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2章 少年と王国騎士団員
第3話 少年達の邂逅
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ここは王国騎士団本部の闘技場。そこに立つカルラと王国騎士団長、マコトは…
「覚悟しろこのクソガキがぁぁあ!」
「いや一歳差!お前もガキ!」
物凄く幼稚な言い争いをしながら物凄く激しい戦いをしていた。
「関・係・ねえええ!」
こうなった経緯についてはカルラがマコトに連れられて歩いている間に交わされた会話をお教えすれば分かってくれるだろう。それはカルラがマコトと歩き始めてから直ぐにマコトによる転生者であることの自慢が始まった頃…
「……僕はトラックに轢かれそうな小さな子猫を助けようとしたんだ。あ、トラックってゆーのはとてつもない速さで動く馬のいない馬車のことね?」
「あっそ」
カルラは適当に聞き流していたが、ストレスは溜まっていった。
「あれ、トラックは割とみんな食いついてくるんだけどな…ま、いっか。で、僕は子猫を助けることには成功した。だけどその代わりに僕がトラックに轢かれてしまったんだ…そして目が覚めると未知の空間にいて目の前にはそれはそれはとても美しい女神様が!」
「ふーん」
「……ドライだなー。で、その女神様は僕にこう言ったんだ。『酒井真様。貴方はこの世界に選ばれし者なのです。貴方の役割はいずれ来たる災厄からこの世界を守り抜くこと。急に言われて混乱するかもしれませんが、お願いできませんか?』ってね。僕はもちろん快諾したよ。この世界のために!」
「女との会話を一言一句もらさず覚えてるとかちょっとキモいぞ…」
「女神様との会話だよ?忘れることなんてできやしないさ!」
「……お前の前世キモオタだろ」
それを聞いたマコトは小声で…
「………(ダサTシャツ野郎…なんだよネクタイ柄って)」
聞こえないように言ったつもりらしいがカルラはバッチリ聞いていた。そしてカルラは今までの自慢話のせいで溜まっていたストレスのせいもあってか…
「聞こえないとでも思ってんのかな?!喧嘩なら買うぞ?」
ブチギレた……しかしマコトには別の疑問があった。
「あれ?」
「あぁん?どうしたよ!」
「なんでTシャツ着てんの?」
それを聞かれたカルラは見る見るうちにしぼんでいった。
「……………」
「なんでTシャツやネクタイという単語を理解できるの?」
さらに聞かれたカルラはついに下を向いてしまった。
「……………………………」
「まさか…!」
「いや違う違う、違うって!これは…そう!昔ね!昔会った転生者にね!もらったものを複製したものであって!俺が転生者な訳ないじゃん!」
……さて、読者の皆様は気づいていると思うが、カルラも転生者である。ただし、マコトが去年転生してきたのに対してカルラは4年前に転生してきた。ちなみにカルラは日本人とロシア人のハーフで、髪は一部を除き白色だ。そんな事情のあるカルラが、流石に今のは無理があるよな…とか考えながら遠くを見ていると…
「………それもそうだな。転生者は自分と他国にいる者含め三人しかいないはずだし。他の二人は知り合いだし」
という馬鹿な答えが返ってきた。
「そうそう!そうでしょ?さあ早く王国騎士団本部まで行きましょう!」
「そうだね。で、さっきの続きなん…だけ…ど……」
マコトがある一点を見つめて動かなくなった。不審に思ったカルラが視線の先を見てみると…
「………!」
カルラの動きも止まった。視線の先にいたのは顔や腕などに刺繍されている可愛らしい少女だった。だが、カルラが動きを止めた理由はそんなこととは関係ない(マコトが止まったのとは関係ありまくるが)。
「あいつ、なんでこんなとこに…!」
「知り合い?ねえ知り合い?!うちの副団長なんだけど中々落ちなくてさー。知り合いならちょっと落とすの手伝ってくれない?」
「あいつはやめとけ…」
「なんで?」
カルラがマコトに答えるより早く、向こうがこちらに気づいた。
「あれ?団長と……カルラじゃない!やっぱりあなたと私は赤い糸で繋がっているのよ!さあ、そんなゲスより私の方に来なさい」
「……どういうことかな新人クゥゥーーーン?」
「えと…」
カルラが一から説明しようとしたらいらない一言が飛んできた。
「どういうこともなにも、この子と私は婚約してるのよ!」
「な、な、何ィ?!」
「違ーーう!この勘違い女が!」
「貴様許さん!転生者の周りの女は転生者のハーレムの一員になるのが自然の摂理なのに!こうなったら王国騎士団本部闘技場で叩きのめしてやる!」
「違うって言ってんじゃん!もー!」
……そして今に至る。
「おらぁ!」
「当たるか!」
カルラは攻撃を避けた。はずだった。
「グフッ、な、なんで斬られてるんだ!」
「グハハハハハ!俺の『導具』であるこの『英雄の剣』は半径1タルの球の中なら距離を無視して斬ることができるのだ!」
タルとはステイツの世界の長さの基準で、1タル≒2メートルである。
「何そのチート性能!」
「せいぜい逃げるがよい!無駄だけどなー!…ってあれ?なんか治ってない?」
「俺の『導具』、『半不死の首輪』はありとあらゆる怪我、病気を治してくれるからな」
「そっちの方がチートだー!てかチートという単語も教えてもらってるのか」
「お……おう。親切な人だったからな…」
カルラが下手な嘘を吐いている間もマコトの攻撃は続く。
「というか!何故!お前なんかが!ヴァリさんの!婚約者なんだよ!」
「待てゲス男!それはあいつの勘違いだ!」
カルラが誤解を解こうとしたが、それは直後のヴァリの一言で不可能になった。
「頑張ってダーリーーン」
「何が誤解だーー!」
「話を聞いてよー(泣)」
カルラがついに半泣き状態になっても状況は変わらなかった。
「クソが……こうなったら…第二能力発動!」
(第二能力って確か反作用がある『導具』隠しスキルで大体の第二能力は元々の能力の上位互換的な能力だったはず…一体どんな能力が…)
カルラが身構えているとマコトは4~5タル離れているにも関わらず、その場で剣を振り下ろした。
(範囲は1タル以内じゃ…)
カルラが一瞬戸惑っていると、カルラの胴体が真っ二つにされた。
「……!な、なるほど。『英雄の剣』の第二能力は当たらなくても斬れる範囲が拡がるってとこか…」
「惜しいね。正解は“どれほど距離が空いていても斬れる”、だよ」
「やっぱチートだーー!」
カルラは叫びながら胴体の再生を行った。
「でもこの能力使うと反作用で腕の骨折れそうになるからできれば使いたくないんだよね。そっちも第二能力使えば?」
「じゃあそうさせてもらおうかな」
第二能力の使用方法も手に入れた時に知ったので使うことは容易い。ただし、反作用と能力が割に合っていないのでポイズンドラゴン戦でも使わなかったが…
「(今更そんなこと言えねーよな~。向こうが腕折れる可能性抱いてまで俺と戦ってくれてんだから)」
カルラはマコトに聞こえないよう小声でそう呟くと次に声高らかに宣言した。
「第二能力、解放!」
……ちなみに発動とか解放とか第二能力を使うときの発言は割と自由である。
「覚悟しやがれ勘違いゲス男。泥沼試合で負けてもらうぞ」
カルラはそう呟き、マコトへと向かっていった。
___今回出てきた『導具』___
『英雄の剣』
半径1タル(2メートル)以内の球の中なら例え当たっていなくても斬ることができる剣。本編では触れられなかったが、どんなに硬くても斬ることが可能で、少なくとも今の所斬れない物はない。第二能力を使用すると完璧なチートとなる。もちろんランクはX。
「覚悟しろこのクソガキがぁぁあ!」
「いや一歳差!お前もガキ!」
物凄く幼稚な言い争いをしながら物凄く激しい戦いをしていた。
「関・係・ねえええ!」
こうなった経緯についてはカルラがマコトに連れられて歩いている間に交わされた会話をお教えすれば分かってくれるだろう。それはカルラがマコトと歩き始めてから直ぐにマコトによる転生者であることの自慢が始まった頃…
「……僕はトラックに轢かれそうな小さな子猫を助けようとしたんだ。あ、トラックってゆーのはとてつもない速さで動く馬のいない馬車のことね?」
「あっそ」
カルラは適当に聞き流していたが、ストレスは溜まっていった。
「あれ、トラックは割とみんな食いついてくるんだけどな…ま、いっか。で、僕は子猫を助けることには成功した。だけどその代わりに僕がトラックに轢かれてしまったんだ…そして目が覚めると未知の空間にいて目の前にはそれはそれはとても美しい女神様が!」
「ふーん」
「……ドライだなー。で、その女神様は僕にこう言ったんだ。『酒井真様。貴方はこの世界に選ばれし者なのです。貴方の役割はいずれ来たる災厄からこの世界を守り抜くこと。急に言われて混乱するかもしれませんが、お願いできませんか?』ってね。僕はもちろん快諾したよ。この世界のために!」
「女との会話を一言一句もらさず覚えてるとかちょっとキモいぞ…」
「女神様との会話だよ?忘れることなんてできやしないさ!」
「……お前の前世キモオタだろ」
それを聞いたマコトは小声で…
「………(ダサTシャツ野郎…なんだよネクタイ柄って)」
聞こえないように言ったつもりらしいがカルラはバッチリ聞いていた。そしてカルラは今までの自慢話のせいで溜まっていたストレスのせいもあってか…
「聞こえないとでも思ってんのかな?!喧嘩なら買うぞ?」
ブチギレた……しかしマコトには別の疑問があった。
「あれ?」
「あぁん?どうしたよ!」
「なんでTシャツ着てんの?」
それを聞かれたカルラは見る見るうちにしぼんでいった。
「……………」
「なんでTシャツやネクタイという単語を理解できるの?」
さらに聞かれたカルラはついに下を向いてしまった。
「……………………………」
「まさか…!」
「いや違う違う、違うって!これは…そう!昔ね!昔会った転生者にね!もらったものを複製したものであって!俺が転生者な訳ないじゃん!」
