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西園寺桜華という人物③
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西園寺さんの生い立ちは一通り聞いて理解した。今度は神様が条件にした仕事の話である。
「仕事だけど、ここ最近の傷害事件が関係している。能力者は実はこの世界には相当数存在している。そして、能力もいろいろあり、私や静流のようにうまく能力をコントロールして使いこなせればいいけど、そうでない人も存在する。コントロールできない人は時として事件を起こしてしまう。」
そういえば、大学を辞めた鈴木という男は確か、鬼の角が生えていたと被害者が証言している。彼も実は能力者で能力を暴走させてしまったというところだろうか。
「事件を起こした能力者は普通の人と同様、警察に逮捕されてしまう。そうなると、能力者であることがばれる可能性がある。そうなると、奴に見つかってしまい、殺されてしまう。」
奴とはいったい誰なのか。殺されてしまうとは物騒な話だ。これが仕事と何か関係あるのだとしたら、その仕事とやらはなんだか危険な内容のものである気がする。
「奴に見つかる前に容疑者を確保して、能力を消すこと、これが私たちの仕事。神様から託された仕事というわけ。奴は犯罪者すべてを狙っているわけではない。今まで殺された容疑者は全員能力者であったことがわかっている。」
今まで殺されたのは容疑者の中でも能力者だけということだが、不審な点がある。もし、容疑者が殺されていたならば、そのことはニュースで取り上げられるはずだ。今のところ、容疑者が殺されたというニュースを見たことはない。殺されたことを隠しているのだろうか。そもそもこの話は本当かどうかも怪しい。
「殺されたという容疑者がいるというなら、ニュースでそのことが取り上げられると思うのですが、ニュースで犯罪者が殺されたということは報道されていません。その話は本当のことだとは思えないのですが。」
「確かにニュースでは取り上げられていない。でも、確かに殺人は行われている。最近のニュースは傷害事件や万引きなどの軽犯罪が多発しているということが取り上げられているのは知っていると思うけど、そのほかにも少数だけど、行方不明者が増えているという事実があるのを知っているかしら。」
その話は初耳である。しかし、能力者が殺されているということと何か関係あるのか。
「行方不明者の中に殺された能力者が混じっていると言ったら信じてもらえるかしら。犯罪を起こした能力者は警察に捕まる前に奴に殺されている。」
話がよく理解できない。そもそも殺人が行われているということ自体が信じられない。もし行われているとしたら、必ずニュースで取り上げられるはずである。今まで取り上げられていないことが不思議である。そもそも殺されたという証拠はあるのだろうか。
「先ほどから奴に殺されているといっていますが、殺されているというならば、その証拠はあるのでしょう。遺体はみつかったのですか。」
「遺体はまだ発見できていないわ。でも、神様が言うことなのだから、信じるしかないの。それに私は能力者の能力を奪う仕事をしなければ、西園寺家に戻らなければならなくなる。あの家に戻るのだけは絶対にいや。だから神様の言うことが本当か嘘かなんて正直どうでもいいのよ。」
神様の言うことを信じるしかないと西園寺さんは言った。これはいくら何でもひどすぎる。自分が西園寺家に戻りたくないというだけで、他人の人生を変えてしまっているということだ。
能力者は能力を持っているなりの生活を送っている。今まで、自由気ままに自分の意思を貫いていて、ある意味では尊敬していたのだが、この話を聞いて一気に尊敬する気がなくなってしまった。
「私たちの大学にいた鈴木という男が大学を辞めたのは知っているはずだけど、あの男も実は能力者で、彼は私たちの仕事によって能力を奪われた。彼は傷害事件を起こした。私たちは彼が奴に見つかる前に能力を奪う必要があった。」
西園寺さんによると、鈴木君は鬼の能力を持っていて、頭には鬼の角が生えているらしい。 力がものすごく強いことが特徴のようだ。やはり、西園寺さんと同じで角は隠して生活していたらしい。
「能力者が事件を起こすと、私たちに連絡が入る。その連絡を受けて、私たちは奴に見つかる前に現場に向かい、容疑者の能力を消してしまう。」
私が西園寺さんの話に何も言えずにいると、西園寺さんのスマートフォンから着信音が聞こえた。誰かからメッセージを受信したようだ。西園寺さんは無言で内容を確認する。そして、立ち上がり言った。
「どうやら仕事が入ったようね。どうする蒼紗。私たちの仕事の様子を見る良い機会だと思うけど。百聞は一見に如かずというけど、まさにその通り。口で説明するより、見た方が理解できるし、今まで話したことが本当だと信じられるかもしれない。」
今まで一言も話さず、部屋の隅でじっとしていた雨水君の様子をうかがうと、彼にも連絡が来ていたようで、出かける用意をしていた。私は一瞬考えたが、西園寺さんたちについていくことにした。確かに実際に見た方が口で説明されるより、理解できるし、信じることができるだろう。何より、自分の目で見ることで真実が何かを判断できる。
「仕事だけど、ここ最近の傷害事件が関係している。能力者は実はこの世界には相当数存在している。そして、能力もいろいろあり、私や静流のようにうまく能力をコントロールして使いこなせればいいけど、そうでない人も存在する。コントロールできない人は時として事件を起こしてしまう。」
そういえば、大学を辞めた鈴木という男は確か、鬼の角が生えていたと被害者が証言している。彼も実は能力者で能力を暴走させてしまったというところだろうか。
「事件を起こした能力者は普通の人と同様、警察に逮捕されてしまう。そうなると、能力者であることがばれる可能性がある。そうなると、奴に見つかってしまい、殺されてしまう。」
奴とはいったい誰なのか。殺されてしまうとは物騒な話だ。これが仕事と何か関係あるのだとしたら、その仕事とやらはなんだか危険な内容のものである気がする。
「奴に見つかる前に容疑者を確保して、能力を消すこと、これが私たちの仕事。神様から託された仕事というわけ。奴は犯罪者すべてを狙っているわけではない。今まで殺された容疑者は全員能力者であったことがわかっている。」
今まで殺されたのは容疑者の中でも能力者だけということだが、不審な点がある。もし、容疑者が殺されていたならば、そのことはニュースで取り上げられるはずだ。今のところ、容疑者が殺されたというニュースを見たことはない。殺されたことを隠しているのだろうか。そもそもこの話は本当かどうかも怪しい。
「殺されたという容疑者がいるというなら、ニュースでそのことが取り上げられると思うのですが、ニュースで犯罪者が殺されたということは報道されていません。その話は本当のことだとは思えないのですが。」
「確かにニュースでは取り上げられていない。でも、確かに殺人は行われている。最近のニュースは傷害事件や万引きなどの軽犯罪が多発しているということが取り上げられているのは知っていると思うけど、そのほかにも少数だけど、行方不明者が増えているという事実があるのを知っているかしら。」
その話は初耳である。しかし、能力者が殺されているということと何か関係あるのか。
「行方不明者の中に殺された能力者が混じっていると言ったら信じてもらえるかしら。犯罪を起こした能力者は警察に捕まる前に奴に殺されている。」
話がよく理解できない。そもそも殺人が行われているということ自体が信じられない。もし行われているとしたら、必ずニュースで取り上げられるはずである。今まで取り上げられていないことが不思議である。そもそも殺されたという証拠はあるのだろうか。
「先ほどから奴に殺されているといっていますが、殺されているというならば、その証拠はあるのでしょう。遺体はみつかったのですか。」
「遺体はまだ発見できていないわ。でも、神様が言うことなのだから、信じるしかないの。それに私は能力者の能力を奪う仕事をしなければ、西園寺家に戻らなければならなくなる。あの家に戻るのだけは絶対にいや。だから神様の言うことが本当か嘘かなんて正直どうでもいいのよ。」
神様の言うことを信じるしかないと西園寺さんは言った。これはいくら何でもひどすぎる。自分が西園寺家に戻りたくないというだけで、他人の人生を変えてしまっているということだ。
能力者は能力を持っているなりの生活を送っている。今まで、自由気ままに自分の意思を貫いていて、ある意味では尊敬していたのだが、この話を聞いて一気に尊敬する気がなくなってしまった。
「私たちの大学にいた鈴木という男が大学を辞めたのは知っているはずだけど、あの男も実は能力者で、彼は私たちの仕事によって能力を奪われた。彼は傷害事件を起こした。私たちは彼が奴に見つかる前に能力を奪う必要があった。」
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