52 / 81
51
しおりを挟む
ピッ、ピッ……。
弱々しく鳴きながら、必死に飛ぶムーム。身体には紐をつけられ、その先をシャルロットが確りと離すまいと握っている。しかも、尾っぽが少し焦げている……。可哀想だが、ムームにも落ち度がある故、見守る他ない。それに、興奮状態にあるシャルロットにこれ以上何か言おうものなら、ブレソールまで文字通り熱い思いをしそうだ……。ムームの様に尻に火をつけられたら堪ったもんじゃない。
「ほら、確りなさいませ!フィオナちゃんを探しなさい!」
ピ、ピ……。
フラフラと低空飛行するムーム。飛び辛そうだ……。
「お、おい、シャルロット……」
暫く黙って見守っていたが、やはり飼い主として可哀想で見ていられない。覚悟を決めて、口を開く。
「何かしらぁ?何かご不満でもあるのかしらぁ?」
振り返ったシャルロットは、未だ怖いくらいの笑みを浮かべていた。思わずゴクリと喉を鳴らす。
「あ、あのさ……ムームも反省してるし、せめて紐は外してやってくれないか」
「紐を外したら絶~対、逃げますわよね?先程、ちょっと油断した隙に逃げ出そうとしてましたわよねぇ?」
確かに、それはごもっもだ。ムームに探させようとシャルロットが一瞬ムームから手を離した。するとムームは目を輝かせ羽をバタつかせると飛び上がり逃走しようとした……。だが、シャルロットはそうはさせまいとボッ‼︎と尾っぽに火をつけたのだ。
「ど~こ~が、反省してるのかしらぁ?本当、どこかの飼い主にそっくりですわ」
ジト目で見られる。
「…………は、早くフィオナ嬢を探さないと、昼休み終わっちゃうぞ!ハハ」
乾いた笑いで誤魔化した。
◆◆◆
どうしよう……。
フィオナは前を歩いているオリフェオの背を眺めながらため息を吐く。思わずついて来てしまったが……どうすればいいのか分からない。
少し前。
フィオナの隣に勝手に座り黙り込むオリフェオは、聞いてもいないのにこれまた勝手に語り出した。
『私には……親友がいるんだ』
『え、あの……そうなんですね』
いきなり話し出した事にも驚いたが、彼に友人がいるという事実にも驚いた。オリフェオの事は全く知らないが、ダンスパーティーの時の彼の振る舞いを見れば、大方の性格は予想出来る。傲慢で我儘、人から指図される事が嫌いで、人の意見を聞かない……そんな所だろう。所謂フィオナが思っている王族のイメージそのものだ。王族などに嫁ぐ女性はきっと大変だろうと予々思っている。
そう言えば妹のミラベルは、あの時オリフェオと一緒にいたが、どういった関係なのだろうか……まさか、婚約などの話が出ているとか……。そこまで考えて、先日ミラベルがヴィレームと結婚すると言い出した事を思い出し、考え直す。
話は逸れたが、そんな人に親友と呼べる方がいらっしゃるんですね、と失礼な事を考えてしまった。
『その親友は、ニクラスと言うんだ』
オリフェオと会うのも二回目だと言うのに、更に彼の友人の名前を言われてフィオナは困惑する。こう言う場合、何と返すのが正解なのだろうか……相手は王子で、下手な事は絶対に言えない……。
『そうなんですね』
黙っている訳にもいかないので、取り敢えず当たり障りのない返事をする。
『ニクラスは、幼馴染でもあり長い付き合いなんだ』
『そうなんですね』
『気も合って、面白くて、凄くいい奴なんだ』
『そうなんですね』
フィオナは、思った。さっきからずっと「そうなんですね」としか言っていない。だが会話は成立している。ある意味凄い……。
『だが、今朝ニクラスが……』
先程からの彼の沈んだ様子を思うと、その友人とやらと仲違いでもしたのだろうかなどと、フィオナは呑気に考えたのだが……。
『死んだんだ』
『そうなん……え……』
予想だにしなかった言葉に俯き加減だった顔を上げ、フィオナはオリフェオを見た。
弱々しく鳴きながら、必死に飛ぶムーム。身体には紐をつけられ、その先をシャルロットが確りと離すまいと握っている。しかも、尾っぽが少し焦げている……。可哀想だが、ムームにも落ち度がある故、見守る他ない。それに、興奮状態にあるシャルロットにこれ以上何か言おうものなら、ブレソールまで文字通り熱い思いをしそうだ……。ムームの様に尻に火をつけられたら堪ったもんじゃない。
