1 / 7
転校してきたクラス
しおりを挟む
「刈宮(かりみや)美湖(よしこ)です。これからよろしくお願いします」
ざわざわ…
クラス中がざわめく。
まあ転校生なんて珍しいし、こういう反応は想定内。
けど…何でみんなして、アタシの顔を見て、変な顔をするかなぁ?
まあ中学3年生で転校してくるなんて、よっぽどの理由があるんだろうって思われているんだろうな。
「静かに! それじゃあ刈宮はあの空いている席に」
「はい」
若い担任の男性も、何だか様子がおかしい。
アタシと目を合わせないようにしているのが分かる。
けれど気にせず、アタシは言われた通り、窓際の一番後ろの席に座った。
するとざわめきはよりいっそう大きくなる。
「静かにしないか! 授業を始めるぞ!」
何だか…あんまり歓迎されていないみたい。
アタシはため息をつくと、意識を授業に向けた。
授業は驚くほど静かに進んだ。
今の時代、ヒソヒソ話をする生徒や、何かしている生徒の1人や2人、いてもおかしくないものだけど、ここの生徒達は真面目なんだなぁ。
感心しながら、一時間目の授業終了。
休み時間になると、一定の距離を置きながら、クラスメート達が作り笑いを浮かべてアタシを見た。
「かっ刈宮さん、これからよろしくね」
「分からないことがあれば、何でも聞いてね」
「あっありがとう」
どうやら邪険にされているワケではないので、ほっと一息。
「じゃあ早速だけど、1つ聞いてもいい?」
「なっなに?」
「どうしてアタシ、みんなに怖がられているのかなぁ?」
「えっと…」
「それは…」
ズバリ聞くと、みんな気まずそうに視線を外された。
「似ているんだよ、キミ」
するとメガネをかけた、真面目そうな男子生徒が難しい顔をして答えてくれた。
「似てるって誰に?」
「一ヶ月前、自殺したこのクラスの女子生徒に」
「おっおい!」
「止めなよ!」
口々にクラスメートが止める中、男子生徒は続ける。
「まあ瓜二つってワケじゃないけど、何となく雰囲気が似ているんだ。彼女の席は、ちょうど今キミが座っている席だしね」
「はぁ…。でも自殺って、何が原因で?」
「…詳しくは知らない。でも彼女の家は複雑だったみたいだし、受験ノイローゼじゃないかって言われている」
「遺書とかはなかったの?」
「あっああ…」
今までスラスラしゃべっていた男子生徒は、そろそろ限界らしい。
「ふぅん…。ねっ、その子の名前って何て言うの?」
「篠原(しのはら)…紅海(くうみ)」
「へぇ。他人の空似かしらね?」
「たっ多分、な」
そう言うとついに耐え切れなくなったのか、向こうへ行ってしまった。
その後はまあ無事に(?)過ごせた。
空気が重くなったのは、5時間目の体育の時だった。
女子は体育館でバスケットボール。
男子は校庭でマラソンをしていた。
しかし授業中に、校庭の方から大きな音と悲鳴が響いてきた。
「なっ何?」
驚いて数名の女の子達と共に、外に出た。
すると数人の男子生徒が倒れていた。
そして校庭には大きく長い木製の棒が倒れていた。
「『みぃ』よ…!」
「『みぃ』の祟りだわ!」
「はっ? 『みぃ』?」
校庭の様子を見て、女子生徒達は口々にそう言った。
顔を不安そうに歪めながら。
「『みぃ』って何? ネコ?」
「違う…。『みぃ』は篠原さんの守護天使なの」
「はあ?」
そこで体育の先生に呼ばれ、会話は終わってしまった。
けれど6時間目の自習時間に、詳しいことを聞けた。
「篠原さんってね。明るくて良いコだったんだけど、時々変なことを言ってたの」
「それが『みぃ』という存在。何でも『みぃ』は篠原さんの守護天使で、守ってくれる存在なんだって」
「でも彼女は死んじゃったから…『みぃ』が祟っているんじゃないかって噂が流れているの」
ざわざわ…
クラス中がざわめく。
まあ転校生なんて珍しいし、こういう反応は想定内。
けど…何でみんなして、アタシの顔を見て、変な顔をするかなぁ?
