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…しかし少女にとっては、予想もつかないことが、身近に起こっていた。
いつも通りオマジナイを終えた少女は、残り1日であることから、気を抜いていた。
物陰から、先輩が自分のオマジナイをしている姿を見ていることを気付かず―。
教室を出て行った。
そして物陰から、先輩は出てきた。
女の子の机を手で触れ、僅かに険しい表情をする。
―そして44日目。
少女よりも早く、先輩は学校に来ていた。
やがて女の子が教室へと近付く中、先輩は先に少女の机の前に来ていた。
先輩の目には、ドス黒く、紫がかかったモヤが映っていた。
モヤは机を取り囲むようにして、蠢いていた。
今日、この嫉妬と殺意の気に触れれば、間違いなく女の子は命を落とす―。
それだけは、避けたかった。
だから―マカは手に『気』を込めた。
少女が教室のドアに手を触れた。
―そして、『気』を込めた手で、机を叩いた。
バンッ!
「ぐあっ…!」
少女は目を開き、ノドを掻き毟った。
大きく見開いた目、そして鼻に耳、口から大量の血が溢れてくる。
「あがっ、ぐふぅっ!」
少女の体から、一気に血液が流れる。
やがて、少女の体は床に倒れた。
しぼんだ体は冷たく、硬くなった。
マカはその様子をドア一枚向こうで、全て感じ取っていた。
目を閉じ、ゆっくりと手を離す。
机を取り巻いていたモヤは、すでに消え去っていた。
「…すまん、な」
このままではマカは親友のミナを失っていた。
だから少女との命を天秤にかけ、ミナを…選んだ。
モヤを…このマジナイを『気』で払えば、行った本人の命が失うことを分かっていて…それでも選ばざるおえなかった。
少女が倒れているドアとは反対のドアから、教室を出た。
冷たくなった少女を見て、けれどすぐにマカは反対方向へ歩き出した。
―その光景を、屋上からリリスが見ていた。
「ふぅん…。先輩って、彼女のことだったの。まっ、彼女の正体を確認できただけでも、役に立ったわね」
リリスの目には、マカの険しい顔しか映っていなかった。
学校内で死体が出た、と言うことで学校はしばらく休みになった。
事件が冷め始めてから登校してきた生徒達の間には、それでも不穏な空気が流れていた。
少女の死に方が、あまりに異常だったからだ。
しかしその中でも、普段と変わらない顔をしている者もいた。
リリスとマカだ。
マカはミナを教室に残し、少女の教室を訪れた。
花を供えられた机の前に来ると、手を合わせて目を閉じた。
そしてすぐに教室を出ようとした時、教室に入ろうとしていたリリスとすれ違った。
ぞわっ…!
その途端、マカの全身に悪寒が走った。
慌てて振り返るも、リリスはそのまま自分の席へと行ってしまう。
いつも通りオマジナイを終えた少女は、残り1日であることから、気を抜いていた。
物陰から、先輩が自分のオマジナイをしている姿を見ていることを気付かず―。
教室を出て行った。
そして物陰から、先輩は出てきた。
女の子の机を手で触れ、僅かに険しい表情をする。
―そして44日目。
少女よりも早く、先輩は学校に来ていた。
やがて女の子が教室へと近付く中、先輩は先に少女の机の前に来ていた。
先輩の目には、ドス黒く、紫がかかったモヤが映っていた。
モヤは机を取り囲むようにして、蠢いていた。
今日、この嫉妬と殺意の気に触れれば、間違いなく女の子は命を落とす―。
それだけは、避けたかった。
だから―マカは手に『気』を込めた。
少女が教室のドアに手を触れた。
―そして、『気』を込めた手で、机を叩いた。
バンッ!
「ぐあっ…!」
少女は目を開き、ノドを掻き毟った。
大きく見開いた目、そして鼻に耳、口から大量の血が溢れてくる。
「あがっ、ぐふぅっ!」
少女の体から、一気に血液が流れる。
やがて、少女の体は床に倒れた。
しぼんだ体は冷たく、硬くなった。
マカはその様子をドア一枚向こうで、全て感じ取っていた。
目を閉じ、ゆっくりと手を離す。
机を取り巻いていたモヤは、すでに消え去っていた。
「…すまん、な」
このままではマカは親友のミナを失っていた。
だから少女との命を天秤にかけ、ミナを…選んだ。
モヤを…このマジナイを『気』で払えば、行った本人の命が失うことを分かっていて…それでも選ばざるおえなかった。
少女が倒れているドアとは反対のドアから、教室を出た。
冷たくなった少女を見て、けれどすぐにマカは反対方向へ歩き出した。
―その光景を、屋上からリリスが見ていた。
「ふぅん…。先輩って、彼女のことだったの。まっ、彼女の正体を確認できただけでも、役に立ったわね」
リリスの目には、マカの険しい顔しか映っていなかった。
学校内で死体が出た、と言うことで学校はしばらく休みになった。
事件が冷め始めてから登校してきた生徒達の間には、それでも不穏な空気が流れていた。
少女の死に方が、あまりに異常だったからだ。
しかしその中でも、普段と変わらない顔をしている者もいた。
リリスとマカだ。
マカはミナを教室に残し、少女の教室を訪れた。
花を供えられた机の前に来ると、手を合わせて目を閉じた。
そしてすぐに教室を出ようとした時、教室に入ろうとしていたリリスとすれ違った。
ぞわっ…!
その途端、マカの全身に悪寒が走った。
慌てて振り返るも、リリスはそのまま自分の席へと行ってしまう。
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