……さて、読者の皆様は気づいていると思うが、カルラも転生者である。ただし、マコトが去年転生してきたのに対してカルラは4年前に転生してきた。ちなみにカルラは日本人とロシア人のハーフで、髪は一部を除き白色だ。そんな事情のあるカルラが、流石に今のは無理があるよな…とか考えながら遠くを見ていると…
「………それもそうだな。転生者は自分と他国にいる者含め三人しかいないはずだし。他の二人は知り合いだし」
という馬鹿な答えが返ってきた。
「そうそう!そうでしょ?さあ早く王国騎士団本部まで行きましょう!」
「そうだね。で、さっきの続きなん…だけ…ど……」
マコトがある一点を見つめて動かなくなった。不審に思ったカルラが視線の先を見てみると…
「………!」
カルラの動きも止まった。視線の先にいたのは顔や腕などに刺繍されている可愛らしい少女だった。だが、カルラが動きを止めた理由はそんなこととは関係ない(マコトが止まったのとは関係ありまくるが)。
「あいつ、なんでこんなとこに…!」
「知り合い?ねえ知り合い?!うちの副団長なんだけど中々落ちなくてさー。知り合いならちょっと落とすの手伝ってくれない?」
「あいつはやめとけ…」
「なんで?」
カルラがマコトに答えるより早く、向こうがこちらに気づいた。
「あれ?団長と……カルラじゃない!やっぱりあなたと私は赤い糸で繋がっているのよ!さあ、そんなゲスより私の方に来なさい」
「……どういうことかな新人クゥゥーーーン?」
「えと…」
カルラが一から説明しようとしたらいらない一言が飛んできた。
「どういうこともなにも、この子と私は婚約してるのよ!」
「な、な、何ィ?!」
「違ーーう!この勘違い女が!」
「貴様許さん!転生者の周りの女は転生者のハーレムの一員になるのが自然の摂理なのに!こうなったら王国騎士団本部闘技場で叩きのめしてやる!」
「違うって言ってんじゃん!もー!」
……そして今に至る。
「おらぁ!」
「当たるか!」
カルラは攻撃を避けた。はずだった。
「グフッ、な、なんで斬られてるんだ!」
「グハハハハハ!俺の『導具』であるこの『英雄の剣』は半径1タルの球の中なら距離を無視して斬ることができるのだ!」
タルとはステイツの世界の長さの基準で、1タル≒2メートルである。
「何そのチート性能!」
「せいぜい逃げるがよい!無駄だけどなー!…ってあれ?なんか治ってない?」
「俺の『導具』、『半不死の首輪』はありとあらゆる怪我、病気を治してくれるからな」
「そっちの方がチートだー!てかチートという単語も教えてもらってるのか」
「お……おう。親切な人だったからな…」
カルラが下手な嘘を吐いている間もマコトの攻撃は続く。
「というか!何故!お前なんかが!ヴァリさんの!婚約者なんだよ!」
「待てゲス男!それはあいつの勘違いだ!」
カルラが誤解を解こうとしたが、それは直後のヴァリの一言で不可能になった。
「頑張ってダーリーーン」
「何が誤解だーー!」
「話を聞いてよー(泣)」
カルラがついに半泣き状態になっても状況は変わらなかった。
「クソが……こうなったら…第二能力発動!」
(第二能力って確か反作用がある『導具』隠しスキルで大体の第二能力は元々の能力の上位互換的な能力だったはず…一体どんな能力が…)
カルラが身構えているとマコトは4~5タル離れているにも関わらず、その場で剣を振り下ろした。
(範囲は1タル以内じゃ…)
カルラが一瞬戸惑っていると、カルラの胴体が真っ二つにされた。
「……!な、なるほど。『英雄の剣』の第二能力は当たらなくても斬れる範囲が拡がるってとこか…」
「惜しいね。正解は“どれほど距離が空いていても斬れる”、だよ」
「やっぱチートだーー!」
カルラは叫びながら胴体の再生を行った。
「でもこの能力使うと反作用で腕の骨折れそうになるからできれば使いたくないんだよね。そっちも第二能力使えば?」
「じゃあそうさせてもらおうかな」
第二能力の使用方法も手に入れた時に知ったので使うことは容易い。ただし、反作用と能力が割に合っていないのでポイズンドラゴン戦でも使わなかったが…
「(今更そんなこと言えねーよな~。向こうが腕折れる可能性抱いてまで俺と戦ってくれてんだから)」
カルラはマコトに聞こえないよう小声でそう呟くと次に声高らかに宣言した。
「第二能力、解放!」
……ちなみに発動とか解放とか第二能力を使うときの発言は割と自由である。
「覚悟しやがれ勘違いゲス男。泥沼試合で負けてもらうぞ」
カルラはそう呟き、マコトへと向かっていった。
___今回出てきた『導具』___
『英雄の剣』
半径1タル(2メートル)以内の球の中なら例え当たっていなくても斬ることができる剣。本編では触れられなかったが、どんなに硬くても斬ることが可能で、少なくとも今の所斬れない物はない。第二能力を使用すると完璧なチートとなる。もちろんランクはX。
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