199 / 234
番外編【恒例行事になりそうです】8おみくじ通り(当間視点)
しおりを挟む
「それで、おみくじ通りに愛しの年下の恋人に見事に振られてしまったと。おみくじって怖いな」
「まさか、俺も振られるなんて思わなかった……」
俺は仕事帰り、初詣に一緒に行った友達と会社近くのファミレスで夕食を取っていた。友達に梨々花ちゃんとの別れ話について相談するためだ。別れ話と言っても、すでに別れてしまっているが、俺はどうしても彼女との別れを認めたくなかった。友達に相談して、何とかヨリを戻したかった。
しかし、あれはとんでもない別れ方だった。今までも彼女がいて、その都度別れてきたが、こんなに劇的な別れ方はしたことがなかった。俺と梨々花ちゃんの話しなのに、外野が二人もいたのだ。あれは思い出したくない。
「おみくじ通りなら、復縁なんて無理だろうな。ちなみに彼女の写真ってあるか?お前がそんなにご執心な相手の顔がみたいな。年下だからイイと言うのはわかるが、よほど可愛らしい子なんだろ?」
「ああ、この子だ」
お互いに料理を注文して、食べながら会話する。俺は友人に梨々花ちゃんの写真を見せたが、友人の反応は意外なものだった。
「これ、典型的なあざと女子だろ。よくこんな女と付き合えたな?年下で可愛かったら、誰でもいいってことか?そりゃあ、振られるに決まってる。むしろ、よく一年も付き合えたなって感じだ」
友人は写真を見たとたんに、俺への態度が急変した。バカにするようなものに変わり、鼻で笑われた。いったい、梨々花ちゃんの何が気に入らないのか。写真を見ただけで彼女の性格までわかるわけがない。
「お前に梨々花ちゃんの何が」
「おや、噂をすれば、だ。見ろよ。お前の元カノのあざと女がファミレスに来てるぞ」
俺の言葉は友人の言葉によってかき消される。友人が突然、俺の席の後ろに視線を向けた。何かと思って俺も後ろを振り返って確認すると、噂の張本人が女性二人とともに食事をしているのが見えた。
「なあ、挨拶に行こうぜ。当間、お前って面白いな」
料理をあらかた食べ終えていた友人は席を立つ。そして、その足で梨々花ちゃんたちがいる席まで歩き始めた。慌てて俺もグラスの水を飲み干してあとを追う。
「梨々花ちゃん、それに河合さんに……。紗々ちゃ」
「こんばんは、当間さん。会社外で会うなんて珍しいですね。私たちは食事を終えたので、これで失礼します。行こう、梨々花ちゃん、先輩」
彼女たちの前にやってきて声をかけると、梨々花ちゃんより先に河合さんに対応される。彼女達は席を立って、俺達から離れようとする。
「会社外だとしても、私の事をちゃん付で呼ぶのはやめてください。私たちはただの会社の同僚ですから」
河合さんの次に言葉を発したのは紗々ちゃんだった。彼女にも冷たい対応をされてしまう。
「冷たいねえ。彼女達が例の会社の同僚?ずいぶんと嫌われているみたいだけど」
友達は俺達の会話を聞いて、口を押えて笑っている。傍から見たら、面白い光景かもしれないが、当事者としては何も笑えない。
「あの、梨々花ちゃん。俺、別れても君とは仲良くして」
「ムリです。この前も言ったように、私には当間さん以外に好きな人ができました。当間さんも私以外に気になる人がいるのでしょう?まあ、その人はあなたのことは眼中にないようですが」
とどめとばかりに俺の言葉は梨々花ちゃんによってバッサリと一蹴される。そして、なぜか梨々花ちゃんは紗々ちゃんの方を見た。しかし、すぐに河合さんの方に向き直る。三人はそのままファミレス出口に足を進めていき、俺達から離れていった。
彼女達を追いかけようとしたが、このまま追いかけても良いことはないだろう。むしろ、店内で目立ってしまう。俺はその場に立ったまま、彼女達がファミレスを出ていくのをただ見守るしかなかった。
「あの、もしかしてそのチョコは女性にあげるんですか?」
「男から女にチョコをあげるやつって、俺ら以外にもいるんだな」
「僕たちも、バレンタインに女性にあげようと思っているんです」
そんなことがあり、精神的に疲れてしまったが明日から週末だ。俺は週末に梨々花ちゃんの為にチョコを買うと決めていた。振られている俺に出来るのは、梨々花ちゃんの俺に対する好感度を上げることだ。
それには甘いものが好きな彼女に贈り物をするのが手っ取り早い。バレンタインも近いので、それに合わせて送るのがよいだろう。そう思って土曜日に家の近くのスーパーに買い物に出掛けたら、謎の男三人組に声をかけられた。
