光輪学院シリーズ・神無月の憂鬱

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神無月の休日

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今日は学校は休み。

そして部活も休み。

神無月はゆっくりと眠った後、朝8時に起床した。

起きて茶の間に行くと、和服姿の神無月の祖母がいた。

「おはようさん、お嬢。ずいぶんゆっくり寝ていたわね」

「休みですから。若いからこそ、睡眠が必要なのよ。お婆」

浴衣姿の神無月は素っ気無く言うと、祖母が準備してくれた朝食を食べ始めた。

今日の朝食はご飯、ワカメとお麩のお味噌汁、きゅうりとなすの漬物、そして塩鮭という和食だ。

神無月の実家は純和風の大きな邸。

実家の敷地内には神社があり、地元では有名だった。

「お婆、今日も習字教室あるの?」

「ええ。手伝ってくれる?」

「分かった。アイス奢ってね」

「あんみつ作ってあげるわ」

「生クリームいっぱい乗せてね」

「はいはい」

朝食を食べ終えると、神無月は背伸びをした。

「んっん~! 夏休み始まりはゆっくりできていいなぁ」

「八月は忙しいからね」

「はいはい」

祖母は神主を引退し、今は習字教室を実家で開き、先生をしていた。

今は神無月の父が神主をしている。

八月になると、神社はお祭りや行事で目まぐるしくなる。

神無月も神社の跡継ぎとして、そして巫女として忙しい日々を送ることになる。

「あ~。この間、部活で思いっきり<言霊>を使った疲れがまだ残っているなぁ」

ゴキゴキと首を鳴らし、神無月は眉をひそめた。

「あの学校、まだ終わらないんだねぇ」

「お婆の時も、そうだったの?」

「ええ。わたしもまた、封話部だったからね」

今ではオカルト研究部と言われているが、一昔前までは封話部と呼ばれていた。

白い髪をきつく頭の上で束ね、メガネをかけている神無月の祖母は、今では力が弱まってしまったが、かつての<言霊>使いだった。

神無月の血筋は代々<言霊>使いが多く生まれる。

それゆえに神社が建ち、神無月の血筋の者は神社を継ぐ立場となる。

しかし現代ではほとんど強い<言霊>使いは生まれず、この神社でも能力者は祖母と神無月の二人だけになってしまっている。

祖母はそれでも、習字という手段で<言霊>の力を発揮する術を見つけた。

おかげで祖母の習字教室は子供から大人まで、多くの人間が学びに来る。

そんな祖母もかつては光輪学院の卒業生。

そして封話部の<言霊>使いとして、かの封印にも携わった。

封印には<言霊>使いが必要―。

そう学院の理事長から言われ、代々子孫達は光輪学院に入学しているのだ。
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