世の中にはモノがたくさんいる【マカシリーズ・11】

hosimure

文字の大きさ
上 下
1 / 3

おつかい

しおりを挟む
「では2人とも、よろしくお願いしますね」

「あいよ」

「分かった。任せてくれ」

ハズミとマミヤは笑顔のソウマに見送られ、店を出た。

そして街に出て、

「ん~っと。やっぱり騒がしい方がオレは好きだな」

「俺は静かな方が良いんだがな」

ハズミは笑顔で背伸びをして、マミヤは憂い顔でため息をついた。

「あっ、マミヤは人ごみ苦手なんだっけ?」

「ああ…。だから早目に終わらそう」

マミヤはソウマから預かったメモを取り出し、見ながら歩き出した。

「あっ、待てよ~」

その後を、ハズミが慌てて追いかける。

「最初はコーヒー屋か。ソウマさんはコーヒー党だったか?」

「コーヒーはヒミカとルカ、それにキシが飲むんだよ」

「ああ、なるほど。…って最近、小物屋から喫茶店に変わっているな」

「マカが何か事件起こった時、あそこで会議するからな。すっかりお茶飲み場になっちゃって」

「ソウマさんも止めないから…」

「止められないって。相手、マカだよ?」

ハズミが笑い飛ばした時、

「ぶわっくしょんっ! はっくしょいっ!」

「きゃあ! マカ、あなた女の子なのになんてクシャミをするのよぉ!」

「大丈夫ですか?」

ルナとアオイと一緒にいたマカは、大きなクシャミを2連発した。

「この悪寒は…ハズミだな。後で問いただしてやる」

「…どうやったら悪寒でウワサの張本人が分かるのよ?」

「何となくだ」

呆れ顔で質問してきたルナに、マカは大真面目に返答した。

「うっ! 何か悪寒が!」

「マカじゃないのか? あの人、勘がスゴク働くから」

「かもな…。ヤベ、ウワサしてたのバレたか?」

「後ですぐに謝れ。それより店がこの辺りなんだが…」

2人がキョロキョロと辺りを見回した時、ハズミが足を何かに引っ掛けた。

「おわっ!」

「大丈夫か?」

マミヤはすぐに気付き、ハズミの方を見た。

「ったた…。ああ、何とかな」

すぐに体勢を直したハズミは、つまずいたモノを見た。

「―ゴメンなさいね」

ハズミが足を引っ掛けたのは、女の子の足だった。

その場に座り込み、2人を見上げている。

見た目は17歳ぐらいの女の子だ。長い髪が印象的。

「…いや、オレも余所見してたし」

「うん。でもあたし、ここから動けないからさ」

そう言って女の子は遠い目をした。

「いつもここにいるんだ? 行きたい所、ないの?」

「…今は分かんない。ここに来て、そう長くもないし」

女の子は深く息を吐いた。

「そっか。じゃ、オレ達行くから」

「うん、悪かったわね」

女の子は最後に笑顔で手を振った。

…だがマミヤの表情は暗かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いつも一緒【マカシリーズ・10】

hosimure
ホラー
わたしは昔、犬と一緒にいた。 毎日楽しくて、一緒にいるのが嬉しかった。 なのに…今はもう、近くにいない。 犬と言う、存在は。

光輪学院シリーズ・神無月の憂鬱

hosimure
ホラー
【光輪学院高等部・『オカルト研究部』】から、神無月を主人公にしたお話です。 部活動を無事に終えた神無月。 しかし<言霊>使いの彼女には、常に非日常が追いかけてくる。 それは家の中にいても同じで…。

バベル病院の怪

中岡 始
ホラー
地方都市の市街地に、70年前に建設された円柱形の奇妙な廃病院がある。かつては最先端のモダンなデザインとして話題になったが、今では心霊スポットとして知られ、地元の若者が肝試しに訪れる場所となっていた。 大学生の 森川悠斗 は都市伝説をテーマにした卒業研究のため、この病院の調査を始める。そして、彼はX(旧Twitter)アカウント @babel_report を開設し、廃病院での探索をリアルタイムで投稿しながらフォロワーと情報を共有していった。 最初は何の変哲もない探索だったが、次第に不審な現象が彼の投稿に現れ始める。「背景に知らない人が写っている」「投稿の時間が巻き戻っている」「彼が知らないはずの情報を、誰かが先に投稿している」。フォロワーたちは不安を募らせるが、悠斗本人は気づかない。 そして、ある日を境に @babel_report の投稿が途絶える。 その後、彼のフォロワーの元に、不気味なメッセージが届き始める—— 「次は、君の番だよ」

ゾンビと片腕少女はどのように死んだのか特殊部隊員は語る

leon
ホラー
元特殊作戦群の隊員が親友の娘「詩織」を連れてゾンビが蔓延する世界でどのように生き、どのように死んでいくかを語る

逢魔ヶ刻の迷い子3

naomikoryo
ホラー
——それは、閉ざされた異世界からのSOS。 夏休みのある夜、中学3年生になった陽介・隼人・大輝・美咲・紗奈・由香の6人は、受験勉強のために訪れた図書館で再び“恐怖”に巻き込まれる。 「図書館に大事な物を忘れたから取りに行ってくる。」 陽介の何気ないメッセージから始まった異変。 深夜の図書館に響く正体不明の足音、消えていくメッセージ、そして—— 「ここから出られない」と助けを求める陽介の声。 彼は、次元の違う同じ場所にいる。 現実世界と並行して存在する“もう一つの図書館”。 六人は、陽介を救うためにその謎を解き明かしていくが、やがてこの場所が“異世界と繋がる境界”であることに気付く。 七不思議の夜を乗り越えた彼らが挑む、シリーズ第3作目。 恐怖と謎が交錯する、戦慄のホラー・ミステリー。 「境界が開かれた時、もう戻れない——。」

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

アララギ兄妹の現代心霊事件簿【奨励賞大感謝】

鳥谷綾斗(とやあやと)
ホラー
「令和のお化け退治って、そんな感じなの?」 2020年、春。世界中が感染症の危機に晒されていた。 日本の高校生の工藤(くどう)直歩(なほ)は、ある日、弟の歩望(あゆむ)と動画を見ていると怪異に取り憑かれてしまった。 『ぱぱぱぱぱぱ』と鳴き続ける怪異は、どうにかして直歩の家に入り込もうとする。 直歩は同級生、塔(あららぎ)桃吾(とうご)にビデオ通話で助けを求める。 彼は高校生でありながら、心霊現象を調査し、怪異と対峙・退治する〈拝み屋〉だった。 どうにか除霊をお願いするが、感染症のせいで外出できない。 そこで桃吾はなんと〈オンライン除霊〉なるものを提案するが――彼の妹、李夢(りゆ)が反対する。 もしかしてこの兄妹、仲が悪い? 黒髪眼鏡の真面目系男子の高校生兄と最強最恐な武士系ガールの小学生妹が 『現代』にアップグレードした怪異と戦う、テンション高めライトホラー!!! ‎✧ 表紙使用イラスト……シルエットメーカーさま、シルエットメーカー2さま

規則怪談:漆黒の山荘

太宰菌
ホラー
温泉山荘の規則は以下の通り、厳守してください。規則を守らない者は、それに同化され、永遠に山荘から離れることができない!

処理中です...