「ほら、確りなさいませ!フィオナちゃんを探しなさい!」
ピ、ピ……。
フラフラと低空飛行するムーム。飛び辛そうだ……。
「お、おい、シャルロット……」
暫く黙って見守っていたが、やはり飼い主として可哀想で見ていられない。覚悟を決めて、口を開く。
「何かしらぁ?何かご不満でもあるのかしらぁ?」
振り返ったシャルロットは、未だ怖いくらいの笑みを浮かべていた。思わずゴクリと喉を鳴らす。
「あ、あのさ……ムームも反省してるし、せめて紐は外してやってくれないか」
「紐を外したら絶~対、逃げますわよね?先程、ちょっと油断した隙に逃げ出そうとしてましたわよねぇ?」
確かに、それはごもっもだ。ムームに探させようとシャルロットが一瞬ムームから手を離した。するとムームは目を輝かせ羽をバタつかせると飛び上がり逃走しようとした……。だが、シャルロットはそうはさせまいとボッ‼︎と尾っぽに火をつけたのだ。
「ど~こ~が、反省してるのかしらぁ?本当、どこかの飼い主にそっくりですわ」
ジト目で見られる。
「…………は、早くフィオナ嬢を探さないと、昼休み終わっちゃうぞ!ハハ」
乾いた笑いで誤魔化した。
◆◆◆
どうしよう……。
フィオナは前を歩いているオリフェオの背を眺めながらため息を吐く。思わずついて来てしまったが……どうすればいいのか分からない。
少し前。
フィオナの隣に勝手に座り黙り込むオリフェオは、聞いてもいないのにこれまた勝手に語り出した。
『私には……親友がいるんだ』
『え、あの……そうなんですね』
いきなり話し出した事にも驚いたが、彼に友人がいるという事実にも驚いた。オリフェオの事は全く知らないが、ダンスパーティーの時の彼の振る舞いを見れば、大方の性格は予想出来る。傲慢で我儘、人から指図される事が嫌いで、人の意見を聞かない……そんな所だろう。所謂フィオナが思っている王族のイメージそのものだ。王族などに嫁ぐ女性はきっと大変だろうと予々思っている。
そう言えば妹のミラベルは、あの時オリフェオと一緒にいたが、どういった関係なのだろうか……まさか、婚約などの話が出ているとか……。そこまで考えて、先日ミラベルがヴィレームと結婚すると言い出した事を思い出し、考え直す。
話は逸れたが、そんな人に親友と呼べる方がいらっしゃるんですね、と失礼な事を考えてしまった。
『その親友は、ニクラスと言うんだ』
オリフェオと会うのも二回目だと言うのに、更に彼の友人の名前を言われてフィオナは困惑する。こう言う場合、何と返すのが正解なのだろうか……相手は王子で、下手な事は絶対に言えない……。
『そうなんですね』
黙っている訳にもいかないので、取り敢えず当たり障りのない返事をする。
『ニクラスは、幼馴染でもあり長い付き合いなんだ』
『そうなんですね』
『気も合って、面白くて、凄くいい奴なんだ』
『そうなんですね』
フィオナは、思った。さっきからずっと「そうなんですね」としか言っていない。だが会話は成立している。ある意味凄い……。
『だが、今朝ニクラスが……』
先程からの彼の沈んだ様子を思うと、その友人とやらと仲違いでもしたのだろうかなどと、フィオナは呑気に考えたのだが……。
『死んだんだ』
『そうなん……え……』
予想だにしなかった言葉に俯き加減だった顔を上げ、フィオナはオリフェオを見た。
20
お気に入りに追加
2,239
あなたにおすすめの小説
冤罪で断罪されたら、魔王の娘に生まれ変わりました〜今度はやりたい放題します
みおな
ファンタジー
王国の公爵令嬢として、王太子殿下の婚約者として、私なりに頑張っていたつもりでした。
それなのに、聖女とやらに公爵令嬢の座も婚約者の座も奪われて、冤罪で処刑されました。
死んだはずの私が目覚めたのは・・・
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる