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彼と僕

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 けれどどうしても慣れない感覚に、息が上がる。
「うあっ…あぁ、あっ、はあっ…!」
 侵入してきた紗神は、とても熱くて固い。そして、太かった。
 熱の棒を差し込まれたようだ。
 でも彼の一部だと思うと、不思議とイヤじゃなかった。
「永河の中、とってもあったかくて柔らかい…。気持ちイイな」
 うっとりと気持ち良さそうな紗神の顔を見ると、良かったと思う。
 彼が気持ち良くなってくれるなら…と考えてしまうのだ。
「紗神…」
 だから僕は自然に、彼に向かって両手を伸ばした。
 紗神は笑うと、繋がったまま抱き締めてくれた。
「あうっ!」
 密着度が深まり、より深く彼が入ってくる。
「…ふぅ。全部入った。大丈夫? 永河」
 彼は優しく頭を撫でてくれた。
 だけど僕はぎゅっと抱き着くだけで、答えられなかった。
 自分の中にある彼の熱がたまらなくて、涙が溢れてきた。
「泣くなよ。そんなに辛いのか?」
「辛くはっないけど…」
 思わず下に力が入って、彼自身をぎゅうぎゅう締め付けてしまう。
「っ…! やっぱり最初はキツイか。できるだけ早く終わらせるから、力抜いてくれ」
「どっ努力はする」
「うん、そうして」
 紗神は僕の足を抱え直すと、動き出した。
「あっ、あっ」
 深く突き刺さったまま動かれると、目がチカチカした。
 ずっずっずっと強く突かれ、ベッドも軋む。
 僕は紗神の首に手を回し、匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「すぅ…はぁ」
 …良い匂い。
 体の外も中も、彼で満たされる。
 耐え難い快感に、全ての感覚が麻痺してきた。押しては引く波のような気持ち良さに、何も考えられなくなる。
 繋がった部分から、ぐちゃぐちゃと淫らな音が部屋に響く。
「ああっ、んふぅっ…はぁ、ああっ!」
「良い声…! ますます興奮するね」
 耳元で囁かれた言葉に、背筋がぞくっとした。
 彼にしがみ付いているけれど、激しく下半身を揺さぶられているせいで、何度も手を離しそうになる。
 息もまともにつけない。ただ彼に翻弄されるだけ。
 激しく動く彼の性器が、一回り大きくなった。
「くっ…! 永河、中に出すよ? 良いね?」
「やっ、外に出してよぉ」
 拒否しても、どうせ聞き入れてはくれない。
 彼の動きがよりいっそう早くなる。
「あっあっあっ、はっ、ああっ!」
「永河…永河っ!」
 ぞくぞくっと全身に快感が走る。
 紗神の手が伸び、再び僕の昂ぶりに触れた。腰の動きと同じ速さと強さで扱かれ、体が跳ね上がった。
「あうっ!」
「永河も一緒にイこう?」
 耳元で熱く囁かれる。
 僕はぎゅっと眼をつぶった。
 動きは息ができないほど強くなり、そして…。
「うっ…!」
「ああっ!」
 僕の中にどっと熱い液体が注ぎ込まれる。
 それと同時に、二人のお腹の間に僕の精液が飛び散った。
「うっ、ふぅんっ…。お腹、熱い…」
「うん…。いっぱい出てるからね」
 どくどくとまだ中に注がれている。
 それがたまらなくて、僕は彼にしがみついた。
「…大丈夫? 永河」
「んっ…。何とか…」
 紗神は全て出し終わっても、抜いてくれなかった。
 僕を抱き締めたまま、頭を撫でていた。
 それが気持ち良くて、僕はぼ~っとしていた。
 …彼がよからぬことを考えていることを、何一つ察せず。
「なぁ、永河」
「うん…なに?」
「一緒に暮らさないか?」
「…はい?」
 僕はいきなり現実に戻された。
「互いの家に行ったり来たりもめんどくさいだろう? ここには空き部屋もあるし、二人暮らししよう」
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