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6章 人魔戦争編
78話 魔王の名前はサトネ様です
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「オサム君これ全部覚えてたの?」
とりあえず情報は整理出来たのだが、書き終えると美砂が怪訝な顔で聞いてきた。
「当然だろ?イベントのセリフを忘れたらゲームだって先に進めないぞ、現実には攻略サイトだってないんだからな」
こう見ると……。
「これって結局、武器作ってボールドを解放して、神々の戦いに参加しろってことだよな?」
「ボールドの使命は女神と魔神の討伐みたいですし、その通りかもしれませんわね」
そうだよな。
「他に私たちの持っている情報は、主神がボールドであり、黒の使徒に汚された邪神ハースートの討伐に失敗、相打ちしたということですわね」
今までの情報で考えると、ボールドが自分と天使達を使ってハースートを封印したが、それは期限付き。
更に、ハースートは眷属である女神と魔神に封印を解いて貰えるが、封印を施したボールド自身は地球から転送した俺たちに封印を解いてもらわないといけない、と。
随分不利で間抜けな話しだな。
「そもそも邪神ハースートはどうして汚されたんだろう?」
美砂が聞いてくる。
「そこについては予想がついてるんだ。ハースートの役目は『種の保存』だろ?もしかすると、黒の使徒も新たな種として保存しようとしたんじゃないか?」
「なるほど、それでボールドが排除しようと!」
「俺が気になってるのは、ヘパイストス遺跡で作られた五芒星の中心点がアレス教国の大聖堂であること、アフロディーテの神託によって整備された街並みもだな」
「もしかして、邪神は大聖堂に封印されていますの?」
エリーズも俺の考えに気付いたみたいだけど、五芒星の封印は女神や魔神ではなく、俺たちが解こうとしている訳なんだよな……。
「後は女神と魔神を倒すためにドワーフを探して武器を錬成して貰わないとな。ここからそう遠くないと思うんだが、今日は一度帰ろうか」
用事も終わったので、俺たちは平原に戻る。
「てめぇらどこ行ってやがった!」
平原に戻ると予想通りルウが怒ってくる。
辺りを見回すと、既にほとんど全ての天幕が片付けられ、大きな馬車の荷台に次々と荷物が詰め込まれている所だった。
「別に俺たちには片付けもいらないし、話すこともないだろ。兵士じゃないんだぞ?」
「ほ・う・こ・く・しょ!てめぇがふざけた事しなきゃ簡単に終わったんだがなぁ?なんだ大仏君って、せめてちゃんと説明してから行けや!!」
何って、大仏君としか言えないだろ。
「こちとら報告書なんて書いたことないからな、何を報告したらいいかなんて知らないんだよ。新兵だと思って適切に扱え」
「新兵はそんなクソ生意気な事は言わねぇ。勇者の京介だって自分の報告書は自分で書いてんだぞ」
なん……だと……?
俺たちは走って王都まで戻りたかったのだが、しょうがないので、ルウの報告書に付き合うため馬車で帰ることになった。
走りゃ数時間なのに、魔物馬車で四日だぞ?面倒臭いったらねぇな。
「オサム!てめぇこんなんで面倒臭いとか思ってんなら、王への報告も全部てめぇにやらせるからな。直接見てねぇ貴族からの質問にも自分で答えやがれ」
うわっ……。そんなん想像しただけでルロワ王国を滅ぼしてしまいそうだ。
「文句言いませんのでお願いします!」
――王都に着いた翌日。
到着から一晩経って、今日は俺たちも城に呼ばれているので城の待合室で待っている。
「ようやく終わったか。クソ貴族どもめ、いつかぶっ飛ばしてやる」
「俺もキレそうでしたよ、なんですかアイツら偉そうに。しかも……」
京介とルウが毒づきながら入ってきた。
昨日から続いた京介やルウによる、王達への報告は終わったみたいだけど、普段怒ったりしなそうな京介まで怒り心頭って感じだな、何かあったんだろうか。
「何を言われたか教えてやろうか?」
「聞かない方がいいよ」
俺が少し気にしていたのを察したのか、イタズラでも仕掛けてきそうな表情でルウが話しかけてくるが、京介は否定する。
「いらねぇよ、興味がない。それより今日はなんで呼ばれたんだ?」
「なんだつまらねえ。今日は捕虜の尋問をするんだが、お前にも手伝って貰おうと思ってな。あの悪魔みてぇな格好で来てくれ」
「なんで?」
「ヤツらのトラウマになってるからに決まってんだろ!!あの平原が、今なんて呼ばれてんのか知ってんのか?失禁平原だぞ!」
俺の中だけだと思ってたわ……。
「魔人族と人間が数万人単位で失禁したみたいだからね、翌日は特に凄い臭いだったよな……」
「リオンもお鼻が辛かったのです……」
「仕方ない、じゃあこれから悪魔になりきった言動にするからな、皆も変に止めたりすんなよ」
「オサム君ほどほどにね……」
「魔人族とはいえ、あまり泣かせてはいけませんわ」
いや、成りきるから。それは俺じゃなくて俺の想像上の悪魔に言ってくれる?
「うっわぁ……。今なら自信を持って言える。ウチ、絶対悪魔じゃなかったわ……」
そんな会話をしながら俺たちはルウに案内され、魔人族の捕虜がいるという地下牢に到着した。
「おい、飯がマズ……ヒィィィィ」
「なんだ?何か……ヒィィィィ」
「悪魔、悪魔が……さ、サトネ様ぁ……」
は!?賢音様って言ったか!?
俺の姿を見ると、手前にいる三人以外は泡を吹いて倒れてしまった。それにしても一目で十人くらい気絶したんだけど……どんだけトラウマになってんだよ。
「大隊長以上の幹部十五名だけ捕らえたが、気を失っていないコイツらが三人の魔将軍だ」
ルウが説明してくれる。
そういえば真ん中の奴には会ったな。確か魔獣使いラギュルだったか。
いや、ていうかサトネの話し!
「おい!今賢音様って言ったやつ、お前だな」
「はィィ!魔羅エゾグァと申しますぅ……何でも話しますので食べないで下さい~」
いや食べねぇけど……。
「美味そうだが……、まぁ有益な情報を喋れるなら生かしてやろう。魔人族は今朝も腹いっぱいに食べたからな」
「き、貴様!我らの同胞を食べた……でありますか!?」
残りのコイツが魔導師アビスか、なかなか骨がありそうな奴だな。
「小便クセェ小娘は黙ってオムツでも履いてろ、糞尿臭い小娘など悪魔でも食わんぞ。それより魔羅エゾグァ、賢音様とやらについて話せ!」
「キ、キキキキキキ」
魔術師アビスは壊れかけのレディオになってしまったようだ。
「賢音様は、我々魔人族の救世主なのですぅ」
魔羅エゾグァが答えてくれたが、救世主……ですか。
「説明しろ」
「説明をするには賢音様が来る以前のお話しも必要となりますぅ。以前まで~、我々魔人族は毎月千人の生贄を魔神パンチローザ様へ捧げていました~」
毎月千人!?
「そうしなければ土地は死にぃ、作物が育たなくなりぃ、我らは住む土地を失うことになっていたのですぅ」
なるほどな、以前から聞いていた土地に豊穣ってのはそういう話しだったのか。
つまり女神や魔神は魔素を操ったり、魔力を抜いて魔素に戻す力なんかを持っていると。それってつまり……能力的にはほとんど精霊なんじゃねぇのか?
「そこに現れたのがサトネ様ですぅ。サトネ様が毎月千人分の魔力を捧げて下さっているおかげでぇ、魔人族は生贄を出さなくて良くなったのですぅ」
「魔力に長けた魔人族の千人分を……一人で?」
「はい~、それが二十五年前ですぅ。今では人口も四十万人は増え、いよいよ肥沃の地を手に入れようと」
「それは賢音が?」
「はい~、ですが人族も貴重な働き手なのでぇ、可能な範囲で殺さないよう指示は受けておりますが~」
「つまり、賢音が魔王ということだな?」
「はい~。大恩ある、我らの王ですぅ」
ようやくだ。これまでは影がチラつく程度だったが、今ハッキリと捉えたぞ。
地下牢で話をしていると、沢山の甲冑騎士たちが階段を降りてきたのか『ガシャガシャ』という音が聞こえてくる。
先頭は……アレクシス団長か。
「どうした?」
ルウが代表して質問する。
「ルウ殿、皆様失礼したします。ただいま教会から連絡が入り『いまこそ魔人族を滅ぼしなさい』とのご神託を女神様から賜ったそうです」
なん……だと……?
