69 / 98
5章 獣人国編
69話 準決勝の決着です
しおりを挟む
エドモンの初戦が終わったのもつかの間、その後も一回戦が続く。
――本戦二試合目。
黒ラーテルのガイと狼獣人の戦い。
終始オラついている黒ラーテルだが、狼獣人は不格好に逃げ惑うように攻撃を避け、避け様に上手いこと攻撃を当てるカウンタースタイルのようだ。
「ホークス!相変わらず逃げ腰狼だぜ!兇猛の黒ラーテルが、果敢に攻めるがそのことごとくを躱しているぜ!」
「三連獣のガイは名前負けカバァ!あんなチキン狼はさっさと倒して欲しいカバァ!!」
獣人にも、あんなに逃げ腰な奴もいるんだな。逃げ腰だと嫌われるのはイメージ通りではあるけど、アイツの見た目以外どの辺に狼の特性があるんだ?
「ホッホークス!なんってクソみてぇな試合だ!獣人の風上にもおけねぇチキン狼が、この国の幹部に勝っちまったぜ!これで黒い三連獣の二人が初戦敗退だァァァ!」
確かに、一試合目と違って冴えない試合だったなぁ。終始逃げ腰だった狼獣人の顔を逸らしながら放った前蹴りが、黒ラーテルのお腹に上手く当たってトドメになったようだ。
黒ラーテルはもう黒い三連獣とか名乗るのをやめた方がいいんじゃないか?黒熊との強さも離れすぎだろう。
――本戦三試合目。
象獣人とゴリラ獣人の戦い。
「ホークス!棒術使いの象獣人と握撃のゴリラ獣人はどちらが強いのか!」
「熱い戦いがみたいカバァ!お腹減ったカバァ!」
棒術使いの象獣人が棒術と鼻で果敢に攻める。ゴリラ獣人は何を狙っているのか、微動だにせず叩かれながらもジッと象獣人を見つめている。
ゴリラ獣人が動いたかと思えば、象獣人の鼻を両手で掴み、振り回そうとしているのか足を引いた。
「ホークス!象獣人も、鼻を掴んだゴリラ獣人に鼻を絡ませピクリとも動かなくなったぞ!これは手に汗握る展開だが、一体どういう状態なんだ!?」
「力が拮抗している綱引きの状態カバァ。気を抜いた方が、相手に振り回されるカバァ」
しばらく拮抗した後、象獣人が自慢の鼻でゴリラ獣人を振り回し、何度も地面に叩きつけると、試合は終了した。
「ホークス!これは熱い戦いだったぜ!前回初戦敗退の象獣人が初の準決勝進出だァァ!!」
――本戦四試合目。
黒豹のマシとサイ獣人の戦い。
「ホッホークス!黒い三連獣最後の出場者になっちまったが、瞬影の黒豹マシの登場だぜ!!相対するのはブチカマシのサイ獣人だ!」
「前回圧倒的な強さを誇った黒い三連獣が誰も残らないのは寂しいカバァ!でも、時代の移り変わりも見てみたいカバァ!」
解説の葛藤はよく分からないが、サイ獣人のブチカマシが黒豹に当たる機会は訪れず、試合は一方的であった。
黒豹は一度だけブチカマシを避けると、高速移動を続けたまま一方的に攻撃を加え続け、いよいよ立っていられなくなったサイ獣人が降参した。
「ホークス!見ろお前ら!これが黒い三連獣の強さだッッ!そう言わんばかりの圧倒的な勝利だったぜ!!準決勝でも不甲斐ない他の幹部共に見せてやれェェェ!」
「今日から黒い三連獣の最強は、瞬影の黒豹カバァ!!」
コイツらアレだな。黒い三連獣のことが大好きで、むしろ誇りにすら思ってるんだろうな。だから不甲斐ない結果に終わるとボコボコに言うし、司会とか解説のくせに公平性の欠片もないんだろう。
「ホッホークス!今大会はなんという大波乱だァァァ!準決勝に残った四人の内、黒い三連獣は一人だけ!牙狼と無慈悲は初出場で準決勝進出だァ!」
「準決勝進出者を整理して欲しいカバァ!」
「ホークス!準決勝に進出した漢たちを紹介するぜ!黒い三連獣から黒豹のマシ、棒術使いの象獣人、牙狼の狼獣人、無慈悲のエドモンだ!」
「新顔ばかりで、この後の戦いも楽しみカバァ!」
「ホークス!出場者にとって一番の壁となるのは、本戦が終わるまで回復出来ない過酷さだ!初出場の奴らは慣れてないだろうが、早速準決勝が始まるぜェェェ!」
「初戦は誰カバァ!」
「準決勝の初戦は、象獣人と黒豹マシの戦いだァァァ!!!」
――準決勝一試合目。
象獣人と黒豹の戦い。
展開はサイ獣人の時と同じだった。象獣人の攻撃が当たることは無く、終始黒豹が攻撃を当て続け勝利した。
あの黒豹は確かに速いな。オーバーライドを発動した仲間達と同じくらいの速さがあるかもしれない。
こうなると、魔力を切らしたエドモンでは黒豹に勝つのは難しいかもしれないな……。
「ホークス!勝者ァァァ黒豹マシィィ!こんなに安定している試合運びはなかなかないぜ!今大会、スイッチが入ったような強さを発揮し、二大会連続で決勝進出を決めたァァァ!!!」
「黒い三連獣は流石カバァ!」
「ホークス!次も注目カードだァ!黒い三連獣最強である剛力の黒熊テガに勝った無慈悲のエドモン!相対するのは、兇猛の黒ラーテルガイに勝った牙狼の狼獣人だァァァ!」
「チキン狼はここで負けるカバァ!あんな戦いは決勝に相応しくないカバァ!」
――準決勝二試合目。
エドモンと狼獣人の戦い。
エドモンの魔力は少しだけ回復しているようだが、見た感じ通常の身体強化を維持するだけで精一杯だろう。
オーバーライドは使えて一瞬、替えの剣も使ってはいけないようだし、一撃にかけるしかないだろうな。
「ホークス!無慈悲のエドモン、黒熊テガと戦った時のキレがないぞ!時間制限のある技だったのか、狼獣人も動きを合わせる、ここは互いに様子見か!?」
「良く考えれば、我々獣人と筋肉の付き方が違う人族であの動きは異常カバァ!もしかすると、剛力の黒熊との戦いは結構ギリギリだったのかもしれないカバァ」
「ホークス!狼獣人は相変わらず自分から仕掛けない!逃げながらのカウンター狙いか、反吐が出るぜ!!」
とはいえ、逃げながらカウンターが当たるんだから大したもんだろう。
エドモンが俺の予想通り一撃にかけることを考えているなら、攻撃を避ける前提で考えている狼獣人は天敵に近い相手だ、これは厳しい戦いになるな。
お互いに付かず離れず、エドモンが間合いを詰めれば、狼獣人が間合いを空けるやり取りが続く。
なかなか焦れったいが、切っ掛けがないと難しいな。
そう思った時、狼獣人が闘技場の凹みに足をとられて体勢を崩す振りをした。
エドモンが堪えきれず狼獣人へ迫る、誘い込まれたか!
エドモンが低い姿勢で狼獣人に接近すると、待っていましたと言わんばかりに、狼獣人は崩した体勢からアッパーで反撃に出る。
エドモンはそのアッパーを上体のスウェーだけで避け、全力のカウンターパンチを決めに行く。
これは決まったか!流石エドモン!サスモンだぜ!
と思った瞬間には、最高のタイミングだったはずのエドモンのカウンターパンチを避けた狼獣人が、エドモンの顔に肘を入れた所だった。
エドモンはその場で崩れ落ち、動かなくなった……。
「ホッホークス!またしても、またしてもお前か牙狼!!しかし逃げ腰だった前試合とは打って変わって、まさに火花が散るような一瞬の超攻防!コレだ、コレが大会のあるべき姿だァァァ!!」
「狼獣人は自分のカウンターが避けられる前提で組み立てていたカバァ!チキン狼のくせにインファイトで一枚上手だったカバァ」
まあエドモンが調子が万全では無かったとはいえ、いい勝負であったことは認めよう。
「エドモン、負けちゃったのです」
「惜しかったね、相手も強かったからね」
うむうむ。あとはエドモンが闘技場の外に……。
…………。
おい、あの狼。今、動けなくなったエドモンに蹴りを入れたか?
