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8年ぶりの再会

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「ふふっ。濃いのがいっぱい出たね」
 彼は笑いながら、腹に飛び散った白い液体を指ですくい、擦る。
「なぁっ!」
「じゃあ次は僕の番だね」
 いきなり両腕を掴まれ、上半身を起こされた。
「えっ、えっ?」
 訳が分からず眼を丸くする俺の前で、彼は膝を立てて腰を浮かした。
 すると彼の欲望が目の前にっ!
「かっ櫂都さんっ?」
 整った顔立ちと反して、こっちはあまりに男として立派だった。
 …別の意味で顔が熱くなる。
「銜えて」
「…へっ?」
 突然の言葉に、今度は頭の中が白くなった。
「空耶くんの口で、銜えて」
「………」
 返す言葉が、見つからなかった。
 彼は笑みを浮かべているものの、まとう空気から本気ということは読み取れる。
 つまり、目の前の、コレを、銜えろと…。
 …しかも拒否したら、無理やり口の中にねじ込んできそうだ。
 自分の意思があるか・ないかの違いで、やることは避けられないだろう。
 それならまだ、自分の意思がある方が良い。
 俺は半勃ちの彼の熱を両手で掴んだ。
 ずしっと重みを感じ、少し顔が歪んでしまう。
「あの、先に言っておきたいんですが…」
「ん? なに?」
「…全部は入りませんからね」
「やってみなくちゃ分からないだろう?」
「ひっ…!」
 喉の奥から短い悲鳴が出てしまった。
 この人…絶対に入れる気だ。
「どっ努力はします…」
「頑張って」
 いきなり突っ込まれないように、もたついている暇はない。
 口を開き、喉の奥を開くように舌を出した。
「んっむ…」
 裏筋に舌を這わせ、ゆっくりと口の中に入れていく。
 はじめて感じる自分以外のオスの匂いと食感に、軽く目眩を覚える。
 半分ほどで一旦止まり、口の中の唾液を欲望に塗り込める。
 そして喉の奥を閉じないように、少しずつ根元まで銜えた。
「ああ…良い眺めだ」
 彼はうっとりした声で、俺の頭を撫でた。
 それがとても気持ち良くて、喉を開いて更に銜え込む。
「やればできるんじゃないか。良いコ良いコ」
「んんっ、ぐっ」
 舌を伸ばしているせいで、唾液が口の端から流れ落ちる。
 顎も口も痛くなるほど、彼の欲望は膨れ上がっていた。
「後は口の中に出し入れして、僕を気持ち良くさせて」
「ふぁい…」
 とりあえず半分ほどまで抜くと、口の中が楽になった。
 …完全に主導権を握られている。
 でも逆らえない。
 彼が好きだから。
 ようやく体ごと、俺の方を向いてくれているのだから、彼の機嫌を損なうことはしたくない。
 ……というか、できない。
 恐ろしくて。
 深く息を吐くと、俺は頭を動かしはじめた。
「んっんっ。ふっ、んふぅっ…!」
 口を窄め、口の中全体で彼を愛撫する。
 時には喉の奥まで銜え込み、舌を絡ませ、彼の熱を味わった。
「はじめてにしては上手だね」
 彼は俺の髪の間に指を入れ、熱っぽい眼で見下ろしている。
「それだけ僕のこと、求めていると思って良いのかな?」
 口の中は彼の熱でいっぱいだったから、言葉では返事ができない。
 代わりに行為を激しくすることで、答えた。
「…ふふっ、そうなんだ。そんなに僕が好きなんだ」
 彼の声に、喜びと淫靡な色が滲む。
 彼の欲望もしっかりと熱を持ち、勃ち上がっているのが嬉しかった。
 俺のしていることで彼が気持ちよくなってくれるのならと、一心不乱に愛撫を続けた。
「はぁ…。もうそろそろいいよ」
 でもまだイかないまま、彼は腰を引いて欲望を出させた。
「えっ、でも…」
 俺の口からは唾液と、彼の先走りの蜜が流れる。
「イく時は下の方の口で、ね?」
 それってやっぱり…そう、なんだろうな。
 途方に暮れている間に肩を掴まれ、ベッドに押し倒された。
 そして足を大きく開かされ、膝をまげられる。
 下半身が丸見えだが、もう後には引けない。
 彼は太ももに手を添えると、そのまま顔を下げてきた。
 何をするつもりなんだろうと見ていた俺の眼に映ったのは、彼が窪みに舌を這わせているところだった。
「かっ櫂都さんっ? 何をっ…」
「だってココ濡らさなかったら、痛い目見るよ?」
 …彼が言うと、何でこうも現実味があるんだろう?
「だから、大人しくしててね?」
 にっこりと微笑みを浮かべる彼を見て、俺は硬直し、そのまま枕に頭を落とした。
 …逆らえない。
 彼は唾液に濡れた舌を、再び窪みに当てる。
 ぴちゃっ…という水音に、耳を塞ぎたくなってしまう。
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