「つきましては捕虜としている者たちを処刑せよと、ルロワ王からの命でございます」
騎士達が牢屋を開けようと近づいてくるため、俺は近づいてきた騎士達の前に立ちはだかる。
「オサム殿……何を?」
「気に食わねぇ。気に食わねぇから、コイツら捕虜を殺してぇなら俺を殺してからにするんだな」
「「「「なっ!?」」」」
騎士たちは声を上げて驚くが、仲間達や団長は苦笑いだ。
「ふぅ……。かしこまりました、国王の命、女神様のご神託には従えないということですね?」
「ああ、そもそもこの国の住民じゃないしな。というか、何より気に食わねぇ」
「女神様のご神託ですよ?」
「その女神が信用ならねぇって言ってんだよ。俺たちが魔人国に行って魔王と話を付けてくる、それさえも待てないんなら仕方ない……戦争だな」
「分かりました。私では判断出来かねますので、ルロワ王へ相談いたします。すぐに戻ります、コチラでお待ちください」
「貴様、一体なんのつもりでありますか!?魔王様を手にかけるつもりなら許さないのであります!」
騎士たちが出ていくのを見計らい、壊れかけの……魔導師アビスが噛みついてきた。
「キャンキャンうるせえな。潰すためじゃない、話しを聞きに行くだけだ」
「そのぉ、なぜでしょう~?」
今度は魔羅エゾグァか。
魔将軍達は疑問に思っているようだが、そういえば言ってなかったか。
「なんの因果か知らんが、その賢音ってのは多分俺たちの知り合いでな。どうして戦争なんて始めたのか、何を知っているのか、色々聞きたいことがあんだよ」
「流石はサトネ様~。悪魔にも知り合いがいるとは……」
いや別に悪魔じゃありませんけどね。
とりあえず情報は整理出来たのだが、書き終えると美砂が怪訝な顔で聞いてきた。
「当然だろ?イベントのセリフを忘れたらゲームだって先に進めないぞ、現実には攻略サイトだってないんだからな」
こう見ると……。
「これって結局、武器作ってボールドを解放して、神々の戦いに参加しろってことだよな?」
「ボールドの使命は女神と魔神の討伐みたいですし、その通りかもしれませんわね」
そうだよな。
「他に私たちの持っている情報は、主神がボールドであり、黒の使徒に汚された邪神ハースートの討伐に失敗、相打ちしたということですわね」
今までの情報で考えると、ボールドが自分と天使達を使ってハースートを封印したが、それは期限付き。
更に、ハースートは眷属である女神と魔神に封印を解いて貰えるが、封印を施したボールド自身は地球から転送した俺たちに封印を解いてもらわないといけない、と。
随分不利で間抜けな話しだな。
「そもそも邪神ハースートはどうして汚されたんだろう?」
美砂が聞いてくる。
「そこについては予想がついてるんだ。ハースートの役目は『種の保存』だろ?もしかすると、黒の使徒も新たな種として保存しようとしたんじゃないか?」
「なるほど、それでボールドが排除しようと!」
「俺が気になってるのは、ヘパイストス遺跡で作られた五芒星の中心点がアレス教国の大聖堂であること、アフロディーテの神託によって整備された街並みもだな」
「もしかして、邪神は大聖堂に封印されていますの?」
エリーズも俺の考えに気付いたみたいだけど、五芒星の封印は女神や魔神ではなく、俺たちが解こうとしている訳なんだよな……。
「後は女神と魔神を倒すためにドワーフを探して武器を錬成して貰わないとな。ここからそう遠くないと思うんだが、今日は一度帰ろうか」
用事も終わったので、俺たちは平原に戻る。
「てめぇらどこ行ってやがった!」
平原に戻ると予想通りルウが怒ってくる。
辺りを見回すと、既にほとんど全ての天幕が片付けられ、大きな馬車の荷台に次々と荷物が詰め込まれている所だった。
「別に俺たちには片付けもいらないし、話すこともないだろ。兵士じゃないんだぞ?」
「ほ・う・こ・く・しょ!てめぇがふざけた事しなきゃ簡単に終わったんだがなぁ?なんだ大仏君って、せめてちゃんと説明してから行けや!!」
何って、大仏君としか言えないだろ。
「こちとら報告書なんて書いたことないからな、何を報告したらいいかなんて知らないんだよ。新兵だと思って適切に扱え」
「新兵はそんなクソ生意気な事は言わねぇ。勇者の京介だって自分の報告書は自分で書いてんだぞ」
なん……だと……?
