122 / 204
番外編【突然の出来事】2原因は○○だと思われる
しおりを挟む
謎の発疹は夜にはすっかりなくなった。かゆみも同時に治まり、いったい夕方の発疹とかゆみは何だったのだろうと首をかしげることになった。
「原因として考えられるのは、ヤッパリ昼に食べた寿司、ですかね?」
夕食は私を考慮して、冷やしうどんとなった。二人でうどんを食べていると、大鷹さんが私の発疹の原因を考えていた。確かに大鷹さんの言う通り、原因はそれしか考えられない。珍しく寿司を食べて、身体が拒否反応でも示したのだろうか。
「いずれにせよ、週明けに皮膚科に行って見てもらったほうがいいかもしれませんね」
「そうですね」
面倒くさいが、行くしかない。寿司を食べたことが原因だとわかっても、どのネタがダメだったのかはわからない。
「ネットで調べてみると、紗々さんの症状からして、これだとは思うんですが……」
大鷹さんはさっそく、私の症状を原因となる寿司(魚)と関連させてスマホで調べている。私たちは夕食時にスマホの使用は禁止していない。机の上にスマホを置いていることも多い。食事中は会話を楽しむので使うことはめったにないが、今は非常事態だ。私もスマホで調べようとしたが、大鷹さんがスマホの画面を私に見せてくれたので、それを見ることにした。
「魚アレルギー?」
「いえ、たぶんアレルギーではない気がします。こっちの方が紗々さんの症状と似ていると思いませんか?」
大鷹さんが見せてくれたスマホの画面には、魚アレルギーの記事が載っていたが、その下に聞きなれない言葉の説明があった。
「仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
どちらも初めて聞く言葉だが、記事を読んでいくうちに私の症状と似ていると言った、大鷹さんの言葉の意味を理解する。
魚アレルギー、ではないらしい。そもそも、魚アレルギーだとしたら、特定の魚を食べてすぐに症状が出るようだ。私の場合、蕁麻疹のような謎の発疹は食べてから数時間後に現れた。そのため、大鷹さんはアレルギーではないと判断したようだ。
仮性アレルギーとは、アレルギーに似た症状は出るが、アレルギーではないという、ややこしい症状のことらしい。読み進めていくうちに原因が徐々に明らかになる。
「要は、魚の鮮度が悪かったということですね。でも、なんで大鷹さんには症状が出なかったんでしょう?」
「紗々さんの体調が悪かったのかもしれないです。やっぱり、健康的な生活には運動、つまり適度な外出が大事だということです」
勝手に大鷹さんがうんうんと納得している。最近、すぐに健康や運動、外出に関する話題に結びつけようとするので、いい加減、やめて欲しい。とはいえ、私としても今の生活が良いとは思っていないので、なかなか言い返せないところもある。言い返したい気持ちをぐっと我慢する。
ちなみに魚の中に含まれる「ヒスタミン」という物質が鮮度の低い青魚には多く含まれていて、それに反応してアレルギーに似た症状を起こす。これを「ヒスタミン中毒」というらしいが、これが今回の私の症状によく似ていた。
とはいえ、勝手に素人判断してしまうのは良くない。仕方ないのでしっかりと今日のことを検証するため、明日、仕事帰りに皮膚科を受診することにした。
本当に症状は一時的なことで、食欲には問題はない。夕食の冷やうどんはしっかり完食した。風呂場で全身を確認したが、身体の発疹はきれいになくなっていた。身体に異常は見られない。人間の身体とは不思議なものだ。休日は病院が休みなので、土日中、かゆいという最悪な事態はなくなった。
夕食後、自室に戻った私は、パソコンを開いて小説を執筆しようと椅子に座る。この前、AIに書かせた【監禁もの】について、私が自分でも書くと宣言したが、どうにもやる気が出ない。さて、どうしたらいいものか。
「魚アレルギーとか、仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
やる気が出ないのに、パソコンの前に座っているのはつらい。とりあえず、現実逃避もかねて、大鷹さんが夕食時に調べてくれた情報を頼りに、自分でも再度、謎の発疹の正体について調べてみる。
「なるほど、抗ヒスタミン剤の服用がいいのか。あとは、血液検査をすると、魚アレルギーかそうでないかがわかるのか……」
今まで、アレルギーに対して無縁の生活を送ってきた。ここにきて、嫌いな食べ物以外で食べられないものが出てくるとは難儀なことだ。いや、アレルギーではなかったら、禁止する必要はない、のかもしれない。
きっと、久しぶりの寿司で浮かれて食べ過ぎたのが原因だ。大鷹さんに言われた通りに、少し控えておけばよかった。そう思いながらも、それを実行できたかというと、無理な気がした。意思が弱い人間なのだ。私は。
そこで私は思いつく。今度のネタはこれでいこう。自分の経験がもとになっているし、現実味もあるし、他の人もあえてネタにはしないだろう。
「アレルギーの男と無知な男」
病気を扱うときは最新の注意を払う必要がある。間違った情報を与えないことも大切だ。週明けに私は皮膚科に行くので、その辺は問題ないだろう。
急にやる気が出てきた。検索画面は閉じて、さっそく小説の執筆画面を開いた私はプロットを書きだすことにした。
「原因として考えられるのは、ヤッパリ昼に食べた寿司、ですかね?」
夕食は私を考慮して、冷やしうどんとなった。二人でうどんを食べていると、大鷹さんが私の発疹の原因を考えていた。確かに大鷹さんの言う通り、原因はそれしか考えられない。珍しく寿司を食べて、身体が拒否反応でも示したのだろうか。
「いずれにせよ、週明けに皮膚科に行って見てもらったほうがいいかもしれませんね」
「そうですね」
面倒くさいが、行くしかない。寿司を食べたことが原因だとわかっても、どのネタがダメだったのかはわからない。
「ネットで調べてみると、紗々さんの症状からして、これだとは思うんですが……」
大鷹さんはさっそく、私の症状を原因となる寿司(魚)と関連させてスマホで調べている。私たちは夕食時にスマホの使用は禁止していない。机の上にスマホを置いていることも多い。食事中は会話を楽しむので使うことはめったにないが、今は非常事態だ。私もスマホで調べようとしたが、大鷹さんがスマホの画面を私に見せてくれたので、それを見ることにした。
「魚アレルギー?」
「いえ、たぶんアレルギーではない気がします。こっちの方が紗々さんの症状と似ていると思いませんか?」
大鷹さんが見せてくれたスマホの画面には、魚アレルギーの記事が載っていたが、その下に聞きなれない言葉の説明があった。
「仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
どちらも初めて聞く言葉だが、記事を読んでいくうちに私の症状と似ていると言った、大鷹さんの言葉の意味を理解する。
魚アレルギー、ではないらしい。そもそも、魚アレルギーだとしたら、特定の魚を食べてすぐに症状が出るようだ。私の場合、蕁麻疹のような謎の発疹は食べてから数時間後に現れた。そのため、大鷹さんはアレルギーではないと判断したようだ。
仮性アレルギーとは、アレルギーに似た症状は出るが、アレルギーではないという、ややこしい症状のことらしい。読み進めていくうちに原因が徐々に明らかになる。
「要は、魚の鮮度が悪かったということですね。でも、なんで大鷹さんには症状が出なかったんでしょう?」
「紗々さんの体調が悪かったのかもしれないです。やっぱり、健康的な生活には運動、つまり適度な外出が大事だということです」
勝手に大鷹さんがうんうんと納得している。最近、すぐに健康や運動、外出に関する話題に結びつけようとするので、いい加減、やめて欲しい。とはいえ、私としても今の生活が良いとは思っていないので、なかなか言い返せないところもある。言い返したい気持ちをぐっと我慢する。
ちなみに魚の中に含まれる「ヒスタミン」という物質が鮮度の低い青魚には多く含まれていて、それに反応してアレルギーに似た症状を起こす。これを「ヒスタミン中毒」というらしいが、これが今回の私の症状によく似ていた。
とはいえ、勝手に素人判断してしまうのは良くない。仕方ないのでしっかりと今日のことを検証するため、明日、仕事帰りに皮膚科を受診することにした。
本当に症状は一時的なことで、食欲には問題はない。夕食の冷やうどんはしっかり完食した。風呂場で全身を確認したが、身体の発疹はきれいになくなっていた。身体に異常は見られない。人間の身体とは不思議なものだ。休日は病院が休みなので、土日中、かゆいという最悪な事態はなくなった。
夕食後、自室に戻った私は、パソコンを開いて小説を執筆しようと椅子に座る。この前、AIに書かせた【監禁もの】について、私が自分でも書くと宣言したが、どうにもやる気が出ない。さて、どうしたらいいものか。
「魚アレルギーとか、仮性アレルギー、ヒスタミン中毒……」
やる気が出ないのに、パソコンの前に座っているのはつらい。とりあえず、現実逃避もかねて、大鷹さんが夕食時に調べてくれた情報を頼りに、自分でも再度、謎の発疹の正体について調べてみる。
「なるほど、抗ヒスタミン剤の服用がいいのか。あとは、血液検査をすると、魚アレルギーかそうでないかがわかるのか……」
今まで、アレルギーに対して無縁の生活を送ってきた。ここにきて、嫌いな食べ物以外で食べられないものが出てくるとは難儀なことだ。いや、アレルギーではなかったら、禁止する必要はない、のかもしれない。
きっと、久しぶりの寿司で浮かれて食べ過ぎたのが原因だ。大鷹さんに言われた通りに、少し控えておけばよかった。そう思いながらも、それを実行できたかというと、無理な気がした。意思が弱い人間なのだ。私は。
そこで私は思いつく。今度のネタはこれでいこう。自分の経験がもとになっているし、現実味もあるし、他の人もあえてネタにはしないだろう。
「アレルギーの男と無知な男」
病気を扱うときは最新の注意を払う必要がある。間違った情報を与えないことも大切だ。週明けに私は皮膚科に行くので、その辺は問題ないだろう。
急にやる気が出てきた。検索画面は閉じて、さっそく小説の執筆画面を開いた私はプロットを書きだすことにした。
0
お気に入りに追加
236
あなたにおすすめの小説
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
後宮の才筆女官
たちばな立花
キャラ文芸
後宮の女官である紅花(フォンファ)は、仕事の傍ら小説を書いている。
最近世間を賑わせている『帝子雲嵐伝』の作者だ。
それが皇帝と第六皇子雲嵐(うんらん)にバレてしまう。
執筆活動を許す代わりに命ぜられたのは、後宮妃に扮し第六皇子の手伝いをすることだった!!
第六皇子は後宮内の事件を調査しているところで――!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
『 ゆりかご 』 ◉諸事情で2/20頃非公開予定ですが読んでくださる方が増えましたので先延ばしになるかもしれませんが宜しくお願い致します。
設樂理沙
ライト文芸
皆さま、ご訪問いただきありがとうございます。
最初2/10に非公開の予告文を書いていたのですが読んで
くださる方が増えましたので2/20頃に変更しました。
古い作品ですが、有難いことです。😇
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
" 揺り篭 " 不倫の後で 2016.02.26 連載開始
の加筆修正有版になります。
2022.7.30 再掲載
・・・・・・・・・・・
夫の不倫で、信頼もプライドも根こそぎ奪われてしまった・・
その後で私に残されたものは・・。
・・・・・・・・・・
💛イラストはAI生成画像自作
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる