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結論

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 全てを聞き終えたマカは、複雑な顔をした。
「…何だかお前の商品と似てないか?」
「とんでもない! 私の商品は自己責任・自己負担が主流です。売り手と買い手の取り引きだけで、第三者が関わることは決してありえません。特に今回は第三者は死人ですよ? 私の扱える範疇を越えています」
 店主が慌てて否定するも、マカは疑わしそうに見た。
「まっ、お前のとこの商品はともかくだな」
「ひどっ…」
「問題は誰が、だ。そんなもの、どこで必要とする?」
「そうですねぇ。一般的に言えば、呪術の範囲ですから、そちら関係かと」
「呪術か…。しかしその人形、使う方のリスクも高いが、同時に扱う者も高いリスクがつきそうだな」
 店主は店内を見回し、頷いた。
「確かに。こういう特別なモノは取り扱う方にも注意が必要になりますからね」
「そんなリスクを背負ってまで、やりたいこととは何か…」
「ねっ、厄介どころではないでしょう?」
「まあな。だがほおっておくワケにもいかん。一般の人間の目にまで触れる始末、扱っている者の気がしれんな」
「そう…ですね。しかしこんな騒ぎを起こしてまで成したいことはなんでしょうね?」
「お前のように商品売買目的か…。あるいは本当に呪術者としての能力を上げる為か。…そう言えば、依頼してきた者の名は聞けなかったのか?」
「へっ?」
 店主が明らかに動揺した。
 そんな店主を、マカは胡散臭げに見つめた。
「…知っている者か?」
「ええっとですね…」
 言い辛そうに向こうを向いた店主の顔を掴み、間近で睨み付ける。
「誰だ?」
「ううっ…」
 店主は青い顔で、呟いた。
「…マサキさん、です」

 ……………。

「はああああっ?!」



 マカは足音高く、とあるビルの廊下を歩いていた。
 オフィス事務所に入ると、スーツ姿の社員達がマカを見て、笑顔で頭を下げる。
「あら、お嬢様」
「マカさん、お久し振りです」
「社長なら私室の方で休憩中ですよ」
「すまんな。ちょっと借りるぞ」
 奥の社長室をノックも無しに明けて、そしてそのまた奥の扉も開け放つ。
「マサキっ!」
 文字通り怒鳴り込むと、中にいた中年の男性が眼を丸くした。
「マカ…。会社に怒鳴り込んでくるとはどうしたんだい? お小遣いが欲しくなった?」
 部屋の中心のベッドに寝転び、テレビを見ていたマサキはあくまでも笑顔。
 だがマカは殺気立っている。
 どかどか中に進み、首を掴んだ。
「言えっ! どこのバカ女に言われて、あんなモノを作らせた?」
「バカ女? モノって何?」
 きょとんとしているマサキの首を、力の限り握り締めた。 
「あはは、苦しいよマカ。激しい親子愛だね」
「黙れっ! お前と血のつながりがあると思うだけで身の毛がよだつわっ!」
「まあまあ。それよりちゃんと話してみてよ。全然分からないんだから」
 ぴたっとマカの動きが止まった。
 二人の面影は良く似ていた。
 それもそのはず、マカとマサキは実の父と娘。
 そして店主はマサキの兄の長男になる。
「…死者をよみがえらせる人形を作らせただろ? 誰に言われてそんなモノを作らせた?」
 マカは低い声で、短く問い掛けた。
 マサキはしばし「う~ん…」と唸りながら考え、「ああ」と思い出した。
「例の人形か…」
 口の中で呟き、ふと真剣な表情になる。 
「やっぱり貴様が元凶か」
「マカ、将来私立探偵にでもなったら? 向いていると思うよ」
「嫌味な進言だな。私の将来はすでに決まっている」
 苦笑し、マサキはマカの腕を軽く叩いた。
「言い訳、聞いてくれると嬉しいな」
「このふざけた状況を打破するヒントをくれるのならな」
 渋い顔で言いつつ、マカはベッドからおりた。
「打破、ねぇ…」
 マサキは首を撫でながらベッドをおりる。そしてソファとテーブルのセットの所へ移動した。
「何か飲むかい?」
「オレンジティーとケーキ。イチゴとレアチーズ」
「はいはい」
 室内の電話を使い、マサキは言われた通りのものとコーヒーを注文した。
 数分後、秘書の一人が注文のものを持ってきた。
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