俺たちは走って王都まで戻りたかったのだが、しょうがないので、ルウの報告書に付き合うため馬車で帰ることになった。
走りゃ数時間なのに、魔物馬車で四日だぞ?面倒臭いったらねぇな。
「オサム!てめぇこんなんで面倒臭いとか思ってんなら、王への報告も全部てめぇにやらせるからな。直接見てねぇ貴族からの質問にも自分で答えやがれ」
うわっ……。そんなん想像しただけでルロワ王国を滅ぼしてしまいそうだ。
「文句言いませんのでお願いします!」
――王都に着いた翌日。
到着から一晩経って、今日は俺たちも城に呼ばれているので城の待合室で待っている。
「ようやく終わったか。クソ貴族どもめ、いつかぶっ飛ばしてやる」
「俺もキレそうでしたよ、なんですかアイツら偉そうに。しかも……」
京介とルウが毒づきながら入ってきた。
昨日から続いた京介やルウによる、王達への報告は終わったみたいだけど、普段怒ったりしなそうな京介まで怒り心頭って感じだな、何かあったんだろうか。
「何を言われたか教えてやろうか?」
「聞かない方がいいよ」
俺が少し気にしていたのを察したのか、イタズラでも仕掛けてきそうな表情でルウが話しかけてくるが、京介は否定する。
「いらねぇよ、興味がない。それより今日はなんで呼ばれたんだ?」
「なんだつまらねえ。今日は捕虜の尋問をするんだが、お前にも手伝って貰おうと思ってな。あの悪魔みてぇな格好で来てくれ」
「なんで?」
「ヤツらのトラウマになってるからに決まってんだろ!!あの平原が、今なんて呼ばれてんのか知ってんのか?失禁平原だぞ!」
俺の中だけだと思ってたわ……。
「魔人族と人間が数万人単位で失禁したみたいだからね、翌日は特に凄い臭いだったよな……」
「リオンもお鼻が辛かったのです……」
「仕方ない、じゃあこれから悪魔になりきった言動にするからな、皆も変に止めたりすんなよ」
「オサム君ほどほどにね……」
「魔人族とはいえ、あまり泣かせてはいけませんわ」
いや、成りきるから。それは俺じゃなくて俺の想像上の悪魔に言ってくれる?
「うっわぁ……。今なら自信を持って言える。ウチ、絶対悪魔じゃなかったわ……」
そんな会話をしながら俺たちはルウに案内され、魔人族の捕虜がいるという地下牢に到着した。
「おい、飯がマズ……ヒィィィィ」
「なんだ?何か……ヒィィィィ」
「悪魔、悪魔が……さ、サトネ様ぁ……」
は!?賢音様って言ったか!?
俺の姿を見ると、手前にいる三人以外は泡を吹いて倒れてしまった。それにしても一目で十人くらい気絶したんだけど……どんだけトラウマになってんだよ。
「大隊長以上の幹部十五名だけ捕らえたが、気を失っていないコイツらが三人の魔将軍だ」
ルウが説明してくれる。
そういえば真ん中の奴には会ったな。確か魔獣使いラギュルだったか。
いや、ていうかサトネの話し!
「おい!今賢音様って言ったやつ、お前だな」
「はィィ!魔羅エゾグァと申しますぅ……何でも話しますので食べないで下さい~」
いや食べねぇけど……。
「美味そうだが……、まぁ有益な情報を喋れるなら生かしてやろう。魔人族は今朝も腹いっぱいに食べたからな」
「き、貴様!我らの同胞を食べた……でありますか!?」
残りのコイツが魔導師アビスか、なかなか骨がありそうな奴だな。
「小便クセェ小娘は黙ってオムツでも履いてろ、糞尿臭い小娘など悪魔でも食わんぞ。それより魔羅エゾグァ、賢音様とやらについて話せ!」
「キ、キキキキキキ」
魔術師アビスは壊れかけのレディオになってしまったようだ。
「賢音様は、我々魔人族の救世主なのですぅ」
魔羅エゾグァが答えてくれたが、救世主……ですか。
「説明しろ」
「説明をするには賢音様が来る以前のお話しも必要となりますぅ。以前まで~、我々魔人族は毎月千人の生贄を魔神パンチローザ様へ捧げていました~」
毎月千人!?
「そうしなければ土地は死にぃ、作物が育たなくなりぃ、我らは住む土地を失うことになっていたのですぅ」
なるほどな、以前から聞いていた土地に豊穣ってのはそういう話しだったのか。
つまり女神や魔神は魔素を操ったり、魔力を抜いて魔素に戻す力なんかを持っていると。それってつまり……能力的にはほとんど精霊なんじゃねぇのか?
「そこに現れたのがサトネ様ですぅ。サトネ様が毎月千人分の魔力を捧げて下さっているおかげでぇ、魔人族は生贄を出さなくて良くなったのですぅ」
「魔力に長けた魔人族の千人分を……一人で?」
「はい~、それが二十五年前ですぅ。今では人口も四十万人は増え、いよいよ肥沃の地を手に入れようと」
「それは賢音が?」
「はい~、ですが人族も貴重な働き手なのでぇ、可能な範囲で殺さないよう指示は受けておりますが~」
「つまり、賢音が魔王ということだな?」
「はい~。大恩ある、我らの王ですぅ」
ようやくだ。これまでは影がチラつく程度だったが、今ハッキリと捉えたぞ。
地下牢で話をしていると、沢山の甲冑騎士たちが階段を降りてきたのか『ガシャガシャ』という音が聞こえてくる。
先頭は……アレクシス団長か。
「どうした?」
ルウが代表して質問する。
「ルウ殿、皆様失礼したします。ただいま教会から連絡が入り『いまこそ魔人族を滅ぼしなさい』とのご神託を女神様から賜ったそうです」
なん……だと……?
「つきましては捕虜としている者たちを処刑せよと、ルロワ王からの命でございます」
騎士達が牢屋を開けようと近づいてくるため、俺は近づいてきた騎士達の前に立ちはだかる。
「オサム殿……何を?」
「気に食わねぇ。気に食わねぇから、コイツら捕虜を殺してぇなら俺を殺してからにするんだな」
「「「「なっ!?」」」」
騎士たちは声を上げて驚くが、仲間達や団長は苦笑いだ。
「ふぅ……。かしこまりました、国王の命、女神様のご神託には従えないということですね?」
「ああ、そもそもこの国の住民じゃないしな。というか、何より気に食わねぇ」
「女神様のご神託ですよ?」
「その女神が信用ならねぇって言ってんだよ。俺たちが魔人国に行って魔王と話を付けてくる、それさえも待てないんなら仕方ない……戦争だな」
「分かりました。私では判断出来かねますので、ルロワ王へ相談いたします。すぐに戻ります、コチラでお待ちください」
「貴様、一体なんのつもりでありますか!?魔王様を手にかけるつもりなら許さないのであります!」
騎士たちが出ていくのを見計らい、壊れかけの……魔導師アビスが噛みついてきた。
「キャンキャンうるせえな。潰すためじゃない、話しを聞きに行くだけだ」
「そのぉ、なぜでしょう~?」
今度は魔羅エゾグァか。
魔将軍達は疑問に思っているようだが、そういえば言ってなかったか。
「なんの因果か知らんが、その賢音ってのは多分俺たちの知り合いでな。どうして戦争なんて始めたのか、何を知っているのか、色々聞きたいことがあんだよ」
「流石はサトネ様~。悪魔にも知り合いがいるとは……」
いや別に悪魔じゃありませんけどね。
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