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甘々なキス・14
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普通、恋人のキスと言うのは唇にするはず…よね?
なのにたった一ヶ月前から付き合い始めた彼は、アタシにキスする場所は唇以外の場所。
「なあ、キスして良いか?」
「えっ? …うん、まあ良いけど」
今はアタシの部屋で、彼と二人っきり。
まったりのんびりした雰囲気を出していた。
けれど彼はアタシを後ろから抱きしめていて、その唇が触れているのは首筋。
「ヤダ、ちょっと。くすぐったい」
「ん~。じゃあここは?」
次にアタシの手首を掴んで、何故か甘噛み。
…確かにくすぐったくはないんだけどね。
そして頬、耳、また首といくけれど、唇には触れてこない。
何でだろう?
「ねっねえ」
「何だ?」
「何でその…唇にキス、してくれないの?」
ううっ…! 女の子から言うと、恥ずかしい。
まるで誘っているみたいに、聞こえるだろうな。
すると後ろの彼は、ニヤっと意地悪な笑みを浮かべる。
「唇にしてほしいのか?」
「と言うより、何で唇以外なのか知りたいの!」
ちょっと見た目が怖い彼は、けれどアタシをとても優しくしてくれる。
あんまり口数も多くないけれど、一緒にいて安らぐ人。
彼がアタシに好意を抱いていることに気付いたアタシは、何となく彼を意識するようになった。
そしてそれとなーく、付き合わないかと言ってみたら、やっぱりOKだった。
それは素直に嬉しいんだけど…。
恋人となってから、彼が言うキスとはずっと唇以外の体の場所。
いや、別に良いんだけどね。
キスされるたびに、彼に大事にされているのを感じるし。
周囲にいる友達は、恋人ができるとあまり間もなく深い仲になってしまうらしい。
キスなんて、恋人になってすぐにしてしまうコも多い。
だからこそ、彼のキスはとても大切なものには思えるんだけど…。
「お前さ、キスと言えば唇だけだと思ってる?」
「そんなことはないわよ。頬でも手でも、キスはキスでしょ?」
彼の唇が体に触れるたびに、くすぐったいけれど甘いしびれを感じる。
それはきっと、唇だろうが体だろうが同じ。
だってキスしているのは、アタシの大好きな彼なんだもん。
まっまあだから、彼が唇にキスするのが嫌ならば、別にそれでも構わないんだけど…。
「キスする場所に意味があるの、知っているか?」
「へっ? …あっ、何となくは」
確か22ヶ所ぐらい、キスの意味がある体の場所があるみたい。
日本ではあまり馴染みがないけれど、外国では結構知られているみたいで…。
「って言うか、あなたは知っているの?」
「昔通っていた幼稚園が、そういうのを教えてくれたからな」
…まず日本系ではないだろう。
「首筋は執着、手首は欲望、頬は厚意、耳は誘惑ってな」
彼は言いながら、同じ場所に口付けていく。
なっ何かとんでもない言葉ばかり飛び出てくるけれど…。
もしかしたら、コレが彼のアタシへのメッセージなんだろうか?
口数少ない彼が自分の気持ちを伝える方法として、キスを選んだのならば…理解できる。
でもやっぱり理解できないことが、一つあった。
「…じゃあ、唇にするキスの意味は?」
顔だけ振り返って彼の顔を真っ直ぐに見ると、今度はあたたかな笑みを浮かべる。
そして静かにゆっくりと、唇にキスをされた。
「唇はもちろん、愛情だ」
「じゃあ何で今までしなかったの?」
「そりゃあもちろん…」
そこで彼は言いつまった。
眼をウロウロと泳がせて、顔色が僅かに赤くなる。
アレ? これってもしかして…。
「恥ずかしかった、の?」
アタシが先に言うと、一気に彼の顔色は真っ赤になった。
…ああ、図星だったのね。
彼は言葉よりも、態度で分かりやすいタイプみたい。
「…何でお前はいつも、俺より先に言うんだ?」
それって告白のことも言っているんだろうな。
「だって…何かじれったいもん」
「んなっ!?」
彼とは実は、中学時代からの知り合いだった。
付き合い始めたのは、知り合って三年目になってから。
随分と間があった。
いい加減、アタシが耐え切れなくなったというのもある。
お互い気になっていたのに、全然進展がないんだもん。
「あなたの言葉を待ってたら、おばあちゃんになっちゃうわ。だけどキスであなたの気持ちを伝えてくれるのならば、教えて?」
「…ああ、だが覚悟しろよ? キスする場所は、まだまだあるんだからな」
ぎゅっと抱き締める力が強くなった。
「ふふっ。それは楽しみね。でも一番してほしい場所には、できるだけ多くしてね」
アタシはニッコリ笑って、彼の唇に指で触れる。
「指先のキスは賞賛、だそうだ」
「じゃあ上手くキスできたことを、褒めているってわけね」
「調子に乗るな!」
少しむくれた彼が、今度は強引に唇にキスしてきた。
…こんなふうに彼の愛情に触れられるのならば、どこにキスされても良いと思っていることは、彼には内緒。
なのにたった一ヶ月前から付き合い始めた彼は、アタシにキスする場所は唇以外の場所。
「なあ、キスして良いか?」
「えっ? …うん、まあ良いけど」
今はアタシの部屋で、彼と二人っきり。
まったりのんびりした雰囲気を出していた。
けれど彼はアタシを後ろから抱きしめていて、その唇が触れているのは首筋。
「ヤダ、ちょっと。くすぐったい」
「ん~。じゃあここは?」
次にアタシの手首を掴んで、何故か甘噛み。
…確かにくすぐったくはないんだけどね。
そして頬、耳、また首といくけれど、唇には触れてこない。
何でだろう?
「ねっねえ」
「何だ?」
「何でその…唇にキス、してくれないの?」
ううっ…! 女の子から言うと、恥ずかしい。
まるで誘っているみたいに、聞こえるだろうな。
すると後ろの彼は、ニヤっと意地悪な笑みを浮かべる。
「唇にしてほしいのか?」
「と言うより、何で唇以外なのか知りたいの!」
ちょっと見た目が怖い彼は、けれどアタシをとても優しくしてくれる。
あんまり口数も多くないけれど、一緒にいて安らぐ人。
彼がアタシに好意を抱いていることに気付いたアタシは、何となく彼を意識するようになった。
そしてそれとなーく、付き合わないかと言ってみたら、やっぱりOKだった。
それは素直に嬉しいんだけど…。
恋人となってから、彼が言うキスとはずっと唇以外の体の場所。
いや、別に良いんだけどね。
キスされるたびに、彼に大事にされているのを感じるし。
周囲にいる友達は、恋人ができるとあまり間もなく深い仲になってしまうらしい。
キスなんて、恋人になってすぐにしてしまうコも多い。
だからこそ、彼のキスはとても大切なものには思えるんだけど…。
「お前さ、キスと言えば唇だけだと思ってる?」
「そんなことはないわよ。頬でも手でも、キスはキスでしょ?」
彼の唇が体に触れるたびに、くすぐったいけれど甘いしびれを感じる。
それはきっと、唇だろうが体だろうが同じ。
だってキスしているのは、アタシの大好きな彼なんだもん。
まっまあだから、彼が唇にキスするのが嫌ならば、別にそれでも構わないんだけど…。
「キスする場所に意味があるの、知っているか?」
「へっ? …あっ、何となくは」
確か22ヶ所ぐらい、キスの意味がある体の場所があるみたい。
日本ではあまり馴染みがないけれど、外国では結構知られているみたいで…。
「って言うか、あなたは知っているの?」
「昔通っていた幼稚園が、そういうのを教えてくれたからな」
…まず日本系ではないだろう。
「首筋は執着、手首は欲望、頬は厚意、耳は誘惑ってな」
彼は言いながら、同じ場所に口付けていく。
なっ何かとんでもない言葉ばかり飛び出てくるけれど…。
もしかしたら、コレが彼のアタシへのメッセージなんだろうか?
口数少ない彼が自分の気持ちを伝える方法として、キスを選んだのならば…理解できる。
でもやっぱり理解できないことが、一つあった。
「…じゃあ、唇にするキスの意味は?」
顔だけ振り返って彼の顔を真っ直ぐに見ると、今度はあたたかな笑みを浮かべる。
そして静かにゆっくりと、唇にキスをされた。
「唇はもちろん、愛情だ」
「じゃあ何で今までしなかったの?」
「そりゃあもちろん…」
そこで彼は言いつまった。
眼をウロウロと泳がせて、顔色が僅かに赤くなる。
アレ? これってもしかして…。
「恥ずかしかった、の?」
アタシが先に言うと、一気に彼の顔色は真っ赤になった。
…ああ、図星だったのね。
彼は言葉よりも、態度で分かりやすいタイプみたい。
「…何でお前はいつも、俺より先に言うんだ?」
それって告白のことも言っているんだろうな。
「だって…何かじれったいもん」
「んなっ!?」
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随分と間があった。
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アタシはニッコリ笑って、彼の唇に指で触れる。
「指先のキスは賞賛、だそうだ」
「じゃあ上手くキスできたことを、褒めているってわけね」
「調子に乗るな!」
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