「ホッホ、ホッホークス!!!牙狼の狼獣人、三大屈辱の一つ、禁忌とも言うべき死体蹴りだァァァ!!そこまで堕ちるかこの外道野郎ォォォ!!!」
「恐らく、三大屈辱を二つも実行した無慈悲のエドモンへの意趣返しカバァ」
ハァ?イシュガエシ?ナニ?シヌノ?
脳は必死に状況を理解しようとするが、それを拒絶するほど爆発的な殺意が津波のように押し寄せてくる。だめだ、抑えられないし、抑える意味も分からん。
俺はオーバーライドを発動して、狼獣人の前に立ちはだかり、エドモンの顔を踏み潰そうとしている狼獣人の足を止めた。
「ホッホ、ホッホークス!乱入だ!乱入事件だ!!エドモンの仲間だろうか……、ん?出場者?特級?」
「あの人族は出場者カバァ?」
「ホッホッホッホッホ……ホークス!!!なんと!無慈悲のエドモンを助けに乱入した人族は特級参加証を持つ熊井ィィ理ゥゥゥ!!!」
うるせぇよ。
「お前、殺すわ」
俺は目の前の狼獣人に対して殺害予告をする。
「はぁ、誰だお前は?特級許可証?知るか、勝負の最中に割り込んできやがって、テメェは失格だボケ」
ふてぶてしい狼獣人は、俺を挑発するように自らの顔を崩し、大袈裟な仕草で揶揄してくる。
「そうか、最後の言葉はソレでいいな?」
「待つニャー!」
俺が狼獣人とお別れしようとすると、黒豹も闘技場へ上がってきた。
「貴方の出番は決勝の後ニャー。それに、ニャーがいるからソイツが勝つ事は無いニャー」
コイツもニャーニャーうるせぇな。
「おい猫。お前、棄権しろ」
「ニャニャ!ニャンていう濃密な殺気ニャ。だけどダメニャー、大会を壊さないで欲しいニャー」
くそっ。
「クソ狼、遺書は書いておけ。この猫に勝とうが負けようが、今日がお前の最期だ」
俺はそう言い残し、エドモンにヒール魔石を発動して回収する。
「ホッホークス!あー、よく分からねぇやり取りはあったが、割り込んでエドモンを守ったってのは間違いねえ!つまり、牙狼の狼獣人が決勝進出だァァァ!!!」
「決勝は狼獣人と黒豹の戦いカバァ!!」
――本戦二試合目。
黒ラーテルのガイと狼獣人の戦い。
終始オラついている黒ラーテルだが、狼獣人は不格好に逃げ惑うように攻撃を避け、避け様に上手いこと攻撃を当てるカウンタースタイルのようだ。
「ホークス!相変わらず逃げ腰狼だぜ!兇猛の黒ラーテルが、果敢に攻めるがそのことごとくを躱しているぜ!」
「三連獣のガイは名前負けカバァ!あんなチキン狼はさっさと倒して欲しいカバァ!!」
獣人にも、あんなに逃げ腰な奴もいるんだな。逃げ腰だと嫌われるのはイメージ通りではあるけど、アイツの見た目以外どの辺に狼の特性があるんだ?
「ホッホークス!なんってクソみてぇな試合だ!獣人の風上にもおけねぇチキン狼が、この国の幹部に勝っちまったぜ!これで黒い三連獣の二人が初戦敗退だァァァ!」
確かに、一試合目と違って冴えない試合だったなぁ。終始逃げ腰だった狼獣人の顔を逸らしながら放った前蹴りが、黒ラーテルのお腹に上手く当たってトドメになったようだ。
黒ラーテルはもう黒い三連獣とか名乗るのをやめた方がいいんじゃないか?黒熊との強さも離れすぎだろう。
――本戦三試合目。
象獣人とゴリラ獣人の戦い。
「ホークス!棒術使いの象獣人と握撃のゴリラ獣人はどちらが強いのか!」
「熱い戦いがみたいカバァ!お腹減ったカバァ!」
棒術使いの象獣人が棒術と鼻で果敢に攻める。ゴリラ獣人は何を狙っているのか、微動だにせず叩かれながらもジッと象獣人を見つめている。
ゴリラ獣人が動いたかと思えば、象獣人の鼻を両手で掴み、振り回そうとしているのか足を引いた。
「ホークス!象獣人も、鼻を掴んだゴリラ獣人に鼻を絡ませピクリとも動かなくなったぞ!これは手に汗握る展開だが、一体どういう状態なんだ!?」
「力が拮抗している綱引きの状態カバァ。気を抜いた方が、相手に振り回されるカバァ」
しばらく拮抗した後、象獣人が自慢の鼻でゴリラ獣人を振り回し、何度も地面に叩きつけると、試合は終了した。
「ホークス!これは熱い戦いだったぜ!前回初戦敗退の象獣人が初の準決勝進出だァァ!!」
