恐怖の感染連鎖

hosimure

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転校してきたクラス

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「刈宮(かりみや)美湖(よしこ)です。これからよろしくお願いします」

ざわざわ…

クラス中がざわめく。

まあ転校生なんて珍しいし、こういう反応は想定内。

けど…何でみんなして、アタシの顔を見て、変な顔をするかなぁ?

まあ中学3年生で転校してくるなんて、よっぽどの理由があるんだろうって思われているんだろうな。

「静かに! それじゃあ刈宮はあの空いている席に」

「はい」

若い担任の男性も、何だか様子がおかしい。

アタシと目を合わせないようにしているのが分かる。

けれど気にせず、アタシは言われた通り、窓際の一番後ろの席に座った。

するとざわめきはよりいっそう大きくなる。

「静かにしないか! 授業を始めるぞ!」 

何だか…あんまり歓迎されていないみたい。

アタシはため息をつくと、意識を授業に向けた。

授業は驚くほど静かに進んだ。

今の時代、ヒソヒソ話をする生徒や、何かしている生徒の1人や2人、いてもおかしくないものだけど、ここの生徒達は真面目なんだなぁ。

感心しながら、一時間目の授業終了。

休み時間になると、一定の距離を置きながら、クラスメート達が作り笑いを浮かべてアタシを見た。

「かっ刈宮さん、これからよろしくね」

「分からないことがあれば、何でも聞いてね」

「あっありがとう」

どうやら邪険にされているワケではないので、ほっと一息。

「じゃあ早速だけど、1つ聞いてもいい?」

「なっなに?」

「どうしてアタシ、みんなに怖がられているのかなぁ?」 

「えっと…」

「それは…」

ズバリ聞くと、みんな気まずそうに視線を外された。

「似ているんだよ、キミ」

するとメガネをかけた、真面目そうな男子生徒が難しい顔をして答えてくれた。

「似てるって誰に?」

「一ヶ月前、自殺したこのクラスの女子生徒に」

「おっおい!」

「止めなよ!」

口々にクラスメートが止める中、男子生徒は続ける。

「まあ瓜二つってワケじゃないけど、何となく雰囲気が似ているんだ。彼女の席は、ちょうど今キミが座っている席だしね」

「はぁ…。でも自殺って、何が原因で?」

「…詳しくは知らない。でも彼女の家は複雑だったみたいだし、受験ノイローゼじゃないかって言われている」

「遺書とかはなかったの?」

「あっああ…」 

今までスラスラしゃべっていた男子生徒は、そろそろ限界らしい。

「ふぅん…。ねっ、その子の名前って何て言うの?」

「篠原(しのはら)…紅海(くうみ)」

「へぇ。他人の空似かしらね?」

「たっ多分、な」

そう言うとついに耐え切れなくなったのか、向こうへ行ってしまった。

その後はまあ無事に(?)過ごせた。

空気が重くなったのは、5時間目の体育の時だった。

女子は体育館でバスケットボール。

男子は校庭でマラソンをしていた。

しかし授業中に、校庭の方から大きな音と悲鳴が響いてきた。

「なっ何?」

驚いて数名の女の子達と共に、外に出た。

すると数人の男子生徒が倒れていた。

そして校庭には大きく長い木製の棒が倒れていた。

「『みぃ』よ…!」

「『みぃ』の祟りだわ!」

「はっ? 『みぃ』?」

校庭の様子を見て、女子生徒達は口々にそう言った。

顔を不安そうに歪めながら。

「『みぃ』って何? ネコ?」

「違う…。『みぃ』は篠原さんの守護天使なの」

「はあ?」

そこで体育の先生に呼ばれ、会話は終わってしまった。

けれど6時間目の自習時間に、詳しいことを聞けた。

「篠原さんってね。明るくて良いコだったんだけど、時々変なことを言ってたの」

「それが『みぃ』という存在。何でも『みぃ』は篠原さんの守護天使で、守ってくれる存在なんだって」

「でも彼女は死んじゃったから…『みぃ』が祟っているんじゃないかって噂が流れているの」
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