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番外編【波乱の新年の幕開け】6心配です
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「河合さんと当間さん、私の3人で食事に行くことになりました」
帰宅後、私は大鷹さんに今日決まったことを正直に話すことにした。河合さんがいるため、何か起こるとも思えないが、大鷹さんに言っておいた方が良いと判断した。夕食の準備は大鷹さんがしてくれていた。キッチンで作業をしていた大鷹さんは私の言葉に鍋から目を離し、私のいるリビングに身体を向けて首をかしげる。
「なんでそんなことになったのか、説明してもらえますか?」
大鷹さんの視線が怖い。何もやましいことがないのに、謝りたくなってしまう。本当は私だってこんな約束に頷きたくはなかった。悪いのは河合さんだ。もう、素直に私が約束を取り付けたのではなく、河合さんが勝手にしたことだとばらしてしまおうか。
「はあ」
私が黙っていたら、大鷹さんが大きな溜息を吐く。幼馴染設定が嫌いなのに、自分は幼馴染と河合さんも同席だとはいえ、食事をするのか。あきれた奴だ。そんな心の声が聞こえてきそうだ。
「あの、大鷹さ」
「わかっていますよ。どうせ、河合江子のせいでしょう?彼女が紗々さんと当間さんの関係を嗅ぎつけて、勝手に食事の場をセッティングした」
私が河合さんの名前を出す前に、大鷹さんはこの件の真相にたどり着いてしまった。河合さんの性格を知り過ぎているような気がして、あまり気分がよくない。モヤモヤした気持ちになるが、気にしている場合ではない。
「わかっているのなら」
「それでも」
それにしても、大鷹さんはよほど私と当間をプライベートで会わせるのが嫌らしい。私の言葉を遮り、大鷹さんにしては大きな声で話し続ける。
「僕はできれば、紗々さんにはその約束を断ってほしかった。まあ、彼女は押しが強いので断りにくかったとは思いますが」
「もしかして、私が当間と何かあるかもしれないと、心配しているんですか?」
「あ、当たり前でしょう?いくら紗々さんが恋愛に疎いからと言って、実家の隣に住んでいた男の子と、どうもならないという可能性は否定できません」
心配してくれているのは嬉しいが、一言余計だ。恋愛に疎いのは事実だが、口にしなくてもいいではないか。
「大鷹さんの言い分はワカリマシタ。ですが、私が大鷹さんよりほかの男を選ぶとかありえません」
「ぼ、僕だってそんなことは分かって」
「だったら」
私は大鷹さんのいるキッチンまで歩いていく。大鷹さんは私より身長が高いので視線を合わせるときは上を向かなくてはならない。大鷹さんを見上げる形でしっかりと視線を合わせる。
「私をもっと信用してください。そもそも、私は当間とは大した思い出もないので、どうこうなりようがありません。それに当間は私のタイプではありません。私は」
大鷹さんがタイプです。
「も、もう結構です。紗々さんの気持ちはよくわかりました」
最後まで言葉を言わせてもらえなかった。
「わかってくれたなら、良かったです。お腹が減ったのですが、今日の夕食は何ですか?」
話が無事に終わりそうなことに安心したら、急にお腹が減ってきた。今日は、大鷹さんは仕事が休みだったが、私は一日仕事を頑張っている。
「身体は正直ですね。今日はかにすきにしましたよ」
「うれしいです。準備、手伝いますね」
冷凍庫に眠っていた年末に買ったかにが残っていることを思い出す。
「ぐうう」
「急ぎましょう。もう、鍋は温まっているので皿の準備をお願いします」
私たちは先ほどまでのぎすぎすした雰囲気とは一変して、互いに微笑みあう。これぞ、仲の良い夫婦というものだ。
夕食のかにすきは、かにの身が大ぶりでとてもおいしかった。
帰宅後、私は大鷹さんに今日決まったことを正直に話すことにした。河合さんがいるため、何か起こるとも思えないが、大鷹さんに言っておいた方が良いと判断した。夕食の準備は大鷹さんがしてくれていた。キッチンで作業をしていた大鷹さんは私の言葉に鍋から目を離し、私のいるリビングに身体を向けて首をかしげる。
「なんでそんなことになったのか、説明してもらえますか?」
大鷹さんの視線が怖い。何もやましいことがないのに、謝りたくなってしまう。本当は私だってこんな約束に頷きたくはなかった。悪いのは河合さんだ。もう、素直に私が約束を取り付けたのではなく、河合さんが勝手にしたことだとばらしてしまおうか。
「はあ」
私が黙っていたら、大鷹さんが大きな溜息を吐く。幼馴染設定が嫌いなのに、自分は幼馴染と河合さんも同席だとはいえ、食事をするのか。あきれた奴だ。そんな心の声が聞こえてきそうだ。
「あの、大鷹さ」
「わかっていますよ。どうせ、河合江子のせいでしょう?彼女が紗々さんと当間さんの関係を嗅ぎつけて、勝手に食事の場をセッティングした」
私が河合さんの名前を出す前に、大鷹さんはこの件の真相にたどり着いてしまった。河合さんの性格を知り過ぎているような気がして、あまり気分がよくない。モヤモヤした気持ちになるが、気にしている場合ではない。
「わかっているのなら」
「それでも」
それにしても、大鷹さんはよほど私と当間をプライベートで会わせるのが嫌らしい。私の言葉を遮り、大鷹さんにしては大きな声で話し続ける。
「僕はできれば、紗々さんにはその約束を断ってほしかった。まあ、彼女は押しが強いので断りにくかったとは思いますが」
「もしかして、私が当間と何かあるかもしれないと、心配しているんですか?」
「あ、当たり前でしょう?いくら紗々さんが恋愛に疎いからと言って、実家の隣に住んでいた男の子と、どうもならないという可能性は否定できません」
心配してくれているのは嬉しいが、一言余計だ。恋愛に疎いのは事実だが、口にしなくてもいいではないか。
「大鷹さんの言い分はワカリマシタ。ですが、私が大鷹さんよりほかの男を選ぶとかありえません」
「ぼ、僕だってそんなことは分かって」
「だったら」
私は大鷹さんのいるキッチンまで歩いていく。大鷹さんは私より身長が高いので視線を合わせるときは上を向かなくてはならない。大鷹さんを見上げる形でしっかりと視線を合わせる。
「私をもっと信用してください。そもそも、私は当間とは大した思い出もないので、どうこうなりようがありません。それに当間は私のタイプではありません。私は」
大鷹さんがタイプです。
「も、もう結構です。紗々さんの気持ちはよくわかりました」
最後まで言葉を言わせてもらえなかった。
「わかってくれたなら、良かったです。お腹が減ったのですが、今日の夕食は何ですか?」
話が無事に終わりそうなことに安心したら、急にお腹が減ってきた。今日は、大鷹さんは仕事が休みだったが、私は一日仕事を頑張っている。
「身体は正直ですね。今日はかにすきにしましたよ」
「うれしいです。準備、手伝いますね」
冷凍庫に眠っていた年末に買ったかにが残っていることを思い出す。
「ぐうう」
「急ぎましょう。もう、鍋は温まっているので皿の準備をお願いします」
私たちは先ほどまでのぎすぎすした雰囲気とは一変して、互いに微笑みあう。これぞ、仲の良い夫婦というものだ。
夕食のかにすきは、かにの身が大ぶりでとてもおいしかった。
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