まあ中学3年生で転校してくるなんて、よっぽどの理由があるんだろうって思われているんだろうな。
「静かに! それじゃあ刈宮はあの空いている席に」
「はい」
若い担任の男性も、何だか様子がおかしい。
アタシと目を合わせないようにしているのが分かる。
けれど気にせず、アタシは言われた通り、窓際の一番後ろの席に座った。
するとざわめきはよりいっそう大きくなる。
「静かにしないか! 授業を始めるぞ!」
何だか…あんまり歓迎されていないみたい。
アタシはため息をつくと、意識を授業に向けた。
授業は驚くほど静かに進んだ。
今の時代、ヒソヒソ話をする生徒や、何かしている生徒の1人や2人、いてもおかしくないものだけど、ここの生徒達は真面目なんだなぁ。
感心しながら、一時間目の授業終了。
休み時間になると、一定の距離を置きながら、クラスメート達が作り笑いを浮かべてアタシを見た。
「かっ刈宮さん、これからよろしくね」
「分からないことがあれば、何でも聞いてね」
「あっありがとう」
どうやら邪険にされているワケではないので、ほっと一息。
「じゃあ早速だけど、1つ聞いてもいい?」
「なっなに?」
「どうしてアタシ、みんなに怖がられているのかなぁ?」
「えっと…」
「それは…」
ズバリ聞くと、みんな気まずそうに視線を外された。
「似ているんだよ、キミ」
するとメガネをかけた、真面目そうな男子生徒が難しい顔をして答えてくれた。
「似てるって誰に?」
「一ヶ月前、自殺したこのクラスの女子生徒に」
「おっおい!」
「止めなよ!」
口々にクラスメートが止める中、男子生徒は続ける。
「まあ瓜二つってワケじゃないけど、何となく雰囲気が似ているんだ。彼女の席は、ちょうど今キミが座っている席だしね」
「はぁ…。でも自殺って、何が原因で?」
「…詳しくは知らない。でも彼女の家は複雑だったみたいだし、受験ノイローゼじゃないかって言われている」
「遺書とかはなかったの?」
「あっああ…」
今までスラスラしゃべっていた男子生徒は、そろそろ限界らしい。
「ふぅん…。ねっ、その子の名前って何て言うの?」
「篠原(しのはら)…紅海(くうみ)」
「へぇ。他人の空似かしらね?」
「たっ多分、な」
そう言うとついに耐え切れなくなったのか、向こうへ行ってしまった。
その後はまあ無事に(?)過ごせた。
空気が重くなったのは、5時間目の体育の時だった。
女子は体育館でバスケットボール。
男子は校庭でマラソンをしていた。
しかし授業中に、校庭の方から大きな音と悲鳴が響いてきた。
「なっ何?」
驚いて数名の女の子達と共に、外に出た。
すると数人の男子生徒が倒れていた。
そして校庭には大きく長い木製の棒が倒れていた。
「『みぃ』よ…!」
「『みぃ』の祟りだわ!」
「はっ? 『みぃ』?」
校庭の様子を見て、女子生徒達は口々にそう言った。
顔を不安そうに歪めながら。
「『みぃ』って何? ネコ?」
「違う…。『みぃ』は篠原さんの守護天使なの」
「はあ?」
そこで体育の先生に呼ばれ、会話は終わってしまった。
けれど6時間目の自習時間に、詳しいことを聞けた。
「篠原さんってね。明るくて良いコだったんだけど、時々変なことを言ってたの」
「それが『みぃ』という存在。何でも『みぃ』は篠原さんの守護天使で、守ってくれる存在なんだって」
「でも彼女は死んじゃったから…『みぃ』が祟っているんじゃないかって噂が流れているの」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
出会いの高速道路
hosimure
ホラー
俺は仕事上、高速道路をよく使っていた。
だがある日、同僚から高速道路に現れる女の子の幽霊について聞いた。
信じていなかった俺だが、ある夜、高速道路を1人であるく女の子の姿を見つけてしまい…。
オマジナイ【マカシリーズ・9】
hosimure
ホラー
オマジナイは「御呪い」。
その意味は、神仏その他不可思議なものの威力を借りて、災いや病気などを起こしたり、また除いたりする術。
毒にも薬にもなる呪法こそが、オマジナイ。
光輪学院シリーズ・神無月の憂鬱
hosimure
ホラー
【光輪学院高等部・『オカルト研究部』】から、神無月を主人公にしたお話です。
部活動を無事に終えた神無月。
しかし<言霊>使いの彼女には、常に非日常が追いかけてくる。
それは家の中にいても同じで…。
誘いの動画【マカシリーズ・22】
hosimure
ホラー
ケータイにまつわる都市伝説は数多い。
オレの周囲でも最近、ケータイの都市伝説がウワサになって、流行っている。
とあるサイトからダウンロードできる動画がある。
しかしその動画には、不思議な魅力があり、魅入られた人間は…。
【マカシリーズ】になります。
支配者【マカシリーズ・7】
hosimure
ホラー
わたしは今、小学5年生。
名前をルナって言います♪
自分ではフツーの女の子だと思っているんだけど、みんなには「にぶい」ってよく言われる。
確かに、自分のクラスの支配者を気付いていなかったのは、わたしだけだったみたい!
でも…本当に支配しているのは、誰かしら?
さまざまな結婚式【マカシリーズ・15】
hosimure
ホラー
読者の皆様、はじめまして。
わたくし、結婚アドバイザーのルミと申します。
いつもは普通の結婚式も担当いたしますが、わたしにだけ扱える、結婚式というものがございます。
その仕事内容、ご覧になってみますか?
チェーンメール【マカシリーズ・8】
hosimure
ホラー
私の周囲の学生達は皆、チェーンメールに怯えています。
いつの頃か、学生限定で送られてくるメール。
他の人に送ると、自動的に消えるメール。
いつまでもケータイに残しておくと…。
マスク・ドール【マカシリーズ・14】
hosimure
ホラー
夜遅く、女性が1人で歩いていると、襲われます。
女性は顔をそぎ取られ、絶命してしまいます。
なのでくれぐれも深夜遅く、1人では歩かないでくださいね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる