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九曜/廃墟の怪談
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昔、廃墟は寮だった。
三階建ての木造建築。中央階段から左右に男子寮と女子寮に分かれていた。
元々選ばれた者・優れている者しか入学できなかった光輪学院には、さまざまな思いに満ち溢れていた。
特に親元を離れ、一人寂しく学院へ来た者は尚更だった。
故郷の期待を背負って来ているので、友達など作らずいつも一人で寮にこもり、勉強をしていた。
お互いというより、全員がライバルで敵。
そう思い込んだ生徒達の念がふくらみ、空間を歪めるほどになった。
空間はやがて、生徒達を飲み込み始めた。
気付けば数人もの生徒の姿が消えていた。
当時のオカルト研究部こと封話部の部員の一人が、神道系の血筋の者であった。
空間の歪みを、異なる空間に封印した。
しかし歪みの空間と、現実の空間は断ち切れなかった。
現実の歪みの念は、随時、異空間の歪みへと力を注ぐような形となってしまった。
そのせいか、寮では年に一人は生徒が消えてしまう。
そのことを危惧した理事長達は、新たな場所に寮を建て、この建物ごと封印することを決めた。
そして寮には誰も近寄らず、廃墟となった。
――廃墟となった建物に近付くものは、別空間へと移動してしまう。
そんなウワサが学院にあった。
三階建ての木造建築。中央階段から左右に男子寮と女子寮に分かれていた。
元々選ばれた者・優れている者しか入学できなかった光輪学院には、さまざまな思いに満ち溢れていた。
特に親元を離れ、一人寂しく学院へ来た者は尚更だった。
故郷の期待を背負って来ているので、友達など作らずいつも一人で寮にこもり、勉強をしていた。
お互いというより、全員がライバルで敵。
そう思い込んだ生徒達の念がふくらみ、空間を歪めるほどになった。
空間はやがて、生徒達を飲み込み始めた。
気付けば数人もの生徒の姿が消えていた。
当時のオカルト研究部こと封話部の部員の一人が、神道系の血筋の者であった。
空間の歪みを、異なる空間に封印した。
しかし歪みの空間と、現実の空間は断ち切れなかった。
現実の歪みの念は、随時、異空間の歪みへと力を注ぐような形となってしまった。
そのせいか、寮では年に一人は生徒が消えてしまう。
そのことを危惧した理事長達は、新たな場所に寮を建て、この建物ごと封印することを決めた。
そして寮には誰も近寄らず、廃墟となった。
――廃墟となった建物に近付くものは、別空間へと移動してしまう。
そんなウワサが学院にあった。
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