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番外編【卒業シーズン】3卒業旅行(大鷹視点)
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「ねえ、卒業旅行、海外に行こうよ」
「いいね。ヨーロッパとかいいかもね」
「じゃあ、フランスとイギリスとか?どうせなら、一つの国だけじゃなくて、二つとか見れたら楽しくない?」
「ああでも、ヨーロッパだと遠いし、結構な値段かかるね。それに、日にちも一週間とかないと楽しめないかも」
「えええ!せっかくの記念だし、一週間くらい旅行しようよ」
「予算の問題もあるからね」
オレは彼女の河合江子と大学の食堂で、卒業旅行について話していた。現在は12月。来年3月には4年間の大学生活が終了し、春から新社会人として会社で働くことになる。オレも河合江子も無事に内定が取れて、あとは卒業論文を書くだけとなっている。
「予算ねえ。そういえば、私と卒業旅行に行くのはいいんだよね?大学の友達と行く予定はないの?ほうだ、同じゼミの子とか、おおたかっちにかなりご執心みたいだったでしょ?」
河合江子は食堂で頼んだカルボナーラのパスタをフォークで上品に口に運んでいる。しかし、パスタを飲み込む前に話し始めるので、結果的にお行儀がよくない。とはいえ、そこまで気にすることでもない。オレも、頼んだ唐揚げセットの唐揚げに箸をつける。当然、話すときはキチンとものを飲み込んでから話す。
「佐藤君のこと?別に親しいってわけじゃないから、一緒に旅行は行かないよ。そうだなあ、他の友達とは、国内の近場に旅行でいいよねって話になってる」
「国内かあ。でも、それはそれでお金のない大学生にはちょうどいいかもね。でも、私はお金がかかっても、海外に行きたいなあ」
「あの、大鷹さんたち、はどこに行かれる、予定、ですか?わ、私もと、友達とい、一緒に卒業旅行でか、海外に、い、行きたいなって、は、話しに、なって、て」
オレ達が話していたら、同じ学科の同級生に声をかけられた。確か、苗字が近かったとかで、入学式の時に少し話したことがある女子だ。苗字は確か。
『木下さん!』
奇しくも河合江子も、話しかけてきた女子の名前を思い出していたようだ。思い出したタイミングが一緒で見事なハモリを見せた。木下さんはオレたちの声に驚いたような顔をしたが、すぐに恥ずかしそうな表情でうつむいてしまう。
「木下さんも海外に行くんだね?私たちはヨーロッパに行きたいなと思ってるんだけど、費用と日数の問題があるからね。悩んでるの」
「そ、そうなん、です、ね」
木下さんはなぜか、オレ達を前に話すのが緊張しているのか、つっかえつっかえの話し方になっている。これは前から思っていたが、同級生だというのになぜそこまで緊張するのか。そして、慣れることなく4年間が過ぎてしまった。
「木下さんはどこに行くのか、候補とかはある?」
「こう、ほ、としては、オーストラリア、とか、ニュージーランド、とか、ありかな、と」
「なるほど。それはいいね。コアラとかカンガルーとか、キウイとか現地で見るっていうのは楽しそう」
「オレ達も候補に入れておこうかな」
「ぜ、ぜひ、いれてく、ください。わ、わたしは、高校、のころ、に一度、い、いったことが、あって、よいところ、ですよ」
「木下あ、食堂の場所取り、ってまた大鷹と話していたのかよ。ああ、ちょうどいいや。大鷹の席って隣空いてる?一緒に食べてもいい?」
「大鷹、さんって呼びなよ」
木下さんと話していたら、彼女の友人らしい女性がオレたちのそばにやってきた。内気そうな木下さんとは反対に、はきはきとした話し方の明るそうな女性だ。木下さんとはタイプが違いそうだが、仲が良いのだろうか。
「うわ、おおたかっちって、やっぱり女性引き寄せマンだね」
「酷い言いようだな」
「否定はしないんだ」
河合江子が拗ねたような表情になっているが、的を得た発言だ。認めたくはないが、どうにもオレの容姿は女性を無駄に引き寄せてしまうらしい。20年も生きていたら、嫌でもそれがわかってくる。
『はあ』
「まじであんたらお似合いカップルだな。ため息吐くタイミングがぴったりすぎだろ」
アハハと豪快に笑う木下さんの友人らしい女性は遠慮なく河合江子の隣の席の腰を下ろす。そして、オレの隣には。
