流れ星

流れ星

　流れ星に願いを唱える。誰しもが一度はやったことがあるのではないだろうか。しかし願いが叶う事はない。なぜなら流れ星はただの乗り物だったのだ。

　宇宙は広い。宇宙人と呼ばれる生き物にとって、移動はとても困難だ。確かに瞬間移動能力者や光速で移動出来る一部の有能な者にとっては大した事ではない。元来その様な一部の者達により生息可能域を拡げていた。

　とはいえ、1個体の寿命はせいぜい100年程度であり、子孫に必ず能力が引き継げる訳ではない。そこで有象無象の者たちも惑星間を移動出来る様に乗り物を作ったのだ。
　動力源は核融合による強大なエネルギーを使用する事で、無尽蔵に光速での移動を可能にした。そのエンジンの周りには、宇宙空間を浮遊しているスペースデブリを組み合わせる事で強度を持たせた上に、もし破損しても簡単に修復出来る様にしたのだ。

　初めて流れ星が誕生してから100億年以上が経過した頃、流れ星同士や惑星への衝突事故が増えていた。現在の地球上がそうである様に、乗り物が増えすぎた事とルールを守らない者がいるためである。