――本戦四試合目。
黒豹のマシとサイ獣人の戦い。
「ホッホークス!黒い三連獣最後の出場者になっちまったが、瞬影の黒豹マシの登場だぜ!!相対するのはブチカマシのサイ獣人だ!」
「前回圧倒的な強さを誇った黒い三連獣が誰も残らないのは寂しいカバァ!でも、時代の移り変わりも見てみたいカバァ!」
解説の葛藤はよく分からないが、サイ獣人のブチカマシが黒豹に当たる機会は訪れず、試合は一方的であった。
黒豹は一度だけブチカマシを避けると、高速移動を続けたまま一方的に攻撃を加え続け、いよいよ立っていられなくなったサイ獣人が降参した。
「ホークス!見ろお前ら!これが黒い三連獣の強さだッッ!そう言わんばかりの圧倒的な勝利だったぜ!!準決勝でも不甲斐ない他の幹部共に見せてやれェェェ!」
「今日から黒い三連獣の最強は、瞬影の黒豹カバァ!!」
コイツらアレだな。黒い三連獣のことが大好きで、むしろ誇りにすら思ってるんだろうな。だから不甲斐ない結果に終わるとボコボコに言うし、司会とか解説のくせに公平性の欠片もないんだろう。
「ホッホークス!今大会はなんという大波乱だァァァ!準決勝に残った四人の内、黒い三連獣は一人だけ!牙狼と無慈悲は初出場で準決勝進出だァ!」
「準決勝進出者を整理して欲しいカバァ!」
「ホークス!準決勝に進出した漢たちを紹介するぜ!黒い三連獣から黒豹のマシ、棒術使いの象獣人、牙狼の狼獣人、無慈悲のエドモンだ!」
「新顔ばかりで、この後の戦いも楽しみカバァ!」
「ホークス!出場者にとって一番の壁となるのは、本戦が終わるまで回復出来ない過酷さだ!初出場の奴らは慣れてないだろうが、早速準決勝が始まるぜェェェ!」
「初戦は誰カバァ!」
「準決勝の初戦は、象獣人と黒豹マシの戦いだァァァ!!!」
――準決勝一試合目。
象獣人と黒豹の戦い。
展開はサイ獣人の時と同じだった。象獣人の攻撃が当たることは無く、終始黒豹が攻撃を当て続け勝利した。
あの黒豹は確かに速いな。オーバーライドを発動した仲間達と同じくらいの速さがあるかもしれない。
こうなると、魔力を切らしたエドモンでは黒豹に勝つのは難しいかもしれないな……。
「ホークス!勝者ァァァ黒豹マシィィ!こんなに安定している試合運びはなかなかないぜ!今大会、スイッチが入ったような強さを発揮し、二大会連続で決勝進出を決めたァァァ!!!」
「黒い三連獣は流石カバァ!」
「ホークス!次も注目カードだァ!黒い三連獣最強である剛力の黒熊テガに勝った無慈悲のエドモン!相対するのは、兇猛の黒ラーテルガイに勝った牙狼の狼獣人だァァァ!」
「チキン狼はここで負けるカバァ!あんな戦いは決勝に相応しくないカバァ!」
――準決勝二試合目。
エドモンと狼獣人の戦い。
エドモンの魔力は少しだけ回復しているようだが、見た感じ通常の身体強化を維持するだけで精一杯だろう。
オーバーライドは使えて一瞬、替えの剣も使ってはいけないようだし、一撃にかけるしかないだろうな。
「ホークス!無慈悲のエドモン、黒熊テガと戦った時のキレがないぞ!時間制限のある技だったのか、狼獣人も動きを合わせる、ここは互いに様子見か!?」
「良く考えれば、我々獣人と筋肉の付き方が違う人族であの動きは異常カバァ!もしかすると、剛力の黒熊との戦いは結構ギリギリだったのかもしれないカバァ」
「ホークス!狼獣人は相変わらず自分から仕掛けない!逃げながらのカウンター狙いか、反吐が出るぜ!!」
とはいえ、逃げながらカウンターが当たるんだから大したもんだろう。
エドモンが俺の予想通り一撃にかけることを考えているなら、攻撃を避ける前提で考えている狼獣人は天敵に近い相手だ、これは厳しい戦いになるな。
お互いに付かず離れず、エドモンが間合いを詰めれば、狼獣人が間合いを空けるやり取りが続く。
なかなか焦れったいが、切っ掛けがないと難しいな。
そう思った時、狼獣人が闘技場の凹みに足をとられて体勢を崩す振りをした。
エドモンが堪えきれず狼獣人へ迫る、誘い込まれたか!
エドモンが低い姿勢で狼獣人に接近すると、待っていましたと言わんばかりに、狼獣人は崩した体勢からアッパーで反撃に出る。
エドモンはそのアッパーを上体のスウェーだけで避け、全力のカウンターパンチを決めに行く。
これは決まったか!流石エドモン!サスモンだぜ!
と思った瞬間には、最高のタイミングだったはずのエドモンのカウンターパンチを避けた狼獣人が、エドモンの顔に肘を入れた所だった。
エドモンはその場で崩れ落ち、動かなくなった……。
「ホッホークス!またしても、またしてもお前か牙狼!!しかし逃げ腰だった前試合とは打って変わって、まさに火花が散るような一瞬の超攻防!コレだ、コレが大会のあるべき姿だァァァ!!」
「狼獣人は自分のカウンターが避けられる前提で組み立てていたカバァ!チキン狼のくせにインファイトで一枚上手だったカバァ」
まあエドモンが調子が万全では無かったとはいえ、いい勝負であったことは認めよう。
「エドモン、負けちゃったのです」
「惜しかったね、相手も強かったからね」
うむうむ。あとはエドモンが闘技場の外に……。
…………。
おい、あの狼。今、動けなくなったエドモンに蹴りを入れたか?
「ホッホ、ホッホークス!!!牙狼の狼獣人、三大屈辱の一つ、禁忌とも言うべき死体蹴りだァァァ!!そこまで堕ちるかこの外道野郎ォォォ!!!」
「恐らく、三大屈辱を二つも実行した無慈悲のエドモンへの意趣返しカバァ」
ハァ?イシュガエシ?ナニ?シヌノ?
脳は必死に状況を理解しようとするが、それを拒絶するほど爆発的な殺意が津波のように押し寄せてくる。だめだ、抑えられないし、抑える意味も分からん。
俺はオーバーライドを発動して、狼獣人の前に立ちはだかり、エドモンの顔を踏み潰そうとしている狼獣人の足を止めた。
「ホッホ、ホッホークス!乱入だ!乱入事件だ!!エドモンの仲間だろうか……、ん?出場者?特級?」
「あの人族は出場者カバァ?」
「ホッホッホッホッホ……ホークス!!!なんと!無慈悲のエドモンを助けに乱入した人族は特級参加証を持つ熊井ィィ理ゥゥゥ!!!」
うるせぇよ。
「お前、殺すわ」
俺は目の前の狼獣人に対して殺害予告をする。
「はぁ、誰だお前は?特級許可証?知るか、勝負の最中に割り込んできやがって、テメェは失格だボケ」
ふてぶてしい狼獣人は、俺を挑発するように自らの顔を崩し、大袈裟な仕草で揶揄してくる。
「そうか、最後の言葉はソレでいいな?」
「待つニャー!」
俺が狼獣人とお別れしようとすると、黒豹も闘技場へ上がってきた。
「貴方の出番は決勝の後ニャー。それに、ニャーがいるからソイツが勝つ事は無いニャー」
コイツもニャーニャーうるせぇな。
「おい猫。お前、棄権しろ」
「ニャニャ!ニャンていう濃密な殺気ニャ。だけどダメニャー、大会を壊さないで欲しいニャー」
くそっ。
「クソ狼、遺書は書いておけ。この猫に勝とうが負けようが、今日がお前の最期だ」
俺はそう言い残し、エドモンにヒール魔石を発動して回収する。
「ホッホークス!あー、よく分からねぇやり取りはあったが、割り込んでエドモンを守ったってのは間違いねえ!つまり、牙狼の狼獣人が決勝進出だァァァ!!!」
「決勝は狼獣人と黒豹の戦いカバァ!!」
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる