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34自分を責める必要はない
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たたきつけるような雨の中、私たちは空を飛んでいた。こんな状況は以前にも体験したことがあるが、その時はここまで天気が悪くなかった。
「彼女と向井さんは、大丈夫なのですか?」
空を飛んでいるにも関わらず、私たちは雨に濡れることはなかった。雨が身体に触れることはなく、まるで雨が私たちを避けているかのようだった。視界は悪いが、濡れて気持ち悪い思いはしていない。口を開けても雨が入ってくることはなかったため、私の腕を引っ張って前方を飛ぶ九尾に話しかける。翼君と狼貴君は九尾の眷属になっているため、自分たちの力だけでも空を飛べるらしい。私の隣を飛んでいるのが見えた。
いつの間にか、彼らの頭とお尻にはケモミミと尻尾が現れていた。ふわふわと耳と尻尾が風に揺れているのを見ていても、心が安らぐことはなかった。ジャスミンはというと、私の腰に振り落とされないようにしがみついていた。
「奴らの狙いはあくまで我らだから、その我らがいないとわかれば、すぐにあの家から手を引くだろう。とはいえ、蒼紗の幼馴染とやらはやばいだろうな。もって数日か、あるいは」
「だとしたら、急いで戻らな」
「あいつらは人間の命が一つ二つなくなろうが気にしない。そんなこと、前からわかっていたでしょう?今更、向井さんの家になんて戻れないわ。それに、もうすでに遅いわよ、蒼紗」
軽い口調で語る九尾に腹が立ち、思わず声を上げて反論しようとしたが、ジャスミンによって遮られる。
「遅いって……」
嫌な想像が頭をよぎる。先ほどからジャスミンは、あきらめを含んだ口調で私を諭すように語り掛けてくる。私たちが会話している間も、九尾はどんどんとスピードを上げて空中を進んでいく。
「着きましたよ」
いつの間にか、自分の家まで飛んできたようだ。いつも見ている我が家が空から確認することができた。気まずい空気が流れる中、翼君が私たちに声をかける。相変わらずの土砂降りだが、私たちは空高い場所からゆっくりと地面に降下していく。足下が地上について、ようやく浮遊感がなくなる。
「そんなに怖い顔をしないでください」
私の表情が強張っていることに気付いたのか、翼君が苦笑気味で話しかけてくる。何とか表情を和らげようと努めるが、どうにも元の表情に戻りそうにない。幼馴染の荒川結女を危険な状態でおいてきてしまったのだ。怖い顔をしないでと言われても無理な話だ。
「翼君たちは、彼女が、荒川結女がこうなることを知っていたんですか?」
つい、聞かなくてもいいことを尋ねてしまう。もし、そうだとしたら、私は彼女と会うのを辞めておくべきだった。私のせいで、彼女が危険に晒されてしまったと思うと、気が気ではない。
「翼と狼貴を責めるな。我たちの想定よりも早く、組合が荒っぽいことを始めたということだ。なりふり構っていられない事情でもあるのだろうな」
「蒼紗が気に病む必要はないわよ。だって、彼女の方が蒼紗に会いたいと打診してきたのでしょう?しかも、相手は能力者で、たぶん、こっちの事情を把握していた」
「でも、だからと言って」
ジャスミンも荒川結女の急変を責めることはないと言ってくれるが、そんなこと、できるわけがない。なおも自分の責任だと思っていると、ジャスミンが突然、爆弾発言をしてきた。
「私もだと言ったら、どうするの?」
「えっ?」
突然の言葉過ぎて、返事が間抜けなものになってしまう。私も、とはどういうことだろうか。荒川結女以外にも、私は何かまずい行動をしてしまったとしたら。
「佐藤さん、その話は家の中でしましょう。まずは部屋に入って、温かいお茶でも飲んで落ち着きましょう」
彼女の話を途中で止めたのは翼君だった。そういえば、私たちは向井さんの家から空を飛び、今は私の家の前に着地していた。玄関の上には屋根がついているが、外は相変わらずの土砂降りの雨である。
「翼君の言う通りですね。九尾や翼君、狼貴君、それにジャスミンにはいろいろ聞きたいことがありますから、家に入ったら覚悟してくださいね」
私たちはとりあえず、家に入ることにした。向井さんの家から飛び出してくる際に、カバンを忘れてしまったと思っていたが、きちんと翼君が回収してくれていた。中に入っていたカギで玄関を開けることができた。
「彼女と向井さんは、大丈夫なのですか?」
空を飛んでいるにも関わらず、私たちは雨に濡れることはなかった。雨が身体に触れることはなく、まるで雨が私たちを避けているかのようだった。視界は悪いが、濡れて気持ち悪い思いはしていない。口を開けても雨が入ってくることはなかったため、私の腕を引っ張って前方を飛ぶ九尾に話しかける。翼君と狼貴君は九尾の眷属になっているため、自分たちの力だけでも空を飛べるらしい。私の隣を飛んでいるのが見えた。
いつの間にか、彼らの頭とお尻にはケモミミと尻尾が現れていた。ふわふわと耳と尻尾が風に揺れているのを見ていても、心が安らぐことはなかった。ジャスミンはというと、私の腰に振り落とされないようにしがみついていた。
「奴らの狙いはあくまで我らだから、その我らがいないとわかれば、すぐにあの家から手を引くだろう。とはいえ、蒼紗の幼馴染とやらはやばいだろうな。もって数日か、あるいは」
「だとしたら、急いで戻らな」
「あいつらは人間の命が一つ二つなくなろうが気にしない。そんなこと、前からわかっていたでしょう?今更、向井さんの家になんて戻れないわ。それに、もうすでに遅いわよ、蒼紗」
軽い口調で語る九尾に腹が立ち、思わず声を上げて反論しようとしたが、ジャスミンによって遮られる。
「遅いって……」
嫌な想像が頭をよぎる。先ほどからジャスミンは、あきらめを含んだ口調で私を諭すように語り掛けてくる。私たちが会話している間も、九尾はどんどんとスピードを上げて空中を進んでいく。
「着きましたよ」
いつの間にか、自分の家まで飛んできたようだ。いつも見ている我が家が空から確認することができた。気まずい空気が流れる中、翼君が私たちに声をかける。相変わらずの土砂降りだが、私たちは空高い場所からゆっくりと地面に降下していく。足下が地上について、ようやく浮遊感がなくなる。
「そんなに怖い顔をしないでください」
私の表情が強張っていることに気付いたのか、翼君が苦笑気味で話しかけてくる。何とか表情を和らげようと努めるが、どうにも元の表情に戻りそうにない。幼馴染の荒川結女を危険な状態でおいてきてしまったのだ。怖い顔をしないでと言われても無理な話だ。
「翼君たちは、彼女が、荒川結女がこうなることを知っていたんですか?」
つい、聞かなくてもいいことを尋ねてしまう。もし、そうだとしたら、私は彼女と会うのを辞めておくべきだった。私のせいで、彼女が危険に晒されてしまったと思うと、気が気ではない。
「翼と狼貴を責めるな。我たちの想定よりも早く、組合が荒っぽいことを始めたということだ。なりふり構っていられない事情でもあるのだろうな」
「蒼紗が気に病む必要はないわよ。だって、彼女の方が蒼紗に会いたいと打診してきたのでしょう?しかも、相手は能力者で、たぶん、こっちの事情を把握していた」
「でも、だからと言って」
ジャスミンも荒川結女の急変を責めることはないと言ってくれるが、そんなこと、できるわけがない。なおも自分の責任だと思っていると、ジャスミンが突然、爆弾発言をしてきた。
「私もだと言ったら、どうするの?」
「えっ?」
突然の言葉過ぎて、返事が間抜けなものになってしまう。私も、とはどういうことだろうか。荒川結女以外にも、私は何かまずい行動をしてしまったとしたら。
「佐藤さん、その話は家の中でしましょう。まずは部屋に入って、温かいお茶でも飲んで落ち着きましょう」
彼女の話を途中で止めたのは翼君だった。そういえば、私たちは向井さんの家から空を飛び、今は私の家の前に着地していた。玄関の上には屋根がついているが、外は相変わらずの土砂降りの雨である。
「翼君の言う通りですね。九尾や翼君、狼貴君、それにジャスミンにはいろいろ聞きたいことがありますから、家に入ったら覚悟してくださいね」
私たちはとりあえず、家に入ることにした。向井さんの家から飛び出してくる際に、カバンを忘れてしまったと思っていたが、きちんと翼君が回収してくれていた。中に入っていたカギで玄関を開けることができた。
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