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第一章
第65話 ヘリポートにて
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俺の聴覚は罵詈雑言で満たされている。
原因は主に、つつみちゃんとソフィアと金属袋と巨乳ドラマーだ。
巨乳は今にも殴りかかりそうだ。ソフィアと金属は既に俺を蹴っている。
ソフィアは主にケツ狙い、金属は脛狙いだ。
ノリユキは耳の後ろをポリポリ掻いている。理解してはいるのか?
マッチョドラマーは時間を気にしながらへの字口だ。そうだ。争いは何も生まない。
俺のメンタルと尻と脛を犠牲に一通りストレスを発散させた後、話を続ける。
「機材の設置はショゴスに反応されないように無人機を使ってセッティングする。人が乗ったヘリで行くと目立って即落とされるので、侵入にはジェットウィングスーツでヘリから高速滑空侵入する」
「出来るわけねーだろ!バッカじゃねーの!?」
「あほ!あほの子!このっ!このっ!」
「すりーぱーくん、慣性って知ってる?」
「よこやまクン、流石にわたしも擁護できない」
スパンスパンと俺のケツから良い音がしている。
四方向から同時に喋らないでくれ。俺は同時に処理できないんだ。
「時間的には余裕で間に合うし。霧が少なければ、そのままジェットで軟着陸できる。霧が多ければ、ジェットは使えないが俺がショゴスでアレスティングネットを作る」
スミレさんを除く全員が一斉にゲロでも吐きそうな顔をした。
金属袋は顔が見えないから、表情は分からないが、雰囲気だ。
「それって、アレか?ショゴスで作った網を潰しながらショック抑えて着地するって事か?」
珍しくマッチョドラマーのおっさんが喋った。
「端的に言えばそうだ」
巨乳ドラマーが殴りかかって来た。目の下に当たりそうだったので避けた。
後ろからソフィアと金属袋が連携して俺の腕を抑えた。
何でそんなに連携取れるんだ。
別に無力化は出来るのだが、鳩尾にきた巨乳の右拳は甘んじて受けた。
おぉ。・・・結構響くの打つのな。
「スリーパーだからってなぁ!スカしてんじゃねーぞ!」
二発目の左はレバー直撃コースだったので少しずらす。
三発目の右アッパーは顎に当たるのは流石に嫌なので首を反らして避けた。
四発目、振り被った時に、一旦息を吐いたらソフィアの腕がピクッとして緩んだ。
テンプル狙いで来そうだったが、巨乳の後ろからマッチョドラマーのおっさんが腕を掴んで止めた。危ない、ファージ起動を迷ってしまった。拳を怪我させるところだった。
「ネット作るって事は、一緒に飛ぶのか?」
追撃は来なそうなので一息つく。ナイスアシスト、あんたはいつも大人だ。
「近い杭から一人ずつ横を飛びながらサポートする。起動と安全確認出来たら次って感じだ」
「ウィングスーツにはナビゲート用にアシストフレームも付けるわ」
スミレさんが補足してくれた。
「ただ、ウィングスーツの荷重限界が百二十キロなのよね。アシストスーツは最軽量に減らしても十キロあるから、実質百十キロが飛行限界重量ね」
「ん?」
ノリユキが首を傾げた。
「え?」
まさかと思って慌ててノリユキの体重をチェック。うは。
「僕、体重百三十キロなんだけど」
ノリユキ、意外と重かったんだな。確かに身長は二メーター以上あるが、犬なんでもっと軽いと思ってた・・・。
ノリユキだけ高度取って侵入しないとだな。
「待て待て、そもそも、五本だろ」
「あたしが行けばシャカタカいらないじゃん」
「お前、高所恐怖症だろ」
「視覚補助入れればそ-ゆーの問題ねーから」
「ツインドラムでヴォーカル無しだと、少し組み替えないと効果が弱い」
「え?僕抜き?え?えっ?」
お前ら行きたくないんじゃなかったのかよ。
つつみちゃんは俺を見て耳を下げ苦笑いしている。
「はいはいは~いっ!!」
ずっと傍観してた下品なデカ女が満面の笑みで手を上げている。
「あんたに用はない」
金属袋は辛辣だ。
「百八十二センチ、七十一キロ!さっきのリハ全部覚えてるぜ!」
「及びじゃないわ。あたしがタップでも踊った方がまだ」
ソフィアの言葉を遮ってデカ女が歌い出した。
狼とはまた違う声色だが、元気な良く通る声で、素人の俺が聞いても狼の特徴をよく抑えている。
つつみちゃんが片眉を上げ、金属袋が片手を上げた。
デカ女は歌うのを止めた。
「全部?」
「一度聴いたら暗記出来るぜ!」
問いかけた金属袋にビシッとダブルピースでドヤ顔をキメている。ノーブラの胸が弾みでプルンと揺れて、つつみちゃんが俺を睨んだ。
こいつただの自己主張強いエロ女じゃなかったんだな。
「ノリユキ」
金属袋が振ると、ノリユキも肩をすくめた。
「良いんじゃない?イケると思うよ」
「えぇ~・・・」
ソフィアは若干引いている。
「そうだ!失敗したら。離脱はどうするのよ!」
そこなんだよなあ。
「回収は嵐が終わったらだな。補充は出来るだろうが、始まったら離脱は難しいだろう」
失敗したら飲まれるだろうな。
ソフィアは頭をブルンブルン振っている。
「駄目。やっぱダメ。そこの女とペットだけでやって」
「良いぜ!」
こいつ、脳みそ筋肉だな。
「待て!あたしは行くとは言ってない!」
巨乳ドラムが反論したのだが。
「なら俺だけ行こう」
「ふざけんな!」
二つ返事でシャカタカにチョロインされてしまう。
「補充は出来る。ノリユキもヘリで待機していていつでも侵入できるようにしていてくれ」
「「出番ねーから!」」
ハモった後、ヴォーカルエロ女とシュクタカは互いに牙をむいてガンつけ合っている。思考が同じなのか?背がデカくて巨乳だと皆こうなのか?いやでも、ルルルもサワグチも脳筋じゃないしなぁ。
「僕も?」
「重いから高高度からの侵入になるが、行けなくはない。止まる時少し荒っぽくなるかな?」
犬だし、多少は大丈夫だろ。
「高高度ならパラシュート使おうよぉ~」
「餌になりたければ。鈍いし、気流が不安定過ぎるのでお勧めはしない」
「ガードが一旦完成すれば、街からゆっくりケーブルが引けるわ。対バン募集大宮でかけたから、契約内容にもよるけど、何組かは引っかかるでしょう」
皆落ち着いてきた処でスミレさんが〆にかかる。
つつみちゃんがパンパンと手を打った。
「決まりね。現地上空行きながら詰めよ?スミレさん、ヘリのノイキャンは?」
「済んでるわ。閉めればイヤーマフ無しでも振動が少し感じられる程度ね」
「さっすが。あ、よこやまクン。ウィングスーツ教えてね」
あ。
「いや。俺も初めて」
全員固まった。
「大丈夫。試運転もする」
何とかなるだろ。
原因は主に、つつみちゃんとソフィアと金属袋と巨乳ドラマーだ。
巨乳は今にも殴りかかりそうだ。ソフィアと金属は既に俺を蹴っている。
ソフィアは主にケツ狙い、金属は脛狙いだ。
ノリユキは耳の後ろをポリポリ掻いている。理解してはいるのか?
マッチョドラマーは時間を気にしながらへの字口だ。そうだ。争いは何も生まない。
俺のメンタルと尻と脛を犠牲に一通りストレスを発散させた後、話を続ける。
「機材の設置はショゴスに反応されないように無人機を使ってセッティングする。人が乗ったヘリで行くと目立って即落とされるので、侵入にはジェットウィングスーツでヘリから高速滑空侵入する」
「出来るわけねーだろ!バッカじゃねーの!?」
「あほ!あほの子!このっ!このっ!」
「すりーぱーくん、慣性って知ってる?」
「よこやまクン、流石にわたしも擁護できない」
スパンスパンと俺のケツから良い音がしている。
四方向から同時に喋らないでくれ。俺は同時に処理できないんだ。
「時間的には余裕で間に合うし。霧が少なければ、そのままジェットで軟着陸できる。霧が多ければ、ジェットは使えないが俺がショゴスでアレスティングネットを作る」
スミレさんを除く全員が一斉にゲロでも吐きそうな顔をした。
金属袋は顔が見えないから、表情は分からないが、雰囲気だ。
「それって、アレか?ショゴスで作った網を潰しながらショック抑えて着地するって事か?」
珍しくマッチョドラマーのおっさんが喋った。
「端的に言えばそうだ」
巨乳ドラマーが殴りかかって来た。目の下に当たりそうだったので避けた。
後ろからソフィアと金属袋が連携して俺の腕を抑えた。
何でそんなに連携取れるんだ。
別に無力化は出来るのだが、鳩尾にきた巨乳の右拳は甘んじて受けた。
おぉ。・・・結構響くの打つのな。
「スリーパーだからってなぁ!スカしてんじゃねーぞ!」
二発目の左はレバー直撃コースだったので少しずらす。
三発目の右アッパーは顎に当たるのは流石に嫌なので首を反らして避けた。
四発目、振り被った時に、一旦息を吐いたらソフィアの腕がピクッとして緩んだ。
テンプル狙いで来そうだったが、巨乳の後ろからマッチョドラマーのおっさんが腕を掴んで止めた。危ない、ファージ起動を迷ってしまった。拳を怪我させるところだった。
「ネット作るって事は、一緒に飛ぶのか?」
追撃は来なそうなので一息つく。ナイスアシスト、あんたはいつも大人だ。
「近い杭から一人ずつ横を飛びながらサポートする。起動と安全確認出来たら次って感じだ」
「ウィングスーツにはナビゲート用にアシストフレームも付けるわ」
スミレさんが補足してくれた。
「ただ、ウィングスーツの荷重限界が百二十キロなのよね。アシストスーツは最軽量に減らしても十キロあるから、実質百十キロが飛行限界重量ね」
「ん?」
ノリユキが首を傾げた。
「え?」
まさかと思って慌ててノリユキの体重をチェック。うは。
「僕、体重百三十キロなんだけど」
ノリユキ、意外と重かったんだな。確かに身長は二メーター以上あるが、犬なんでもっと軽いと思ってた・・・。
ノリユキだけ高度取って侵入しないとだな。
「待て待て、そもそも、五本だろ」
「あたしが行けばシャカタカいらないじゃん」
「お前、高所恐怖症だろ」
「視覚補助入れればそ-ゆーの問題ねーから」
「ツインドラムでヴォーカル無しだと、少し組み替えないと効果が弱い」
「え?僕抜き?え?えっ?」
お前ら行きたくないんじゃなかったのかよ。
つつみちゃんは俺を見て耳を下げ苦笑いしている。
「はいはいは~いっ!!」
ずっと傍観してた下品なデカ女が満面の笑みで手を上げている。
「あんたに用はない」
金属袋は辛辣だ。
「百八十二センチ、七十一キロ!さっきのリハ全部覚えてるぜ!」
「及びじゃないわ。あたしがタップでも踊った方がまだ」
ソフィアの言葉を遮ってデカ女が歌い出した。
狼とはまた違う声色だが、元気な良く通る声で、素人の俺が聞いても狼の特徴をよく抑えている。
つつみちゃんが片眉を上げ、金属袋が片手を上げた。
デカ女は歌うのを止めた。
「全部?」
「一度聴いたら暗記出来るぜ!」
問いかけた金属袋にビシッとダブルピースでドヤ顔をキメている。ノーブラの胸が弾みでプルンと揺れて、つつみちゃんが俺を睨んだ。
こいつただの自己主張強いエロ女じゃなかったんだな。
「ノリユキ」
金属袋が振ると、ノリユキも肩をすくめた。
「良いんじゃない?イケると思うよ」
「えぇ~・・・」
ソフィアは若干引いている。
「そうだ!失敗したら。離脱はどうするのよ!」
そこなんだよなあ。
「回収は嵐が終わったらだな。補充は出来るだろうが、始まったら離脱は難しいだろう」
失敗したら飲まれるだろうな。
ソフィアは頭をブルンブルン振っている。
「駄目。やっぱダメ。そこの女とペットだけでやって」
「良いぜ!」
こいつ、脳みそ筋肉だな。
「待て!あたしは行くとは言ってない!」
巨乳ドラムが反論したのだが。
「なら俺だけ行こう」
「ふざけんな!」
二つ返事でシャカタカにチョロインされてしまう。
「補充は出来る。ノリユキもヘリで待機していていつでも侵入できるようにしていてくれ」
「「出番ねーから!」」
ハモった後、ヴォーカルエロ女とシュクタカは互いに牙をむいてガンつけ合っている。思考が同じなのか?背がデカくて巨乳だと皆こうなのか?いやでも、ルルルもサワグチも脳筋じゃないしなぁ。
「僕も?」
「重いから高高度からの侵入になるが、行けなくはない。止まる時少し荒っぽくなるかな?」
犬だし、多少は大丈夫だろ。
「高高度ならパラシュート使おうよぉ~」
「餌になりたければ。鈍いし、気流が不安定過ぎるのでお勧めはしない」
「ガードが一旦完成すれば、街からゆっくりケーブルが引けるわ。対バン募集大宮でかけたから、契約内容にもよるけど、何組かは引っかかるでしょう」
皆落ち着いてきた処でスミレさんが〆にかかる。
つつみちゃんがパンパンと手を打った。
「決まりね。現地上空行きながら詰めよ?スミレさん、ヘリのノイキャンは?」
「済んでるわ。閉めればイヤーマフ無しでも振動が少し感じられる程度ね」
「さっすが。あ、よこやまクン。ウィングスーツ教えてね」
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