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1日常
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鷹崎紫陽はこの春から高校生になった。両親が大学進学を望んでいたので、特に行きたい高校がなかったが、両親の薦められるままに、隣の市にある公立の進学校に進学することになった。
高校までは電車で通うことになった。入学式の日、電車に乗って登校していて思ったことだが、電車にのっている人間の大半がスマホを片手に持ち、真剣に画面に見入っていて、人間はスマホにかなり依存している。
電車を降りて、徒歩で高校まで向かう途中でも、スマホを片手に歩いている生徒をちらほら見かけた。どうやら、スマホは人々の生活にだいぶ浸透してきているようだ。
「おはよう。紫陽。高校でもよろしく」
校門付近で声をかけてきたのは、近所に住む幼馴染の鵜飼あやの(うかいあやの)だった。幼稚園からの腐れ縁だが、高校も同じになってしまった。別に幼馴染だからといって、必ずしも恋愛感情を持つということはない。相手はどうかはわからないが、紫陽はあやのに対して、恋愛感情はまったく持ち合わせてはいなかった。
あやのもほかの生徒と同様で、スマホを片手に持っていた。
「おはよう」
挨拶もそこそこに、紫陽は一年生が使う玄関に急いだ。鵜飼あやのは背が高く、すらりとしたモデル体型の女子で、スカートから覗く生足が魅力的である。目はぱっちりとした二重で、黒髪ストレートのサラサラな髪が風になびいていた。
そんなあやのと一緒にいるところを見られたら、後々面倒なことはわかりきっている。だからこそ、早く自分のクラスを探してクラスに逃げ込もうと紫陽は考えた。
しかし、幼馴染のあやのから逃れることはできなかった。一年生のクラスの廊下に貼られたクラス分けの名簿には、紫陽とあやのの名前が同じ紙に書かれていた。彼らは同じクラスになってしまった。
「やったあ。紫陽と同じクラスなんて運命だねえ。このまま結婚までしちゃう?」
紫陽はその言葉を無視して、一年間お世話になるクラスに入る。1年5組が彼の新しい居場所である。
クラスに入っても、スマホを片手に談笑する生徒たちが目に入った。
チャイムが鳴り、生徒たちが席に着く。紫陽も同じように自分の席に着いた。最初の席順は名簿順で、窓側から男子、廊下側が女子という配置だった。紫陽は、幼馴染のあやのが自分の近くにいないことに少し安堵した。
担任が教室に入ってきた。担任は30代くらいの男性教師だった。席についてすぐ、自分の自己紹介をした担任は、紫陽たちを連れて入学式が行われる体育館に向かった。
高校までは電車で通うことになった。入学式の日、電車に乗って登校していて思ったことだが、電車にのっている人間の大半がスマホを片手に持ち、真剣に画面に見入っていて、人間はスマホにかなり依存している。
電車を降りて、徒歩で高校まで向かう途中でも、スマホを片手に歩いている生徒をちらほら見かけた。どうやら、スマホは人々の生活にだいぶ浸透してきているようだ。
「おはよう。紫陽。高校でもよろしく」
校門付近で声をかけてきたのは、近所に住む幼馴染の鵜飼あやの(うかいあやの)だった。幼稚園からの腐れ縁だが、高校も同じになってしまった。別に幼馴染だからといって、必ずしも恋愛感情を持つということはない。相手はどうかはわからないが、紫陽はあやのに対して、恋愛感情はまったく持ち合わせてはいなかった。
あやのもほかの生徒と同様で、スマホを片手に持っていた。
「おはよう」
挨拶もそこそこに、紫陽は一年生が使う玄関に急いだ。鵜飼あやのは背が高く、すらりとしたモデル体型の女子で、スカートから覗く生足が魅力的である。目はぱっちりとした二重で、黒髪ストレートのサラサラな髪が風になびいていた。
そんなあやのと一緒にいるところを見られたら、後々面倒なことはわかりきっている。だからこそ、早く自分のクラスを探してクラスに逃げ込もうと紫陽は考えた。
しかし、幼馴染のあやのから逃れることはできなかった。一年生のクラスの廊下に貼られたクラス分けの名簿には、紫陽とあやのの名前が同じ紙に書かれていた。彼らは同じクラスになってしまった。
「やったあ。紫陽と同じクラスなんて運命だねえ。このまま結婚までしちゃう?」
紫陽はその言葉を無視して、一年間お世話になるクラスに入る。1年5組が彼の新しい居場所である。
クラスに入っても、スマホを片手に談笑する生徒たちが目に入った。
チャイムが鳴り、生徒たちが席に着く。紫陽も同じように自分の席に着いた。最初の席順は名簿順で、窓側から男子、廊下側が女子という配置だった。紫陽は、幼馴染のあやのが自分の近くにいないことに少し安堵した。
担任が教室に入ってきた。担任は30代くらいの男性教師だった。席についてすぐ、自分の自己紹介をした担任は、紫陽たちを連れて入学式が行われる体育館に向かった。
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