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椅子取りゲーム事件⑤
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何か椅子取りゲーム中にタイミングを知らせるサインが隠されているはずだ。僕はタイムメガネの右クロックを回した。
「時間よ巻きもどれ!タイムリープ!ゴー!」
昨日の5時間目。今まさに椅子取りゲームがスタートしようとしているところまでタイムリープした。
「さあ!椅子取りゲーム、スタート!」
遊部くんの掛け声で音楽がスタートする。
ちょうど僕の向かい側にいる遅沢くんを観察してみる。いつもと違う様子はない。
だけど一つだけ。腕時計をつけているのが引っかかる。たしかいつもは腕時計なんてしていなかったはずだ。
どこかのタイミングでラジカセ係の遊部くんとタイミングを合わせているはず。椅子の周りを回りながら遅沢くんを観察するのは集中力がいるけど目を離さないようにしないと。
僕はひたすら遅沢くんを観察し続ける。しかし遅沢くんは自分の腕時計をずっと見たままで全く遊部くんの方を見ようとはしない。
気が付けば音楽は止まっていて僕は昨日と同じで席に座ることはできなかった。
タイムメガネの左クロックで残りの時間を確認する。残り時間は2分。とりあえずこの2分間で何かを見つけないと。
僕は脱落した生徒と一緒に教室の隅に並んで観察する。約30秒ほど時間をかけて、次のゲームの為に椅子を端の方によけたりしているが、その間で遊部くんと遅沢くんが話をしている様子はない。
「みんな!椅子取りゲーム、スタート!」
遊部くんの掛け声で再び椅子取りゲームがスタート。タイムリープの残り時間は1分30秒。
音楽に合わせて椅子の周りを回る遅沢くんの様子はさっきまでと同じ。
みんなが椅子の周りを回っている外側では監視員の雪見ちゃんが見張っているため椅子を無理やり奪い取る暴力などのずるがあれば注意される。
だから今度はラジカセ係の遊部くんを観察することにした。
椅子取りゲームの合間で話をしている様子がなかったということは、どのタイミングで音楽を止めるのか音や動きで遅沢くんと意思疎通をしているはずだから。
遊部くんはラジカセのスタート・ストップボタンに人差し指を置いたまま、視線は右腕にしている腕時計を見ている。
そのままずっと観察していたがずっと変わることなく遊部くんは音楽を止めた。
音楽が流れている間、まったく椅子取りゲームの様子を見ようとはしなかったが、止まった瞬間だけは椅子取りゲームの結果を見つめていた。
そして遅沢くんが勝ち残ったのを確認すると小さくガッツポーズをした。
それと同時にタイムリミットの3分間が過ぎ去って、僕は再びオリジナルタイムに戻ってきた。
この3分間で分かったことは遅沢くんが椅子の周りを回りながら腕時計をずっと見ていたこと。
そして遊部くんはラジカセのスタート・ストップボタンに指を置いたままずっと腕時計を見ていたこと。
その2つの事実から僕はトリックを導き出した。
腕時計の針が進む時間を2人で合わせてタイミングを合わせたに違いない。
「遊部くん、遅沢くん。きみたちは腕時計をしていた。1回戦目で脱落した僕は2人が椅子取りゲーム中ずっと腕時計を見ていたことを知ってる。その腕時計で止める秒数を合わせて優勝することができたんだ!」
「腕時計で秒数を合わせたとしても、ラジカセを何秒で止めるかを遅沢くんに知らせないと意味がないはずだ!」
「2人は事前に止める秒数を打ち合わせたに違いない!」
スケットくんはずばりそう言った。スケットくんの決め台詞にクラスメイトは、おーという声を上げた。
「みんなも知ってる通り、椅子取りゲームがスタートする前に誰かと話す時間なんてなかったはずだ。それに椅子取りゲームが何回戦まで行われるか決まったのはレクの時間が始まった時だった。何回戦目は何秒で止めるよなんて決める時間すらなかったんだ!」
遊部くんの言う通り。
みんなそれぞれが机を隅に運んですぐに椅子取りゲームはスタートした。
そして何人ずつ脱落していくかは担持先生が始まる前に決めていた。
遊部くんはレク係の為、椅子取りゲームをやることを知っていたから1回目は何秒で止めると遅沢くんと事前に打ち合わせることは出来る。
「時間よ巻きもどれ!タイムリープ!ゴー!」
昨日の5時間目。今まさに椅子取りゲームがスタートしようとしているところまでタイムリープした。
「さあ!椅子取りゲーム、スタート!」
遊部くんの掛け声で音楽がスタートする。
ちょうど僕の向かい側にいる遅沢くんを観察してみる。いつもと違う様子はない。
だけど一つだけ。腕時計をつけているのが引っかかる。たしかいつもは腕時計なんてしていなかったはずだ。
どこかのタイミングでラジカセ係の遊部くんとタイミングを合わせているはず。椅子の周りを回りながら遅沢くんを観察するのは集中力がいるけど目を離さないようにしないと。
僕はひたすら遅沢くんを観察し続ける。しかし遅沢くんは自分の腕時計をずっと見たままで全く遊部くんの方を見ようとはしない。
気が付けば音楽は止まっていて僕は昨日と同じで席に座ることはできなかった。
タイムメガネの左クロックで残りの時間を確認する。残り時間は2分。とりあえずこの2分間で何かを見つけないと。
僕は脱落した生徒と一緒に教室の隅に並んで観察する。約30秒ほど時間をかけて、次のゲームの為に椅子を端の方によけたりしているが、その間で遊部くんと遅沢くんが話をしている様子はない。
「みんな!椅子取りゲーム、スタート!」
遊部くんの掛け声で再び椅子取りゲームがスタート。タイムリープの残り時間は1分30秒。
音楽に合わせて椅子の周りを回る遅沢くんの様子はさっきまでと同じ。
みんなが椅子の周りを回っている外側では監視員の雪見ちゃんが見張っているため椅子を無理やり奪い取る暴力などのずるがあれば注意される。
だから今度はラジカセ係の遊部くんを観察することにした。
椅子取りゲームの合間で話をしている様子がなかったということは、どのタイミングで音楽を止めるのか音や動きで遅沢くんと意思疎通をしているはずだから。
遊部くんはラジカセのスタート・ストップボタンに人差し指を置いたまま、視線は右腕にしている腕時計を見ている。
そのままずっと観察していたがずっと変わることなく遊部くんは音楽を止めた。
音楽が流れている間、まったく椅子取りゲームの様子を見ようとはしなかったが、止まった瞬間だけは椅子取りゲームの結果を見つめていた。
そして遅沢くんが勝ち残ったのを確認すると小さくガッツポーズをした。
それと同時にタイムリミットの3分間が過ぎ去って、僕は再びオリジナルタイムに戻ってきた。
この3分間で分かったことは遅沢くんが椅子の周りを回りながら腕時計をずっと見ていたこと。
そして遊部くんはラジカセのスタート・ストップボタンに指を置いたままずっと腕時計を見ていたこと。
その2つの事実から僕はトリックを導き出した。
腕時計の針が進む時間を2人で合わせてタイミングを合わせたに違いない。
「遊部くん、遅沢くん。きみたちは腕時計をしていた。1回戦目で脱落した僕は2人が椅子取りゲーム中ずっと腕時計を見ていたことを知ってる。その腕時計で止める秒数を合わせて優勝することができたんだ!」
「腕時計で秒数を合わせたとしても、ラジカセを何秒で止めるかを遅沢くんに知らせないと意味がないはずだ!」
「2人は事前に止める秒数を打ち合わせたに違いない!」
スケットくんはずばりそう言った。スケットくんの決め台詞にクラスメイトは、おーという声を上げた。
「みんなも知ってる通り、椅子取りゲームがスタートする前に誰かと話す時間なんてなかったはずだ。それに椅子取りゲームが何回戦まで行われるか決まったのはレクの時間が始まった時だった。何回戦目は何秒で止めるよなんて決める時間すらなかったんだ!」
遊部くんの言う通り。
みんなそれぞれが机を隅に運んですぐに椅子取りゲームはスタートした。
そして何人ずつ脱落していくかは担持先生が始まる前に決めていた。
遊部くんはレク係の為、椅子取りゲームをやることを知っていたから1回目は何秒で止めると遅沢くんと事前に打ち合わせることは出来る。
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