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ディルクは一晩中寝ずに城中を探し回った。朝方も過ぎ、そろそろ約束の時間が迫ってきている。
結局見取り図を改めて見た所で何も発見する事は出来ず、地道に探す手段を選ばざる終えなかった。
レネーにも手伝って貰い探したが、アンジェリカは何処にも見当たらない。時間ばかりが無駄に過ぎていき、ディルクからは焦りが垣間見える。そんな時だった。
「あら、ディルク様。何か探しものですの?」
少し高めの声が廊下に響き渡り、その声を聞いたディルクは一瞬嫌な表情を浮かべるが、直ぐに貼り付けたような笑みを作る。
「これは、シャルロッテ嬢。……どうなさったんですか?」
シャルロッテがディルクに、それとなく近寄って来る中ディルクは適度な距離を保つ。彼女は何時も距離が異様に近く、ベタベタしてきて正直苛つく。
「私がこちらに参ります時の目的は1つしかありませんわ。勿論、ディルク様にお会いする為に参りました」
最悪だ。寄りにも寄ってこのタイミングでシャルロッテに捕まるとは。かなり面倒くさい。
シャルロッテは王太子妃候補であり、公爵令嬢である。見た目は派手目で、全身が文字通り眩しい……。シャルロッテは、装飾品を必要以上に好んでおり、何時も宝石を上から下までジャラジャラと身に付けている。……そこにセンスなど皆無だ。しかも長い髪を縦に巻いた斬新な髪型もどうなんだと思っている。
「そうでしたか……それは光栄です。しかし、今取り込み中でして」
「あら、そうでしたわね。ディルク様は……探しものをなさっていらっしゃるのですものね」
先程から探しものと気になる物言いをしてくるシャルロッテに、ディルクの笑顔も引き攣る。
「……で、僕に何の御用ですか」
「私もう待てません。今直ぐにでも、私を正式に王太子妃に御認め下さい」
またその話か……。いい加減しつこくてうんざりする。瞬間ディルクの顔から笑みが消えた。
「シャルロッテ嬢、以前もお話致しましたが僕は貴女を妃にするつもりありません。貴女だけではない。他の側妃候補の者達も同様です」
「ですがっ、陛下は」
「そうですね。全て父が決めた事です。だからどうかしましたか」
「っ……どうかしましたかって。ディルク様はどうかなさってます!これは政略結婚なんですわよ⁈拒否するなどあり得ません!きっとあの女がディルク様を惑わせたに違いありませんわ!」
ディルクの言葉にシャルロッテは声を荒げ、あの女とそう口にした。
「あの女、とは誰の事ですか。シャルロッテ嬢」
シャルロッテはハッとした表情で、口元を手で隠した。気まずそうに視線を泳がせ、黙り込む。
「アンジェリカの居場所をご存知なんですね」
「わ、私は……存じ上げませんわっ」
「シャルロッテ嬢」
取り乱すシャルロッテとは対照的に、ディルクは冷静に淡々と話す。声は低く、鋭い目つきにシャルロッテは息を呑んだ。
幼少時代から彼を知っているが、こんなディルクは、初めて見た。何時も優しく穏やかに微笑み丁寧だった。こんなディルクは知らない。
シャルロッテは彼を初めて、怖いと感じた。
「……余り手荒な事はしたくありません故、素直に教えて頂きたいんですが」
刺す様なディルクの視線に耐えられなくなったシャルロッテは、ゆっくりと口を開いた。
結局見取り図を改めて見た所で何も発見する事は出来ず、地道に探す手段を選ばざる終えなかった。
レネーにも手伝って貰い探したが、アンジェリカは何処にも見当たらない。時間ばかりが無駄に過ぎていき、ディルクからは焦りが垣間見える。そんな時だった。
「あら、ディルク様。何か探しものですの?」
少し高めの声が廊下に響き渡り、その声を聞いたディルクは一瞬嫌な表情を浮かべるが、直ぐに貼り付けたような笑みを作る。
「これは、シャルロッテ嬢。……どうなさったんですか?」
シャルロッテがディルクに、それとなく近寄って来る中ディルクは適度な距離を保つ。彼女は何時も距離が異様に近く、ベタベタしてきて正直苛つく。
「私がこちらに参ります時の目的は1つしかありませんわ。勿論、ディルク様にお会いする為に参りました」
最悪だ。寄りにも寄ってこのタイミングでシャルロッテに捕まるとは。かなり面倒くさい。
シャルロッテは王太子妃候補であり、公爵令嬢である。見た目は派手目で、全身が文字通り眩しい……。シャルロッテは、装飾品を必要以上に好んでおり、何時も宝石を上から下までジャラジャラと身に付けている。……そこにセンスなど皆無だ。しかも長い髪を縦に巻いた斬新な髪型もどうなんだと思っている。
「そうでしたか……それは光栄です。しかし、今取り込み中でして」
「あら、そうでしたわね。ディルク様は……探しものをなさっていらっしゃるのですものね」
先程から探しものと気になる物言いをしてくるシャルロッテに、ディルクの笑顔も引き攣る。
「……で、僕に何の御用ですか」
「私もう待てません。今直ぐにでも、私を正式に王太子妃に御認め下さい」
またその話か……。いい加減しつこくてうんざりする。瞬間ディルクの顔から笑みが消えた。
「シャルロッテ嬢、以前もお話致しましたが僕は貴女を妃にするつもりありません。貴女だけではない。他の側妃候補の者達も同様です」
「ですがっ、陛下は」
「そうですね。全て父が決めた事です。だからどうかしましたか」
「っ……どうかしましたかって。ディルク様はどうかなさってます!これは政略結婚なんですわよ⁈拒否するなどあり得ません!きっとあの女がディルク様を惑わせたに違いありませんわ!」
ディルクの言葉にシャルロッテは声を荒げ、あの女とそう口にした。
「あの女、とは誰の事ですか。シャルロッテ嬢」
シャルロッテはハッとした表情で、口元を手で隠した。気まずそうに視線を泳がせ、黙り込む。
「アンジェリカの居場所をご存知なんですね」
「わ、私は……存じ上げませんわっ」
「シャルロッテ嬢」
取り乱すシャルロッテとは対照的に、ディルクは冷静に淡々と話す。声は低く、鋭い目つきにシャルロッテは息を呑んだ。
幼少時代から彼を知っているが、こんなディルクは、初めて見た。何時も優しく穏やかに微笑み丁寧だった。こんなディルクは知らない。
シャルロッテは彼を初めて、怖いと感じた。
「……余り手荒な事はしたくありません故、素直に教えて頂きたいんですが」
刺す様なディルクの視線に耐えられなくなったシャルロッテは、ゆっくりと口を開いた。
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