
「聖音ちゃん、ありがとう!回復代わるよ」
「ああ、代わってくれ。ん?君、毒はどうした?」
毒?
「魔神の黒い霧を吸って吐血したろう?アレは毒だと考えられるが……何ともないのかい?」
「え?だって『ヒール』したよ?」
「馬鹿を言うな。怪我と毒では回復の方向性も何も違うじゃないか、一体どうやって回復しているんだ?」
「え?そうなの?元気になれーって、元に戻れーってイメージしてるだけなんだけど……」
「そうか、猿故の……。頭が悪いからこそ違いが分からず一緒くたに回復出来てしまうのか、生半可に違いが分かってしまうとイメージが出来ない。これはこの猿が思っていたよりも危険ということか?少々計画を修正、いや……」
「賢音ちゃん。頭で考えてるつもりなのかもしれないんだけど、全部口から出てるよ?しかもなんかすっごい失礼な感じで」
「ふむ、改めよう。美砂は全体の回復役に徹して貰う。見て分かる通り、魔神は常に毒霧を出しながら戦うようになった。回復し続けてくれ」
あれ?なんか初めて名前を呼んでくれた気が……。
「分かったよ!」
倒れた皆を回復しよう。自分で回復出来ないってことは、持ってるヒール魔石が壊れちゃったのかも。
「美砂お姉ちゃん、ありがとなのです」
「美砂、ありがとう」
「美砂殿ありがとうございます」
「美砂様、ありがとうございます」
まずは全員を回復することで、なんとか全体攻撃を受ける前の状態に戻すことが出来た。
僕のこれからの動きをエリーズさんに説明し、前衛三人のフォローを任せる。
「常に全員へ『ヒール』を!?そんなの無茶ですわ!ヒール魔石で回復しましょう!」
「でも、皆自分でヒール出来てなかったよね?つまり、さっきの衝撃でヒール魔石が壊れちゃったんじゃないの?」
「そ、それはそうかもしれませんが……止まらずに魔法を唱え続けるなんて危険過ぎますわ、美砂様にどんなことが起きてしまうか……」
「大丈夫だよ!僕の出来ることをやらないと、残念だけど僕は前衛では戦えないからね。今やらないと、僕は絶対後悔することになる!」
「分かりました。ですが、美砂様はオサム様と違って精霊が付いていないのです。必ず、身体が悲鳴を上げる前に止めて下さいまし」
「うん、分かってるよ」
前衛の方に眼を移すと、やっぱり攻撃を仕掛けにいくと黒い霧の中に入らないといけないから毒にかかっちゃうみたいだ。
つまり、皆が攻撃を仕掛ける度にヒールを打てばいい。カウンターを受けてもヒールで治せるから一石二鳥だね。
「『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』」
うっ少し苦しいかも……。でも皆も命を張って頑張ってるんだ、僕が止めたら皆が毒にかかっちゃう!
僕が命をかけるのはここなんだッ!
「『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』」
うん、皆戦えてる!それに、僕もなんだか魔力の回復が早くなってきた気がする!これならずっとヒールを使ってられそうだ!
「『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒール』『ヒ……」
あれ?魔力が……、皆が血を吐いてる、僕がヒールをしないと!
「『ヒール』」
魔法が出ない……。
「『ヒール』」
なんで?身体の中に魔力も感じられないよ……。なんで??皆が死んじゃうッ!
あぁぁぁ。京介君、エドモンさん、リオン、エリーズさんも、もう皆倒れてる。
エゾグァさん、アビスさん、ついにセフィー先生まで……。
待って、何をするつもりなの!?
魔神パンチローザの羽が強く光ったと思えば、手のひらを上に向けた状態で人差し指を地面に向けた。
嫌な予感がする。セフィー先生やオサム君との訓練で身につけた、危険を察知する何かが全力で警鐘を鳴らしてる気がする。
魔神パンチローザが手首を持ち上げると、皆んなが横たわっている地面が発光し、大岩と共に何十メートル、何百メートルの高さに打ち上げられた。
みんなが!
僕が打ち上げられた大岩を見ていると、何かが『ドサッ』と落ちる音に気付いて振り返ると、皆が僕の後ろに横たわってた。気づかない内に賢音ちゃんが動いてくれていたみたいだ。
大岩はまだ落下中だし、全く見えなかったけど、どうやら打ち上げられる前に全員を救出してくれたみたい。
「美砂、ヒールはどうしたんだい?」
「賢音ちゃん!皆をありがとう!それが、使えなくなっちゃって……魔力も感じることができないんだ!どうしたらいいかな!?」
「猿どもを助けたのはこちらの都合だから気にしなくていい。そうか、『ヒール』を使えなくなったのか……」
「オサム君が来ないと……皆もう戦えないよッ!!賢音ちゃん!もう十分ピンチだよ、早くオサム君を出して!」
え!?賢音ちゃん、今笑ってた……?何に?
「残念だけどそれは無理だ、条件を設定したから私は出せないし、オサムが条件をクリアするしかない」
「もう数時間は経ってるはずだよ?オサム君が何時間もかかる条件なんて、一体どんな……」
「オサムをそんなに足止め出来るわけないじゃないか、向こうで五分過ごしたらこちらで一時間経つように設定しただけさ」
「なんってことしてるのさッ!!」
賢音ちゃんから衝撃の事実を聞いてツッコミを入れると、魔神が近くまでやってきた。
「ふむ、思ったよりしぶといざんす。おい、お前も手伝うざんす」
手伝え、って言った?一体誰に……?
「ぐふっ」
なっ!?
「賢音ちゃん!!!」
賢音ちゃんのお腹から手が、手が生えて、口から血が沢山、後ろから誰が!?
「二十年もかけて洗脳したのに、要所要所で未だに逆らうことがあるなんて驚きですぅ」
後ろから賢音ちゃんのお腹を突き刺したのは魔羅エゾグァさんだった。
「エゾグァさん……?何……してるの?」
「エゾグァ、貴様、サトネ様に何をしてるでありますか……」
「エゾグァ、なんのつもりネ?」
「せっかくあの悪魔は別離させたのにぃ、しぶといのは嫌ですね~」
「いくら何でも変だと思ったネ、エゾグァの仕業だったアルか!」
「うふふ、ヒーローは遅れてくるものだから別離する?流石におかしいじゃありませんか、誰か気付くと思いましたが、貴方たちは馬鹿ばっかりですわね、流石下等生物ですぅ」
下等生物?
「もしかして……女神アフロディーテ?」
「大変よく気付きました~」
え……魔神パンチローザだけで壊滅状態なのに、女神アフロディーテまで?
「ふははは、素晴らしい。これが絶対絶命というやつだね?ゴフッ、ここでこの子達を死なせたら、オサムに殺されてしまうよ。私が相手をしようじゃないか」
賢音ちゃん、血を吐きながら……。僕にヒールが使えれば回復してあげられるのに!
「また逆らいましたわねぇ。ハースート様の依代に使う予定でしたがぁ、もぉ殺してしまった方が楽かもしれないですかね~」
オサム君!賢音ちゃんが、賢音ちゃんが殺されちゃうよぅ!
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