【R18】若様の性長日記!

hosimure

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大学を卒業した後

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大学を卒業した後、すぐに連れて来られたのは親父の会社だった。

「でっけぇな」

「若様はこちらへ来るのははじめてでしたか?」

「ああ、そうだな」

「社長、楽しみに若様を待っていますよ? 今日という日を、ずっと待っていたんですから」

「恥ずかしい親父だな」

「溺愛なさっていますからね。若様のこと」

そう言ってクスクス笑うのは、親父の第一秘書の女性。

名前を梢さんという。

見た目は三十代だが、オレが小学生の頃から外見が変わらないという、恐ろしい女性だ。

いわゆるグラマラスな体付きをしている。

胸はFカップはあるのだと、初対面で胸を張られて豪語された。

胸が大きいせいか、腰は細く見える。

そしてお尻も大きい。

体にピッタリしたスーツを着ているせいもあるだろうな。

しかも中に来ているブラウスもスカートも、ギリギリの短さだし…。

普通の22歳の男であれば、梢さんに釘付けになるだろう。

しかしオレは十年以上も見続けているので、すっかり慣れてしまった。

…男としては、ある意味悲しい。 

梢さんはキレイな茶髪を頭の上でまとめていて、メガネをかけている。

よくある家庭教師のAV女優に見えなくも無い。

けれどやっぱり慣れは慣れ。

彼女には年上の女性としての憧れはあっても、恋愛感情は一切持っていなかった。

高校生時代、同級生(男)がオレと梢さんが一緒にいるところを見て、興奮して声をかけてきたことを覚えている。

普通に紹介し、梢さんが去った後、その同級生に詰め寄られた。

「お前っ、あんな美女と知り合いだなんて、バチが当たるぞ!」

「…親父の秘書だっつーの。それに何ともお互いに思っていないのなら、バチも何も無いだろう?」

そう言うと、同級生はおかしなモノでも見るような目でオレを見た。

「お前…男じゃねーな」

とりあえず一発ぶん殴ったのは、間違いではないと今でも言える。 

淡い恋心を抱いたことがないとは言えないが、憧れの方が強い。

いっつもオレの面倒を見てもらっているせいだろう。

会社に来るまでも、車に乗せられてきた。

そう、あれは十分ほど前―。

オレは梢さんが運転する車の後部座席に深く腰をかけながら、深く息を吐いた。

これから向かうは親父の会社。

大学を卒業したのはつい先日の話。

オレはいよいよ親父の会社に就職する…のに、私服。

スーツなんか着てくるなと、昨夜親父に笑い飛ばされたからだ。

会社に行くのは今日が初めてでも、社員には何度か顔を合わせている。

でもだからと言って、私服はないような気がするけどなぁと思う。

「若様、緊張なさっています?」

バックミラー越しに、梢さんの視線を感じた。

「いや、それより何の仕事をさせられるのか、心配の方が強い」

「今日は会社の説明だけですよ。仕事の方は後日となります」

「説明長い?」

「最初に若様に理解なさって欲しいことは、そんなに長くはないかと…。ただ」

そこで梢さんが苦笑した。

赤い口紅が、いたずらっぽく光っている。

「理解するのに時間がかかるかもしれませんね」

ぞわっ!

「はっ?」

何故かそこで全身に悪寒が走った。

「まあ後は社長からお聞きください」

「あっああ…」

この時、オレは体が警告していたことに気付かなかった。
会社の地下駐車場に車を止め、特設エレベーターで最上階に上がる。

外から見たこの会社は、何かこう…でかかった。

高層ビルが建ち並ぶ街中にあって、かなり立派な建物だ。

今日からここで働くと思うと、緊張してきた。

何せオレは親父が何の仕事をしているか、詳しくは知らない。

人材派遣をしているのだと、言われ続けた。

不況の世の中でも、ウチの経済状況は変わらなかったのだから、儲かってはいるのだろう。

ウチの経済レベルはかなり高い。

オレが私立の幼稚園から大学まで行けるぐらいだ。

海外旅行もしょっちゅう行ってたし、ブランド物も家の中にゴロゴロある。

両親には一人息子兼跡継ぎとして、これ以上ないぐらい愛情を注がれた。

もちろん、親父の下で働く社員達にもだ。

オレも期待に応えるべく、勉強にスポーツに人間関係に頑張ってきた。

将来は一つの会社を継ぐんだ。

そこに働く人間、全ての人生を握ることになる。

ハンパな気持ちはいけないと、両親が呆れるぐらい真面目に生きてきた。

それが今、報われる。

これまでの苦労も、大切に思えた。

…今、この瞬間までは。

やがてエレベータの動きが止まった。

「こちらです。若様」

「あっああ」

フロアに出ると、目の前に大きな木の扉がある。

梢さんはゆっくりとノックする。

「社長、若様をお連れしました」

「ああ、入れ」

聞きなれた親父の声だが、今日は何故か緊張させれる。

背筋を伸ばすと、梢さんがドアノブを押し、扉を開けてくれた。

オレは固唾を飲み込み、中に入った。

「失礼します。しゃっ…」

「待ってたよー!」

がしっ!

「ぐわっ!」

畏まって挨拶をしようとしたが、いきなり親父に抱き付かれた!

「うっとおしいわっ! クソ親父!」

なのでつい、いつもの調子で親父を床に叩き付け、背中を踏んでしまった。

「ぐえっ!?」

「…若様、お気持ちはよく分かりますが、ここは会社ですので」

「あっああ、すまない」

梢さんの苦笑を見て、オレは足を外した。

「あいたた…。相変わらず元気だね」

すでに五十を過ぎている親父は、ブランドのスーツに身を包み、外見だけは!立派な会社の社長だった。

見た目も子供の欲目を抜いても、良い方だろう。

実際、親父と街中を歩くと女性が良く振り返る。

…くそっ!

「テメーがしっかりしないからだろう? 少しは社長らしくしやがれ!」

なのでついイライラしてしまう。

「まあまあ。若様、とりあえずソファーにお座りください。今、お茶を持ってまいります」

「ああ、頼む」

オレは返事をして、黒皮張りの一人かけソファーに座った。

親父も背中を押さえながら、オレの向かいのソファーに座る。

これじゃあどっちが大人か分からないな。

「では失礼します」

梢さんは一旦社長室を出て行った。

すると親父はキリッと姿勢を正し、オレを真っ直ぐに見つめた。

「さて、とりあえず入社おめでとう」

「ありがとよ」

「それでウチの会社のことなんだがな」

「ああ」

「その前に、お前に聞いておきたいことがある」

「何だ?」

入社のことについて、大体のことは家で済ませていた。

面接めいたものも、梢さんと済ませている。

だから今更聞かれることなんて、何だろうと少し緊張した。


「お前、童貞か?」

「………は?」

ドウテイ?

…オレ、耳、悪くなったのかな?

思わず耳の穴を指でいじる。

「いや、だから。女性と肉体関係を持ったことはあるのかと聞いている」

…そう聞いてくる親父の顔は、今まで見たことがないぐらい真面目だった。

つまり、本気、なのか。

「…何故そんなことを実の父親に告げなくちゃならない?」

だからオレも真面目に聞いてみる。 

「それが重要だからだ。今後、お前にどう動いてもらうか、決めるのに大事なんだ」

「え? 話が全然見えないんだけど」

「う~ん。はっきり言わなくちゃ、やっぱり分からないものか」

親父は腕を組み、唸った。

「この会社、人材派遣であることは言ってあるよな?」

「あっああ」

だからオレは普通に一般的な派遣会社を思い浮かべていた。

「その仕事内容だが、主に性的なものなんだ」

「………はい?」

オレは自分の頭を疑った。

耳が悪いのではなく、頭がおかしくなってしまったのだろうか?

「まあ他にもいろいろな場面で、必要とされればそこに人材を派遣するんだ。だが主な仕事はセックスの相手だな」

「それって…いわゆる売春…」

「それだけではないと言っているだろう? まあ簡単に言えば、プライベートで相手がほしい人に、こっちから人をやる。その内容は相手次第だが」

「つまり…普通の派遣会社は会社を通して人材を派遣するけれど、ウチの会社は個人で人材を派遣するってこと?」

「おおっ! のみ込みが早いな!」

親父は嬉しそうだが、オレは体中の血が冷えていくのを感じていた。

個人的な依頼内容…ということは、この会社、違法で引っ掛かるんじゃないだろうか?

と言うか、とっくに警察が来てもおかしくないのでは?

「あっ、今、社会的なこと考えただろう?」

「常識的なことを考えてたんだっ!」

「まあ確かに何かに引っ掛かりそうな商売だけどな」

アッサリ認めやがった!

ヤバイ! 今すぐ退社した方が身の為だ!

と言うより、この親父と縁を切った方がオレ自身の為だな。

「でも大丈夫。ウチは組織だから。個人であれば叩かれるけど、組織であれば大目に見られるんだよ」

犯罪の匂いが濃いっ!

「上客の中には、ニュースで見る人達も多くいるしね」

そして社会の闇の色も濃い!!

親父はあくまでも笑顔で語る。

「この会社はかなり歴史があってね。わたしの世代からはじめたものじゃないんだよ」

「…どれぐらい昔なんだよ?」

「そうだねぇ。…遊郭があった時代から、かな?」

ここは何百年の老舗かっ! 


嬉しくない歴史だ…。

がっくり肩が下がる。

「それなりに歴史もあるし、仕事も昔からのものだ。ただの風俗店と一緒にされては、困るなぁ」

笑顔ながらも、眼が笑っていない。

つまりそれだけ重い歴史があるということか。

社会の闇…特に性欲は人間の三大欲求の一つ。

それを満たす会社を、何百年も続けてくるにはそれなりの覚悟が必要なんだろう。

オレは深く息を吐いた。

「プライベートの相手って…その、夜の相手の他にどんな意味があるんだよ?」

「う~ん、そうだね…。軽いものでは食事の相手。一人じゃ味気ないって言う人はかなりいるしね」

あっ、そのくらいか。

「後はパーティーのパートナーもあるな。買い物の付き添いもあるし、旅行の相手ってのもある」

なるほど。

一人で過ごしたくない人の相手役か。

そこら辺なら理解できる…が。

「まあ夜の相手の希望者の方が圧倒的に多いけどね。アハハ」

…それが問題だ。

「そういうのってさ、素直に風俗店に行けばいいんじゃね?」

「分かってないね、お前は」

ふと真剣な顔で、親父は声を潜めた。 

「それなりに社会的地位がある人や、顔が売れている人が堂々と行けると思うかい?」

「それは…」

行けない、だろうな。

「だからウチは名目上は『プライベートの相手』と言っているんだ。表立って『夜のお相手』を派遣しているとは言えないだろう?」

一理あるので、思わず黙ってしまう。

「ウチにはそれなりに権力もある。うるさいところや、おしゃべりなところを黙らせることができるぐらいは、ね。だからゆっくりとプライベートを堪能したい人にとって、大事な会社なんだよ」

…まあ性欲って大事、だよな?

オレにはやっぱりよく理解できない。

多分、淡白なんだろうな。

「で? オレが童貞かどうかなんて、どこら辺で関係あるんだよ?」

「それが一番重要なんだ」

「だからどこがっ!」

「仕事内容のことですよ。若様」

梢さんが社長室に戻って来た。

トレーに二つの湯飲みを持って。

テーブルの前で跪くと、オレと親父の前に湯飲みを置いた。

オレはお茶を一口飲んで、気分を鎮める。

「若様が社長になられるには、この会社の仕事全体を知らなければなりません。一番重要なのは、お客様にどのような相手を当てるかです」

「つまり、適材適所というのものだな?」

「その通りです」

梢さんは立ち上がると、にっこり笑った。

「ここは人材派遣会社。人を見極めなければ、お客様のご要望に応えられることもできません。ゆえに若様には人を見る眼を養ってもらいたいのですわ」

「そう! わたしの言いたいことはそれだよ」

親父が嬉しそうに手を叩く。

…ホントかよ?

「だからお前の女性関係が重要なんだ。全く知らないというのは、欠点にしかならないからな」

事情は分かった。

理解はできたが…納得はできない。

「まあ深く言うと、女性のみならず、老若男女全ての性格を見抜ける人間になってほしいんだ。まずは観察力をみがき、経験を積むのがお前の仕事だ」

「つまり客の要望に応えられる人間を、ちゃんと見出せってことだろ? それなら親父の仕事を見て、学べばいいだろう?」

「いや、わたしの仕事を見ているだけではダメだ。ちゃんとお前自身の感性をみがかなければ、意味がない」

「チッ!」

あまりにハッキリとした親父の言い方に、思わず舌打ちをする。

「で? どうなんだ?」

「…童貞、じゃない。中学の時に、捨てた」

渋々答える。

「付き合った人数は?」

そこまで言うのかよ。 

「……三人」

「三人か。少ないな」

余計なお世話だっ!

しかし文句を言うよりも前に、昔の苦い思い出がよみがえった。

付き合ったのは三人。

いずれも肉体関係はあった。

けれど長続きはせず、一年も経たないうちに別れた。

…三人とも、だ。

いつもオレがフられる立場だった。

しかし彼女達は涙を浮かべながら、オレにこう言った。

「あなたはアタシのことを愛していない!」

そういうつもりは、無かった。

けれど強く否定もできなかった。

来る者を拒むことなく受け入れてきたオレは、多分まだ真剣に人を愛したことがない。

原因は将来のことだった。

親父の会社を継ぐという自覚は、物心つく前からあった。

そのことで頭がいっぱいで、普通の恋人関係が上手くいかなかった。

そりゃそれなりに、彼女達のことは好きだったけど、夢中にはなれなかった。

それは性生活にも出てて…。

…あっ、落ち込んできた。 
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