「まさか、俺も振られるなんて思わなかった……」
俺は仕事帰り、初詣に一緒に行った友達と会社近くのファミレスで夕食を取っていた。友達に梨々花ちゃんとの別れ話について相談するためだ。別れ話と言っても、すでに別れてしまっているが、俺はどうしても彼女との別れを認めたくなかった。友達に相談して、何とかヨリを戻したかった。
しかし、あれはとんでもない別れ方だった。今までも彼女がいて、その都度別れてきたが、こんなに劇的な別れ方はしたことがなかった。俺と梨々花ちゃんの話しなのに、外野が二人もいたのだ。あれは思い出したくない。
「おみくじ通りなら、復縁なんて無理だろうな。ちなみに彼女の写真ってあるか?お前がそんなにご執心な相手の顔がみたいな。年下だからイイと言うのはわかるが、よほど可愛らしい子なんだろ?」
「ああ、この子だ」
お互いに料理を注文して、食べながら会話する。俺は友人に梨々花ちゃんの写真を見せたが、友人の反応は意外なものだった。
「これ、典型的なあざと女子だろ。よくこんな女と付き合えたな?年下で可愛かったら、誰でもいいってことか?そりゃあ、振られるに決まってる。むしろ、よく一年も付き合えたなって感じだ」
友人は写真を見たとたんに、俺への態度が急変した。バカにするようなものに変わり、鼻で笑われた。いったい、梨々花ちゃんの何が気に入らないのか。写真を見ただけで彼女の性格までわかるわけがない。
「お前に梨々花ちゃんの何が」
「おや、噂をすれば、だ。見ろよ。お前の元カノのあざと女がファミレスに来てるぞ」
俺の言葉は友人の言葉によってかき消される。友人が突然、俺の席の後ろに視線を向けた。何かと思って俺も後ろを振り返って確認すると、噂の張本人が女性二人とともに食事をしているのが見えた。
「なあ、挨拶に行こうぜ。当間、お前って面白いな」
料理をあらかた食べ終えていた友人は席を立つ。そして、その足で梨々花ちゃんたちがいる席まで歩き始めた。慌てて俺もグラスの水を飲み干してあとを追う。
「梨々花ちゃん、それに河合さんに……。紗々ちゃ」
「こんばんは、当間さん。会社外で会うなんて珍しいですね。私たちは食事を終えたので、これで失礼します。行こう、梨々花ちゃん、先輩」
彼女たちの前にやってきて声をかけると、梨々花ちゃんより先に河合さんに対応される。彼女達は席を立って、俺達から離れようとする。
「会社外だとしても、私の事をちゃん付で呼ぶのはやめてください。私たちはただの会社の同僚ですから」
河合さんの次に言葉を発したのは紗々ちゃんだった。彼女にも冷たい対応をされてしまう。
「冷たいねえ。彼女達が例の会社の同僚?ずいぶんと嫌われているみたいだけど」
友達は俺達の会話を聞いて、口を押えて笑っている。傍から見たら、面白い光景かもしれないが、当事者としては何も笑えない。
「あの、梨々花ちゃん。俺、別れても君とは仲良くして」
「ムリです。この前も言ったように、私には当間さん以外に好きな人ができました。当間さんも私以外に気になる人がいるのでしょう?まあ、その人はあなたのことは眼中にないようですが」
とどめとばかりに俺の言葉は梨々花ちゃんによってバッサリと一蹴される。そして、なぜか梨々花ちゃんは紗々ちゃんの方を見た。しかし、すぐに河合さんの方に向き直る。三人はそのままファミレス出口に足を進めていき、俺達から離れていった。
彼女達を追いかけようとしたが、このまま追いかけても良いことはないだろう。むしろ、店内で目立ってしまう。俺はその場に立ったまま、彼女達がファミレスを出ていくのをただ見守るしかなかった。
「あの、もしかしてそのチョコは女性にあげるんですか?」
「男から女にチョコをあげるやつって、俺ら以外にもいるんだな」
「僕たちも、バレンタインに女性にあげようと思っているんです」
そんなことがあり、精神的に疲れてしまったが明日から週末だ。俺は週末に梨々花ちゃんの為にチョコを買うと決めていた。振られている俺に出来るのは、梨々花ちゃんの俺に対する好感度を上げることだ。
それには甘いものが好きな彼女に贈り物をするのが手っ取り早い。バレンタインも近いので、それに合わせて送るのがよいだろう。そう思って土曜日に家の近くのスーパーに買い物に出掛けたら、謎の男三人組に声をかけられた。
0
あなたにおすすめの小説
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる