科学と魔術の交差点

昼顔 ロカ

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第3話 やっぱ見た目の変化って大事じゃん?

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    俺と蘭が謎の研究所から帰った翌日初めて蘭と会ったときの最初の会話は
「大丈夫?なんかくまがすごいことなってるけど」
「大丈夫大丈夫深夜までゲームしてただけだから」
    だった。意外と現実を受け入れるのは早く、故にいつもどおりの会話ができた。
「それよりそっちは帰ってからどうだった?」
「どうだったも何も普通にご飯食べてポテチ食べて寝たよ?」
「寝る前にポテチなんか食ってるとデブになんぞ」
    いつもどおりの会話をしていると
『私もそう思います』
「「!?!?!?」」
    突然『神殿』が会話に割り込んできた。
『あ、今は弘様と蘭様両方の脳に接続して会話をしています。それより蘭様。寝る前にポテトチップスのような高カロリーなものは…』
「今それどうでもいいから!つかつまりお前は俺の脳に接続したまま蘭の脳にも接続したってことだよな?!」
『そうなりますね。ちなみに普通のネットワークや特定の相手とのテレパシーへの接続、及びハッキングも可能ですよ♡』
    コイツハッキングとか言いやがった…
「つ、つまりあれか?俺は歩くスーパーコンピューターウイルスになっちまったってのか?」
『そうなりますね。ですがこういう見方もできます。スマホやパソコンを使わなくても脳だけでネットワークにログインして動画を見たりゲームをしたりできるんですよ。最高じゃないですか』
「『神殿』サイコオォーー」
「……流石引きこもり寸前のクズ男だね…」
    今ものすごく心をえぐる一言をぶつけられた気がするが無視することにした。
「ていうか昨日も気になってたんだけど『神殿』ってオフの時どうなってんの?」
    蘭が話の流れを180゜変える質問をしたが、俺もそれは気になっていた。
『あぁ、オフの間は知識の流入を止めているだけなので普通に弘様の脳内にいますよ。あとオフの時でもこうして会話したりネット接続やハッキングも普通にできますよ』
「へぇ~。あともう一つ気になるところがあるんだけどさー」
『何でしょうか』
「知識の流入オンにしてるときとオフにしてるときの違いが無くて困惑する。今だってオンだと思ってたし」
「確かにな。ラノベだとこういうのは髪の色が変わったりするし」
『なるほど。ではこれでどうでしょう。一度オンにしてみてください』
「お、おう。なんか変わったか?」
「!!?」
    前を見ると蘭が驚きと困惑が混ざったような顔をしていた(やや困惑の方が多い気もするが)。
「どうしたんだよ。何か変わってるのか?」
    自分でも見回して見るが特に変化はない気がする。
「目…」
「目?あぁ、目の数が増えてるとか?それとも…」
    俺が言葉を続けようとすると先に答えが返ってきた。
「目の白と黒が逆転してるー!」
    ………ゑ?
「そ、それだけ?そんなショボいのだけ?」
    そう聞くと蘭が鏡を貸してくれた。鏡を覗き込むと…ホントに目の白と黒が逆転しただけだった……俺は無言で知識の流入をオフにした。
『どうでしょうか』
「…27点」
『ええっ、自信あったのに!』
「ハァ~。こんなのと死ぬまで一緒か~。やだな~。」
『こんなのって言った!』
    あーだこーだ騒いでいると急にこんな声が聞こえてきた。
「黒蜜のような茶色がかった黒い髪にフードと紐だけ白い黒のパーカー。それときつね色の髪に紫と水色のワンピース。キミ達が報告にあった河流弘と絹盾蘭だね?僕、オリガ=リバキナの研究対象を盗んだ罪でちょっとついてきてもらうよ?」
    声の方を向くと不敵な笑みを浮かべた緑色の髪に白衣の女が立っていた。俺は、
「おい蘭、俺はものすごく重要なことに気づいた…」
「な…何?」
「第3話にしてようやく作者が俺達のキャラデザを決めた!」
『「「メタいからやめなさい!』」」
    敵味方全員から突っ込まれ、俺はちょっとシュンとした。
「まぁいい。研究対象がどうこう言ってるんだからどうせ狙いは『神殿』だろ?」
「んー、半分当たり、かな?」
「半分?」
「そー、半分。僕が『神殿』を盗られて怒っているのはホント。だけどそれ以上にキミに、興味が尽きないんだー」
    オリガは不敵な笑みを更に深くして笑った。
「俺に?そりゃありがとな。だが…俺はこういうのもう御免なんでな。逃げさせてもらうぜ。行くぞ、蘭!」
「うん!」
    そうして俺達は昨日に引き続き全力で逃げようとした。しかし、
「グベシッ!」
「キャッ」
    すぐに何かにぶつかった。何にぶつかったのか顔を上げて確認すると…
「な、何が」
「元々はさー。この子たちみたいな魔獣を閉じ込めるための物なんだけどなー。そこにロープあるでしょ?ここらへんをそれで囲んでるの。すると結界みたいなのが生まれて中の生物を閉じ込めるんだー。ちなみにそのロープをどうにかするためには僕が持ってる特別な機械が必要なんだよねー」
    その声に振り返るとさっきまでいなかったはずの火を吹く獅子と暴風を身にまとう虎がオリガの両隣に佇んでいた。
「くっ、『神殿』接続!」
『了解。知識の流出を始めます』
    俺の目の白と黒が逆転する。
「そして『創生:薬クリエイト・ポーション・液体水素』!昨日の狼達によろしくなァ!」
    これで獅子の方はどうにかなる…はずだった。あの虎が風で邪魔しなければ。虎の風を受けた液体水素はあらぬ方向へ飛ばされ、不発に終わった。
「クソ!」
「いきなり攻撃とかひどくなーい?」
「うるせぇ!気づかれてない間に閉じ込めたようなやつに言われたくないね!」
「あとー」
    まだなんかあるってのか?!
「キミ達は魔獣を倒せば安心だと思ってるかもしれないけど、僕もキミ達の脅威だよー?」
    そう言うとオリガは懐から拳銃を取り出した。
「もちろんただの拳銃じゃーない。僕が特別な改造をした。弾の速さはマッハ6.7だし普通の拳銃の11.4%の重量しかない。しかも弾は着弾した瞬間コンクリ位なら簡単に砕けるような爆発をする!あとみかんの香りがする!」
    なんか一つ戦闘に関係ないのあったけどヤベェな…このままだと爆発で死ぬ。だがマッハ6.7なんかよけれるか?いや無理だな…じゃあどうする。この場での最も良い結果を手に入れる方法は…ッ!これだ!
「蘭!そっちの魔獣は頼んだ!」
「もうやってる!ったく話長いんだからー。その間に虎の方は倒しちゃったよ~。ま、もう片方が一筋縄じゃいかなくて困ってるんだけ…ど!」
「頑張れ~、っと。じゃあこっちも始めますか!先ずは…『創生:薬クリエイト・ポーション・塩酸』、オラ!」
    俺は生み出した塩酸をオリガの目に向けて放った。
「なっ、目潰しか。だけど甘いね」
    直前で避けられたが俺の狙いはそれじゃない。俺の狙いは塩酸を避けるために生まれた隙だ!俺は僅かな隙でオリガの背後へと走り込み、殴るか薬品を使うかして意識を奪うつもりだった。だったのに!なーんでこんな大事な場面で転ぶかなー、俺。俺が転んだのはオリガの目の前で向こうも驚いた顔をしている。あーあ、このまま撃たれて死ぬのかー。とか考えてるうちにオリガにぶつかった。さらば、人生よ……
    あれ?全然撃ってこない。てゆーかさっきは余裕が無くて気づかなかったけど今意識してみるとなんか唇に柔らかいものが当たっているような。恐る恐る目を開けると…赤くなって意識を失っているオリガの顔が視界一面に映っていた。というか単刀直入に言うと…
    俺とオリガがキスしていた…
「(ンンンンンーーーー?!?!?!)」
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