15 / 30
椅子取りゲーム事件④
しおりを挟む
「レク係の2人がファイヤードラゴンが優勝賞品って担持先生から聞かされたのはいつだった?」
雪見ちゃんは僕の質問に素直に答えてくれた。
レク係はレクの時間がある前の日の放課後に担持先生と打ち合わせするらしい。内容はどんなゲームをするのかや勝った時の賞品などについてだ。確か椅子取りゲームの前はフルーツバスケットだったっけ。
ということはレク係だった遊部くんももちろん前日の段階でファイヤードラゴンが賞品になることを知っていたんだ。
それなら5時間目が始まるまでたっぷり時間はある。僕が気づいていないだけで2人が打ち合わせる時間はあったはずだ。遊部くんと遅沢くんは普段から休み時間一緒にいることが多いから、怪しまれる心配もないだろうし。
「よし!その打ち合わせの時にタイムリープすれば……」
僕はタイムメガネの右クロックを回転させるため手を伸ばした。
「あっ!!」
危ない危ない!確かに遊部くんと遅沢くんが打ち合わせている時に戻ることが出来れば決定的な証拠になる。
けど5時間目が始まるまで休み時間は何回もある。そのうちのどの時間に打ち合わせたのか全くわからない。それに2人の席もそんなに離れていないから授業中に打ち合わせをした可能性もある。
タイムメガネでタイムリープすることが出来るのは1日に3回。4回も5回もタイムリープすることはできない。
てきとうに戻ってしまったらこの事件が解決できなくなる。
「雪見ちゃん。あともう一つだけ質問。椅子取りゲームのラジカセ係と監視する係はどうやって決めたの?」
「えっと……本当は私、音楽好きでラジカセ使うの得意だからラジカセ係がよかったんだけど、遊部くんがラジカセ係をやるってきかなくて、私がラジカセの使い方を教えてあげたの」
雪見ちゃんの答えを聞いて内容を整理する。
一応、遊部くんと同じタイミングでファイヤードラゴンが優勝賞品だと知っていた雪見ちゃんにも協力者の疑いがあったけど、ファイヤードラゴンが優勝賞品の時点でその可能性はなさそうだ。それに協力者なら遊部くんに無理矢理ラジカセ係を取られたりはしないはず――。
雪見ちゃんに教わってまで遊部くんがやりたかったラジカセ係。
椅子取りゲームに勝つために必要なのは瞬発力。音楽が止まった時に椅子に向かって走り出す力。
けど一番大事なのはタイミングだ。どんなに足が早くてもタイミングが合わなければ椅子取りゲームには勝てない。
そのタイミングの鍵はラジカセ係が握ってる。そしてラジカセ係を何としてもやりたかった遊部くん。
「遅沢くん!きみは椅子取りゲームで優勝してファイヤードラゴンをゲットするためにズルをしたね」
僕は黒板の前に立ってそう言い放った。
教室内はザワザワと騒ぎ始める。まだ証拠はない。2人の反応を見てからタイムリープで証拠を集めるんだ。
「ズルなんて出来るはずないじゃないか!」
遅沢くんはそう言った。他のクラスメイトの何人かも同じ反応だった。
椅子取りゲームに必ず勝つには参加者とラジカセ係の2人の連携が必要だからだ。他のクラスメイトも協力者がいるなんて思ってもいないだろう。
「そう遅沢くんの言う通り。1人ならそれは出来ない。でも、もしも協力者がいたとしたら?」
クラスメイトはキョロキョロと自分以外のクラスメイトを見渡す。
「遊部くん。協力者はきみだ!椅子取りゲームに勝つためには音楽が止まるタイミングがわかることが必要なんだ!さらに遊部くんはレク係だから優勝賞品がファイヤードラゴンだと事前に知っていた!」
遊部くんは驚いたようで汗をかき始めた。
「遊部くんに遅沢くん!ズルってどういうことなんだよ!」
ファイヤードラゴンをゲットするために頑張って椅子取りゲームに挑戦した八坂くんはもちろん黙っていない。
他の男子生徒も同じ気持ちで、あちこちからそうだ!そうだ!と声が聞こえてくる。その中には決勝戦で戦ったスケットくんと打野くんもいる。
「一体どうやってズルをしたって言うんだよ!」
遊部くんは席を立ち上がり発言する。やっぱり素直にズルをしたとは認めてくれない。
雪見ちゃんは僕の質問に素直に答えてくれた。
レク係はレクの時間がある前の日の放課後に担持先生と打ち合わせするらしい。内容はどんなゲームをするのかや勝った時の賞品などについてだ。確か椅子取りゲームの前はフルーツバスケットだったっけ。
ということはレク係だった遊部くんももちろん前日の段階でファイヤードラゴンが賞品になることを知っていたんだ。
それなら5時間目が始まるまでたっぷり時間はある。僕が気づいていないだけで2人が打ち合わせる時間はあったはずだ。遊部くんと遅沢くんは普段から休み時間一緒にいることが多いから、怪しまれる心配もないだろうし。
「よし!その打ち合わせの時にタイムリープすれば……」
僕はタイムメガネの右クロックを回転させるため手を伸ばした。
「あっ!!」
危ない危ない!確かに遊部くんと遅沢くんが打ち合わせている時に戻ることが出来れば決定的な証拠になる。
けど5時間目が始まるまで休み時間は何回もある。そのうちのどの時間に打ち合わせたのか全くわからない。それに2人の席もそんなに離れていないから授業中に打ち合わせをした可能性もある。
タイムメガネでタイムリープすることが出来るのは1日に3回。4回も5回もタイムリープすることはできない。
てきとうに戻ってしまったらこの事件が解決できなくなる。
「雪見ちゃん。あともう一つだけ質問。椅子取りゲームのラジカセ係と監視する係はどうやって決めたの?」
「えっと……本当は私、音楽好きでラジカセ使うの得意だからラジカセ係がよかったんだけど、遊部くんがラジカセ係をやるってきかなくて、私がラジカセの使い方を教えてあげたの」
雪見ちゃんの答えを聞いて内容を整理する。
一応、遊部くんと同じタイミングでファイヤードラゴンが優勝賞品だと知っていた雪見ちゃんにも協力者の疑いがあったけど、ファイヤードラゴンが優勝賞品の時点でその可能性はなさそうだ。それに協力者なら遊部くんに無理矢理ラジカセ係を取られたりはしないはず――。
雪見ちゃんに教わってまで遊部くんがやりたかったラジカセ係。
椅子取りゲームに勝つために必要なのは瞬発力。音楽が止まった時に椅子に向かって走り出す力。
けど一番大事なのはタイミングだ。どんなに足が早くてもタイミングが合わなければ椅子取りゲームには勝てない。
そのタイミングの鍵はラジカセ係が握ってる。そしてラジカセ係を何としてもやりたかった遊部くん。
「遅沢くん!きみは椅子取りゲームで優勝してファイヤードラゴンをゲットするためにズルをしたね」
僕は黒板の前に立ってそう言い放った。
教室内はザワザワと騒ぎ始める。まだ証拠はない。2人の反応を見てからタイムリープで証拠を集めるんだ。
「ズルなんて出来るはずないじゃないか!」
遅沢くんはそう言った。他のクラスメイトの何人かも同じ反応だった。
椅子取りゲームに必ず勝つには参加者とラジカセ係の2人の連携が必要だからだ。他のクラスメイトも協力者がいるなんて思ってもいないだろう。
「そう遅沢くんの言う通り。1人ならそれは出来ない。でも、もしも協力者がいたとしたら?」
クラスメイトはキョロキョロと自分以外のクラスメイトを見渡す。
「遊部くん。協力者はきみだ!椅子取りゲームに勝つためには音楽が止まるタイミングがわかることが必要なんだ!さらに遊部くんはレク係だから優勝賞品がファイヤードラゴンだと事前に知っていた!」
遊部くんは驚いたようで汗をかき始めた。
「遊部くんに遅沢くん!ズルってどういうことなんだよ!」
ファイヤードラゴンをゲットするために頑張って椅子取りゲームに挑戦した八坂くんはもちろん黙っていない。
他の男子生徒も同じ気持ちで、あちこちからそうだ!そうだ!と声が聞こえてくる。その中には決勝戦で戦ったスケットくんと打野くんもいる。
「一体どうやってズルをしたって言うんだよ!」
遊部くんは席を立ち上がり発言する。やっぱり素直にズルをしたとは認めてくれない。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
シンクの卵
名前も知らない兵士
児童書・童話
小学五年生で文房具好きの桜井春は、小学生ながら秘密組織を結成している。
メンバーは四人。秘密のアダ名を使うことを義務とする。六年生の閣下、同級生のアンテナ、下級生のキキ、そして桜井春ことパルコだ。
ある日、パルコは死んだ父親から手紙をもらう。
手紙の中には、銀貨一枚と黒いカードが入れられており、カードには暗号が書かれていた。
その暗号は市境にある廃工場の場所を示していた。
とある夜、忍び込むことを計画した四人は、集合場所で出くわしたファーブルもメンバーに入れて、五人で廃工場に侵入する。
廃工場の一番奥の一室に、誰もいないはずなのにランプが灯る「世界を変えるための不必要の部屋」を発見する五人。
そこには古い机と椅子、それに大きな本とインクが入った卵型の瓶があった。
エポックメイキング。
その本に万年筆で署名して、正式な秘密組織を発足させることを思いつくパルコ。
その本は「シンクの卵」と呼ばれ、書いたことが現実になる本だった。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
みかんちゃんの魔法日和〜平和な世界で暮らす、魔法使いの日常
香橙ぽぷり
児童書・童話
この世界と似ているけれど、神様の存在も知られていて、
神の使いである魔法使いも、普通の人を助けながら一緒に暮らす、平和な世界。
普通の人と同じ学校に通っている
10歳の魔法使い、みかんちゃんの日常物語です。
時系列で並べているため、番外編を先にしています。
☆ふしぎな夜のおひなさま
(ひな祭り)
朝に見ると、毎日のように、ひな人形が動いた跡があると、
同じ学校の1年生から相談されます。
一体何が起きているのか、みかんちゃんは泊まり込みで調査します。
14歳の時から、個人的に書いている作品。
特に起点もなく、主人公さえいれば成り立つ話なこともあり、最長です。
学校用の作品は当時の年齢や、伝わりやすさを意識して書いていましたが、
これは私がわかれば…、思いっきり好きなように!と考えて書いていたため、
他の作品よりも設定に凝りまくっていたり、クラスメートなどのキャラクター数が多かったりと、わかりにくいところがあります。
私の代表作なので載せておきます。
ファンタジー要素の他に、友情とか、親子愛とか、物を大切に思う気持ちとか、
いろんな愛情を盛り込みたいと考えているので、タグにも入れました。
恋愛要素も少しはありますが、恋に限定してはいないので、タグで誤解を与えたらすみません。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる