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大学生活①
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月曜日が来た。今日からいよいよ大学生活が始まる。天気は雲一つない快晴で絶好の登校日より、と言いたいところだが、あいにくの雨であった。天気予報ではきょう一日雨が降るとのことだ。叩きつけるような雨が降っていて、外に出たいという気分には到底なれない。よく雨の日や天気が悪い日は登校拒否の生徒は学校に来ないというが、その気持ちは痛いほどよくわかる。しかし、学校には雨でも風でも台風でも警報がでない限り、行かなくてはならない。朝から憂鬱な気分になりながらも私は大学に行く支度を始めた。
電車から降りて、歩いて大学に向かう。その途中も雨は止む様子はなく、これでもかというほどの大降りとなっている。大学に行くまでにすでに帰りたくなるような天気とはまさに今日のような天気を言うのだろう。大学につくころには傘をさしていたとはいえ、服が結構濡れてしまった。
「1限目の授業はどこだろう。確か西棟の第一講義室のはず。」
大学内は敷地が広く、教室を探すのに戸惑ったが、なんとか授業開始前に教室に入ることができた。
「おはよう、朔夜さん。話し合ってもいないのに私と同じ授業を取ろうとしているなんて、やっぱりこれも運命……。」
「いえ、違います。1年生は教養科目で被ることが多いんです。ただそれだけです。運命は全く関係ありません。」
即座に否定した。雨で服が濡れてすでに憂鬱な気分だというのに、朝から話しかけてくるなんて……。西園寺さんが入学式に引き続き話しかけてきた。教室を探すのに手間取っていて、すっかり彼女の存在を忘れていた。
「そうそう。あなたに似合いそうな服を用意したから、授業が終わったら更衣室で着替えてみて。絶対似合うから。」
今日も今日とて、人の話を聞く気がないのだろうか。まあ、雨で服がぬれているので着替えることができるのはありがたいが、絶対に普通の服であるわけがない。濡れていたほうがましと思うほどの服を用意しているのだろう。なんせ性格が残念系の人間だ。それに今日の西園寺さんの服からも容易に想像がつく。
今日の服装は、不思議の国のアリスの主人公アリスをもとにした服装をしていた。水色のふわっとしたドレスに靴下は水色と白の縞模様のオーバーニー。ドレスには白いエプロンを着用している。髪の毛には赤いリボンがついている。金髪なのでよく似あっている。それに目の色も翡翠のようなきれいな緑色をしている。もしかしたら日本人ではなくハーフか、外国人かもしれない。
それにしてもよく恥ずかしげもなく、この服装で授業に出られるものである。家から大学までこの格好で来たのだろうか。別に大学では服装規定はないが、入学式といい、今日といい、コスプレ好きかと問いたくなってしまう。
私も驚いたが、周りも同じのようだ。遠巻きに私たちを見つめている。きっと教室に入る前から注目の的だっただろう。
授業が始まり、先生が話しだすと、さすがに私に話しかけることはなかった。先生の話しが退屈で眠くなってきた頃、ようやく授業が終わった。先ほどの西園寺さんの戯言は気にせず、次の授業の教室に行こう。間違っても彼女の言う通りに着替えることだけは避けよう。
「なんで私は更衣室にいるのだろう。」
しかし、私の決意はむなしく彼女に更衣室へ無理やり連行された。袋の中身は漫画に出てくる執事服そのものだ。執事服だ、白いシャツに黒いチョッキとジャケットとスラックス。それにご丁寧にも革靴と手袋までセットで袋に入っていた。これに着替えろということか。さらには自分がアリスの格好をしているからなのか、うさ耳のカチューシャが袋には入っていた。着替えないとさらに要求がエスカレートして手におえないことになってしまう。身の危険を本能で感じて、しぶしぶ着替えることにした。自分の意志で着用したのでは断じてない。これ以上面倒なことが起きないための最善策を取っているだけだ。何度も心の中で繰り返しながら、服に袖を通していった。
服のサイズはまるで採寸したかのように私にぴったりだった。彼女は何者だろうか。私のサイズをいつ知ったのだろう。もしやストーカーで私のことを常に監視しているのだろうか。もはや、西園寺さんなら何でもありだ。サイズがぴったりな理由は深く考えないようにしよう。考えても頭が痛くなるだけである。
それにしても、もともと女子にしては背の高いほうで、髪形もショートにしていたので、これではコスプレした男装女子になってしまう。下手したら、男性に見えてしまうかもしれない。まさか、この格好で今日一日を過ごさなければならないのだろうか。でも、鏡を見てみると、自分でいうのもなんだが、かっこよく決まっていた。
更衣室の外に出ると、西園寺さんが壁に寄りかかって待っていた。
「やっぱり、私の目に狂いはなかったようね。よく似合っているわ。」
そう言って、私にうさ耳カチューシャをつけた。うさ耳女装男子の完成である。さらに完成度を上げるためか、西園寺さん自ら化粧も施してくれた。そして、今後、西園寺さんが渡してくれる袋の中には化粧道具も追加され、私自身が服装に合わせた化粧をするようになるのだった。
「それと、これから一緒に過ごすのだから、連絡先を教えてよ。」
化粧の後、連絡先を聞かれて、つい教えてしまった。きっと、私から連絡することはないだろうが、彼女からは来るのだろうか。
入学式に言っていたことは冗談ではなく、本気だったのか。もうこれは彼女に従うよりほかない。なるようになれ。自分のことなのだが、どうにでもなれという気分だ。
さて、しぶしぶ着替え、完全なるコスプレをした私とすでにコスプレ済みの西園寺さんは次の授業に向かうべく、教室を探していた。
「
「ええと、西園寺さん。私は今日このまま一日過ごすのでしょうか。」
ダメもとで念のため聞いてみる。もしかしたら、私のうさ耳執事服姿を見て満足して解放してくれるかもしれないと期待していたのだが……。
「何を言っているのか理解できないわ。今日一日じゃなくて、これからずっと私の用意した服で過ごしてもらうから。何が似合うかしら、メイド服もいいし、着物も白衣も……。着せたい服がたくさん合って困っちゃうなあ。」
今日はうさ耳執事服でこれから毎日コスプレ三昧の日々を送らなければならないのか。それは嫌だが、服を調達するお金はどうするのだろう。私にぴったりのサイズだということはオーダーメイドということになる。それにこのような服はただでさえ、お金がかかる気がする。でも、普段着ない服を着るというのは楽しい。ただ、お金がかかるのなら、払わなくてはならない。親しき中にも礼儀あり。お金に関しては厳しくいかなければ。すでに私はこの時、コスプレすることに抵抗を感じなくなっているのだった。
「お金の心配ならいらないわ。なんせ、私は由緒正しき、西園寺家の娘なのだから。」
私の心配を見事に読み、答えてくれた。やはり只者ではなかった。
電車から降りて、歩いて大学に向かう。その途中も雨は止む様子はなく、これでもかというほどの大降りとなっている。大学に行くまでにすでに帰りたくなるような天気とはまさに今日のような天気を言うのだろう。大学につくころには傘をさしていたとはいえ、服が結構濡れてしまった。
「1限目の授業はどこだろう。確か西棟の第一講義室のはず。」
大学内は敷地が広く、教室を探すのに戸惑ったが、なんとか授業開始前に教室に入ることができた。
「おはよう、朔夜さん。話し合ってもいないのに私と同じ授業を取ろうとしているなんて、やっぱりこれも運命……。」
「いえ、違います。1年生は教養科目で被ることが多いんです。ただそれだけです。運命は全く関係ありません。」
即座に否定した。雨で服が濡れてすでに憂鬱な気分だというのに、朝から話しかけてくるなんて……。西園寺さんが入学式に引き続き話しかけてきた。教室を探すのに手間取っていて、すっかり彼女の存在を忘れていた。
「そうそう。あなたに似合いそうな服を用意したから、授業が終わったら更衣室で着替えてみて。絶対似合うから。」
今日も今日とて、人の話を聞く気がないのだろうか。まあ、雨で服がぬれているので着替えることができるのはありがたいが、絶対に普通の服であるわけがない。濡れていたほうがましと思うほどの服を用意しているのだろう。なんせ性格が残念系の人間だ。それに今日の西園寺さんの服からも容易に想像がつく。
今日の服装は、不思議の国のアリスの主人公アリスをもとにした服装をしていた。水色のふわっとしたドレスに靴下は水色と白の縞模様のオーバーニー。ドレスには白いエプロンを着用している。髪の毛には赤いリボンがついている。金髪なのでよく似あっている。それに目の色も翡翠のようなきれいな緑色をしている。もしかしたら日本人ではなくハーフか、外国人かもしれない。
それにしてもよく恥ずかしげもなく、この服装で授業に出られるものである。家から大学までこの格好で来たのだろうか。別に大学では服装規定はないが、入学式といい、今日といい、コスプレ好きかと問いたくなってしまう。
私も驚いたが、周りも同じのようだ。遠巻きに私たちを見つめている。きっと教室に入る前から注目の的だっただろう。
授業が始まり、先生が話しだすと、さすがに私に話しかけることはなかった。先生の話しが退屈で眠くなってきた頃、ようやく授業が終わった。先ほどの西園寺さんの戯言は気にせず、次の授業の教室に行こう。間違っても彼女の言う通りに着替えることだけは避けよう。
「なんで私は更衣室にいるのだろう。」
しかし、私の決意はむなしく彼女に更衣室へ無理やり連行された。袋の中身は漫画に出てくる執事服そのものだ。執事服だ、白いシャツに黒いチョッキとジャケットとスラックス。それにご丁寧にも革靴と手袋までセットで袋に入っていた。これに着替えろということか。さらには自分がアリスの格好をしているからなのか、うさ耳のカチューシャが袋には入っていた。着替えないとさらに要求がエスカレートして手におえないことになってしまう。身の危険を本能で感じて、しぶしぶ着替えることにした。自分の意志で着用したのでは断じてない。これ以上面倒なことが起きないための最善策を取っているだけだ。何度も心の中で繰り返しながら、服に袖を通していった。
服のサイズはまるで採寸したかのように私にぴったりだった。彼女は何者だろうか。私のサイズをいつ知ったのだろう。もしやストーカーで私のことを常に監視しているのだろうか。もはや、西園寺さんなら何でもありだ。サイズがぴったりな理由は深く考えないようにしよう。考えても頭が痛くなるだけである。
それにしても、もともと女子にしては背の高いほうで、髪形もショートにしていたので、これではコスプレした男装女子になってしまう。下手したら、男性に見えてしまうかもしれない。まさか、この格好で今日一日を過ごさなければならないのだろうか。でも、鏡を見てみると、自分でいうのもなんだが、かっこよく決まっていた。
更衣室の外に出ると、西園寺さんが壁に寄りかかって待っていた。
「やっぱり、私の目に狂いはなかったようね。よく似合っているわ。」
そう言って、私にうさ耳カチューシャをつけた。うさ耳女装男子の完成である。さらに完成度を上げるためか、西園寺さん自ら化粧も施してくれた。そして、今後、西園寺さんが渡してくれる袋の中には化粧道具も追加され、私自身が服装に合わせた化粧をするようになるのだった。
「それと、これから一緒に過ごすのだから、連絡先を教えてよ。」
化粧の後、連絡先を聞かれて、つい教えてしまった。きっと、私から連絡することはないだろうが、彼女からは来るのだろうか。
入学式に言っていたことは冗談ではなく、本気だったのか。もうこれは彼女に従うよりほかない。なるようになれ。自分のことなのだが、どうにでもなれという気分だ。
さて、しぶしぶ着替え、完全なるコスプレをした私とすでにコスプレ済みの西園寺さんは次の授業に向かうべく、教室を探していた。
「
「ええと、西園寺さん。私は今日このまま一日過ごすのでしょうか。」
ダメもとで念のため聞いてみる。もしかしたら、私のうさ耳執事服姿を見て満足して解放してくれるかもしれないと期待していたのだが……。
「何を言っているのか理解できないわ。今日一日じゃなくて、これからずっと私の用意した服で過ごしてもらうから。何が似合うかしら、メイド服もいいし、着物も白衣も……。着せたい服がたくさん合って困っちゃうなあ。」
今日はうさ耳執事服でこれから毎日コスプレ三昧の日々を送らなければならないのか。それは嫌だが、服を調達するお金はどうするのだろう。私にぴったりのサイズだということはオーダーメイドということになる。それにこのような服はただでさえ、お金がかかる気がする。でも、普段着ない服を着るというのは楽しい。ただ、お金がかかるのなら、払わなくてはならない。親しき中にも礼儀あり。お金に関しては厳しくいかなければ。すでに私はこの時、コスプレすることに抵抗を感じなくなっているのだった。
「お金の心配ならいらないわ。なんせ、私は由緒正しき、西園寺家の娘なのだから。」
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