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彼と僕

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 彼の冷たくキレイな手が、僕の頬に触れる。
「一回目は口の中で、二回目は下の口の中に出すから」
 …二回で済むなら、まだマシか。
 そんな考えをするようになったんだから、僕もたくましくなったもんだ。
 自分で自分を感心しながら、僕はイスに座る彼の前に跪いた。
 ニヤニヤと意地の悪い顔をしている彼のズボンの前を寛げ、まだ萎えている性器を躊躇いも無く口に含んだ。
「んっ…」
 彼のは萎えてても、口に入れるのが大変だ。口の中を唾液を集めて、一気に奥まで銜えた。
「ふっ…。ははっ、上手くなったもんだな」
 頭を撫でられるも、僕は行為を続ける。
 まるでペットが上手く芸を出来たことを喜ぶ主人のような態度は、いつものことだった。
 確かに彼にはいろいろと教わった。良い事も悪い事も。
 今更奉仕することも、躊躇いを感じないぐらい図太くなったし。
 彼の性器は僕の口の中には全部納まらない。だから銜えきれない部分は、両手で扱くしかない。
 舌を竿に絡ませながら、時々強く先端を吸った。筋に添うよう舌を当て、唾液を塗して滑りを良くする。
 すると性器はどんどん膨れ上がる。苦味のある液が口の中に広がると、そろそろイく合図だ。
「はっ…! 出る。ちゃんと飲み込めよ」
 後頭部に回された手が一気に押され、喉の奥まで性器を銜えさせられた。
「んぐっ!」
 先端が舌を伝い、喉の奥へ当たった。けれど歯を立てることも、吐き出すこともできないまま、熱い液体が口の中に放たれた。
「うっ、ぐっ…!」
 頭の上で、紗神が呻く声が降ってくる。流石に彼でも、イく時は無防備な顔になるんだな。
 そんなことを思いながら喉を動かし、彼の放ったモノを飲み込んだ。
 苦さと青臭さに、最初は何度も咳き込んで吐き出した。けれど何度もやらされているうちに、慣れてしまった。
 一通り出されたモノを飲み干すと、髪を掴まれ、顔を上げさせられた。
「げほっ。なっ何?」
「今度は下の方」
 彼の表情が、欲望に満ちる。
 僕は髪を掴まれたまま、机の上にうつ伏せに上半身を載せられた。
 今日は後ろからか。冷静に考えてしまい、再びため息が出た。
 下半身から音がする。紗神が僕のジーンズを下着ごと脱がせたらしい。
 ズッと彼の指が、後ろの穴に入れられる。
「うあっ…!」
 何の滑りも無く入れられたせいで、ピリッと痛みが走る。
 何度も抜き差しされても、濡れるワケじゃない。でも彼によって変えられた体は、少しずつ穴を広げていく。
「このまま突っ込んでも、オレが痛いだけか」
 …前に、何の滑りも無しに入れられたことがあった。
 一人で近所に買い物に行ったら、中学時代の友達と偶然会った。そして一時間ほど、話をして別れて家に帰ると、笑顔で激怒した彼がいた。
 何でこんなに遅くなったのかと、問われた。
 必死で言い訳をしても彼が許すはずも無く、玄関先で無理やり犯された。
 あの後、三日ぐらいまともに動けなかった。
 無理やり貫かれた辛さを知って、僕は出来るだけ彼の怒りに触れないようにしてきた。
 …まあ今みたいな突発性のは、避けられないけど。
 紗神は机の引き出しを開けると、ローションのビンを取り出した。そして蓋を開けると、そのまま後ろの穴に突っ込んできた。
「うわっ!」
 冷たいローションが、直接中に入ってくる。
「急いでいるから、ちょっと我慢しろよ」
 そう言いつつ、ビンを激しく動かした。ちゃぷちゃぷと音がする。
「あぐっ…!」
 机の縁を掴み、冷たさに耐える。
「このぐらいでいいか」
 いきなりビンを引き抜いたかと思うと、熱い塊が入り口に当てられた。
「紗神っ、そんないきなりじゃ…」
「うるさい」
 冷たく言い放つと、そのまま腰を進めてきた。
「あっ、やっ…ムリっ!」
 ぐぐぐっ…と熱の塊が、僕の中に無理やり力強く入ってきた。
「やっ、ああっ!」
 ガタガタッと机が揺れる。
 けれど彼は勢いを止めず、そのまま力づくで全部を納めた。
 あまりに強い衝撃に、僕は目眩がした。息をすることさえ難しく、口でぜぇぜぇと喘いでしまう。
 だけど背筋にゾクゾクっと甘い痺れが走る。繋がれた部分から、快感が生まれる。媚薬のせいだ。一年も経つから慣れるかと思っていたけれど、相変わらずこの強烈な感覚には慣れない。
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