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4二次元と現実の区別をつけましょう~いいネタを思いつきました③~
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ウキウキと楽しい気分が、仕事場でも続いた。楽しそうに仕事をしていると、運も回ってくるようだ。面倒なお客の担当をすることなく、仕事のミスもなく、定時きっかりに仕事を終えるこができた。
「お世話になりました。すき焼き、ごちそうさまでした。」
一度実家に戻り、両銀にお礼を言って、大鷹さんと一緒に暮らすマンションに帰ってきた。グリムとの別れは寂しかったが、私にも新しい生活がある。名残惜しいが、泣く泣くお別れをしてきた。
玄関のカギを開け、中に入って照明をつけていく。そこにはがらんとした空間が広がっていた。別に物が少ないというわけでもないのだが、私以外誰もいない部屋は、なぜだか無性に寂しく感じた。たったの一日いなかっただけで、荷物の配置が変わったわけでも、ホコリまみれの汚い部屋になったわけでもない。それでも、なぜか大鷹さんと二人でいたときと何かが違っていた。
そう思いながらも、鞄を自分の部屋に置き、部屋着に着替えてすぐに部屋のパソコンの電源を入れる。
パソコンが起動して、すぐにBL小説の続きを書こうとしたが、その前に自分の投稿した小説がどれくらい読まれているかチェックする。投稿サイトにログインしてみると、そこには新着のコメントが投稿されていた。クリックして内容を確認する。
「紗々の葉さん、こんにちは。小説読ませていただきました。主人公と相手の両想いな様子がよく伝わってきました。今後もこの二人が末永く幸せに過ごすことを祈っています。僕にも妻がいますが、つい二人を重ねて読んでしまいました。」
コメントに何やら怪しい言葉が並んでいる。続きを見るのが怖いが、最後まで画面をスクロールさせて読み進めていく。
「もし、二人が別れたり、それぞれが違う男と付き合いだしたりしたらと想像すると、まるで、自分のことのように辛い気持ちになります。悲しくて涙が止まらなくなりそうです。そんな展開にならないことを希望します。
妻のことを世界一愛しているが、妻にはわかってもらえていない不憫な男」
「これは、私に対する嫌がらせか。絶対そうとしか思えない。もはや、これがお仕置きでもいいくらいだよ。」
このコメントを書いたのは、絶対大鷹さんである。感想は感想として受け止めることができる。小説は読み手の解釈でどうとでもなるので、登場人物と自分を重ね合わせてしまうほど、感情移入してしまっても、それは読者の勝手である。問題は、このふざけたペンネームだ。それに、コメントが今日の昼に更新されているのも怪しすぎる。
基本的に、コメントには返事を書いているのだが、さて、どう返事をしたら無難になるだろうか。
「ガチャリ。」
コメントの返答に迷っているうちに、玄関の方から音がした。大鷹さんが帰ってきたようだ。
慌てて、パソコンの画面を閉じる。ノートパソコンを使用しているので、画面を閉じれば、何をしていたのかはわからない。
ガチャリとドアを開けて、玄関から靴を脱いで、大鷹さんが部屋に入ってくる。私はさも今気づいたかのようにゆっくりと自分の部屋から出て、大鷹さんのいる方に歩いて、声をかけた。
「おかえりなさい。予定より早かったじゃないですか。」
「予定の電車より早いのに乗ることができました。連絡を入れたのですが、気づきませんでしたか。」
口調は優しいが、声に抑揚はない。怒っているようには見えないが、本心はわからない。それに、私の小説のコメントも気になる。
「とりあえず、お風呂にでも入ったらどうですか。それからいろいろ話しましょう。」
「そうすることにします。そうしないと、感情的になりすぎて、紗々さんに嫌われてしまうかもしれません。」
感情的になると、どうなってしまうのか気になるところではあるが、今は落ち着いて話すことが大切だ。
「私もいろいろ話したいことがあるので、大鷹さんが風呂に入っている間に何を話したいか頭の中を整理しておきます。」
大鷹さんが浴室に行くのをしっかり見届けて、わたしは再び自分の部屋に急いだ。パソコンの電源を完全に落とし、スマホを確認する。
一件の新着メッセージが届いていた。大鷹さんからだろう。そもそも私のスマホにメッセージをくれるのは大鷹さんか家族くらいだ。
見るもの面倒なので、スマホをベッドに投げ捨てて、ついでに自分もベッドにダイブする。そういえば、先日も実家のベッドにダイブしたばかりだ。もちろん、布団の種類もベッドの高さも枕も布団も違うのだが、落ち着くのはなぜだろう。
枕に顔をうずめているうちに眠たくなってきてしまった。大鷹さんには言葉通り、たくさん話したいことがある。
「ふあああ。」
何を話そうか考えているうちに、睡魔が襲ってきた。あまりの睡魔に勝てずに、私はそのまま意識を失うように眠りについた。今度は夢も見なかった。
そして、気づいたら朝になっていた。時計を見たら、すでに朝の9時を指していた。今日が土曜日で幸いである。今日は仕事がない、休日だ。
昨日はそのまま寝てしまったということか。大鷹さんはあきれているだろう。
「おはようございます。昨日は寝ちゃってすいません。」
大鷹さんの部屋の前で声をかける。部屋の中から返事はなかった。出かけてしまったのか、返事ができない状態なのか。後者ならば、急いで部屋を確認する必要がある。
「失礼します。」
小さく断りを入れて、中に入る。普段は返事があってから入るので、恐る恐る入る。そこにはベッドと机とイスや家具だけで、部屋の主はいなかった。
仕方なく、リビングに行くと、ダイニングテーブルの上に紙切れが置かれていた。
「予定が入ったので、出かけます。夜には帰ります。」
ひとまず、戦いは夜までお預けというわけか。そうとわかれば、まずは風呂に入ってさっぱりとしよう。それから、お腹が減っているので、朝食を食べることにしよう。その後は二度寝を決め込むまでだ。しっかり睡眠をとって、夜に備えることにしよう。
風呂に入り、朝ご飯を食べ、歯をみがき、顔を洗って再度自分の部屋のベッドにもぐりこむ。
昼食時にまた起きて、また寝てを繰り返す自堕落な時間の過ごし方をしていたら、あっという間に夕方になってしまった。
これ以上寝ていては、夜眠れなくなりそうなくらいには爆睡していたので、大鷹さんが帰ってくるまで何をしていようか。
悩んだ末に、BL小説の続きを執筆することにした。パソコンを開いて、執筆しようと意気込んでいたところで、それを遮るかのようにスマホがバイブで邪魔をする。
「ブーッ。ブーッ。」
いったい私に連絡をするのは誰なのか。私に連絡してくるのは、いつも言っているが、家族か、大鷹さんくらいしか考えられない。それ以外は相手のスマホの操作ミスというくらいのボッチ具合だ。
スマホの画面には「大鷹さん」と表示が出ていた。電話してくるなど珍しい。何か急ぎの要件でもあったのだろうか。
「もしもし。紗々ですけど。電話なんて珍しいですね。いったい……。」
「……。」
なぜだか返事がない。外にいるのだろうか。ざわざわと何かの音がする。耳を澄ませて、返事を待っていても一向に返事がない。
玄関の方で音が聞こえた。気になって視線を向けると、鍵が回るのが見えた。鍵を持っているのは家主である大鷹さんと私しかいない。ということは、大鷹さんが帰ってきたということだ。
では、この電話は誰がかけているのか。大鷹さんなのだろうか。
「おかえりなさい。」
「………。」
予想通り、大鷹さんが帰ってきた。しかし、どうも様子がおかしい。表情はいたって普通だ。顔が赤いわけでも青いわけでもない。しかし、目がすわっている。私をみつめ、何も話さない。
数分の沈黙が流れた。耐え切れずに私が視線を逸らすと、ぐっと私の顔を両手で挟み込んで、顔を近づけてきた。大鷹さんの顔からは酒の匂いがした。
「大鷹さん、酔っているのですね。服を着替えて、今日はもう寝た方がいいですよ。」
「紗々さんがひどい……。そもそも、紗々さんがひどいんですからね。今日、僕がこうなってしまったのも、もとはといえばさささんが。」
私に覆いかぶさるように体重をかけてきた。重みに耐えきれず、私たちは廊下の床に倒れこむ。
私が床に押し倒されている状態なので、背中が痛い。何をしているのかと問いただそうとしたが、べろり、という舌の感触を首元に感じ、一気に全身に鳥肌が立つ。
一気に気分が急降下した。自分でもわかる、低いどすの利いた声で話しかける。
「大鷹さん、これ以上私に触ったら、本気で離婚ですよ。」
その声で一気に酔いがさめたようだ。私が本気で「離婚」すると、本能で理解したのだろう。いつもの「離婚」という言葉も本気だが、今回の行動は許しがたい。
床には通話中のスマホ2台が転がっていた。
「お世話になりました。すき焼き、ごちそうさまでした。」
一度実家に戻り、両銀にお礼を言って、大鷹さんと一緒に暮らすマンションに帰ってきた。グリムとの別れは寂しかったが、私にも新しい生活がある。名残惜しいが、泣く泣くお別れをしてきた。
玄関のカギを開け、中に入って照明をつけていく。そこにはがらんとした空間が広がっていた。別に物が少ないというわけでもないのだが、私以外誰もいない部屋は、なぜだか無性に寂しく感じた。たったの一日いなかっただけで、荷物の配置が変わったわけでも、ホコリまみれの汚い部屋になったわけでもない。それでも、なぜか大鷹さんと二人でいたときと何かが違っていた。
そう思いながらも、鞄を自分の部屋に置き、部屋着に着替えてすぐに部屋のパソコンの電源を入れる。
パソコンが起動して、すぐにBL小説の続きを書こうとしたが、その前に自分の投稿した小説がどれくらい読まれているかチェックする。投稿サイトにログインしてみると、そこには新着のコメントが投稿されていた。クリックして内容を確認する。
「紗々の葉さん、こんにちは。小説読ませていただきました。主人公と相手の両想いな様子がよく伝わってきました。今後もこの二人が末永く幸せに過ごすことを祈っています。僕にも妻がいますが、つい二人を重ねて読んでしまいました。」
コメントに何やら怪しい言葉が並んでいる。続きを見るのが怖いが、最後まで画面をスクロールさせて読み進めていく。
「もし、二人が別れたり、それぞれが違う男と付き合いだしたりしたらと想像すると、まるで、自分のことのように辛い気持ちになります。悲しくて涙が止まらなくなりそうです。そんな展開にならないことを希望します。
妻のことを世界一愛しているが、妻にはわかってもらえていない不憫な男」
「これは、私に対する嫌がらせか。絶対そうとしか思えない。もはや、これがお仕置きでもいいくらいだよ。」
このコメントを書いたのは、絶対大鷹さんである。感想は感想として受け止めることができる。小説は読み手の解釈でどうとでもなるので、登場人物と自分を重ね合わせてしまうほど、感情移入してしまっても、それは読者の勝手である。問題は、このふざけたペンネームだ。それに、コメントが今日の昼に更新されているのも怪しすぎる。
基本的に、コメントには返事を書いているのだが、さて、どう返事をしたら無難になるだろうか。
「ガチャリ。」
コメントの返答に迷っているうちに、玄関の方から音がした。大鷹さんが帰ってきたようだ。
慌てて、パソコンの画面を閉じる。ノートパソコンを使用しているので、画面を閉じれば、何をしていたのかはわからない。
ガチャリとドアを開けて、玄関から靴を脱いで、大鷹さんが部屋に入ってくる。私はさも今気づいたかのようにゆっくりと自分の部屋から出て、大鷹さんのいる方に歩いて、声をかけた。
「おかえりなさい。予定より早かったじゃないですか。」
「予定の電車より早いのに乗ることができました。連絡を入れたのですが、気づきませんでしたか。」
口調は優しいが、声に抑揚はない。怒っているようには見えないが、本心はわからない。それに、私の小説のコメントも気になる。
「とりあえず、お風呂にでも入ったらどうですか。それからいろいろ話しましょう。」
「そうすることにします。そうしないと、感情的になりすぎて、紗々さんに嫌われてしまうかもしれません。」
感情的になると、どうなってしまうのか気になるところではあるが、今は落ち着いて話すことが大切だ。
「私もいろいろ話したいことがあるので、大鷹さんが風呂に入っている間に何を話したいか頭の中を整理しておきます。」
大鷹さんが浴室に行くのをしっかり見届けて、わたしは再び自分の部屋に急いだ。パソコンの電源を完全に落とし、スマホを確認する。
一件の新着メッセージが届いていた。大鷹さんからだろう。そもそも私のスマホにメッセージをくれるのは大鷹さんか家族くらいだ。
見るもの面倒なので、スマホをベッドに投げ捨てて、ついでに自分もベッドにダイブする。そういえば、先日も実家のベッドにダイブしたばかりだ。もちろん、布団の種類もベッドの高さも枕も布団も違うのだが、落ち着くのはなぜだろう。
枕に顔をうずめているうちに眠たくなってきてしまった。大鷹さんには言葉通り、たくさん話したいことがある。
「ふあああ。」
何を話そうか考えているうちに、睡魔が襲ってきた。あまりの睡魔に勝てずに、私はそのまま意識を失うように眠りについた。今度は夢も見なかった。
そして、気づいたら朝になっていた。時計を見たら、すでに朝の9時を指していた。今日が土曜日で幸いである。今日は仕事がない、休日だ。
昨日はそのまま寝てしまったということか。大鷹さんはあきれているだろう。
「おはようございます。昨日は寝ちゃってすいません。」
大鷹さんの部屋の前で声をかける。部屋の中から返事はなかった。出かけてしまったのか、返事ができない状態なのか。後者ならば、急いで部屋を確認する必要がある。
「失礼します。」
小さく断りを入れて、中に入る。普段は返事があってから入るので、恐る恐る入る。そこにはベッドと机とイスや家具だけで、部屋の主はいなかった。
仕方なく、リビングに行くと、ダイニングテーブルの上に紙切れが置かれていた。
「予定が入ったので、出かけます。夜には帰ります。」
ひとまず、戦いは夜までお預けというわけか。そうとわかれば、まずは風呂に入ってさっぱりとしよう。それから、お腹が減っているので、朝食を食べることにしよう。その後は二度寝を決め込むまでだ。しっかり睡眠をとって、夜に備えることにしよう。
風呂に入り、朝ご飯を食べ、歯をみがき、顔を洗って再度自分の部屋のベッドにもぐりこむ。
昼食時にまた起きて、また寝てを繰り返す自堕落な時間の過ごし方をしていたら、あっという間に夕方になってしまった。
これ以上寝ていては、夜眠れなくなりそうなくらいには爆睡していたので、大鷹さんが帰ってくるまで何をしていようか。
悩んだ末に、BL小説の続きを執筆することにした。パソコンを開いて、執筆しようと意気込んでいたところで、それを遮るかのようにスマホがバイブで邪魔をする。
「ブーッ。ブーッ。」
いったい私に連絡をするのは誰なのか。私に連絡してくるのは、いつも言っているが、家族か、大鷹さんくらいしか考えられない。それ以外は相手のスマホの操作ミスというくらいのボッチ具合だ。
スマホの画面には「大鷹さん」と表示が出ていた。電話してくるなど珍しい。何か急ぎの要件でもあったのだろうか。
「もしもし。紗々ですけど。電話なんて珍しいですね。いったい……。」
「……。」
なぜだか返事がない。外にいるのだろうか。ざわざわと何かの音がする。耳を澄ませて、返事を待っていても一向に返事がない。
玄関の方で音が聞こえた。気になって視線を向けると、鍵が回るのが見えた。鍵を持っているのは家主である大鷹さんと私しかいない。ということは、大鷹さんが帰ってきたということだ。
では、この電話は誰がかけているのか。大鷹さんなのだろうか。
「おかえりなさい。」
「………。」
予想通り、大鷹さんが帰ってきた。しかし、どうも様子がおかしい。表情はいたって普通だ。顔が赤いわけでも青いわけでもない。しかし、目がすわっている。私をみつめ、何も話さない。
数分の沈黙が流れた。耐え切れずに私が視線を逸らすと、ぐっと私の顔を両手で挟み込んで、顔を近づけてきた。大鷹さんの顔からは酒の匂いがした。
「大鷹さん、酔っているのですね。服を着替えて、今日はもう寝た方がいいですよ。」
「紗々さんがひどい……。そもそも、紗々さんがひどいんですからね。今日、僕がこうなってしまったのも、もとはといえばさささんが。」
私に覆いかぶさるように体重をかけてきた。重みに耐えきれず、私たちは廊下の床に倒れこむ。
私が床に押し倒されている状態なので、背中が痛い。何をしているのかと問いただそうとしたが、べろり、という舌の感触を首元に感じ、一気に全身に鳥肌が立つ。
一気に気分が急降下した。自分でもわかる、低いどすの利いた声で話しかける。
「大鷹さん、これ以上私に触ったら、本気で離婚ですよ。」
その声で一気に酔いがさめたようだ。私が本気で「離婚」すると、本能で理解したのだろう。いつもの「離婚」という言葉も本気だが、今回の行動は許しがたい。
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