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7章 ドワーフ国編
83話 ほっちよそーなのです
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間違いない、精霊女王に世界樹の道標を刻んで貰ってから色が暗くなったんだろう。
霧が深くて暗かったし、魔力を込めて発光させてたからな。色の変化なんて気が付かなかったけど、それ以外には色が変わるようなイベントもない。
「魔素密度がめっちゃ高いからそれで合ってると思うし」
だよね。つまり、青銅に魔素を混ぜるとアダマンタイトになる、以前立てた仮説が合っていた可能性が高いな。
「ロア出来るか?」
「んー無理かな、魔力でコーティングするなら出来るけど、魔素を混ぜるとか意味不だし」
「分解……か。もしかすると分子レベルで分解されている状態から魔素を混ぜないといけないのかもな。そりゃ確かに奇跡の物質だわな」
「自然に出来るダイヤモンドとかと同じなのかもね」
俺がほとんど諦めようとしたとき、リオンが何に気付いたのか質問してくる。
「パパ、これを分解したいのです?」
「ん?そうなんだけど、何か分かった?」
「リオン、分解は得意なのです!」
「え?どういうこと?」
美砂が疑問を口にするが……俺にも分からん。確かにリオンは出会う魔物を次々と分解していく殺戮の天使だけど、それとこれとは……。
「むうう。パパも美砂お姉ちゃんも信じてくれてないのです!リオンは大道芸が得意なのです!」
大道芸?ああ、大道芸!そんな話しもあったな!
「そういえばリオンは、国境国コスタで大道芸をやってたんだっけ」
美砂がしゃがみ、リオンと目線を合わせて話しを掘り下げる。
「出来る淑女の必殺技をお見せするのです!」
そういって、売り物として展示してあった青銅のザックームをリオンは小さい右手で握りしめた。
「今握ったアクセサリーはどっちなのです!?」
大変可愛い。これはお金とれるわ。
「どっちかなー、でも見ちゃったからなー。右手かな?」
美砂がわざと間違えるのは違うと思ったのか、見えた通り右手と回答する。
「ふふふふふ、では見てみるのです!」
リオンが右手を開くと……ない。
「え!?なんで!?」
マジで!?今さっき握りしめたはずのザックームが無くなった!
得意気な顔をしたリオンは、右手の手のひらを上に向けたまま、空気を掴みこむように手を握る。さっきから左手は握ったまま動いていない。
「では、次はどっちなのです!」
もう可愛いとは思えまい、リオンはプロのマジシャンだったのか。
「左手に入ってたってことかな?」
美砂がそう答える。
それを聞き、なぜかリオンは上向きになっている右手を広げると、そこにはザックームがあった。
「え!?」
全身の毛が逆立った。
これは違う、マジックってレベルじゃねえな。間違いない、右手に持っていたザックームを消し、またその場に出現させたんだ。
「リオン、その必殺技は何?分解が得意って言っていたのと関係があるの?」
「ママはホッチヨソーと言っていたのです!」
「ホッチヨソー?ホッチ予想……ホッジ予想かッ!!!」
「うわっ、びっくりしたぁ」
あまりの驚きにドワーム顔負けの大きい声を出してしまった。
「オサム君、ホッジ予想ってなに?」
「ナビエストークス方程式と同じだ。アメリカのクレイ数学研究所が発表した現代数学の七大難問の一つだな」
「なんでリオンがそんなこと分かるの?」
「シャルルの方程式、ナビエストークス方程式、ホッジ予想……賢音だな。三人と賢音の関係性までは分からないけど、賢音が関わってることだけは間違いないと思う」
「賢音ちゃんが。そういえば、どうしてリオンだけ名前が……リオン……あっ!」
「なんだ?何か気づいたのか?」
「い、いや、な、ななななんでもないよ?別に全然、全く、なにも気にしてないし」
「あん?」
やっぱり、美砂はたまに良く分からんことになるな。まあいい、それよりだ。
「リオンがホッジ予想を理解している理由は置いといて、そもそもホッジ予想を理解した程度で物質の分解再構成ができるかどうかも置いておこう。あの天才が関わってるんなら考えるだけ無駄だ。それより、ロア!」
「な、なにさ?」
「リオンがザックームを分解した瞬間に魔素を凝縮させて、分解された物質にくっつけておくことは出来るか?」
「そんぐらい余裕だし」
「リオンもう一回、今度は手を開いたままでやってみてくれる?」
「はいなのです!」
リオンの手の平からくすんだ青みがかったエメラルドグリーンのザックームが消える、本当に目の前で消えた。消えたザックームが再び手のひらに現れたときには、黒く深い緑色のザックームになっていた。
多分成功だな。
「ミラゾゾ、このザックームはアダマンタイトで間違いないか?」
隣で見ていたミラゾゾは空いた口が閉じなくなってしまったのか、完全に放心状態だが戻ってきてもらわないと鑑定ができないので、肩を揺らす。
「あ、ああ。間違いないアダマンタイトだ」
「よっし!リオン、よくやったぞ!!」
「えへへ、褒められたのです」
これはオリハルコンも試さないとな、オリハルコンの色は純粋な金色よりも少し赤っぽいというか、黄土色が入った色だったよな。
まふ☆マギでは真鍮から作ってたわけだから、真鍮で同じことをリオンにやって貰ったらオリハルコンが出来るんじゃないか?
「ミラゾゾ!ここに真鍮はあるか!?」
「真鍮?」
「真鍮はないのか?純粋な金色よりも少し赤っぽいというか、黄土色が入った色の金属だ」
「黄銅か!?ウチにはない!ドンゴゴの鍛冶屋なら置いてあるぞ!」
「よし、鍛冶屋だ!鍛冶屋に行こう!」
「ええー僕もうちょっとゆっくり見たかったよ……」
「武器が出来るまで時間はあるんだからまた来たらいいだろう?」
「うん、そうするよ」
ということで、今度は鍛冶屋である山の民ドンゴゴの店に来たんだが、何故かミラゾゾまでついてきた。
「ミラゾゾの店は綺麗に片付けてあって、店全体の雰囲気がアクセサリーと合ってたけど……ここは全然違うな」
店先まで武器などがごった返しており、なんというか店というか物置きというか。
「王の客か!泉の民ミラゾゾまで、どうした!」
よく見ると同じドワーフだけど見た目も違ったわ。ミラゾゾは髭までしっかりと整っていて、髭を結ぶリボンまでオシャレにしているけど、ドンゴゴはなんか全部ボサボサだ。
性格に差があるんだろうな。
「オサム、多分ドワーフの性差だし」
「性差?」
「相変わらず男の店は汚い!」
「お前が一緒になって、片付けてくれればいい」
「馬鹿、客の前で!」
ミラゾゾ……女性?
だって髭とか……あっリボンしてるから?
「オサム、リボンじゃ性別変わんねぇって」
「王の客、アダマンタイト作った!オリハルコンも作れるみたい!」
「なんだと!?」
ミラゾゾがドンゴゴに自分の店であった出来事を説明しているようだ。
「まだ出来るとは言ってないけどね、実験がしたいんだよ。ここに真鍮っていう金属はあるかな?」
「シンチュウだぁ……?どんな金属なんだ!?」
「どんな金属だ!」
あ、ドワーフって二人揃うと合いの手入れてくんのね。
「黄金色よりも少し赤みがかったような色かな」
「千年匠が作った黄銅という合金に似ているな!家具の装飾にしている金属か、確か銅と亜鉛を六対四で混ぜるんだったか……少し待ってろ!」
しばらく待っている待っていると、中から金属を叩く音が聞こえてきた。普段聞く音よりも少し高い音に聞こえるな。
音が止んだと思ったら、中からくすんだ金色の延べ棒を持ったドンゴゴが出てくる。
「これが黄銅だ、シンチュウってのと同じか分からんが試してみろ」
オリハルコンは京介に渡しちゃったから手元にないけど、こんなに黄金っぽくなかった気がする。もう少し色味が悪いというか黒みがかった感じで黄土色が……。
いや、違うか。魔素を混ぜる前だからこれでいいのかもしれないな。
「リオン!ロア!頼めるか?」
「はい、なのです!」
「いいよー」
リオンの両手には入り切らない大きさの黄銅の延べ棒は姿を消し、次に現れた時には赤みがかった黄金色の延べ棒になっていた。
うん、比べてみないと微妙な違いは分からないけど、天使から貰ったオリハルコンもこんな感じの色だった気がする。
「これは……恐らくオリハルコンだ!」
「オリハルコンだ!」
「こい!王の所へ行くぞ!」
「行くぞ!」
えー、観光中なんだけどな……。
俺たちはドワーフ達の勢いに負け、城へ戻ることにした。
「熊井殿か、どうした!ドンゴゴとミラゾゾも、城までくるとは珍しいな!」
俺はドワーフの二人に目をやり、説明は任せる。
「王の客が、オリハルコンの量産に成功した!」
「成功した!」
「なん……すまん。何に成功したと言った?」
「オリハルコンの量産だ!これを見てくれ!」
「見てくれ!」
「オリハルコンの量産……だと?」
ドンゴゴがオリハルコンの延べ棒をドワーフ王に渡す。
「これは……間違いない。オリハルコンだ」
「「やはり!」」
「これはどうしたんだ!?」
「王の客が黄銅をオリハルコンにした!」
「オリハルコンにした!」
ドンゴゴが今度は俺たちに黄銅を渡してくる。王の目の前でやれってことかね?
「リオンとロア……悪いけどもう一度「待て!」
俺が頼もうとすると、ドワーフ王に止められる。
「せ、千年匠を呼んでこい!コイツぁワシだけでは手に余る」
昨日から手に余ること多くね?
ドワーフ王が黄銅を見たがるので渡すと、隅から隅までしっかりと確認する。
そんなドワーフ王を見ていると、九重母が来たようだ。京介と……あれエドモンとエリーズも一緒だったのか。
「ドワーフ王!今度はなんだ!」
「これを見ろ、何に見える?」
ドワーフ王が九重母に黄銅を渡す。
「真鍮……つまり黄銅だろ?私が伝えた配合じゃないか、これがどうしたんだ?」
「これからコイツがオリハルコンになるんだとよ」
「はぁ!?」
九重母は信じられないものでも見るかのように俺を見る。京介は苦笑いし、エドモンとエリーズも白い目で俺を見てくる。
まだ誰が原因とか、誰がやるとか言われてないじゃんかぁ……。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
ゴールデンウィークを頂きます。
次回投稿は5月8日からです。
お待たせして申し訳ありませんが、これからもよろしくお願いいたします。
霧が深くて暗かったし、魔力を込めて発光させてたからな。色の変化なんて気が付かなかったけど、それ以外には色が変わるようなイベントもない。
「魔素密度がめっちゃ高いからそれで合ってると思うし」
だよね。つまり、青銅に魔素を混ぜるとアダマンタイトになる、以前立てた仮説が合っていた可能性が高いな。
「ロア出来るか?」
「んー無理かな、魔力でコーティングするなら出来るけど、魔素を混ぜるとか意味不だし」
「分解……か。もしかすると分子レベルで分解されている状態から魔素を混ぜないといけないのかもな。そりゃ確かに奇跡の物質だわな」
「自然に出来るダイヤモンドとかと同じなのかもね」
俺がほとんど諦めようとしたとき、リオンが何に気付いたのか質問してくる。
「パパ、これを分解したいのです?」
「ん?そうなんだけど、何か分かった?」
「リオン、分解は得意なのです!」
「え?どういうこと?」
美砂が疑問を口にするが……俺にも分からん。確かにリオンは出会う魔物を次々と分解していく殺戮の天使だけど、それとこれとは……。
「むうう。パパも美砂お姉ちゃんも信じてくれてないのです!リオンは大道芸が得意なのです!」
大道芸?ああ、大道芸!そんな話しもあったな!
「そういえばリオンは、国境国コスタで大道芸をやってたんだっけ」
美砂がしゃがみ、リオンと目線を合わせて話しを掘り下げる。
「出来る淑女の必殺技をお見せするのです!」
そういって、売り物として展示してあった青銅のザックームをリオンは小さい右手で握りしめた。
「今握ったアクセサリーはどっちなのです!?」
大変可愛い。これはお金とれるわ。
「どっちかなー、でも見ちゃったからなー。右手かな?」
美砂がわざと間違えるのは違うと思ったのか、見えた通り右手と回答する。
「ふふふふふ、では見てみるのです!」
リオンが右手を開くと……ない。
「え!?なんで!?」
マジで!?今さっき握りしめたはずのザックームが無くなった!
得意気な顔をしたリオンは、右手の手のひらを上に向けたまま、空気を掴みこむように手を握る。さっきから左手は握ったまま動いていない。
「では、次はどっちなのです!」
もう可愛いとは思えまい、リオンはプロのマジシャンだったのか。
「左手に入ってたってことかな?」
美砂がそう答える。
それを聞き、なぜかリオンは上向きになっている右手を広げると、そこにはザックームがあった。
「え!?」
全身の毛が逆立った。
これは違う、マジックってレベルじゃねえな。間違いない、右手に持っていたザックームを消し、またその場に出現させたんだ。
「リオン、その必殺技は何?分解が得意って言っていたのと関係があるの?」
「ママはホッチヨソーと言っていたのです!」
「ホッチヨソー?ホッチ予想……ホッジ予想かッ!!!」
「うわっ、びっくりしたぁ」
あまりの驚きにドワーム顔負けの大きい声を出してしまった。
「オサム君、ホッジ予想ってなに?」
「ナビエストークス方程式と同じだ。アメリカのクレイ数学研究所が発表した現代数学の七大難問の一つだな」
「なんでリオンがそんなこと分かるの?」
「シャルルの方程式、ナビエストークス方程式、ホッジ予想……賢音だな。三人と賢音の関係性までは分からないけど、賢音が関わってることだけは間違いないと思う」
「賢音ちゃんが。そういえば、どうしてリオンだけ名前が……リオン……あっ!」
「なんだ?何か気づいたのか?」
「い、いや、な、ななななんでもないよ?別に全然、全く、なにも気にしてないし」
「あん?」
やっぱり、美砂はたまに良く分からんことになるな。まあいい、それよりだ。
「リオンがホッジ予想を理解している理由は置いといて、そもそもホッジ予想を理解した程度で物質の分解再構成ができるかどうかも置いておこう。あの天才が関わってるんなら考えるだけ無駄だ。それより、ロア!」
「な、なにさ?」
「リオンがザックームを分解した瞬間に魔素を凝縮させて、分解された物質にくっつけておくことは出来るか?」
「そんぐらい余裕だし」
「リオンもう一回、今度は手を開いたままでやってみてくれる?」
「はいなのです!」
リオンの手の平からくすんだ青みがかったエメラルドグリーンのザックームが消える、本当に目の前で消えた。消えたザックームが再び手のひらに現れたときには、黒く深い緑色のザックームになっていた。
多分成功だな。
「ミラゾゾ、このザックームはアダマンタイトで間違いないか?」
隣で見ていたミラゾゾは空いた口が閉じなくなってしまったのか、完全に放心状態だが戻ってきてもらわないと鑑定ができないので、肩を揺らす。
「あ、ああ。間違いないアダマンタイトだ」
「よっし!リオン、よくやったぞ!!」
「えへへ、褒められたのです」
これはオリハルコンも試さないとな、オリハルコンの色は純粋な金色よりも少し赤っぽいというか、黄土色が入った色だったよな。
まふ☆マギでは真鍮から作ってたわけだから、真鍮で同じことをリオンにやって貰ったらオリハルコンが出来るんじゃないか?
「ミラゾゾ!ここに真鍮はあるか!?」
「真鍮?」
「真鍮はないのか?純粋な金色よりも少し赤っぽいというか、黄土色が入った色の金属だ」
「黄銅か!?ウチにはない!ドンゴゴの鍛冶屋なら置いてあるぞ!」
「よし、鍛冶屋だ!鍛冶屋に行こう!」
「ええー僕もうちょっとゆっくり見たかったよ……」
「武器が出来るまで時間はあるんだからまた来たらいいだろう?」
「うん、そうするよ」
ということで、今度は鍛冶屋である山の民ドンゴゴの店に来たんだが、何故かミラゾゾまでついてきた。
「ミラゾゾの店は綺麗に片付けてあって、店全体の雰囲気がアクセサリーと合ってたけど……ここは全然違うな」
店先まで武器などがごった返しており、なんというか店というか物置きというか。
「王の客か!泉の民ミラゾゾまで、どうした!」
よく見ると同じドワーフだけど見た目も違ったわ。ミラゾゾは髭までしっかりと整っていて、髭を結ぶリボンまでオシャレにしているけど、ドンゴゴはなんか全部ボサボサだ。
性格に差があるんだろうな。
「オサム、多分ドワーフの性差だし」
「性差?」
「相変わらず男の店は汚い!」
「お前が一緒になって、片付けてくれればいい」
「馬鹿、客の前で!」
ミラゾゾ……女性?
だって髭とか……あっリボンしてるから?
「オサム、リボンじゃ性別変わんねぇって」
「王の客、アダマンタイト作った!オリハルコンも作れるみたい!」
「なんだと!?」
ミラゾゾがドンゴゴに自分の店であった出来事を説明しているようだ。
「まだ出来るとは言ってないけどね、実験がしたいんだよ。ここに真鍮っていう金属はあるかな?」
「シンチュウだぁ……?どんな金属なんだ!?」
「どんな金属だ!」
あ、ドワーフって二人揃うと合いの手入れてくんのね。
「黄金色よりも少し赤みがかったような色かな」
「千年匠が作った黄銅という合金に似ているな!家具の装飾にしている金属か、確か銅と亜鉛を六対四で混ぜるんだったか……少し待ってろ!」
しばらく待っている待っていると、中から金属を叩く音が聞こえてきた。普段聞く音よりも少し高い音に聞こえるな。
音が止んだと思ったら、中からくすんだ金色の延べ棒を持ったドンゴゴが出てくる。
「これが黄銅だ、シンチュウってのと同じか分からんが試してみろ」
オリハルコンは京介に渡しちゃったから手元にないけど、こんなに黄金っぽくなかった気がする。もう少し色味が悪いというか黒みがかった感じで黄土色が……。
いや、違うか。魔素を混ぜる前だからこれでいいのかもしれないな。
「リオン!ロア!頼めるか?」
「はい、なのです!」
「いいよー」
リオンの両手には入り切らない大きさの黄銅の延べ棒は姿を消し、次に現れた時には赤みがかった黄金色の延べ棒になっていた。
うん、比べてみないと微妙な違いは分からないけど、天使から貰ったオリハルコンもこんな感じの色だった気がする。
「これは……恐らくオリハルコンだ!」
「オリハルコンだ!」
「こい!王の所へ行くぞ!」
「行くぞ!」
えー、観光中なんだけどな……。
俺たちはドワーフ達の勢いに負け、城へ戻ることにした。
「熊井殿か、どうした!ドンゴゴとミラゾゾも、城までくるとは珍しいな!」
俺はドワーフの二人に目をやり、説明は任せる。
「王の客が、オリハルコンの量産に成功した!」
「成功した!」
「なん……すまん。何に成功したと言った?」
「オリハルコンの量産だ!これを見てくれ!」
「見てくれ!」
「オリハルコンの量産……だと?」
ドンゴゴがオリハルコンの延べ棒をドワーフ王に渡す。
「これは……間違いない。オリハルコンだ」
「「やはり!」」
「これはどうしたんだ!?」
「王の客が黄銅をオリハルコンにした!」
「オリハルコンにした!」
ドンゴゴが今度は俺たちに黄銅を渡してくる。王の目の前でやれってことかね?
「リオンとロア……悪いけどもう一度「待て!」
俺が頼もうとすると、ドワーフ王に止められる。
「せ、千年匠を呼んでこい!コイツぁワシだけでは手に余る」
昨日から手に余ること多くね?
ドワーフ王が黄銅を見たがるので渡すと、隅から隅までしっかりと確認する。
そんなドワーフ王を見ていると、九重母が来たようだ。京介と……あれエドモンとエリーズも一緒だったのか。
「ドワーフ王!今度はなんだ!」
「これを見ろ、何に見える?」
ドワーフ王が九重母に黄銅を渡す。
「真鍮……つまり黄銅だろ?私が伝えた配合じゃないか、これがどうしたんだ?」
「これからコイツがオリハルコンになるんだとよ」
「はぁ!?」
九重母は信じられないものでも見るかのように俺を見る。京介は苦笑いし、エドモンとエリーズも白い目で俺を見てくる。
まだ誰が原因とか、誰がやるとか言われてないじゃんかぁ……。
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お待たせして申し訳ありませんが、これからもよろしくお願いいたします。
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