2 / 59
1日常
1
しおりを挟む
「紫陽も高校生になったから、スマホが必要かな」
「そうね。今時の高校生は大抵持っているから、紫陽にも買ってあげなければいけないわ」
「お兄ちゃんいいなあ、私もお兄ちゃんと一緒にスマホデビューしたいな」
「僕は別にスマホはいらないよ。あれば便利だと思うけど、なかったらなかったで、特に問題なさそうだし。それに、スマホって結構高いでしょ。だったら、欲しいといっているすみれにでも買ってあげたらいい。今時、中学生でもスマホを持っている子は多いみたいだから、すみれは成績も優秀だし、ご褒美に買ってあげたらいいよ」
鷹崎紫陽(たかさきしよう)はこの春、高校生になった。高校生になったお祝いとして、両親はスマホを僕に買ってくれようとした。今の世の中、高校生にもなったらスマホを所持しているのが当たり前である。
両親も自分の息子がスマホを欲しがっていると思っていたのだろう。しかし、紫陽はそれを断って、スマホを持たない高校生活を送ることに決めた。
両親や妹にはたいそう驚かれたが、本当に欲しくないのだから仕方がない。それに、現在持っている携帯電話がまだ壊れていないのに、新しいものに変えるのはもったいない気がした。
中学の同級生が高校の入学祝いに買ってもらったスマホを自慢そうにひけらかしてきた。しかし、それで何をしているのかといえば、友達と一日中、SNSアプリでつながっているだけだった。話を聞いていると、本当に1日24時間ずっと、暇さえあればSNSアプリでつながっている彼らが、紫陽には理解できなかった。
それ以外にスマホでしていることと言えば、ゲームをしているか、ネットサーフィンをしているか。紫陽には何が面白いのかわからないが、欲しいゲーム内のキャラやレアアイテムを手に入れるために、わざわざお金をかけるそうだ。課金というらしい。
高校生なのだから、バイトができるとはいえ、稼げる額は限られている。それなのに、その貴重なお金を架空のキャラやアイテムにお金をかけることもあるらしい。
確かに連絡を取る手段として、スマホは必要かもしれない。今時はいろいろな料金の支払いや電車の乗り降りにもスマホを使うことも多くなっている。外出先でも地図や店の情報をすぐに調べることができる。大変便利な機械であることは紫陽も理解していた。それでも、
「紫陽がいらないというのなら、無理にスマホは買わないけど、本当に要らないんだね?」
「欲しくなったら、いつでも言いなさいよ」
「大丈夫だよ。携帯電話もあるから連絡は取れるでしょ。調べ物は家にあるパソコンを使えばいいし、スマホがなくても特不便を感じないよ」
両親の方が、自分の息子にスマホを持たせたがっているように見えた。それを紫陽は断り、妹にスマホを買い与えて欲しいということを強く訴えた。その結果、二つ下の妹のすみれは、両親にスマホを買ってもらえたのだった。
「そうね。今時の高校生は大抵持っているから、紫陽にも買ってあげなければいけないわ」
「お兄ちゃんいいなあ、私もお兄ちゃんと一緒にスマホデビューしたいな」
「僕は別にスマホはいらないよ。あれば便利だと思うけど、なかったらなかったで、特に問題なさそうだし。それに、スマホって結構高いでしょ。だったら、欲しいといっているすみれにでも買ってあげたらいい。今時、中学生でもスマホを持っている子は多いみたいだから、すみれは成績も優秀だし、ご褒美に買ってあげたらいいよ」
鷹崎紫陽(たかさきしよう)はこの春、高校生になった。高校生になったお祝いとして、両親はスマホを僕に買ってくれようとした。今の世の中、高校生にもなったらスマホを所持しているのが当たり前である。
両親も自分の息子がスマホを欲しがっていると思っていたのだろう。しかし、紫陽はそれを断って、スマホを持たない高校生活を送ることに決めた。
両親や妹にはたいそう驚かれたが、本当に欲しくないのだから仕方がない。それに、現在持っている携帯電話がまだ壊れていないのに、新しいものに変えるのはもったいない気がした。
中学の同級生が高校の入学祝いに買ってもらったスマホを自慢そうにひけらかしてきた。しかし、それで何をしているのかといえば、友達と一日中、SNSアプリでつながっているだけだった。話を聞いていると、本当に1日24時間ずっと、暇さえあればSNSアプリでつながっている彼らが、紫陽には理解できなかった。
それ以外にスマホでしていることと言えば、ゲームをしているか、ネットサーフィンをしているか。紫陽には何が面白いのかわからないが、欲しいゲーム内のキャラやレアアイテムを手に入れるために、わざわざお金をかけるそうだ。課金というらしい。
高校生なのだから、バイトができるとはいえ、稼げる額は限られている。それなのに、その貴重なお金を架空のキャラやアイテムにお金をかけることもあるらしい。
確かに連絡を取る手段として、スマホは必要かもしれない。今時はいろいろな料金の支払いや電車の乗り降りにもスマホを使うことも多くなっている。外出先でも地図や店の情報をすぐに調べることができる。大変便利な機械であることは紫陽も理解していた。それでも、
「紫陽がいらないというのなら、無理にスマホは買わないけど、本当に要らないんだね?」
「欲しくなったら、いつでも言いなさいよ」
「大丈夫だよ。携帯電話もあるから連絡は取れるでしょ。調べ物は家にあるパソコンを使えばいいし、スマホがなくても特不便を感じないよ」
両親の方が、自分の息子にスマホを持たせたがっているように見えた。それを紫陽は断り、妹にスマホを買い与えて欲しいということを強く訴えた。その結果、二つ下の妹のすみれは、両親にスマホを買ってもらえたのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
アンドロイドは嘘をつかない
cassisband
SF
舞台は近未来の日本。アンダータウンという街で首なし死体が発見された。被害者は、黒岩ジョー博士。四十四歳の独身男性。大学で教鞭を取る脳科学者だった。ジョー博士は四年前から脳の疾患により休職していた。
捜査線上に浮かび上がったのは、家政婦アンドロイドのリンダだった。調理用のレーザーカッターでジョー博士の首を切断し、死体を遺棄した後、行方をくらましたと見られている。
捜査本部が設置され、アンドロイドが有力な容疑者であることは、警察内部でも伏せられることとなった。捜査一課長筒井ダン警部は、リンダを容疑者として捜査にあたる特任捜査を秘密裡に組織した。任命されたのは、古田ヤマト警部補と羽川マリア巡査長だ。
ヤマト警部補は、女性のパートナーに難色を示すが、ダン課長から彼女は優秀だと説得される。マリアは、身体の一部を機械で補うハイブリットヒューマンだった。
二人のために、専用の捜査ベースとポッド型アンドロイドが用意された。ダン課長は数日間のうちにリンダを確保することを二人に命じる。特任捜査を拝命したヤマトとマリアは、リンダが容疑者になりうるのか、調査を開始した。アンドロイドは、人間に危害を加えないように設計されているはずなのだ。
二人は、人工知能研究所の薬師寺博士を訪ねる。人工知能の権威は、『ロボット工学三原則』を絶対と言い切り、アンドロイドによる殺人の可能性を否定する。さらに『アンドロイドは嘘をつくことができない』と告げる。
リンダが実在しない可能性、リンダが実は人間で、影武者リンダはスリープ状態であるなど、ヤマトたちはさまざまな仮説を検証するが、どれも成立しない。謎は深まるばかりだった。
自体はさらに思いもよらぬ方向へ進む。リンダが出頭してきたのだ。リンダは自白して、裁判にかけられることになった。
前代未聞のアンドロイド裁判が始まった。
裁判結審した日、リンダは超然と法廷を後にする。ヤマトはリンダが嘲笑するように感じた。全ては終わったのだ。そのはずだった……。
研究所で誰かと話すアスカ博士。それはにわかには信じられない事実だった……。
エコー・オブ・スタースカイ
Semper Supra
SF
物語の背景
21世紀半ば、地球は環境問題と資源枯渇に直面し、新たな居住地を求めて宇宙開発が急速に進められています。その中でも特に重要な計画が「ルミナス・プロジェクト」。これは地球から12光年離れた「ケプラー186f」という惑星への初の有人探査計画です。この惑星は地球に似た環境を持ち、生命が存在する可能性があるとされています。
プロジェクトの目的
表向きの目的は、ケプラー186fに生命が存在するかどうかを調査し、将来的に人類が移住できる可能性を探ること。しかし、裏の目的として「シンギュラリティ・ポイント」と呼ばれる宇宙の謎を解き明かす地点を探索することも含まれています。このシンギュラリティ・ポイントは、宇宙の起源や未来に関する深遠な秘密を持っており、人類の進化を根本的に変える可能性があると考えられています。
主要キャラクター
レイナ・カースティン: この探査ミッションのキャプテンであり、かつては軍のエースパイロットでした。40代前半の彼女は経験豊富で、冷静沈着なリーダーです。
エリオット・グレイ: 副船長であり、科学者兼エンジニア。彼はシンギュラリティ・ポイントの探索を主導する役割を担っており、28歳という若さで数々の科学的な賞を受賞しています。
ハンナ・ウェインライト: 通信士であり、船と地球や他の宇宙船との連絡を担当する技術者。冷静で沈着な性格から、緊急時にも頼りになる存在です。
プロットの概要
物語は、ケプラー186fへ向かう宇宙船「アトラス1号」の旅を中心に展開します。彼らは地球を離れ、未知の世界へと向かいますが、その旅は単純ではなく、シンギュラリティ・ポイントに関する謎が徐々に明らかになっていく中で、様々な危機や予期せぬ出来事に直面します。
テーマとメッセージ
物語は、宇宙探査という壮大なテーマを背景にしながら、人類の未来や進化、そして未知への挑戦に関する哲学的な問いかけを含んでいます。また、キャラクターたちの内面の葛藤や成長を描き、人間としての在り方や絆が試される瞬間を強調します。
ブラッディ・クイーン
たかひらひでひこ
SF
近未来戦争。
20XX年突如鳴り響く、ジェイアラート。その時飛来した、弾道ミサイル攻撃に、日本は多大な損害を被る。
強引に巻き込まれ、すべてを失った男女たちは、シチズンソルジャーズとなった。
そのひとり鹿野は、失われた秩序を取り戻すべく、戦地に赴く。
そこで出会ったのは、ブラッディ・クイーンと呼ばれる、凄腕の女性中隊長だった。
戦場という究極のシチュエーションで、友情や、愛情がどんな形で表されるのか?
生死を共にする仲間たちの間に、どんな絆が芽生えるのか。
だが、戦争は、そんな個人の想いも、無慈悲に破壊してゆく。
異能者の惑星
夢咲香織
SF
辺境惑星タラゴンでは、4人の異能者と、6人の地球人がサバイバル生活をしていた。何故10人はこんな辺境惑星でサバイバルをしているのか? 時は22年前にさかのぼる。人類が新たに住める星を探して、宇宙船ポラリスは地球を旅立った……。ポラリス号は人類移住の候補地、タラゴンを調査したが、宇宙海賊に襲われて船が故障し、地球へは帰って来れなかった。船長のミゲル以下、クルーはタラゴンでのサバイバルを覚悟する。やがてクルー達はそれぞれ結婚して子供達が生まれたが、タラゴンの不思議な二つの月の影響で、子供達は異能者となる。タラゴンは異能者を生む星だったのだ。
22年後に地球から迎えが来るが、その前に起きた地球の異能者のクーデターによって、中央政府は異能者排除法を作って異能者を迫害していた。
親となったクルーと子供達の運命やいかに?
HERESY's GAME
S&K
SF
時は2050年、太古昔に神々からの恩恵を受けたブレストワンと呼ばれる異能力者達が、繁栄を続け、現代まで普通の人間と共に地球上で共存する世界。
この世界では、ブレストワン(異能力者)やストロマン(超人)と呼ばれる者達がGUARDIANと呼ばれる組織に所属し、世界平和の為、共に悪と戦っていた…。
が、しかし悪人への処罰制度の取り決めに関する意見の食い違いで、組織は悪人処罰賛成派のGENESISと処罰反対派のNUMBERSの二つに分裂し、敵対しながら争いを繰り広げていた。
その一方で世界征服を企む悪の組織DISASTERが世界侵略の為、動き始めていた…。
果たし彼らは平和を取り戻すことができるのか、それとも世界は絶望の淵に堕ちるのか?
果たしてその行く末にどんな未来は…。
(※3ケ月に1度2話更新)
いくさびと
皆川大輔
SF
☆1分でわかる「いくさびと」のあらすじ
→https://www.youtube.com/watch?v=ifRWMAjPSQo&t=4s
○イラストは和輝こころ様(@honeybanana1)に書いていただきました!ありがとうございました!
◆□◆□◆□◆
時は、2032年。
人のあらゆる事象は、ほぼ全て数値で管理できるようになっていた。
身長や体重、生年月日はもちろん、感情や記憶までもが、数値によって管理されている。
事象の数値化に伴って、行動履歴なども脳内に埋め込まれた機械〝シード〟によって記録されるようになり、
監視社会となったことで犯罪率も格段に低下していた。
しかし、そんな平和にも思える世界で、新しい火種が生まれだそうとしていた。
突如、全身を黒く染めた怪物が、街に出現し始めたのだ。
前触れもなく街に現れ、見境なく人を襲う存在――〝シカバネ〟。
ただ、そんな人に危害を加えるような存在を見逃すほど世界は怠けてはいない。
事件が起こるやいなや、シカバネに対抗しうる特殊な能力を持った人間を集め、警察組織に「第七感覚特務課」を新設。
人員不足ながら、全国に戦闘員を配置することに成功した。
そんな第七感覚特務課・埼玉支部に所属する桜庭大翔は、ある日、シカバネとなりかけていた姫宮明日香と遭遇する。
感情を失い、理性を失い、人ではない存在、〝シカバネ〟になりかけている少女に、少年は剣を向けた。
己の正義を執行するために。
この出会いは、偶然か運命かはわからない。
一つ確かなのは、二人が出会ったその瞬間から、未来が大きく動き出すことになったということだけだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる