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異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
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「私もレオナと同じように、何と言っていいかわからない感情でいっぱいで、うまく言葉にできるかわかりません」
イザベラもカナデの作った試作品に感動しているようだった。目を閉じ、何を言ったらいいのか考え込んでいた。
「そこまで感動してくれたのなら、うれ」
「しかし、これだけは言えます」
人の目を気にせず戦えるような服装に初めて出会い、感動しています。
カナデの言葉を遮り、力強く宣言されたその言葉に、カナデは改めて異世界の女性の戦闘服がいかに女性たちを苦しめていたのか理解した。やはり、いくら異世界常識だとは言え、女性たちは苦しんでいたのだ。男の慰め物としか思えない、あの破廉恥極まりない衣装に。イザベラの話は続いていく。
「私たちの今まで着ていた服が、いかに破廉恥で騎士団の制服に向いていなかったのか、これを着て実感しました。なぜ、今までこんな単純なことに気付かなかったのか不思議なくらいです」
「それはよか」
「それと同時に、私たちが今までどれだけ男性主体で生きていたのかも分かりました。男性から渡された、支給された服に疑問も抱かず、女性だからと納得して、恥ずかしい思いを我慢してきたかを知りました」
イザベラがカナデの言葉を再び遮る。興奮したイザベラはカナデの言葉が聞こえていないようだった。
「カナデさん、私たちが初めて出会った時のことを覚えていますか?」
そうかと思えば、カナデに突然質問する。カナデはとっさの質問にすぐに答えることができなかった。確か、この世界に降り立ち、初めてドラゴンに遭遇した時だったか。自分が開口一番何を叫んでいたかを思い出し、恥ずかしくなる。いや、最初に助けてくれたお礼は伝えたが、次に発したことは。
『な、なんていう格好をしているのですか』
カナデとイザベラの声が見事にハモりを見せた。イザベラは苦笑していた。
「そう、カナデさんは私たちの服装に難癖をつけてきました。あの時は、カナデさんの方こそ、男か女かわからない変な格好をしていると思っていましたが、最近、私の方がとんでもない恰好をしているということに気付きました。なぜ、最近になって気付いたのかは不思議ですが」
『それは、我たちが勇者を追い出したのと関係があるのかもしれん』
『十中八九、それが起因しているだろうね』
二匹の猫がにゃーにゃーと鳴く様子にイザベラは目を細めた。言葉を聞きとれるカナデは女神たちの言うことに驚いたが、追及することはしなかった。
「カナデさん、感想ですが、とても着心地が良く、仕事に精が出そうです!女性がこのような男性物のズボンをはいてもよいかと少し緊張はしていますが、それでも、下着がいつ見えるのかわからない前の格好に比べたらどうってことはありません。それに、足下の冷えがなくなって、冬でも快適に仕事をすることができそうです。後は、この胸のあたりの苦しさがなくなったことで、男性からの視線を気にしなくて済むようになりそうです。それから……」
「ちょ、ちょっと落ち着いて、感謝されていることは、よおくわかった。一度に話されると、今後に活かしきれないから」
話はカナデが止めなければ永遠に続きそうだった。イザベラはそれほどに今回のカナでの調整服に感動しているようだった。
「ですが、まだまだ言いたいことはたくさんありますので」
「いや、そこまで言われることはしていないから」
「いやいや」
「パンパン」
いつまでも続きそうな応酬を止めたのは、ソフィアだった。両手を合わせて音を立て、自分に視線を集めさせた。
「カナデさんの服に文句はなさそうですね。ずっと、こんな話をしていても切りがありませんから、イザベラさんとレオナさんは、感想を紙に書いてください。今後の役に立ちますので、お願いします。とはいえ、これはあくまで試作品となりますので、明日からすぐに着用できるわけではありません。そうですよね、エリザベス様」
「そ、そうだな」
ソフィアの言葉に、今まで放置されていたエリザベスが、急に自分に話題を振られて戸惑っていた。ソフィアがエリザベスを見つめているのを知り、ごほんと咳ばらいをする。
「そ、ソフィアの言う通りだ。制服の改定には時間がかかる。わらわはカナデの調整したもので、すぐにでも採用したいところだが、それはできない。おそらく、わらわに賛同するものは多いと思うが」
ここでエリザベスは口をつぐんだ。女性たちはみな、カナデの服に賛成の意を示すことは間違いない。しかし、男性はどうだろうか。先日のフリードリヒの行動を思い出す限り、彼のような考えのものは城に複数いる可能性がある。
「そこを何とかしてくださるのが、女王という立場でしょう。ですが、一人の力でどうにか変えられるものでもありませんので、私も協力いたしましょう」
エリザベスの考えを読んだのか、ソフィアも協力してくれると申し出た。
「もちろん、お二人にも協力をしていただきます。カナデさんは、まあ、おとなしくしていてください。あなたが出てくると面倒ですから」
カナデも協力しようと名乗り出る前に、ソフィアに足手まとい宣言をされてしまった。しかし、カナデも自分にできることはないと判断し、おとなしくソフィアの行動を見守ることにした。
「では、女性の意識改革第一弾、女性騎士団制服改定に向けて、頑張っていきましょう!」
この世界でのカナデの生きる目的、女性の意識改革、服装改革のための行動が本格的に始まった。
イザベラもカナデの作った試作品に感動しているようだった。目を閉じ、何を言ったらいいのか考え込んでいた。
「そこまで感動してくれたのなら、うれ」
「しかし、これだけは言えます」
人の目を気にせず戦えるような服装に初めて出会い、感動しています。
カナデの言葉を遮り、力強く宣言されたその言葉に、カナデは改めて異世界の女性の戦闘服がいかに女性たちを苦しめていたのか理解した。やはり、いくら異世界常識だとは言え、女性たちは苦しんでいたのだ。男の慰め物としか思えない、あの破廉恥極まりない衣装に。イザベラの話は続いていく。
「私たちの今まで着ていた服が、いかに破廉恥で騎士団の制服に向いていなかったのか、これを着て実感しました。なぜ、今までこんな単純なことに気付かなかったのか不思議なくらいです」
「それはよか」
「それと同時に、私たちが今までどれだけ男性主体で生きていたのかも分かりました。男性から渡された、支給された服に疑問も抱かず、女性だからと納得して、恥ずかしい思いを我慢してきたかを知りました」
イザベラがカナデの言葉を再び遮る。興奮したイザベラはカナデの言葉が聞こえていないようだった。
「カナデさん、私たちが初めて出会った時のことを覚えていますか?」
そうかと思えば、カナデに突然質問する。カナデはとっさの質問にすぐに答えることができなかった。確か、この世界に降り立ち、初めてドラゴンに遭遇した時だったか。自分が開口一番何を叫んでいたかを思い出し、恥ずかしくなる。いや、最初に助けてくれたお礼は伝えたが、次に発したことは。
『な、なんていう格好をしているのですか』
カナデとイザベラの声が見事にハモりを見せた。イザベラは苦笑していた。
「そう、カナデさんは私たちの服装に難癖をつけてきました。あの時は、カナデさんの方こそ、男か女かわからない変な格好をしていると思っていましたが、最近、私の方がとんでもない恰好をしているということに気付きました。なぜ、最近になって気付いたのかは不思議ですが」
『それは、我たちが勇者を追い出したのと関係があるのかもしれん』
『十中八九、それが起因しているだろうね』
二匹の猫がにゃーにゃーと鳴く様子にイザベラは目を細めた。言葉を聞きとれるカナデは女神たちの言うことに驚いたが、追及することはしなかった。
「カナデさん、感想ですが、とても着心地が良く、仕事に精が出そうです!女性がこのような男性物のズボンをはいてもよいかと少し緊張はしていますが、それでも、下着がいつ見えるのかわからない前の格好に比べたらどうってことはありません。それに、足下の冷えがなくなって、冬でも快適に仕事をすることができそうです。後は、この胸のあたりの苦しさがなくなったことで、男性からの視線を気にしなくて済むようになりそうです。それから……」
「ちょ、ちょっと落ち着いて、感謝されていることは、よおくわかった。一度に話されると、今後に活かしきれないから」
話はカナデが止めなければ永遠に続きそうだった。イザベラはそれほどに今回のカナでの調整服に感動しているようだった。
「ですが、まだまだ言いたいことはたくさんありますので」
「いや、そこまで言われることはしていないから」
「いやいや」
「パンパン」
いつまでも続きそうな応酬を止めたのは、ソフィアだった。両手を合わせて音を立て、自分に視線を集めさせた。
「カナデさんの服に文句はなさそうですね。ずっと、こんな話をしていても切りがありませんから、イザベラさんとレオナさんは、感想を紙に書いてください。今後の役に立ちますので、お願いします。とはいえ、これはあくまで試作品となりますので、明日からすぐに着用できるわけではありません。そうですよね、エリザベス様」
「そ、そうだな」
ソフィアの言葉に、今まで放置されていたエリザベスが、急に自分に話題を振られて戸惑っていた。ソフィアがエリザベスを見つめているのを知り、ごほんと咳ばらいをする。
「そ、ソフィアの言う通りだ。制服の改定には時間がかかる。わらわはカナデの調整したもので、すぐにでも採用したいところだが、それはできない。おそらく、わらわに賛同するものは多いと思うが」
ここでエリザベスは口をつぐんだ。女性たちはみな、カナデの服に賛成の意を示すことは間違いない。しかし、男性はどうだろうか。先日のフリードリヒの行動を思い出す限り、彼のような考えのものは城に複数いる可能性がある。
「そこを何とかしてくださるのが、女王という立場でしょう。ですが、一人の力でどうにか変えられるものでもありませんので、私も協力いたしましょう」
エリザベスの考えを読んだのか、ソフィアも協力してくれると申し出た。
「もちろん、お二人にも協力をしていただきます。カナデさんは、まあ、おとなしくしていてください。あなたが出てくると面倒ですから」
カナデも協力しようと名乗り出る前に、ソフィアに足手まとい宣言をされてしまった。しかし、カナデも自分にできることはないと判断し、おとなしくソフィアの行動を見守ることにした。
「では、女性の意識改革第一弾、女性騎士団制服改定に向けて、頑張っていきましょう!」
この世界でのカナデの生きる目的、女性の意識改革、服装改革のための行動が本格的に始まった。
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