【R18+BL】SUN

hosimure

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小学生(柚季-ゆずき-)×芸術家(美園-みその-)

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「ねぇ、柚季くん。ボクらとサッカーしない?」

クラスメートの男子生徒三人組が、サッカーボールを持ちながらオレに声をかける。

「―悪い。あんまサッカー好きじゃないんだ」

「そっそっか」

「じゃあまた明日ね」

「ああ」

三人は肩を落としたが、そのまま教室を出て行った。

「はあ…」

教室に残っているクラスメート達の視線が煩わしくて、オレはランドセルを背負うと足早に教室を出た。

この街に引っ越してきて二週間が経った。

父親が転勤族で、物心ついた時には全国をあっちこっち移動していた。

けれど三ヶ月前、海外へ出張することが決まった。

期間は三年、しかし海外へオレを連れて行くことを躊躇った親父は、実家の両親-オレにとっては父方の祖父母の家に預けることにした。

祖父母は元気で、とてもオレのことを可愛がってくれる。

この街も田舎と言えばそうだが、住み心地は良かった。

住宅地の側には森林公園や山があり、空気のキレイな所は景色もキレイなんだと、オレは改めて実感した。

…けれどオレの方に問題があった。

幼い頃から転校ばかり繰り返してきたせいか、友達の作り方を忘れてしまった。

いつも仲良くなった友達ができても、すぐに引っ越しで離ればなれになってしまう。

だから適度な人付き合いしかしてこなかった。

けれど今回ばかりは話が違う。

3年後、両親は海外から帰ってきたら、この街に腰を下ろすことを決めた。

幸いにも街中に親父の勤めている会社の支社があり、その申し出を会社は受け入れたらしい。

なのでここでは友達を作った方が良いんだろうが…。

「…何かガキっぽいのばっかなんだよな」

いや、オレもガキなのは分かっていた。

今だって黒いTシャツに、黒のハーフパンツを着て、黒いランドセルを背負っている。

どっからどう見たって、小学生の子供だ。

まあもっとも、来年には中学生になるんだが…。

「だから余計にこの歳で友達ゼロはマズイよなぁ」

環境のせいか、歳の割に冷めた考えの持ち主になってしまっていたのだ。

家に帰れば祖父母が学校のことを尋ねてくる。

友達を作るキッカケは、やっぱり一緒に過ごすことだろう。

遊びでも勉強でも良い。

何かを一緒にやれば、心を開けるかもしれない…のに。

オレは足を止め、家に帰るのとは逆方向を見た。

そっちは山に続く道。

うっそうと生えた木々が、先の道を隠してしまっている。

オレは周囲を見回し、誰もいないことを確認してから、そっちの道へと駆けた。

本当は禁止されていた。

こっちの道を歩くことは。

理由はあった。

この道の先には、山の中に一軒、家があるのだ。

家と言っても古びた洋館で、子供達の間ではオバケ邸と言われている。

けれど大人達の間では、あまり良くない評判の住人が住んでいるという。
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