柘榴【マカシリーズ・5話】

hosimure

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結末へ向けて、動き出す真実

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 ちなみにキシに儀式を見られたのは、この屋上の給水塔の上だった。
 この建物の一番上。だから気を抜いてしまっていた。
 ジッと見ていると、キシも見上げた。
「思い出の場所ですよねぇ…」
「忌まわしい思い出の、ね」
 トゲトゲしく言うも、キシは笑うだけ。
「…それで? 犯人は分かったの?」
「ええ、もちろん」
「うっそ?!」
 …実は半信半疑だった。
「まあ…大体は予想通りと言ったところでしょうか。後は証拠を見つけて、自白させるだけですね」
「…できるの?」
「ボク等の為ならば。それにきっと、犯人も見つけてほしいと思っていますよ」
 そう言ってキシはアタシを見て、にっこり微笑んだ。
「なのでボクは証拠を見つけてきます。ヒミカはここで待っていてくれませんか?」
「えっ! ここで? アタシも行くわよ!」
「ダメです、危険過ぎます。犯人はアナタの正体を知っているかもしれないんですよ?」
「それだったらキシだって…」
「ボクは独自のルートがありますから、大丈夫です」
 …確かにコイツ、そのルートでウチの血族のこと、知ったんだったな。
「だから大人しく、ここで待っててくださいね?」
「…早く帰って来る?」
「陽が沈むまでは、必ず」
 そう自身ありげにキシが言ったので、アタシは頷くしかできなかった。
 …と考えてみれば、今はもう昼。
 残りの時間の潰し方を考えれば、普通に授業に出ることしか思い浮かばなかった。
 けれど心ここにあらずで過ごす。
 …授業料のムダだな。
 深く息を吐いた。
 授業が終わると、アタシは教室を出て、屋上へ来た。
 例の給水塔の上にハシゴを使ってよじ登り、沈みゆく太陽を見つめた。

 ぞくっ…!

 背筋が痺れた。
 真っ赤な夕日が、血の色を思い出させる。
 そしてあの味も口の中によみがえる…!
 強烈なノドの渇きを感じる。
 ああ…ダメだ。
 アタシは懐から、ナイフを取り出した。
 銀色の薄い刃が、夕日の赤に照らされ、妖しく光り輝く。
 そのまま刃を手首に当てた。

 ―が。

「また、血を飲むつもり?」
 声をかけられ、ハッと我に返った。
 この声はキシじゃない!
 聞いたことのある、この声はっ…!
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