三か月間だけの幸福

hosimure

文字の大きさ
上 下
1 / 2

占いをしてもらった女の子達

しおりを挟む
これは『あたし』が体験した話です。

『あたし』は当時高校生で、仲の良かった女友達がいました。

『あたし』達は当時ウワサになっている占い師の元を訪れました。

そこは最近駅前にできたビルの中にあります。

さまざまな占い屋が入っていることが評判となり、数多くの女性達が毎日訪れていました。

『あたし』達も友達や周囲の評判を聞いて、興味を持ってここを訪れました。

「ねぇねぇ、どこから行く?」

「いろいろあるよね~」

たくさんの女の子達が行き来する中、『あたし』達はフロアを見回しました。

タロットカードや四柱推命、星座占いなど、数多くの占い屋がフロアに所狭しと並んでいます。

「ところで占ってもらう内容、決めた?」

「あたしは運勢のことかな。何か最近、パっとしないし」

「じゃあアタシもそうしよっと。なら、あそこのタロットカード占いがよくない?」

彼女が指さしたのは、『あたし』達からはそう遠くない所にあり、あまり待っている人もいませんでした。

なので『あたし』は賛成し、列に並ぶことにしたのです。

ほどなく順番は回ってきました。

『あたし』と彼女は二人で中に入りました。

「いらっしゃい」

占い師は穏やかな雰囲気の男性でした。

まだ三十代ぐらいに見えましたが、彼のまとう空気がとても清らかに感じられました。

『あたし』達は彼の向かいのイスに座るように言われ、腰を下ろしました。

「さて、お二人は今日はどのようなことを占ってほしいですか?」

「えっと、あたしはこれからの運勢のことを」

「アタシも一緒です」

「分かりました。では先にこちらのお嬢さんから占いますね」

その後、彼はタロットカードを使い、『あたし』の悩みを次々と明らかにしていきました。

どうやら占いの腕は本物みたいでした。

口コミで広がったウワサだったので、半信半疑でしたが、本当にびっくりするほど当たっていました。

彼は最後に、平凡ながらも順調な生活を送れるだろうと言ってくれました。

大きな波は無いものの、平凡が一番だと言っていました。

次に彼女の番でした。

しかし新たにタロットカードを使う彼の表情が、一瞬暗くなったのを見ました。

でもそれはすぐ一瞬のことで、すぐに彼は笑顔になり、こう言いました。

「あなたはこれから三か月間、とても幸福になれるでしょう」

「ホントですか!?」

彼の言葉に、彼女はとても喜びました。

「ええ。人生の幸せを全て凝縮したような、夢のような三か月間を過ごすでしょう」

「やったー!」

無邪気に喜ぶ彼女でしたが、『あたし』は占い師の彼が浮かべた暗い表情が気になりました。

しかしわざわざ彼女の喜びに水を差すことは躊躇われ、その場は黙っていることにしました。

料金を払い、『あたし』達は出ました。

「ねぇ、さっきの占いだけど…何かウマ過ぎない?」

「そお? ならもう一軒ぐらい、行ってみる?」

彼女はすっかり上機嫌で浮かれていました。

占いの料金は高校生ということもあり、安く済みます。

なので思いきって、『あたし』達はもう一軒行くことにしました。

今度は水晶占いで、五十代ぐらいの優しそうな女性が占い師でした。

『あたし』は先程と同じ内容のことを占ってもらいました。

女性から言われたことは、タロットカード占いの男性から言われたこととほとんど同じでした。

そして彼女の番になり、女性は水晶を見て一瞬目を見開きました。

しかし次に出た言葉は、やはり彼女は今から三か月、幸せになれると言うこと。

彼女は二人目の占い師から言われた言葉に、すっかり興奮してしまいました。

『あたし』は念の為に、本当なのかと尋ねてみました。

けれど女性は優しく微笑み、ウソは一つもないと言い切りました。

なので料金を払い、『あたし』達は出て行きました。

「スッゴイなぁ。二人の占い師から幸せになれるって言われるなんて!」

「うん…そうだね」

「ねぇねぇ、手相占いもやってみない?」

「えっ? あっ、うん…」

その後、勧められるままにさまざまな占い屋を巡りました。

しかしどの占い屋でも、彼女はこれから三か月間、幸せになれるとのこと。

占い師達も笑顔で宣言します。

だから『あたし』も信じることにしました。

占い師達が彼女のことを占う時に、一瞬…表情を変えることも、あまりに良過ぎる運命にビックリしたのだろうと、考えることにしました。

お小遣いをスッカラカンにして、『あたし』達はビルを出ました。

彼女はそれでも幸せそうな表情を浮かべています。

「何だかアタシ、生きていくのが楽しくなった!」

「そう、良かったわね」

『あたし』はこう答えるしかありません。

これ以上何か言えば、平凡だと言われた『あたし』のひがみにしか聞こえないだろうと思ったからです。

それからのことは、まるで光陰矢のごとく過ぎていきました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

表現する気持ち【マカシリーズ・18】

hosimure
ホラー
摩訶不思議な雑貨を扱うソウマの店に、一人の少女がやって来た。 彼女は生まれつき体が弱く、そんな自分を何とかしたいと言ってきた。 店主・ソウマは彼女の願いを叶える品物を売りつけた。 それを身に付ければ、願いは叶うのだと言って…。

光輪学院シリーズ・神無月の憂鬱

hosimure
ホラー
【光輪学院高等部・『オカルト研究部』】から、神無月を主人公にしたお話です。 部活動を無事に終えた神無月。 しかし<言霊>使いの彼女には、常に非日常が追いかけてくる。 それは家の中にいても同じで…。

光輪学院シリーズ・依琉の微笑

hosimure
ホラー
【光輪学院高等部・『オカルト研究部』】から、依琉を主人公とした作品です。 千里眼を持つ依琉は、儚げな雰囲気を持つ美少年であれど、腹黒い性格をしていた。 今回も従兄に婚約者ができたと聞き、相手の女性に会うも、どうやらワケありの女性らしく…?

呪われたN管理局

紫苑
ホラー
本当にあった怖い話です…

冀望島

クランキー
ホラー
この世の楽園とされるものの、良い噂と悪い噂が混在する正体不明の島「冀望島(きぼうじま)」。 そんな奇異な存在に興味を持った新人記者が、冀望島の正体を探るために潜入取材を試みるが・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

死が見える…

hosimure
ホラー
抗うことのできない死…。 何をどうしても、逃れられない運命の一部。 わたしの目には、死が映る。

人喰奇談 ―ホラー短編小説集

Kfumi
ホラー
 ホラー・オカルト・非日常を綴るオムニバスの短編集。  美女はある理由から男と出会い子供を欲した。  そして美しく恐ろしい狂気が目覚める。 。 ※多少グロテスクな表現があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...