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結末へ向けて、動き出す真実
しおりを挟むちなみにキシに儀式を見られたのは、この屋上の給水塔の上だった。
この建物の一番上。だから気を抜いてしまっていた。
ジッと見ていると、キシも見上げた。
「思い出の場所ですよねぇ…」
「忌まわしい思い出の、ね」
トゲトゲしく言うも、キシは笑うだけ。
「…それで? 犯人は分かったの?」
「ええ、もちろん」
「うっそ?!」
…実は半信半疑だった。
「まあ…大体は予想通りと言ったところでしょうか。後は証拠を見つけて、自白させるだけですね」
「…できるの?」
「ボク等の為ならば。それにきっと、犯人も見つけてほしいと思っていますよ」
そう言ってキシはアタシを見て、にっこり微笑んだ。
「なのでボクは証拠を見つけてきます。ヒミカはここで待っていてくれませんか?」
「えっ! ここで? アタシも行くわよ!」
「ダメです、危険過ぎます。犯人はアナタの正体を知っているかもしれないんですよ?」
「それだったらキシだって…」
「ボクは独自のルートがありますから、大丈夫です」
…確かにコイツ、そのルートでウチの血族のこと、知ったんだったな。
「だから大人しく、ここで待っててくださいね?」
「…早く帰って来る?」
「陽が沈むまでは、必ず」
そう自身ありげにキシが言ったので、アタシは頷くしかできなかった。
…と考えてみれば、今はもう昼。
残りの時間の潰し方を考えれば、普通に授業に出ることしか思い浮かばなかった。
けれど心ここにあらずで過ごす。
…授業料のムダだな。
深く息を吐いた。
授業が終わると、アタシは教室を出て、屋上へ来た。
例の給水塔の上にハシゴを使ってよじ登り、沈みゆく太陽を見つめた。
ぞくっ…!
背筋が痺れた。
真っ赤な夕日が、血の色を思い出させる。
そしてあの味も口の中によみがえる…!
強烈なノドの渇きを感じる。
ああ…ダメだ。
アタシは懐から、ナイフを取り出した。
銀色の薄い刃が、夕日の赤に照らされ、妖しく光り輝く。
そのまま刃を手首に当てた。
―が。
「また、血を飲むつもり?」
声をかけられ、ハッと我に返った。
この声はキシじゃない!
聞いたことのある、この声はっ…!
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