37 / 68
3.彼らの関係
その4、お友だちには相談しよう③
しおりを挟む「終わったらさ、再来週でいいから、なんか美味いもんでも食べようよ。店でも、家でも」
「……ここがいいです」
「ん、じゃあなんか取ろう。ピザでも寿司でも。あ、うなぎは? 高くてもいいからさ」
「あー……おなかすいてきた」
「ぶ、今じゃねえよ」
「分かってますよ! 何かあります?」
「……先週買ってきてもらったウィンナーと卵しかない。多分」
「玉ねぎは?」
「あ、まだある」
「……ほんっと料理しないですよね」
「しないねー」
「どうやって生きてたんですか。あっ、もう!」
「んー、こうやって?」
「馬鹿じゃないの! もう! 駄目ですよご飯作るんですから」
「なに作ってくれんの?」
「チャーハンです」
「じゃあ解放」
なにが解放だ。あほか。
それにしてもお腹がすいた。平日ほぼ使われていないシステムキッチンに立って、冷蔵庫を開けると本当に言われた通りのものしかなかった。あとはお酒。サイドポケットに入ってる調味料は私が買ってきたものも多い。
玉ねぎをみじん切りにしてレンジへぶっ込み、ウィンナーを輪切りに、卵は先にかき混ぜておく。この間ラップした冷凍ごはんは……あ、もうない。食べてくれたんだ。
仕方ないのでご飯を3合、早炊き36分に設定する。これだったら玉ねぎはチンしなくてもよかったなぁ。無駄なことした。フライパンに半透明の玉ねぎとウィンナーを炒めて、ちょっとだけ塩胡椒。
「いいにおい」
「炒めてるだけですよ」
「こういうのがいいの」
「っていうかなに裸でうろついてるんですか。知りませんよ油はねても」
「だって服とられてるし。誰かさんに」
「お借りしてるだけでーす」
あ、そうだスープも作ろう。
炒めたもの三分の一を小鍋に入れて、水と一緒に火にかけて、沸騰したら味つけ……どうしようかな。お味噌でいいか。ウィンナー味噌汁。卵をあと2つ取り出して、落とし卵にして、完成。
フライパンで炒めたものは一度お皿に移しかえて、溶き卵にマヨネーズを混ぜて、炒る。さっと半熟くらいで取り出さないと、ふわふわな炒り卵にならないから注意。ふたつ目のお皿に取り出して、これでご飯と炒めるだけなんだけど……
「あと20分」
「ゔー……時間配分ミスった……」
「いいんじゃない? 手際がいいとも言うし。それじゃあ」
「わっ、ちょっと!」
「エンボちゃんかるーい。さらいます」
「さらいません! 飢えてんだから軽いに決まってます」
「俺も飢えてる」
「飢えてない!」
台所! 台所が遠くなる!
せっかく這い出した寝室に抱き戻されて、覆いかぶさられる。ニコニコさわやか笑顔が憎い。お腹すいたのに。ああ、もう。
「いただきます」
「ゔぅ……」
「ほら、こういう時はなんて言うの?」
キスされちゃえば、ほだされて、流される。
苦しいことや思い悩んでいたことも、気持ち良くなっちゃえばきっと、忘れられる。
だから……まぁ、いっか。
「……めしあがれ」
結局チャーハンにありつけたのはこれから二時間後のことでした。ちゃんちゃん。
11
お気に入りに追加
1,208
あなたにおすすめの小説
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
色々と疲れた乙女は最強の騎士様の甘い攻撃に陥落しました
灰兎
恋愛
「ルイーズ、もう少し脚を開けますか?」優しく聞いてくれるマチアスは、多分、もう待ちきれないのを必死に我慢してくれている。
恋愛経験も無いままに婚約破棄まで経験して、色々と疲れているお年頃の女の子、ルイーズ。優秀で容姿端麗なのに恋愛初心者のルイーズ相手には四苦八苦、でもやっぱり最後には絶対無敵の最強だった騎士、マチアス。二人の両片思いは色んな意味でもう我慢出来なくなった騎士様によってぶち壊されました。めでたしめでたし。
一夜限りのお相手は
栗原さとみ
恋愛
私は大学3年の倉持ひより。サークルにも属さず、いたって地味にキャンパスライフを送っている。大学の図書館で一人読書をしたり、好きな写真のスタジオでバイトをして過ごす毎日だ。ある日、アニメサークルに入っている友達の亜美に頼みごとを懇願されて、私はそれを引き受けてしまう。その事がきっかけで思いがけない人と思わぬ展開に……。『その人』は、私が尊敬する写真家で憧れの人だった。R5.1月
【R18】国王陛下はずっとご執心です〜我慢して何も得られないのなら、どんな手を使ってでも愛する人を手に入れよう〜
まさかの
恋愛
濃厚な甘々えっちシーンばかりですので閲覧注意してください!
題名の☆マークがえっちシーンありです。
王位を内乱勝ち取った国王ジルダールは護衛騎士のクラリスのことを愛していた。
しかし彼女はその気持ちに気付きながらも、自分にはその資格が無いとジルダールの愛を拒み続ける。
肌を重ねても去ってしまう彼女の居ない日々を過ごしていたが、実の兄のクーデターによって命の危険に晒される。
彼はやっと理解した。
我慢した先に何もないことを。
ジルダールは彼女の愛を手に入れるために我慢しないことにした。
小説家になろう、アルファポリスで投稿しています。
やさしい幼馴染は豹変する。
春密まつり
恋愛
マンションの隣の部屋の喘ぎ声に悩まされている紗江。
そのせいで転職1日目なのに眠くてたまらない。
なんとか遅刻せず会社に着いて挨拶を済ませると、なんと昔大好きだった幼馴染と再会した。
けれど、王子様みたいだった彼は昔の彼とは違っていてーー
▼全6話
▼ムーンライト、pixiv、エブリスタにも投稿しています
【R18】十六歳の誕生日、許嫁のハイスペお兄さんを私から解放します。
どん丸
恋愛
菖蒲(あやめ)にはイケメンで優しくて、将来を確約されている年上のかっこいい許嫁がいる。一方菖蒲は特別なことは何もないごく普通の高校生。許嫁に恋をしてしまった菖蒲は、許嫁の為に、十六歳の誕生日に彼を自分から解放することを決める。
婚約破棄ならぬ許嫁解消。
外面爽やか内面激重お兄さんのヤンデレっぷりを知らないヒロインが地雷原の上をタップダンスする話です。
※成人男性が未成年女性を無理矢理手込めにします。
R18はマーク付きのみ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる