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「海外でしない?」
「…はい?」
「その方が美咲の為にもなると思うし。あっ、もちろん旅費はオレが持つよ。夏休み中、海外をあっちこっち旅しようよ」
「それはただの海外旅行でしょう!? 補習は学校でやらなきゃ意味ないの! それにあなたの他にも、補習を受ける生徒はいるんだから」
「なぁんだ。つまんないの」
「アタシは大変よ。補習用のプリントも作らなきゃだし、のん気に旅行しているヒマなんてないの」
「う~。なら国内旅行にしとく。軽井沢辺りなんてどう?」
…アタシが今話をしているのは、人間ではないのかな?
話がいっこうに通じない。
「美咲とはじめての旅行だもんね♪ 良い思い出にしょう」
「あのねぇ…」
「あっ、やっぱり行き先はオレに決めさせてよ。美咲が驚く顔、見たいからさ」
…もう、ヤダ。
「ご馳走様~」
アタシが項垂れている間に、彼は全てを食べ終えていた。
アレルギーとかじゃないから、何でも食べられるはずなのに、好き嫌いが多い。
でも『アタシが作った』と言えば、一応食べてくれる。
嬉しいと思わなくもないけど…。
「デザート、何?」
…前言撤回。
「ケーキ買ってきてるから、ちょっと待ってて」
「うん♪ あっ、食器はオレが片付けるよ」
てきぱきと食器を片付けてくれる姿は、お坊ちゃんには見えないな。
紅茶を淹れて、ケーキをお皿に乗せて、テーブルに置いた。
「ねっねっ。あーんしてよ?」
「子供みたいなこと、言わないでよ」
「オレ、まだ子供だもん。美咲より11も下だし」
ぐっさー! …いっ言ってはならぬことを。
ムカついたので、フォークでケーキ半分取って、笑顔で彼の口元に運んだ。
「はい、あーん♪」
「ちょっ大きいって…ムグッ!」
開いた口の中に、思いっきりフォークをつっ込んだ。
「んっん~!」
顔をしかめ、それでも何とか食べている彼の姿を見て、ちょっと気が晴れた。
「ふふっ。口の周り、クリームだらけよ?」
ティッシュで拭いてあげようとしたら、その手を掴まれた。
「美咲…。舐めて取ってよ」
「え~?」
「誰のせい?」
それを言われると…。渋々顔を寄せて、彼の頬をペロッと舐めた。
続いてクリームをペロペロ舐めていると、いつの間にか彼の唇を舐めていた。
「んふふ…。くすぐったいなぁ」
「んっ…」
開いた彼の口の中に舌がすべりこんでしまった。
そのまま頭を引き寄せられ、唇が重なる。これじゃあディープキスだ…。
でも彼の口の中も甘く、あたたかい…。舌がとろけてしまいそう。
「ふっ…。結構大胆だね、美咲」
「…しばらく密会できなくなるかもしれないからね」
「え~? それはヤダなぁ」
「学生としては良い子になるって言ったでしょ? さすがにテスト期間はカンベンしてほしいわ」
「はいはい。じゃあテスト返却されたら、泊まりに来ても良い?」
「…終わったら、ね?」
「うん。じゃあその間、ガマンできるように美咲を充電させてね?」
そう言うなり、いきなりお姫さま抱っこされた!
「きゃあっ!」
「可愛い声は、こっちで聞かせてね」
連れてかれたのは、ベッドルーム。
ベッドの上に下ろされ、髪を優しく撫で上げられる。
「ねぇ、美咲。美咲もオレに夢中でしょう?」
「さあね」
「強がっちゃって。まあそういうところも好きだけどね」
どくんっ…!
悪魔の甘い微笑に、高鳴ってはいけない胸が鳴る。
「好きだなんて…簡単に言わないでよ」
「だって美咲のこと、大好きだし。美咲はオレのもの。大事に可愛がってあげるよ」
「高校2年生のセリフじゃないわね」
「アメリカ帰りだからね。精神年齢が高いんだよ」
「生まれつきの性格じゃない?」
「そうかもね。小さい頃から、気に入ったものは1人占めするタイプだから」
どんな皮肉も彼には通じない。
「大好きだよ、美咲。一生可愛がってあげる」
「…はい?」
「その方が美咲の為にもなると思うし。あっ、もちろん旅費はオレが持つよ。夏休み中、海外をあっちこっち旅しようよ」
「それはただの海外旅行でしょう!? 補習は学校でやらなきゃ意味ないの! それにあなたの他にも、補習を受ける生徒はいるんだから」
「なぁんだ。つまんないの」
「アタシは大変よ。補習用のプリントも作らなきゃだし、のん気に旅行しているヒマなんてないの」
「う~。なら国内旅行にしとく。軽井沢辺りなんてどう?」
…アタシが今話をしているのは、人間ではないのかな?
話がいっこうに通じない。
「美咲とはじめての旅行だもんね♪ 良い思い出にしょう」
「あのねぇ…」
「あっ、やっぱり行き先はオレに決めさせてよ。美咲が驚く顔、見たいからさ」
…もう、ヤダ。
「ご馳走様~」
アタシが項垂れている間に、彼は全てを食べ終えていた。
アレルギーとかじゃないから、何でも食べられるはずなのに、好き嫌いが多い。
でも『アタシが作った』と言えば、一応食べてくれる。
嬉しいと思わなくもないけど…。
「デザート、何?」
…前言撤回。
「ケーキ買ってきてるから、ちょっと待ってて」
「うん♪ あっ、食器はオレが片付けるよ」
てきぱきと食器を片付けてくれる姿は、お坊ちゃんには見えないな。
紅茶を淹れて、ケーキをお皿に乗せて、テーブルに置いた。
「ねっねっ。あーんしてよ?」
「子供みたいなこと、言わないでよ」
「オレ、まだ子供だもん。美咲より11も下だし」
ぐっさー! …いっ言ってはならぬことを。
ムカついたので、フォークでケーキ半分取って、笑顔で彼の口元に運んだ。
「はい、あーん♪」
「ちょっ大きいって…ムグッ!」
開いた口の中に、思いっきりフォークをつっ込んだ。
「んっん~!」
顔をしかめ、それでも何とか食べている彼の姿を見て、ちょっと気が晴れた。
「ふふっ。口の周り、クリームだらけよ?」
ティッシュで拭いてあげようとしたら、その手を掴まれた。
「美咲…。舐めて取ってよ」
「え~?」
「誰のせい?」
それを言われると…。渋々顔を寄せて、彼の頬をペロッと舐めた。
続いてクリームをペロペロ舐めていると、いつの間にか彼の唇を舐めていた。
「んふふ…。くすぐったいなぁ」
「んっ…」
開いた彼の口の中に舌がすべりこんでしまった。
そのまま頭を引き寄せられ、唇が重なる。これじゃあディープキスだ…。
でも彼の口の中も甘く、あたたかい…。舌がとろけてしまいそう。
「ふっ…。結構大胆だね、美咲」
「…しばらく密会できなくなるかもしれないからね」
「え~? それはヤダなぁ」
「学生としては良い子になるって言ったでしょ? さすがにテスト期間はカンベンしてほしいわ」
「はいはい。じゃあテスト返却されたら、泊まりに来ても良い?」
「…終わったら、ね?」
「うん。じゃあその間、ガマンできるように美咲を充電させてね?」
そう言うなり、いきなりお姫さま抱っこされた!
「きゃあっ!」
「可愛い声は、こっちで聞かせてね」
連れてかれたのは、ベッドルーム。
ベッドの上に下ろされ、髪を優しく撫で上げられる。
「ねぇ、美咲。美咲もオレに夢中でしょう?」
「さあね」
「強がっちゃって。まあそういうところも好きだけどね」
どくんっ…!
悪魔の甘い微笑に、高鳴ってはいけない胸が鳴る。
「好きだなんて…簡単に言わないでよ」
「だって美咲のこと、大好きだし。美咲はオレのもの。大事に可愛がってあげるよ」
「高校2年生のセリフじゃないわね」
「アメリカ帰りだからね。精神年齢が高いんだよ」
「生まれつきの性格じゃない?」
「そうかもね。小さい頃から、気に入ったものは1人占めするタイプだから」
どんな皮肉も彼には通じない。
「大好きだよ、美咲。一生可愛がってあげる」
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