「お、お邪魔、しま、す」
なぜか、木下さん達と一緒に食事をすることになってしまった。
「いいね。ヨーロッパとかいいかもね」
「じゃあ、フランスとイギリスとか?どうせなら、一つの国だけじゃなくて、二つとか見れたら楽しくない?」
「ああでも、ヨーロッパだと遠いし、結構な値段かかるね。それに、日にちも一週間とかないと楽しめないかも」
「えええ!せっかくの記念だし、一週間くらい旅行しようよ」
「予算の問題もあるからね」
オレは彼女の河合江子と大学の食堂で、卒業旅行について話していた。現在は12月。来年3月には4年間の大学生活が終了し、春から新社会人として会社で働くことになる。オレも河合江子も無事に内定が取れて、あとは卒業論文を書くだけとなっている。
「予算ねえ。そういえば、私と卒業旅行に行くのはいいんだよね?大学の友達と行く予定はないの?ほうだ、同じゼミの子とか、おおたかっちにかなりご執心みたいだったでしょ?」
河合江子は食堂で頼んだカルボナーラのパスタをフォークで上品に口に運んでいる。しかし、パスタを飲み込む前に話し始めるので、結果的にお行儀がよくない。とはいえ、そこまで気にすることでもない。オレも、頼んだ唐揚げセットの唐揚げに箸をつける。当然、話すときはキチンとものを飲み込んでから話す。
「佐藤君のこと?別に親しいってわけじゃないから、一緒に旅行は行かないよ。そうだなあ、他の友達とは、国内の近場に旅行でいいよねって話になってる」
「国内かあ。でも、それはそれでお金のない大学生にはちょうどいいかもね。でも、私はお金がかかっても、海外に行きたいなあ」
「あの、大鷹さんたち、はどこに行かれる、予定、ですか?わ、私もと、友達とい、一緒に卒業旅行でか、海外に、い、行きたいなって、は、話しに、なって、て」
オレ達が話していたら、同じ学科の同級生に声をかけられた。確か、苗字が近かったとかで、入学式の時に少し話したことがある女子だ。苗字は確か。
『木下さん!』
奇しくも河合江子も、話しかけてきた女子の名前を思い出していたようだ。思い出したタイミングが一緒で見事なハモリを見せた。木下さんはオレたちの声に驚いたような顔をしたが、すぐに恥ずかしそうな表情でうつむいてしまう。
「木下さんも海外に行くんだね?私たちはヨーロッパに行きたいなと思ってるんだけど、費用と日数の問題があるからね。悩んでるの」
「そ、そうなん、です、ね」
木下さんはなぜか、オレ達を前に話すのが緊張しているのか、つっかえつっかえの話し方になっている。これは前から思っていたが、同級生だというのになぜそこまで緊張するのか。そして、慣れることなく4年間が過ぎてしまった。
「木下さんはどこに行くのか、候補とかはある?」
「こう、ほ、としては、オーストラリア、とか、ニュージーランド、とか、ありかな、と」
「なるほど。それはいいね。コアラとかカンガルーとか、キウイとか現地で見るっていうのは楽しそう」
「オレ達も候補に入れておこうかな」
「ぜ、ぜひ、いれてく、ください。わ、わたしは、高校、のころ、に一度、い、いったことが、あって、よいところ、ですよ」
「木下あ、食堂の場所取り、ってまた大鷹と話していたのかよ。ああ、ちょうどいいや。大鷹の席って隣空いてる?一緒に食べてもいい?」
「大鷹、さんって呼びなよ」
木下さんと話していたら、彼女の友人らしい女性がオレたちのそばにやってきた。内気そうな木下さんとは反対に、はきはきとした話し方の明るそうな女性だ。木下さんとはタイプが違いそうだが、仲が良いのだろうか。
「うわ、おおたかっちって、やっぱり女性引き寄せマンだね」
「酷い言いようだな」
「否定はしないんだ」
河合江子が拗ねたような表情になっているが、的を得た発言だ。認めたくはないが、どうにもオレの容姿は女性を無駄に引き寄せてしまうらしい。20年も生きていたら、嫌でもそれがわかってくる。
『はあ』
「まじであんたらお似合いカップルだな。ため息吐くタイミングがぴったりすぎだろ」
アハハと豪快に笑う木下さんの友人らしい女性は遠慮なく河合江子の隣の席の腰を下ろす。そして、オレの隣には。
「お、お邪魔、しま、す」
なぜか、木下さん達と一緒に食事をすることになってしまった。
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