ラノベ作家と有名声優が犯した一夜の過ち

折原さゆみ

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 結局、私はREONAさんとの同棲に了承した。そして、すでに準備をしていたかのように、私たちの同棲生活は始まった。実は彼女はアニソン歌手としての活動はしていなかったが、アニソンやドラマの主題歌の作詞を手掛けていたようだ。その際に入ったお金をコツコツと貯金していたらしい。その貯金を使ってマンションを購入してくれた。

 その行動力の速さに驚かされたと同時に、彼女に愛されているなと浮かれてしまった。私の脳みそも案外ポンコツらしい。


「ただいま」

「おかえりなさい」

「おかえりなさい、沙頼さん」

 家に帰ると、私を出迎えてくれるのは、彼女とその息子。それにたまにやってくる私の姪。

「おかえり。今日は沙頼さんの家でご飯を食べていくから」


 私の娘でもある柚子は、結局、私との関係を知ってしまった。そして、神永夫妻の離婚騒動のせいで、翔琉君と彼女の関係性に気付いてしまった。それでも、こうやってたまに、私たちの新しい新居に顔を出す。

『沙頼さんが私の生みの親だってことでしょ。そりゃあ、本当のことを知った時は驚いたよ。でも、それでいろいろ納得できた。翔琉との関係にいい顔しなかった理由もわかったし、お母さんが沙頼さんの家に行かせようとしていたことも理解できた』

「だったら、もう、私に近づかない方がいいんじゃないの?私と居ても、いいことないと思うよ」

『いいことなくてもいいじゃん。それに、別に沙頼さんに会いに来ているわけじゃないし、私は、翔琉に会いにきてるんだから。そこに沙頼さんがいるだけ』

 離婚の報道がでてから、少しして柚子が私の家を訪ねてきた。その時の会話が思いだされる。

あの時、屁理屈のように私に言葉を返す柚子に、知らず知らずのうちに涙があふれてくる。思わず彼女を抱きしめてしまった。柚子は、恐る恐る私の背中に腕を回してくれてしばらくの間、私たちは抱きしめ合っていた。



 なんだかんだで、私は一人ではなくなった。これからは、彼女たちと一緒に時を歩んでいくだろう。

 あの男との一夜の過ちによって起きたことは、今では私の中では、ただの過去の出来事になっていた。とはいえ、ただの過去にしておくには惜しいと思う自分がいた。

「まさか、こんな未来が待っていたなんて。昔の私、悲しまなくていいよ。未来の私はこんなにも幸せに生きているんだから」


「沙頼さん、ぼおっとしてないで。さっさと靴を脱いで。沙頼さんの好きなすき焼きだよ」

「沙頼さん、早く早く!」

 二人の子供に腕をひかれ、私は家に上がった。そこには私たちのことを温かく見つめる私の愛しい人が待っていた。
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