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番外編【成人式】1平凡な年末年始
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「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします」
年が経つのは早いもので、もう一年が過ぎて新しい年が始まってしまった。年末年始を大鷹さんと一緒に過ごすのは二回目となる。今年は12月の早い段階で大鷹さんは知り合いからの連絡をブロックしていたようだ。大鷹さんのスマホが振動する回数が少なかった気がする。
年末は最初の年と違って、大した事件が起きることはなかった。私の勤める銀行に某知り合いが来ることもなかったし、家に某義弟が押しかけてくることもなかった。いたって平穏な年末となった。
大鷹さんは私に合わせて大晦日を家で過ごしていた。一緒に歌番組をみたり、話したりしていたらあっという間に年が明けてしまった。今は、年が明けた深夜12時。私たちは互いに新年のあいさつを交わしていた。なんだか、大鷹さんの挨拶には妙に熱がこもっていた気がするが気のせいではないと思う。
その後は一緒に近くの神社に初もうでに向かった。ここでも昨年と違って面倒くさい某知り合いに会うことはなかった。
要するに今年はいたって平穏すぎる年末年始を過ごしたのだった。年明けは大鷹さんの実家にあいさつに回ったが、まあそこはいつも通りカオスな空間だったが、すでに昨年経験済みだったので、特に問題なく対応できたと思う。
私の実家にも来てくれたが、こちらは私含めて大鷹さんの親族に比べたら普通なので、大鷹さんが目立っていたくらいで問題が起こることはなかった。
「あまりにも平凡すぎる休みだった」
「平凡な日常こそが大切だと思いますけど」
そのまま休みは終わってしまい、私は1月4日から仕事始めとなった。大鷹さんは5日からのようで一日ちがいで仕事が始まったのだが、仕事を終えて家に帰って愚痴をこぼすと笑われてしまった。
「もし、紗々さんが望むのなら僕が平凡な日常からかいほ」
「遠慮しておきます」
私服からスウェットに着替えてリビングに向かうと、気が利く大鷹さんがお茶を入れてくれていた。手洗うがいをして席について、ありがたくいただくことにする。まったくもって気が利く旦那である。しかし、その言葉だけは聞き入れられない。私の言葉に大鷹さんは不満そうな顔をしていたがあきらめたようだ。
「まだ途中までしか話していないのに、つれないですね。でもまあ、鈍感系キャラからの脱却は良いと思います」
「そもそも、私は鈍感系キャラではないと思います。鈍感系キャラって主人公とかヒロインによくいるキャラ付であって、私は基本的にそんなたいそうな役柄のキャラではないですよ」
「人間一人ひとり主人公なので問題はありません。僕の中の紗々さんはそんな感じの位置付けだっただけです」
「ふむ」
蓼食う虫も好き好きというものだ。それはそれで良いとして、何か面白いネタはないものか。
「そういえば、鈍感系で思い出しましたけど、妹夫婦がインフルエンザにかかったみたいです」
唐突に頭に浮かんだことを口にする。妹夫婦はかなり行動派で、子供が生まれてからも精力的に旅行に出かけていた。最近、妹は仕事に復帰して働き始めたばかりで、そこまで外出して大丈夫かと心配していたが、その心配は的中してしまった。子供は現在、実家で私の両親が面倒を見ている。
「どこで関連しているのかわかりませんが、新年早々、大変ですね」
「まあ、自業自得なところもあるし、仕方ないと言えば仕方ないです」
話しているうちに大鷹さんが出してくれたお茶が冷めてしまった。ぬるいお茶を飲みながら、風邪について考えてみる。今回はインフルエンザだが、風邪について考えていたことを大鷹さんに伝えてみようと思った。
「成人式があることをすっかり忘れてました」
風邪の看病イベントも面白いが、もっと面白いネタを思いついたので、私の頭は一気に看病イベントのことが抜け落ちた。
「本当に脈絡なく話が変わりますね」
「こうしてはいられません。ああ、大鷹さんは、成人式ってどんな感じでした?まあ、ほとんど予想が出来るのでわざわざ語ってもらう必要はありませんが」
大鷹さんは私の話題の変わりように苦笑しているが今更である。苦笑している顔を見ながらも、私はそそくさと自室に戻りパソコンの電源を入れるのだった。
「あけましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします」
年が経つのは早いもので、もう一年が過ぎて新しい年が始まってしまった。年末年始を大鷹さんと一緒に過ごすのは二回目となる。今年は12月の早い段階で大鷹さんは知り合いからの連絡をブロックしていたようだ。大鷹さんのスマホが振動する回数が少なかった気がする。
年末は最初の年と違って、大した事件が起きることはなかった。私の勤める銀行に某知り合いが来ることもなかったし、家に某義弟が押しかけてくることもなかった。いたって平穏な年末となった。
大鷹さんは私に合わせて大晦日を家で過ごしていた。一緒に歌番組をみたり、話したりしていたらあっという間に年が明けてしまった。今は、年が明けた深夜12時。私たちは互いに新年のあいさつを交わしていた。なんだか、大鷹さんの挨拶には妙に熱がこもっていた気がするが気のせいではないと思う。
その後は一緒に近くの神社に初もうでに向かった。ここでも昨年と違って面倒くさい某知り合いに会うことはなかった。
要するに今年はいたって平穏すぎる年末年始を過ごしたのだった。年明けは大鷹さんの実家にあいさつに回ったが、まあそこはいつも通りカオスな空間だったが、すでに昨年経験済みだったので、特に問題なく対応できたと思う。
私の実家にも来てくれたが、こちらは私含めて大鷹さんの親族に比べたら普通なので、大鷹さんが目立っていたくらいで問題が起こることはなかった。
「あまりにも平凡すぎる休みだった」
「平凡な日常こそが大切だと思いますけど」
そのまま休みは終わってしまい、私は1月4日から仕事始めとなった。大鷹さんは5日からのようで一日ちがいで仕事が始まったのだが、仕事を終えて家に帰って愚痴をこぼすと笑われてしまった。
「もし、紗々さんが望むのなら僕が平凡な日常からかいほ」
「遠慮しておきます」
私服からスウェットに着替えてリビングに向かうと、気が利く大鷹さんがお茶を入れてくれていた。手洗うがいをして席について、ありがたくいただくことにする。まったくもって気が利く旦那である。しかし、その言葉だけは聞き入れられない。私の言葉に大鷹さんは不満そうな顔をしていたがあきらめたようだ。
「まだ途中までしか話していないのに、つれないですね。でもまあ、鈍感系キャラからの脱却は良いと思います」
「そもそも、私は鈍感系キャラではないと思います。鈍感系キャラって主人公とかヒロインによくいるキャラ付であって、私は基本的にそんなたいそうな役柄のキャラではないですよ」
「人間一人ひとり主人公なので問題はありません。僕の中の紗々さんはそんな感じの位置付けだっただけです」
「ふむ」
蓼食う虫も好き好きというものだ。それはそれで良いとして、何か面白いネタはないものか。
「そういえば、鈍感系で思い出しましたけど、妹夫婦がインフルエンザにかかったみたいです」
唐突に頭に浮かんだことを口にする。妹夫婦はかなり行動派で、子供が生まれてからも精力的に旅行に出かけていた。最近、妹は仕事に復帰して働き始めたばかりで、そこまで外出して大丈夫かと心配していたが、その心配は的中してしまった。子供は現在、実家で私の両親が面倒を見ている。
「どこで関連しているのかわかりませんが、新年早々、大変ですね」
「まあ、自業自得なところもあるし、仕方ないと言えば仕方ないです」
話しているうちに大鷹さんが出してくれたお茶が冷めてしまった。ぬるいお茶を飲みながら、風邪について考えてみる。今回はインフルエンザだが、風邪について考えていたことを大鷹さんに伝えてみようと思った。
「成人式があることをすっかり忘れてました」
風邪の看病イベントも面白いが、もっと面白いネタを思いついたので、私の頭は一気に看病イベントのことが抜け落ちた。
「本当に脈絡なく話が変わりますね」
「こうしてはいられません。ああ、大鷹さんは、成人式ってどんな感じでした?まあ、ほとんど予想が出来るのでわざわざ語ってもらう必要はありませんが」
大鷹さんは私の話題の変わりように苦笑しているが今更である。苦笑している顔を見ながらも、私はそそくさと自室に戻りパソコンの電源を入れるのだった。
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